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有価証券の期末価額と留意点 2008年08月29日

有価証券とは
小切手や手形等も有価証券ですが、ここでは国債・社債・株券等の有価証券についてお話します。

有価証券の評価は複雑
有価証券は会社法の改正や金融取引の国際化に伴い、非常に複雑になりました。
保有有価証券の一部売却や追加取得などの場合の価額評価等、実際の取引や評価にあたっては、必ずご相談ください。
ここでは大枠について触れたいと思います。

評価における会計と税務
有価証券の決算期末評価額は、会計上は時価評価が基本です。
それに対して法人税法は時価評価を原則としておりません。
売買目的か否かでその評価方法が違います。売買目的の有価証券は、決算日の時価で評価し、取得価額との差額は評価損益として損金又は益金への算入が認められます。
しかしその他の有価証券は、取得価額が基本です。
時価評価をしたとしても法人税法上は損金や益金への算入が認められませんので、決算書の利益を元に戻す税務調整して申告しなければなりません。

売買目的有価証券とは
① 短期売買目的で取引を行うことに、専ら従事する者が短期売買目的で取引した有価証券
② 取得の日に「売買目的有価証券」と言う勘定科目により区分された有価証券
③ 短期売買目的の有価証券を取得する金銭信託財産に属する有価証券
上記の条件のいずれかに該当するものが、売買目的有価証券です。

持株会は要注意
取引先等でも毎月1万円・2万円を積み立てて、株式を取得する持株会という形で有価証券を取得している場合(評価は取得価額)は、株式配当金があっても、実際には入金されずに、持株会の株式購入に当てられます。
配当があったとの通知しか来ませんので、知らず知らずの間に取得価額が増えていることがありますので注意が必要です。




振込め詐欺被害に税制上の救済は? 2008年08月28日

オレオレ詐欺の被害が広がっている
「オレだよ、オレ。」と、電話をかけ「実は事故にあっちゃってお金が必要になった。すぐにお金を振り込んで。」などと言い、指定した銀行等の口座に現金を振り込ませるというのが「オレオレ詐欺」のやり口ですが、最近も高齢者をねらったオレオレ詐欺の被害は広がっているそうです。
家族を大切にする気持ちを利用した卑劣な犯罪であり、警視庁の調べによると、平成19年中の都内の「振込め詐欺」(還付金詐欺を含む)の被害件数は、3,497件(前年比+114件)で、そのうち「オレオレ詐欺」は2,072件となっています。

犯行の手口が巧妙になっている
・お金が必要な理由として、借金の返済・事件(他人にケガをさせた、高価な物を壊した)や交通事故の示談金、弁済費など。
・警察官や弁護士、鉄道関係者を名乗って、痴漢による逮捕を免れるための示談金を請求する詐欺もあるそうです。
・最近は、税務署や自治体名等を名乗って、税金、保険料等の過払い分を還付するので「ATM」に行くように指示し、ATMを操作させてお金を振り込ませる還付金詐欺が増えています。
・銀行の振込みだけでなく、宅配業者や書留、小包、定形郵便物を利用させる場合もあります。また、家族の勤務先の同僚を装って所定の場所(最寄駅の付近など)を指定し、現金を受取りに来る大胆な手口もあるようです。

雑損控除の対象になるか?
災害(震災、風水害、火災等)盗難もしくは横領によって、資産について損害を受けた場合などには、所得控除が受けられる制度があり税負担は減少されます。
しかし、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。災害や盗難などは本人の意思に関係なく起きますが、詐欺や恐喝は本人も何らかの責任があるとみなされるためです。大変に気の毒ですが、これが税法の考え方のようです。

(雑損控除)
所得税法第72条  居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で、政令で定めるものの有する資産(第62条第1項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)及び第70条第3項(被災事業用資産の損失の金額)に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一  その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額(損失の金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)が5万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。) その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の10分の1に相当する金額
二  その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額が5万円を超える場合 その年における損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち5万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額
三  その年における損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合 5万円と第1号に掲げる金額とのいずれか低い金額
2  前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
3  第1項の規定による控除は、雑損控除という。


