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不動産登記簿とは 2009年03月31日

不動産の仕事に携わっている人以外は、不動産登記簿は不動産を購入するとき、あるいは売却するとき以外、あまりなじみがありません。
ですが、不動産登記簿は、私たちの不動産に関する情報(どこにどんな不動産があり、それが誰のものなのか等)を一般に公開し、誰でも閲覧できようになっています。

(1)不動産登記の役割
不動産登記は、不動産の「物理的状況」に関する情報(その不動産の所在地、現況、面積、種類、構造など)と「権利関係」に関する情報(その不動産の所有者は誰で、いつ、どんな原因で所有権を取得したのか、また、誰がその権利の一部につき留保しているかなど)を登記簿に公示して「不動産取引の安全」と「円滑化」を図るために設けられた制度です。
不動産登記簿には、土地の登記簿と建物登記簿の2種類あり、土地については一筆(1区画)ごとに、建物については1個ごとに一用紙を備えることになっています。

(2)登記簿は3部構成
一つの物件に対する登記簿は、「表題部」、「権利部」に分かれ、さらに、「権利部」は「甲区」と「乙区」に分かれています。つまり、表題部、権利部「甲区」、権利部「乙区」の3部で構成されています。
表題部では、前述した不動産の「物理的状況」を開示しています。すなわち、土地であれば、「所在地」、「地目(土地の現況)」、「地積(土地の面積)」など、一方、建物であればその建物の「種類」、「構造」、「床面積」などです。
また、権利部「甲区」と権利部「乙区」では、前述した「権利に関する事項」を開示しています。
このうち「甲区」には所有権に関する事項、例えば、住宅を購入したときの「所有権移転登記」、家を建てた時の「所有権保存登記」が記載されます。
一方、「乙区」には所有権以外の権利に関する事項、例えば、金融機関による「抵当権設定登記」、土地利用者による「地役権設定登記」などが記載されます。

(3)登記の優先劣後
同じ区の権利間(甲区間同士の権利、乙区間同士の権利)の優先劣後は、原則として順位番号の早い方が優先します。
また、異なる区(甲区と乙区)における権利の優先劣後は、受付番号の早い方が優先します。




契約書は自社で契約は国外で 2009年03月30日

国内消費が冷え込むなか、海外へ活路を見出す企業も多いかと思います。

契約書は極力自社で作成しよう
海外取引では日本と違って必ず契約書が付いて回ります。
しかもかなり細部に渡った契約書が取り交わされます。
契約書は相手任せにせずに、必ず自社で作成しましょう。
何故なら作成者は相手の不利益など考えずに自分の心配を全て契約書に網羅します。
契約書とはそういうものです。

契約書と印紙税
印紙税は国内で作成された文書へ課税されますので、国外で作成された文書へは課税されません。
そこで問題となるのは何処で作成された文書かということです。
税務調査官は意地悪ですから、「この契約書は何処で作成されましたか」と聞きます。
当然自分に有利に作成しようと考えれば、自社で作りますから、当社で作成しましたと答えます。
しかし「契約書が何処で作成されたか」と言う質問は、どこで文章として作成されたかではなく、何処で契約書として完成したかと言うことなのです。

契約書の完成は署名捺印時
契約書が作成された、あるいは完成したとはどういうことかと言うと、お互いに確認しサインや印鑑を押印した時点をさします。
ですからサインや押印を国外で行った契約書は国内で作成された文書とはなりませんので印紙税は課税されません。

しかも最後の署名押印時点です
しかしわざわざ国外まで言って契約していたのでは、旅費や交通費のほうが印紙税より高くつきます。
そこで、まず自分のほうのサインや印鑑を押印し、国外の相手に郵送し、サインや印鑑を押印してもらい返却いただく手続きを取れば、最終的に契約書が完成した場所は国外と言うことになりますから、旅費も交通費もかけずに印紙税を負担する必要はありません。
 




商業登記簿謄本の役割と情報性 2009年03月27日

商業登記簿謄本は、現在のものは磁気データによって管理されていますので、正式名称は「登記事項証明書」と呼びます。
しかし、現在でも一般的には、登記簿謄本と呼んでいるケースも多く、名称が異なるだけで基本的な記載内容は同じです。

この商業登記簿謄本は4種類ありますが、その中心は、現在事項全部証明書及び履歴事項全部証明書です。
(1)商業登記の役割とは
 この商業登記とは、会社法、商法の規定により、商人に関する取引上重要な一定の事項(商号や本店及び目的並びに役員など)を法務局に備えられた登記簿に記載して公開する制度です。
この制度により、取引する相手方が何者であるか予測でき、取引の安全と円滑化を図ることができ、また、事業者自身も公に明らかにすることによって自己の信用保持に役立ちます。

(2)商業登記の効力
 商業登記には、次の3つの効力があると言われています。
1.公示力・・・登記をすることで、取引関係に入った第三者に対してその事実(登記事項)が主張できます。
2.公信力・・・原則的には、商業登記にはこの効力はありませんが、登記の内容と事実が一致していなくとも、登記を信頼した第三者を保護しています。
3.形成力・・・会社の設立、合併などは、登記によって実体上の効力を発生させます。

