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繰戻税制 2009年04月30日

今年の税制改正項目の一つに中小企業の欠損金の繰戻還付の復活があります。
この適用には、繰戻還付の請求をすると必ず税務調査があると言われていることや、繰越控除との有利不利の検討が必要です。

還付請求ができる金額

前期法人税額×当期欠損金額÷前期所得金額

この算式で繰戻還付税額は計算されます。
前期の課税所得が800万円で法人税額が176万円だったとして、当期に欠損金が400万円生じたとしますと、還付請求できる法人税額は、次のように計算されます。

176万円×400万円÷800万円=88万円

結果、88万円の法人税額が還付請求できます。

800万円超の場合
前期の課税所得が1000万円だったとすると、税額は次のようになります。
800万円×22%=176万円
200万円×30%= 60万円
計 236万円
当期に欠損金が400万円生じたとすると、還付請求できる法人税額は、次のように計算されます。
236万円×400万円÷1000万円=94.4万円

課税所得が800万円の時に比べ、税額が60万円も増えていたのに、繰戻還付額は6.4万円しか増えません。

前期の課税所得が(1000万円-400万円)で600万円だったとすると、前期の本来の税額は、(600万円×22%=132万円)
だったはずであり、(236万円-132万円)ということで、差引き104万円戻ってもよいはずです。9.6万円も過少還付です。

累進税率なのに平均法
前期と当期を通算して、前期の黒字の税額を還付してくれる、という制度を作りながら、計算してみると、還付額が少なくなります。
累進税率で課税しながら、還付の段になると平均法にしているからです。
所得税にも同じ制度がありますが、こちらは平均法を採らず、欠損額控除後で所得税の再計算をするので、過少還付は生じません。
なぜか、複数税率の適用を受ける中小法人に対してだけこんな扱いをしています。




税制改正法律原案 2009年04月28日

今年の税制改正経過
「所得税法等の一部を改正する法律案」は、衆議院本会議では平成21年 2月27日に可決され、参議院では平成21年 3月27日に否決され、衆議院の優越権のもと、同日に法律は成立し、平成21年 3月31日公布されました。
経過と法律案は衆議院のホームページで確認できます。

税制改正法案はこんな形
この法律案は、所得税ほか国税に関するいくつもの税法の改正部分を一括記載するとともに、各税法毎に1条文内に収め、「改め文」という形式で表現されています。
所得税法関係改正は第1条に、法人税法関係改正は第2条にという具合で、本則全7条で、その後に各改正部分の施行期日を記載する附則があり、これは全104条です。
全分量は、1行50文字にして8500行近くあります。
「改め文」とは、「第○条中『△△』を『□□』に改める」、「第○条中『△△』の下に『□□』を加える」、「第○条中『□□』を削る」といったように、改め、加え、削る箇所のみを改正法中に示すもので、読んで書かれている意味がすぐわかるはずのないものになっており、元の法律の該当個所と見比べることが前提になっています。

国民が実際に見る形は
実用に供される法律書として市販されたり、ネット上にて公開されたりしているものにおいては、法案が法律になったあと、改正対象となった元の各税法の各条文は「改め文」の内容に従って書き換えられ、通常の法律文として読みやすいものにされて、提供されています。

地方税法改正の場合は
税制改正は基本的に2本立てで、もう1本は、「地方税法等の一部を改正する法律案」として提出されます。
この法律案も、表現形式は国税の場合と同じですが、地方税は、国税の場合と異なり、20以上の地方税関係税目が地方税法という一つの法律に収録されていますので、地方税改正法案の大部分は地方税法を改正する第1条で占められています。
それでも、1行50文字にして4000行近くあります。




2010年代半ばの税制 2009年04月27日

税制改正法附則に書かれているもの
「所得税法等の一部を改正する法律案」は3月31日に公布されました。
この法律は、本則と附則に分かれており、今年の、この附則の最後の条文は個別税法の改正項目ではなく、2010年代税制改正プログラムというもので、異例な内容になっております。
昨年暮れ、将来の抜本的税制改革の一環として消費税の見直しをすることが閣議決定されたことを承けたものです。

2010年代税制改正の内容
●個人所得税については、最高税率をアップし、給与所得控除の上限制限をし、高所得者の税負担を引き上げるとともに、給付付き税額控除の採用等で子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担の軽減を図る。
●消費税については、税率をアップするとともに、低所得者への配慮として複数税率にする。
●資産税については、相続税の課税ベースを広げ納税者を増やす方向で検討する。
●法人税については、実効税率の引下げをするが、税収減にならないように課税ベースを拡大する。