警視庁のホームページ
警視庁 生活安全総務課 生活安全対策第3係
TEL 03-3581-4321(代表)
(目次)
「オレオレ詐欺」とは・・・
犯行の手口あれこれ・振り込め詐欺の手口
オレオレ詐欺以外の「架空請求詐欺」、「融資保証金詐欺」とは被害にあわないための防犯対策




所得・贈与課税の適用除外範囲 2008年08月27日

民法877条は、扶養義務者の範囲を定め、互いに扶養を義務付けています。条文では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」と定めています。
そこで、贈与税及び所得税では、一定の条件を満たした給付財産については、所得税から除外し、贈与税の課税価格にも算入しない旨を定めています。

(1)所得税法上の取扱い
所得税法では、個人からの贈与により取得したものには所得税を課しません。
さらに、「学資に充てるために給付される金品及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品」も課税しないと定めています。
この所得税法の規定は「扶養義務の履行」に伴う財産給付は贈与にはあたらないため、そのことを考慮してこの規定を設けたものと思われます。

(2)贈与税の取扱い
贈与により取得した財産であっても、扶養義務者間の生活費及び教育費に充てられるものであり、かつ、通常必要と認められるものは、贈与税の課税価格に算入しないと定められています。
なお、子に十分な所得があるにもかかわらず、一緒に暮らす父が生活費の全部を負担し、また、孫(その子の子)の学資等の全部を祖父(子の父)が負担している場合に、課税の適用除外となることに疑問もあるようです。
そこで、問題となるのは、生活費及び教育費の意義とその取扱です。

(3)生活費及び教育費の範囲
生活費は、日常の衣食住に必要な費用のみでなく、治療費、養育費等も含むものと取り扱われています。また、教育費ですが、義務教育費に限ることなく、被扶養者の教育上、通常必要と認められる学資等を含むものとして取り扱われています。
以上のことから、前述した父(祖父)の負担が「生活費」、「教育費」に充てるためになされたものである限り、贈与税の課税価格に算入されないと考えられます。

(4)生活費及び教育費の取扱い
生活費、教育費として取得した財産を一時的に預貯金や株式等に運用した場合、「通常必要と認められるもの」以外のものとして取り扱われるおそれがあります。それゆえ、必要な都度直接これらの用に充てることが課税の適用除外要件と言えそうです。


1.所得税法9条(非課税所得)
14  学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品

2.相続税法21条の3(贈与税の非課税財産)
 次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
二  扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの

3.扶養義務者からの生活費等関係〕
(「生活費」の意義)
21の3-3 法第21条の3第1項第2号に規定する「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く。)を含むものとして取り扱うものとする。(昭50直資2-257改正、平15課資2-1改正)
(「教育費」の意義」)
21の3-4 法第21条の3第1項第2号に規定する「教育費」とは、被扶養者の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいい、義務教育費に限らないのであるから留意する。(平15課資2-1改正)
(生活費及び教育費の取扱い)
21の3-5 法第21条の3第1項の規定により生活費又は教育費に充てるためのものとして贈与税の課税価格に算入しない財産は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいうものとする。したがって、生活費又は教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合又は株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合における当該預貯金又は買入代金等の金額は、通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱うものとする。(平15課資2-1改正)
(生活費等で通常必要と認められるもの)
21の3-6 法第21条の3第1項第2号に規定する「通常必要と認められるもの」は、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいうものとする。(平15課資2-1改正)
(生活費等に充てるために財産の名義変更があった場合)
21の3-7 財産の果実だけを生活費又は教育費に充てるために財産の名義変更があったような場合には、その名義変更の時にその利益を受ける者が当該財産を贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。(平15課資2-1改正)




配当金の税務上の取扱い 2008年08月26日

平成13年旧商法改正前において、「配当は利益からなされるもの」と法定され、資本からの配当は禁止されていました。
ところが改正後は、金庫株の解禁と相まって、資本準備金の取り崩しによって生じた「その他資本剰余金」を配当の原資として認め、利益処分のよる配当に包含されました。それゆえ、税務においても配当受領側では配当課税を行なってきました。

しかし、新会社法では株主総会決議等により期中いつでも剰余金の配当を行なうことが可能となり、定時株主総会における利益処分という考えがなくなりました。
税務もこれに合わせる形で、これまでの利益処分という行為に着目した課税関係の分類を改め、その配当原資に着目して課税関係を整理するに至りました。