(3)商業登記簿謄本の情報性
新規に取引を開始する場合、まず最初に入手できる資料は、商業登記簿謄本(登記事項証明書)です。
これを丹念に読み込めば相当の情報量が詰まっています。
現在事項証明書では、現在の役員の氏名など現に効力を有する事項しか記載されていませんので、最も情報量の多い履歴事項全部証明書を取得します。
これには、現在事項に加えて過去3年の登記の変遷がわかるデータが記載され、過去3年間の商号変更や本店移転、役員変更の経緯等がわかります。
チェックすべき欄としては、「役員欄」及び「目的欄」です。
役員がそっくり交代していたり、目的が多すぎたり、住所が転々としている場合は要注意(取り込み詐欺など)です。
資本金の額は目につきますが、会社の信用とはあまり関係がありません。




政治団体と税 2009年03月26日

このところ、新聞を賑わせている政治献金。
何がダメで何が良いのか、お金をもらうのに、何も課税されないのか? など疑問が湧いてきます。

政治団体って何?
政治団体には、(1)政党(2)政治資金団体(3)資金管理団体(4)後援会などのその他政治団体、があります。
このうち、政治資金団体は、政党のために資金上の援助をする団体で政党が指定し届け出たものをいい、資金管理団体は、政治家個人のために政治資金の拠出を受け、あるいは、政党から受けた政治活動に関する寄附の経理を行うことができる団体で、政治家1人につき1団体とされています。
政治資金規正法では、企業から個人・資金管理団体への献金は一切禁止されています。
一方で、政治団体間の献金は一定限度内でできます。
そのため、報道されているような抜け道が合法的に行われることになります。
なお、企業から政党・政治資金団体への献金は、資本金に応じて定められた限度内で行うことができます。
また、赤字企業には制限が設けられています。

政治団体は税金払うの?
法人税法上、政党は公益法人、政党以外の政治団体は人格のない社団等として扱われます。
したがって、寄附収受は収益事業ではないので、原則として法人税が課税されることはありません。
また、相続税、贈与税に関しても、政治団体は公益を目的とする事業を行う者とされていますので、政治献金のような寄附金に相続税・贈与税が課税されることは原則としてありえません。

パーティー券は?
パーティーは、対価を徴収して行われる催物ですので、そのチケット販売は法人税が課税されるのではないかと考えられますが、収益事業として政令に列挙されている事業に該当しないとされており、法人税は課税されていません。
ただし、消費税については課税されるのではないかという疑問もありますが、実態は寄附金であるため、不課税扱いにするのが一般的です。
ただし、購入者側は、目的によっては交際費として処理する余地があります。




誕生月に「ねんきん定期便」 2009年03月25日

オレンジ色の封筒は注意が必要
昨年は年金加入記録漏れ問題で「ねんきん特別便」が、すべての現役加入者、年金受給者に送付されましたが、今年度からは「ねんきん定期便」が送られます。
年金加入記録を定期的に確認できるよう、国民年金、厚生年金の現役加入者に向け、誕生月に送付されるものです。
定期便は年金記録に「漏れ」や「誤り」のある可能性の高い方にはオレンジ色の封筒で、それ以外の方には水色の封筒で送付されます。
「ねんきん定期便」は厚生年金の標準報酬や保険料納付額が記載され、特別便よりは内容が複雑なものとなっています。

通知される内容は?
平成21年度については、
①年金加入期間(加入月数、納付済月数等)
②50歳未満の方には加入実績に応じた年金見込額。50歳以上の方には、引続き加入した場合の将来の年金見込額。(年金受給中の方には見込額は通知されません。)
③保険料の納付額(被保険者負担分累計)
④年金加入履歴(加入制度、事業所名称、被保険者資格取得、喪失年月日等)
⑤厚生年金の全ての期間の月毎の標準報酬月額、賞与額、保険料納付額
⑥国民年金全ての期間の月毎の保険料納付

状況(納付済、未納、免除等の別)
平成22年度以降は①~③は更新し通知され、⑤と⑥については、直近1年分が通知されます。
また、節目の年齢時(35歳、45歳、58歳)の方々には①~⑥までが更新されて通知されます。

回答の方法は? 必ず回答するべきか?
「ねんきん定期便」の回答用紙が青色をしている方は「58歳になる方」や「ねんきん特別便に未回答の方」、「標準報酬に誤りのある可能性のある方」ですので、必ず回答が必要です。白い回答用紙が同封されていた方は、訂正のある場合のみ回答すればよいとされています。
自分が過去に勤務していた時の給料や保険料額、年金の資格取得、喪失日等、記憶を思い起してみるのは、なかなか大変な事ではありますが、通知が来たらよく確認してみましょう。