(1)税務の計算はプロラタ計算
 前述したように、これまで、利益剰余金や資本剰余金からの配当は、全て受取配当金とされてきましたが、平成18年税制改正後は、利益剰余金からの配当は「受取配当金」とされ、資本剰余金からの配当についてはプロラタ(比例配分)計算により算出した一部の金額のみ「みなし配当」とし、その他の金額については「資本の払い戻し」として取り扱われることになりました。
結果、「みなし配当」部分は源泉徴収の対象に、配当受領側では「受取配当金の益金不算入」の対象になります。
また、「資本の払い戻し」部分については、有価証券の譲渡対価となり、有価証券売却損益を認識することになります。

(2)株主側(法人)の会計処理
設例で確認してみましょう。
①資本剰余金から配当100、配当を実施した会社側の②直前の資本金等の額200、③簿価純資産の額400、株主側(100%保有)の④有価証券の簿価100としますと、純資産減少割合0.25(①÷③)「プロラタ計算」となり、みなし配当は50(①-②×0.25)、有価証券の簿価減少額25(④×0.25)となります。仕訳で示すと次のようになります。
現金預金97 / 有価証券   25
租税公課 3   有価証券売却益25 
受取配当金  50
※資本減少割合等については、配当支払法人側が通知する義務があります。
また、租税公課は、7%の源泉徴収額です。個人株主においても取扱は同じです。




前払費用について 2008年08月25日

企業会計原則における前払費用の規定
①一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価
②このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となる

税法通達での短期前払費用の規定
一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するもので、次のもの。
①その支払った日から1年以内に役務の提供を受けるもの
②その支払った額に相当する 金額を継続してその支払った日の属する事業年度で損金経理しているもの
③次期以降の収益との個別対応関係にある費用ではないもの

両者の共通点と相違点
 ともに支払を前提としているので、未払いの場合は前払費用にはなりませんが、支払いには手形支払いも含まれます。
通達での前払費用の規定は、「時間の経過とともに次期以降の費用となる」ということに触れていません。それでか、雑誌・新聞の購読料、インターネットのバナー広告代金、野球やボクシングのボックスシートチケット代金などについて、これらを短期前払費用に含めている解説もあります。

通達規定①②③
税法でテーマになっているのは、損金算入可となる短期前払費用のみです。

 通達①の意味は、前払期間は最長1年との要求で、2年分を支払った場合には、未経過分の全額を資産勘定に計上しなければならないということです。ただし、自賠責保険料は保険期間が最長3年ですが、少額不追求として取り扱われています。

 通達②の意味は、会計処理の継続性の要求で、毎月払契約の家賃を年払い契約に改めることなく任意に年払いした場合などと不規則でも、常に支出時に費用処理をするということの要求です。なおこれは個別の項目毎への要求で、短期借入金利息は支払時損金、長期借入金利息は前払処理というようなことでもよいということです。

通達③の意味は、借入金を預金、有価証券等に運用するような場合には、支払利息と受取利息・受取配当金が個別対応関係になるので、期間の経過に応じた損金処理が要求されるということです。


法基通2-2-14(短期の前払費用)
 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55直法2-8追加、昭61直法2-12改正)
 (注)例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。

参考資料
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自賠責保険料
週刊税務通信
1997年4月28日 2474号
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インターネット広告費
週刊税務通信
2001年3月12日 2664号
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雑誌・新聞の購読料
法人税事例選集 森田政夫著 P75
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ボックスシートチケット代金
法人税基本通達の疑問点
渡辺淑夫・山本清次著 P137
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「ねんきん特別便」が届いたらどこを見る 2008年08月22日

年金記録問題と「とくべつ便」
 年金は平成9年1月に基礎年金番号制度が導入され、以降は一人一番号で年金記録が管理されています。それ以前は就職や転職、結婚等で複数の年金番号を持っている方がいました。これらの時の番号が基礎年金番号に全部統合しきれず「宙に浮いた年金記録」となっているのです。「ねんきん特別便」は、すべての記録を照合し、整理・統合するために行われています。

年金記録が間違われやすい例
●生年月日を偽って入社して会社でそのまま手続きしたケースや、氏名の振り仮名を間違えて届出してしまったケース
●旧姓で厚生年金に加入していて、結婚退職した主婦が国民年金に変わったケース
●結婚や離婚などで氏名が変わったケース
●転職時に前の年金手帳を提出せず、新しい番号を取得したケース
●転職、脱サラ等で厚生年金、共済組合、国民年金等加入する制度が変わったケース
●学生が強制加入となった平成3年以降に学生であり、20歳を迎えた人が(当時学生納付特例制度がない時代)未納になっていたり、知らぬ間に親が保険料を納めていてくれたりと本人が覚えていないケース

あなたの加入記録、ここをチェック
●資格を取得した年月日 20歳から強制加入となった人は20歳の誕生日の前日、就職では入社日。加入制度は一般的に学生ならば国民年金、勤めていれば厚生年金や共済年金になります。
●資格を喪失した年月日 退職した日の翌日が資格喪失日となり、その日に転職していれば、転職先の資格取得日と同じ月日となります。加入月数、納付月数が合っているかをみます。
●加入記録に空白期間がある時はその間国民年金に加入していたのか、他に勤めていなかったかを思い出して見ましょう。
 誤りがあった場合は「訂正がある」に○を付け正しい記録を記入し、訂正がない場合は「訂正がない」に○を付け返送しましょう。
 今回の特別便では、標準報酬(給料を等級であらわしたもの)の記載はないので、疑問を感じた場合には確認してみましょう。





年金控除と隠れ増税 2008年08月21日

後期高齢者医療保険料の年金控除
後期高齢者医療制度の導入に伴い、稼ぎ手家族の所得税や住民税が負担増となることがあります。
従来は、家族分の国民健康保険料の実際支払者がその支払額を自分の社会保険料控除としていました。
しかし、後期高齢者医療保険料は年金から控除されるので、年金からの控除額はその年金者からの社会保険料控除にしかならないと解説されています。
新聞ではこれを「隠れた増税」などと指摘しています。

次は国保の年金控除
公的年金からの社会保険料の天引きは介護保険料にはじまり、今年の4月から75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度の保険料に拡大し、さらに、この10月からは65~74歳が加入する国民健康保険料がその対象になろうとしています。(自治体によってはすでに4月から国保の年金天引きしているところがあります。)

国保の保険料の負担者
国民健康保険料の納付義務は世帯主にあり、保険料の通知書は世帯主宛に送られてきます。世帯主が主たる稼ぎ手でなくても、他の65~74歳世帯員分の国民健康保険料を含めた支払いを請求されます。
そして、この世帯主に年金があると、そこからの天引きとなります。ここでも「隠れた増税」現象が生ずることになります。

急きょ選択制に変更された
「隠れた増税」は意図したところではなかった、ということらしく、政府は7月22日、後期高齢者医療保険料と65~74歳加入の国民健康保険料との納付の方法を年金天引きと口座振替との選択制とする政令改正をしました。
本人または配偶者もしくは世帯主に該当する家族の預金口座からの振替に変更できるということで,
現金納付という選択肢はなさそうです。

ちょっと考えてみたい
社会保険料控除は家族負担分を家族の誰かが支払えば、その支払者の控除とできるものです。天引きされたものは他の人からの控除にできない、というのは給与のみについてです。法律で給与のみ特別扱いしているからです。
年金からの控除額は家族が補てんしたら、その家族の支払いと考えてもよいとする解釈的余地はあってもよさそうに思われます。




返済能力って何? 2008年08月20日

保証力ありますか?
 「当社は、一回だって返済を遅延したことがない。だから、金融機関には実績があり、信用もあるはずだから。」確かに実績は評価され、マイナスとはなりません。しかし借りたものは返すのは当たり前で、“これからも大丈夫”の保証にはなりません。

なにが保証・信用になるの?
金融機関にとって、直前期決算書の財務健全力が最大の保証であり、補足的に代表者の保証力、特に担保力が信用となります。
また、代表者に担保力があるか否かは、単に債権金額の正味を減らすというだけではなく、過去の歴史から学んだ“不動産所有の社長の方が、もっていない社長に比べて、貸倒率が低い”という統計上の理由もあります。