振替納税利用者各位 2009年03月24日

今年の振替日は4月22日
所得税の納期限は、今年の場合、申告期限と同じ3月16日ですが、消費税は3月31日までです。
振替納税の手続きをしている人の場合、今年の振替日は、所得税が4月22日(水)、消費税及び地方消費税が4月27日(月)です。
振替納税は1ケ月前後の遅延納付を合法的に認める制度で、延滞税の計算上、振替日での振替納付を本来の納期限での納付とみなすこととされており、それで延滞税が免除されることになっています。

振替納税口座の残高確認
残高が1円でも足りないと振替ができません。振替期限の前日までに振替額を振替口座に入金しておく必要があります。振替当日の入金では振替されませんので、ご注意ください。
また、残高不足などで振替ができなかった場合は、本来の納期限までさかのぼってその翌日から延滞税がかかります。
延滞税は、3月17日から5月16日までの2ヵ月間は年4.5%、それ以降は年14.6%の割合でかかります。
この超低金利時代に身にしみて感じさせられる高金利です。振替額の大きい人の場合、特に注意です。

振替納税は税目ごと、税務署ごと
振替納税の手続きは汎用的ではなく、税目ごとですから、所得税の振替納税手続きをしていたとしても、自動的に消費税について振替納税になるわけではありません。
また、振替納税の依頼の受理は税務署長なので、住所の異動により所轄の税務署が変わることになると、新しい所轄税務署に新規に振替納税の手続きをしない限り、従来の振替納税の手続きの効果は失われます。
旧住所地の所轄税務署に申告書を提出したとしても、新住所地の所轄税務署に申告書は移送されてしまいますので、振替納税にならず、納税延滞になってしまいます。

期限内申告の税額に限る
申告内容に変更があって、期限内に申告書を再提出した場合は、あとから提出された「訂正申告書」が唯一有効な申告書として、そこに記載された税額が振替納税額となりますが、期限を経過したあとの期限後申告や修正申告による納税額は、4月22日、27日の振替日まで余裕が十分あったとしても、振替納税の対象にはなりません。




誤りや間違いに気づいときは 2009年03月23日

確定申告も終わりホッと一息ですが、申告関係の資料を整理していて新たな資料などが出てきて、はたと申告の誤りや間違いに気付くことがあります。
その誤り等が、税金の過少申告(収入の計上漏れ等)に基因するものであったり、一方、税金の過大申告(費用の計上漏れ、諸控除の失念等)に基因するもであったりします。
前者の場合には「修正申告」が求められ、一方、後者の場合は、過大税金分を取り戻すには「更正の請求」という手続きが必要となります。

(1)自主的な修正申告の特典
税金過少の誤りに気づいたときには、自主的に修正申告をすることによって、過少申告加算税(税金が過少申告されていたことによる納税不履行の制裁)は免除され、延滞税(納付期限の2ヶ月以内は4.5%、以後は14.6%)だけですみます。
しかし、税務署の指摘、調査等によって修正申告(更正も含む)を行なった場合には、原則、増差税額の10%の過少申告加算税がかかります。
また、その増差税額が期限内申告税額又は50万円のいずれか多い金額を超える場合は、その超える部分の金額に15%相当額の加算税がかかります。余分な税金を支払わないためにも早めの対応が必要です。

(2)更正の請求は1年以内に
反対に、税金を過大に申告していたことに気づいたときは(医療費や寄付金などの所得控除の失念)、更正の請求をすることによって納め過ぎの税金は還付されます。 この手続きは、原則、法定申告期限から1年以内(平成20年分申告については平成22年3月16日まで)に所轄税務署に「更正の請求書」を提出します。

(3)確定申告をうっかり失念
なお、うっかりして申告期限(平成20年分は平成21年3月16日)までに確定申告を失念していた場合には、原則、期限内納付税額の15%の無申告加算税と延滞税が課されることになります。
しかし、申告期限まで申告しなかった場合でも、税務署からの問合せや税務調査の前に自主的に確定申告をすれば(このことを期限後申告と言います)、無申告加算税も5%相当額に軽減されます。




配偶者控除 2009年03月19日

控除対象とされた配偶者の死亡の場合
申告者の配偶者が死亡した時の現況において、配偶者控除の適用要件を満たしていたかどうかを判定し、要件を満たしている場合には、配偶者控除の適用を受けることができます。
配偶者の合計所得金額はその死亡の時に確定しますので、提出済みの扶養控除等申告書において控除対象配偶者として申告していなかった場合には適用異動の届け出をし、又は年末調整や確定申告において配偶者控除の適用を受けることができます。

同一年内に再婚した場合
申告者が年内に再婚したことにより控除対象配偶者に該当するものが先妻と後妻と2人いることになる場合には、いずれか1人のみしか適用を受けられません。
この場合、控除対象配偶者とされなかったもう一人について、その者を扶養親族とする要件を備えている人がいた場合でも、扶養親族とすることは許されません。
とはいえ、もともと控除対象配偶者としないで他の者の扶養親族とする扱いに以前からしていた場合では、その扱いをつづけることまでは排除しないことになっているので、一方は扶養親族、もう一方は控除対象配偶者とすることは可能です。