返済能力って何?
さて、「他行からの借入で当行に返済している」ことは、返済能力を査定する上では、意味を持ちません。
借入金総額が税引き後の利益によって何年で完済できるかが返済能力であって、その期間が10年未満であるのが正常先債権ということのようです。




駅ナカの隆盛と課税 2008年08月19日

駅ナカ
駅ビルとは異なり、鉄道会社が改札内の駅構内にお店を出している商業スペースのことです。
最近、JR各社も駅ナカビジネスに本格的に乗り出しており、大宮駅73店舗2,300㎡、品川駅46店舗2階建て1,600㎡、立川駅85店舗4階建て4,300㎡などを筆頭に、定番の飲食だけでなく、コンビニ・書店・スポーツグッズ・マッサージ・理髪店など多岐にわたる店舗を展開中です。

駅ナカと駅前の対立
駅ナカは駅そのものの活性化を促しはするものの、駅周辺の従来商店へ流れていた客を駅構内に留めてしまうと指摘されており、かつて訴訟問題が発生したこともあります。
都知事宛に経済団体から「鉄道の駅等につきましては、周辺の地域に比べ固定資産税の評価が5倍から15倍の格差があり、税負担の面で公平性を欠いている」との指摘のもと「鉄道会社に適正課税をせよ」との要望書が出されたこともあります。

東京都の駅ナカ課税強化の動き
東京都は民間要望書より前から駅ナカと固定資産税について関心をもっており、鉄道用地は隣接地に比べて3分の1で評価され、店舗の床面積が全体の2割未満なら全体が鉄道用地扱いされていることを見直して、一定規模以上の店舗がある駅や鉄軌道以外の用に供されている高架下を対象として課税を強化する方針を決め、各鉄道事業所に伝えていました。

昨年の税制改正
総務省は税制改正大綱に『鉄軌道用地の評価方法の変更を平成19年度に実施するため、所要の補正を講ずる』と盛り込み、法改正をしました。ただし、評価見直しが間に合わないので、決定や通知など半年うしろにずらしました。
東京都は23区内82駅につき見直し、平成19年10月10日に約22億円の追加課税の通知をしたと公表しています。

駅ナカの次は
国立大学が独立法人へ移行したことを受けて、企業等に賃貸する土地・建物が昨年度から固定資産税の課税対象になりました。都内にある国立大学の大部分はこの課税処分を受け入れましたが、東京大学だけが抵抗しているようです。




銀行の態度がなぜ変わるのか? 2008年08月18日

「貸し渋り!もう十分に渋られているよ。」反対に、「借りてくれって煩いんだよ。」と会社によって大きな差があります。しかし、この差が広がるのはこれからが本番です。
これは先進国の潮流である“企業格付ルール”が浸透してきたためです。

企業格付とは?
「企業格付」には社長の人柄などの要因も加わりますが、80%以上は財務数値です。各金融機関独自の機密扱いで評価は各行によって多少異なりますが、おおむね同様です。
また、「企業格付」とは“倒産確率” をスコアにしたものです。
これは、主観的な判断を出来るだけ排除するため、財務数値のうち“時価自己資本比率とキャッシュフローの返済能力”を特に大きな要素として融資の重要な判断基準としています。

今後の対応
格付が低く、“倒産確率の高い会社”に対して基準を超える融資をすることは、金融機関の内部統制上からもいっそう困難な時代に突入します。

格付けは各金融機関の自己査定ルールで、各金融機関の重要なノウハウの一つであり、メガバンクが開発し系列の地銀・信金・ノンバンクなどに数十億円でソフトを販売し、情報システムが運用されています。
キャッシュフローによる融資の返済能力は“税引き後の利益”で判断されますから、多少の利益では追いつかないことになり、返済額の大きい企業にとっては厳しいキャッシュフロー経営の要求になります。
“支店長と仲良く”といった不明瞭な査定こそが問題となってきたところです。