配偶者を控除対象とした側の死亡の場合
逆に申告者の死亡の場合も、その申告者が死亡した時の現況において、配偶者控除の適用要件を満たしていたかどうかを判定し、要件を満たしている場合には、配偶者控除の適用を受けることができます。
なお、死亡した申告者の配偶者の合計所得金額についてもその死亡のときに判定はしますが、その時点での所得ではなく、12月31日までの見積予想所得額になります。
この未亡人が同一年内に再婚した場合に、再婚相手が再び同一人を控除対象配偶者にできるか、というと、この場合には特に排除規定がないので、適用要件を満たしている限り、年内に2回控除対象配偶者となることができます。




ワークシェアと税制 2009年03月18日


ワークシェア促進税制
定額給付金の評判が悪いのは、道徳的にもおかしな無駄な消費のすすめであり、経済波及効果が弱く、勤労インセンティブと無縁だからです。
ワークシェアリングが労働市場での世界的テーマになっており、日本でもそれを促進するためのあれこれの模索がされています。
税制を使った促進策もあるべきです。
ただし、定額給付金のようなバラまきではなく、勤労インセンティブを刺激するものでなければなりません。

3/19日経新聞「大機小機」の提案
定額給付金にやや近い「給付つき税額控除」としての勤労税額控除というワークシェア促進のための税制提案があります。
所得税・住民税から控除し切れなかったら、控除不足分は給付されるというものです。
具体的には、300万円までの給与収入に対し15%の税額控除を認め、勤労へのインセンティブが働くことを期待するものです。

財源への提案
税額控除は所得の多寡に関連しないので単純な平等に適います。
課税所得減額の場合の恩恵は所得の多寡に比例するので、高所得者ほど有利です。
従って、65万円を超える部分の給与所得控除を廃止し、300万円を限度とした各種勤労性所得や収入の15%の勤労税額控除に置き換えることにより、所得再配分機能をもった財源の捻出が可能となります。

多様なワークシェアも
「働く」というと、どこかに勤めることと同義のような誤解が蔓延っていますが、自立して「請負」という形の働き方があっても当然です。
さらに、請負先を拡げて自立性を大きくできれば素晴らしいことです。
自由主義・資本主義社会なのだから、こういう自立が羨ましがられる社会であるべきで、そういうインセンティブが社会の中に沢山仕組まれているべきなのです。
たとえば、自立して頑張っている個人事業者が、他人を雇用して給与を支払った場合、支払給与に係る社会保険料の事業主負担分は経費としてではなく、「給付つき税額控除」とすることができる、というような制度です。





相互適用に見る税のあり方 2009年03月17日

高齢者世帯の収入は平均的にも、分布で見ても他の年齢層とほとんど変わりがありません。
若い時恵まれていた人は年老いても恵まれ続けているようです。

配偶者特別控除の相互適用
年額70万円に満たないような年金しか受け取れないために、共働きをして、それぞれ120万円ほどの収入を得ている夫婦がいたとします。
給与所得はそれぞれ55万円です。
それぞれ給与所得が38万円を超えているために、扶養控除としての配偶者控除は適用されません。
ただし、76万円未満なので配偶者特別控除の適用は受けられます。
55万円の給与所得の場合は配偶者特別控除の額21万円が適用となります。
夫も妻も、それぞれの配偶者を配偶者特別控除の対象として21万円の控除をうけることができるでしょうか。
残念ながらこれは、ダメなのです。
法律を作る時に、なぜかこんなケースまで想定しているらしく、ピシャリと排除する規定を置いています。

配偶者控除の相互適用
それぞれ年額70万円以下の年金収入と年額103万円の給与収入がある共働きをしている夫婦がいたとした場合は、それぞれの所得が38万円以下なのでお互いに相手側の配偶者控除の対象者になる要件を備えています。
もし、双方とも雑損失や居住用財産の譲渡損失や株式の譲渡損失の控除繰り越しの必要などがあることにより確定申告をしておこう、というような場合、自分の基礎控除のほかに配偶者控除の額も記載しておくのはどうでしょうか。
配偶者特別控除とは異なり、配偶者控除や扶養親族控除には相互適用排除の規定はありません。
したがって、予備的な意味でそれぞれを控除対象配偶者として記載し合うことには特段の差し障りはありません。




扶養認定の相違 2009年03月16日

所得税における扶養親族
親族で扶養控除や配偶者控除の対象に該当するための要件は、次の4つです。
なお、所得税法で「同居」が問われるのは、特別障害者や老親扶養の場面だけです。
①納税者と生計を一にしていること
②合計所得金額が38万円(給与収入でいえば103万円)以下であること
③他の誰かの扶養親族・控除対象配偶者にならないこと
④事業専従者でないこと