金融機関独自の自己査定はそもそも金融監督庁指導の下にスタートした経緯がありますが、最近のメガバンクの意識には世界のルールとして対応できるBISスタンダードに向けたステップアップがあります。
ちなみに、金融監督庁が公表している金融機関を査定する“金融査定マニュアル”(中小企業版を別冊として公表)が一つの参考になります。




源泉所得税の納期限 2008年08月01日

給与・退職金・報酬(以下「給与等」という。)の源泉所得税は、原則、これら給与等の支払った月の翌月10日まで国に納付しなければなりません。
なお、特例として、常時雇用者が10人未満の事業所等では、所轄の税務署に「納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、1月から6月までの期間分は7月10日、7月から12月までの期間分は翌年1月10日までとその納期限が延長されます。
 さらに、この特例適用者が「納期限の特例に関する届出書」を提出すれば、7月から12月まで期間分は翌年1月20日までと納期限がさらに延長されます。

(1)厳しい罰則、不納付加算税
 源泉税の納期限を失念した場合の罰則は、不納付加算税と言って、原則として納付すべき税額の10%です。
「正当な理由」があると認められる場合を除き、わずか1日遅れてもこの税率が適用されます。但し、納税の告知があるまでに自主的に納付すれば5%に軽減されます。

(2)緩和された「正当な理由」
 従来、「正当な理由」には、「うっかり忘れていた」は該当しないとされていましたが、国税庁は、平成12年に「偶発的納付遅延等によるものの特例」を発遣し、「うっかり失念」も一定の条件を具備していれば、「正当な理由」に該当するものとして取り扱ってきました。しかし、この事務運営指針がどの程度徹底されていたかは疑問です。

(3)平成18年の税制改正で法令化
平成18年度の税制改正で、無申告加算税についての要件が緩和されたことに伴い、この不納付加算税の適用要件も緩和されました。その内容は、国税庁が平成12年に発遣した「事務運営指針」とほぼ同様なものです。具体的には、前提として、その直前1年分(特例適用者にあっては、今回の納付の目的となった最終月の直前1年分の月を含む納期に係る分)の国税について、①納税の告知を受けたことがないこと及び②法定納期限後に納付された事実がないことで、かつ、③当該納付係る源泉税が法定申告期限から1月を経過する日まで納付されたものであるとき、不納付加算税は適用しない、というものです。
 やはり、手続規定は、公平性を担保する観点から運営指針ではなく、法律で明記すべきものと考えます。

1.不納付加算税
第67条 源泉徴収等による国税がその法定納期限までに完納されなかつた場合には、税務署長は、当該納税者から、第36条 第1項第2号(源泉徴収による国税の納税の告知)の規定による納税の告知に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。ただし、当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。《改正》平11法010
2 源泉徴収による国税が第36条 第1項第2号の規定による納税の告知を受けることなくその法定納期限後に納付された場合において、その納付が、当該国税についての調査があつたことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないときは、その納付された税額に係る前項の不納付加算税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付された税額に100分の5の割合を乗じて計算した金額とする。《改正》平11法010
3 第1項の規定は、前項の規定に該当する納付がされた場合において、その納付が法定納期限までに納付する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合に該当してされたものであり、かつ、当該納付に係る源泉徴収による国税が法定納期限から1月を経過する日までに納付されたものであるときは、適用しない。

2.国税通則法施行令27条の2第2項
2 法第67条第3項(不納付加算税)に規定する法定納期限までに納付する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合は、同項に規定する納付に係る法定納期限の属する月の前月の末日から起算して1年前の日までの間に法定納期限が到来する源泉徴収による国税について、次の各号のいずれにも該当する場合とする。
1.法第36条第1項第2号(納税の告知)の規定による納税の告知(法第67条第1項ただし書に該当する場合における納税の告知を除く。)を受けたことがない場合
2.法第36条第1項第2号の規定による納税の告知を受けることなく法定納期限後に納付された事実(その源泉徴収による国税に相当する金銭が法定納期限までに法第34条の3の規定により納付受託者に交付されていた場合及び法第67条第1項ただし書に該当する場合における法定納期限後に納付された事実を除く。)がない場合《追加》平18政132《改正》平19政089
3.国税庁の平成12年発遣「事務運営指針」不納付加算税の取扱(偶発的納付遅延等によるものの特例)は、廃止となりました。