社会保険における被扶養者
三親等内の親族で被保険者の収入により生計が維持されていることが被扶養者該当要件で、なお、続柄により同居要件が必要な場合があります。
(1)同居要件を必要としない
1. 配偶者(内縁を含む)
2. 子・孫・弟妹
3. 父母などの直系尊属
(2)同居要件を必要とする
1. (1)以外の被保険者の三親等内の親族(義父母・兄姉等)
2. 内縁の配偶者の父母および子
3. 内縁の配偶者が亡くなった後におけるその父母および子

社会保険における「生計維持」とは
扶養されているのは収入が少ないからということでしょうが、その少なさの基準を所得税が所得38万円以下としているのに対し、社会保険では所得ではなく、年収130万円未満(60歳以上または障害者は年収180万円未満)としています。
従って、遺族年金・障害年金・傷病手当金・出産手当金・失業給付金等の非課税所得も年収を構成し、逆に事業所得や資産所得などでは家計外への現金支出を現実に伴う経費のみは収入から控除してよいものとしています。

正確には130万円だけではない
社保の130万円は通達の定めですが、正確には、年収が130万円未満でかつ被保険者の年収の2分の1未満との規定です。
それぞれの年収が120万円前後という夫婦の場合、130万円未満という基準は満たしているものの、2分の1基準を満たしていないので、どちらも被扶養者となれず、社会保険料負担は被扶養者該当の場合の2倍の負担となってしまいます。
現実には執行されていないのかもしれませんが、認定基準だけは独り歩きしています。




老後の備えに上乗せ年金 2009年03月13日

経済悪化と少子化、二重苦の年金運用
公的年金の市場運用利回りが、昨秋以降の世界的な株安と円高を主因として、2008年度は2年連続でマイナスとなる見通しだそうです。
マイナス運用になっても年金給付がすぐに影響を受けるわけではありませんが、将来の年金財政の長期的前提、年4.1%の利回り維持に暗雲がかからないとも限りません。老後に必要な生活費は平成19年家計調査(総務省統計局)によれば、高齢者夫婦世帯の支出は月額約27万円といわれています。

自分で加入する公的年金「国民年金基金」
自営業を営んでいる方や自由業者等の国民年金加入者は、厚生年金等に加入しているサラリーマンより将来受け取る年金額が少ないため、老後の備えに自衛手段を考える必要もあるでしょう。
国民年金基金はサラリーマン等との年金額の差を解消するため平成3年から創設された制度です。
その内容は
①加入資格は国民年金の第1号被保険者で、国民年金保険料を納め、国内に住民票のある20歳以上60歳未満の方です。
ただし、平成23年4月からは海外居住者や60歳代前半の方も加入できるようになる見込みです。
②給付は「老齢年金」と「遺族一時金」で生涯にわたって年金が受け取れる「終身年金」と一定期間に限って受け取る「確定年金」があります。
③掛金は選んだ給付の型と加入口数、加入時の年齢・性別によって決まります。
また、掛金上限は月額6万8千円で、その範囲内で掛金の増減も可能です。
④民間の個人年金との違いは、掛金が全額所得控除となることで所得税や住民税の軽減になり、また、65歳から受給する年金額も公的年金控除対象となります。
⑤加入は地域型か職能型があり、地域型は各都道府県の国民年金基金、職能型(医師や歯科医師、弁護士、税理士等の士業、農・漁業、その他)は各職能型基金で取り扱われています。

老後の備えに、税制面でのメリットも生かし、生涯受け取れる国民年金基金は公的年金を補完するものと言えるでしょう。




在庫調整とは 2009年03月12日

在庫調整で仕事がない
好調を持続していた各メーカーが平成20年の夏以降在庫調整に入り、そのあおりで、下請や関連の中小企業が危機的な状況にあります。

そもそも在庫調整とは
製品単価100円で材料費率20% 外注比率10%製造経費5000円で毎年100個作って売っていた企業が、業績好調のため200個作れる設備を導入し200個作って150個まで売上を伸ばした時に急に売れなくなってしまった場合を考えてみましょう。

100個作って売った場合在庫は0ですから
10,000円(売上)-2,000円(材料費100個)-1,000円(外注費100個)-5,000円(製造経費)=2,000円(製造利益)

200個作って150個売った場合
15,000円(売上)-4,000円(材料費200個)-2,000円(外注費200個)-5,000円(製造経費)+2,750円(50個は在庫)
=6,750円(製造利益)

翌年急に売れなくなり在庫調整として50個を売ったとすると
5,000(売上)-2,750円(期首在庫)
-5,000円(製造経費)=-2,750円
ほんとうは、200個作れる設備を導入したので、製造経費は5,000円より上がっているはずですから、マイナスはもっと大きくなります。

もし在庫を持たなかった場合は
5,000円(売上)-1,000円(材料費50個)-500円(外注費50個)-5,000円(製造経費)=-1,500円(製造利益)

ご覧のように、同じ50個を売ったとしても在庫調整した場合のほうが、そのマイナスの幅が大きくなるのです。

大手メーカーがこぞって行っている在庫調整とはこう言った結果を招いているのです。




在庫と利益と資金繰り 2009年03月11日


在庫は利益の源
現在の制度会計では製造に係る人件費等の固定的な経費も仕掛品や製品の在庫として計上することとなっております。
ですから売れても売れなくても製品さえ作れば利益は出ることになります。

以下に事例を示します。

製品単価100円で材料費率20% 外注比率10%製造経費5000円で100個売った場合

100個作って売った場合在庫は0ですから
10,000円(売上)-2,000円(材料費100個)-1,000円(外注費100個)-5,000円(製造経費)=2,000円(製造利益)

200個作って100個売った場合
10,000円(売上)-4,000円(材料費200個)-2,000円(外注費200個)-5,000円(製造経費)+5,500円(100個は在庫)
=4,500円(製造利益)

大量生産はコストを下げる
今までは、同じ100個売ったとしても沢山作って売ったほうが1個当りの利益が大きくなると説明されてきました。それは残りの在庫100個も売れると言う前提です。

もう一つの見方
別の見かたをすると、在庫5,500円の内2,500円は製造経費分です。
要は製造経費の翌期への繰延に過ぎないと言うことです。
そして在庫を減らすと言うことは、この繰り延べられてきた製造経費が一気に製造経費として計上されるということなのです。

在庫を減らすと
在庫はお金が寝ているのと同じですから、在庫を減らすことは資金的にはプラスです。
在庫を減らすと資金繰りは良くなっても利益は落ちると言うことです。

大手メーカーの在庫調整による大幅な赤字の一因には、こう言った制度会計による弊害も在ります。




還付税金担保ローン 2009年03月10日

確定申告したら即刻ローン
売掛金等の債権を担保とする資金調達というのは聞いたことがあるかと思いますが、確定申告による還付税金を担保にした超短期ローンというのもあります。
申告書作成手数料と利息も還付税金を担保にするので、差額が借入手取額となります。
これは日本でのことではなく、消費好きのアメリカでのはなしです。
アメリカには年末調整の制度がないので、1億5000万の納税者が確定申告をし、うち8割の人が還付申告で、平均的な還付金額は約2000$(20万円)です。

関係者のメリット
還付されるまでの数ヶ月を待たずに資金融通を受けられ、かつ確定申告手数料を用意することなく確定申告を済ませることができ、一方、申告書作成業者と提携金融機関にとっては短期間・低リスクで収益を上げることができます。
2004年には1200万人、2006年には900万人の納税者が還付税金担保ローンを利用していた、と報じられています。

電子申告の普及ともリンク
約半数の納税者が申告書の作成を弁護士、公認会計士、申告書作成業者に依頼しており、約50%の普及率の電子申告では81%の人が作成依頼していて、紙の申告書を提出する場合はおよそ6週間で還付されるのに対し、電子申告の場合は約3週間で還付を受けられます。
こんな短い期間でも、ローンは盛んに利用されており、逆に、ローン借入期間が短いからこそ、ローン提供者のリスクも小さく、ローン借入者の金利負担も軽減されるからです。

高利への批判
とはいえ、1,000ドルの還付税金につき、30ドルの電子申告手数料と59ドルのローン料金がかかるとも報じられています。
59ドルを3週間の実質金利と解釈した場合、103%もの高利になります。
アメリカ的な話題と感じつつも、当座資金に窮している人の足元を見た商売との印象をうけます。
米国税務当局は、2012年までに新しい電子申告システムを確立し、納税者に3日以内に税金の還付をするとしているようで、そうなると、さすがに還付税金担保ローンは姿を消すことになりそうです。




届け出忘れの妻の国民年金 2009年03月09日

時効にかかった第3号被保険者期間
国民年金第3号被保険者とは昭和61年4月から開始された制度で、厚生年金と共済組合加入者の被扶養配偶者(サラリーマンの妻等)を指します。
保険料は自ら納めることはありませんが、納めたものとみなされて年金額に反映されます。
この、第3号被保険者は健康保険の被扶養配偶者で、20歳から60歳未満の方です。
ただし、在職中の夫が65歳となり、老齢基礎年金の受給権者になった場合で妻が60歳未満の場合、妻は第1号被保険者となり自ら保険料を納めなくてはなりません。
また、従来は第3号被保険者が自ら市区町村役場の国民年金課に届出をすることにより、その第3号被保険者の資格の確認がなされていました。
しかし、届出漏れの多い事もあって、平成14年4月からは健康保険の被扶養者届と共に、同時に配偶者の第3号被保険者の届出が事業所経由でできるようになりました。
事業所経由で届出できるようになるまでの従来の自ら市区町村に届出る取り扱いでは、届出が遅れた場合(保険料徴収時効は2年なので)2年までしか遡って第3号被保険者として認められませんでした。

過去の届出漏れ、第3号被保険者特例
以前は第3号被保険者の加入届出漏れが多かったために、2年の時効を過ぎてしまうことも多々ありました。
そこで、過去の届出漏れの第3号被保険者期間についても、届出することにより加入期間に算入するための、第3号特例制度が平成17年4月から復活し、現在に至っています。(過去には平成7年4月から平成9年3月にも実施されていました。)
既に年金を受給している方の場合でもこの特例は適用されるので、遡って手続きをすることができます。
年金額の増額は、届出をした翌月分からしか反映されませんので、該当している方は早急に手続きをされることをお薦めします。
手続きは「国民年金第3号被保険者特例措置該当期間登録届書」に必要書類を添え、住所地を管轄する社会保険事務所に届出をします。




内緒のアルバイト収入 2009年03月06日


勤務先に内緒でアルバイトをしていますが、気付かれないか心配です・・・。
ほとんど企業では、就業規則にアルバイト禁止の条項が定められています。
もし違反すると懲戒処分を受けるおそれがあります。
しかし、景気悪化に伴い時間外労働も少なくなってしまい、今までの生活を維持するためアルバイトをせざるをえない人達が増えるのではと思います。

住民税の特別徴収税額通知書に注意!
会社勤めの人や公務員の人達は、住民税は給与から天引きされ勤務先から市区町村に納税されます、これを「特別徴収」といいます。
会社勤めをしていない個人事業などの人達は市区町村から届いた税額通知書(納付書)により住民税を自分で直接納めます。これを「普通徴収」といいます。
勤務先は毎年1月末までに前年中に給与支払いをした人々の住む市区町村宛てに給与支払報告書(給与の源泉徴収票と同じもの)を提出しなければなりません。
市区町村では収集した資料にもとづき、各人の住民税を算定し、5月頃に各人の勤務先宛てに特別徴収税額通知書を送付します。
特別徴収税額通知書は、勤務先控えに1部、本人交付用に1部という構成になっています。
もし、アルバイト収入があるにもかかわらず、少額(20万円以下)のため所得税の確定申告を省略したり、それ以上の収入があるのに確定申告を怠ってしまうと、その分は特別徴収の住民税額に合算され、特別徴収税額通知書の合算理由欄に他に給与所得がある旨の記入をされてしまうため、アルバイトが発覚し憂き目にあう人もいるかも知れません。

アルバイトが発覚しないための方法は?
所得税の確定申告書の第2表の住民税・事業税に関する事項において、自分で納付(普通徴収)にチェックマークを付ければ、アルバイトの収入に対する住民税は特別徴収税額通知書に合算されず、普通徴収による税額通知書(納付書)が自宅宛てに届きます。
このようにすれば、通常、アルバイトしていることが勤務先に気付かれなくて済むはずですが、完全に発覚しない保証はありませんのであくまでもアルバイトは自己責任でということになります。




破たん予報「CDS参考値」 2009年03月05日

リーマン・ブラザーズの破たんで注目を集めた「CDS」
正式名称はCredit default swap(クレジット・デフォルト・スワップ)といい、金融派生商品のひとつです。
先日、某通信企業のCDS参考値が1,000bp(ベーシスポイント)を超えたとして話題になりました。
この数値にはどういう意味があるのでしょうか?

CDSはギャンブル
CDS取引は、債権を直接移転することなく、企業の債務不履行(デフォルト)リスクに対するプロテクション(保証のようなもの)だけを商品として売買するデリバティブ取引です。
わかりやすく言うと、「企業が倒産して借金が棒引きになるかもしれないことに対するプロテクションを金融商品化したもの」で、「企業が破たんするか否か」を賭けの対象とする金融商品と言われています。
仕組的には債務保証に似ていますが、大きく異なるのは、CDSの売り手と買い手は、債務者や債権者とは何ら関係がない(保証人等でなくてもよい)ということです。
CDSの売り手と買い手は、債務者と債権者との間に生じる債務不履行リスクに対するプロテクションを、リスクに応じた契約料で売買します。
そして、債務者が破たんし、債務不履行が発生した場合には、契約に基づき、CDSの売り手は、CDSの買い手に対し、金利や元本に相当する支払いをします。
ただし「債務保証」の場合と異なり、CDSの売り手は、債務者に対する法定代位や求償権は取得できません。
なぜなら、債務者や債権者とは何の関係もない、つまり、債務を保証しているわけではないからです。

CDS参考値とは
1bp=その企業の1年以内の破綻リスク0.01%です。
1,000bpの場合、1年以内の破たんリスクが10%ということになります。
つまり、この数値が大きい企業ほど破たんする可能性が高いということになります。

信用できるの?
CDS参考値は、高度な金融工学により計算されたものですが、すべての要因を含めて計算されているわけではないため、絶対的なものではありません。
メインバンクとの関係など総合的な判断も必要ですので、投資判断のひとつの目安にすぎません。




廃業も事業の選択肢 2009年03月04日

ハッピーに思いを託す
「借金地獄に落ちたくない」「事業で飯が食えなくなった」「事業としてやりたいことが無くなった」などが一般的には廃業の動機となるようです。
しかし、人によっては主義や見栄、廃業後の生活設計等から、ズルズルと事業を継続するパターンも多いようです。

事業は損をするもの?
日本の事業者は、大雑把に600万社で、そのうち法人組織の会社は約260万社です。
法人組織の70%近くが、赤字申告であることは一般に言われていますように、事業というものは、基本的に20%位が報われ、80%位が競争に敗れる世界といえます。
役員報酬で調整されていることを差し引いて考えても、事業は相当にリスキーと言えます。

廃業を決意したならば
単なる廃業の他に、「一部や全部の事業」を譲渡して廃業するケースを選択肢にすることは、「社会への事業承継」でもあり、一つの社会的リレーとしての意義があります。
また、譲渡する側では、さほど立派な会社でなかったり、赤字続きの会社であったりしたとしても、譲渡される側すなわち「事業をしたい!」と思っている人にとっては、ゼロから起業することに比べて、スタートがしやすく、良い挑戦の機会となります。
その上、僅かでも譲渡対価を得られるのならば、なおのことではないでしょうか。




償却端数処理の改定 2009年03月03日

ホームページでは
ホームページ確定申告書作成コーナーでの減価償却システムに入力していくと、減価償却費の小数点以下の端数が切上げとなります。
減価償却の端数処理は切上げが正しいのか、というと、法人税については明確に端数切捨てで従来から一貫しています。
所得税のみ、最近変更になったようです。

改定があったのか
所得税の端数処理の変更の根拠は、法律や政令・省令の改正、もしくは通達の改正があったことによるのではありません。
平成19年4月の250%定率法の導入により、1円を残して全額償却可能となったことに際し、法人税は従来通り端数切捨ての「Q&A」を公表しているのに対し、所得税は端数切上げの「質疑応答事例」を公表したことに起因しています。
平成19年分以後の確定申告青色決算書の「書き方」も一斉に変更されました。

端数金額は切り上げにしないと不都合?
平成19年4月以降の取得資産については、端数処理の切上・切捨の差は各年の償却費の1円の多少に過ぎませんから、問題にするほどのことではありません。
不都合なのは、平成19年3月までの取得資産について生じます。
取得価額の5%に達するまでの期間に1年の差が出ることになる場合があり、5%に達した翌年からの5分の1償却では、切上げは5年間償却となり、切捨ては6年目に数円の償却をする6年間償却となります。

端数処理の根拠法は?
国の債権債務及び税額や課税標準に関しては端数切捨ての定めがありますが、償却計算には特に端数処理の定めはありません。
法人税と所得税の間には、償却費の計上額が任意か強制かとの相違がありますが、その相違が、端数処理の相違の直接的な根拠になるわけでもありません。
一般法の「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」を援用することになるとしたら、端数処理の原則は四捨五入となりますが、これに拠ってもいません。

根拠がないのだとしたら
根拠不明なら、端数処理について切上・切捨にこだわらない、との国税庁の姿勢を表示しているものと受け止め、法人税も同じと考えるのが順当な理解と言うべきかもしれません。




上場株式等の譲渡損益の確定申告 2009年03月02日

昨年の後半からの株式市場の低迷を受け、これを千載一遇のチャンスと捉え、積極的に株式等を購入する個人も増えていると専門誌は伝えています。
株式等などに投資をしている場合、売買損益の状況によって確定申告をすれば、税金を取り戻すことができます。
だた、高齢者や専業主婦では、ケースによっては、取り戻した税金以上に社会保険料(国民健康保険料、後期高齢者医療保険、介護保険料)など他の負担が増えることがありますので留意する必要があります。
それは、申告をすることによって、所得が増加し、その結果、所得を算定基準とする社会保険料などの負担増を誘発させるからです。

(1)社会保険料の負担増も
「源泉徴収ありの特定口座」を使い、譲渡益が出ても一切申告しなれば、保険料に影響はありません。
しかし、複数の特定口座があり、口座間の損益通算をし、結果税金が戻っても譲渡益が出た場合には、戻り税金以上の保険料の負担増があるかもしれません。
通算後の利益が多いほど、申告による影響を考えた方がよいでしょう。

(2)医療費の窓口負担3割に
70歳以上の医療費の窓口負担は本来1割(平成21年3月31日まで)ですが、次の二つの条件が当てはまると3割に引き上げられます。
①住民税の課税所得が145万円以上
②年間収入金額が単身世帯で383万円以上、夫婦世帯で520万以上
の場合です。
二つ目の基準では、株式の譲渡益ではなく売却代金で判断されるので留意が必要です。
まずは、「源泉徴収ありの特定口座」の選択が先決かと思います。

(3)譲渡損失の繰越控除も注意
上場株式等の譲渡損失(年間の譲渡損益を通算した後)は、確定申告をすることで翌年以後3年間繰り越すことができ、その間の譲渡益と相殺できます。
しかし、配偶者控除の要件である合計所得金額38万円は、この繰越控除を行う前の所得金額で判定されます。
そのため、妻が株式譲渡損失の繰越控除を利用して税金を取り戻しても、夫の配偶者控除の対象から外れることもあります。
特に、夫の所得金額が1,000万円以上の場合は、配偶者特別控除の適用もありませんので注意が必要です。