民主党に政権交代したら
昨年12月24日公表された民主党の「税制抜本改革アクションプログラム」が実現するとなると、次のようになります。
●個人所得税の最高税率引上げはしない。所得再分配機能の強化のために、所得控除を廃止し「給付付き税額控除」に切り替え、低所得者への生活支援を行う。給与所得控除には一定の上限額を設ける。
●消費税の「複数税率」は「消費税の物品税化」になり、課税ベースの侵食を招き、消費税の水平的な公平性を損なう。最低限の生活にかかる消費税については実質的に免除する「給付付き消費税額控除」を導入する。
●相続税については、米国と同じ「遺産課税方式」へ転換すべきである。相続人が資産等を得た時点で課税するのではなく、遺産そのものに課税することが適切である。
●法人税については、租税特別措置の抜本的な見直しをして課税ベースを拡大しつつ、法人税率を見直し、研究開発の促進などは時限措置から恒久措置へと転換していく。




勤労税額控除の提案 2009年04月24日

同じ所得控除でも
所得控除等の課税所得を減ずる制度は累進課税の下では、同じ減額幅でも、高所得者ほど税額の減額効果が大きくなり、そういう恩恵の効果は高所得者ほど有利になっています。
垂直的公平観からすると、不公平ということになります。

高所得者ほど控除も大きい
給与所得控除の場合は、課税所得の圧縮が定額ではなく、所得比例的に大きくなるので、高収入者に一層有利に作用します。
所得額を操作するような税制度は、その制度の趣旨に反して、高所得者優遇の結果になるので、所得の多寡に関連させないような単純公平な制度にするには、税額控除がその要求に最も沿うものと言えます。
特に「給付つき税額控除」ならば、年税額が控除額より小さくても、控除不足額は給付されるので、制度趣旨が損なわれることがありません。

給付つき勤労税額控除の提案
「給付つき税額控除」については、3/19の日経新聞の「大機小機」欄に目新しい提案がありました。
正規雇用者のワークシェアリングも視野に入れた本格的な雇用政策として、勤労税額控除を導入すべきとしています。
所得税・住民税から控除し切れなかったら、控除不足分は給付されるというものです。
具体的には、100万円超300万円までの給与収入に対し15%の税額控除を認めるというもので、100万円程度の収入で満足しないで300万円ぐらいまでは頑張って働こうとの気持ちにさせる、勤労へのインセンティブ効果を期待するものです。

給与所得控除の原則廃止
100万円超の給与への税額控除ということになれば、65万円を超える部分の給与所得控除とは制度重複になりますから、給与所得控除は65万円の定額制に置き換わるべき、ということになります。
こうなると、高収入者の受けていた恩恵が低所得者に流れるので、所得再配分機能が制度に組み込まれ、垂直的公平の実現につながることになるでしょう。




欠損金の繰戻還付 2009年04月23日

平成21年2月1日以後終了事業年度から、中小法人等について「法人税の欠損金の繰戻還付制度」が全面的に復活しました。
今回は、もう少し詳しく内容を見ていきたいと思います。

欠損金の繰戻還付とは
青色申告書を提出する中小法人等で、前事業年度が「黒字」で法人税を納めた法人が、今事業年度は「赤字」となり欠損金が生じた場合、この欠損金を前期の黒字と相殺し、前期に納付した法人税のうち、納めすぎとなった部分の金額を還付請求できるという制度です。

計算式は次のようになります。
繰戻還付金額=前事業年度の法人税額×欠損事業年度の欠損金額/前事業年度の所得金額

適用要件は
還付を受けるようとする事業年度から欠損金が生じた事業年度まで連続して青色申告書を提出し、欠損事業年度の青色申告書は期限内に提出しなければなりません。

請求書の提出が必要
欠損金の繰戻還付を受ける場合には、「欠損金の繰戻しによる還付請求書」に必要事項を記載して、欠損事業年度の確定申告書と同時に所轄税務署長に提出する必要があります。法人税の申告書を提出しただけでは、還付は受けられません。

地方税には制度なし
地方税には、欠損金の繰戻還付制度はありません。
欠損金の繰越控除のみです。したがって、この制度の適用を受けた場合、翌期以降、法人税は納税になっても、法人住民税の法人税割と法人事業税は納税なしとなる場合があります。

税務調査が必須?
還付請求書が提出された場合、税務署長は税務調査を実施することとされています。
通常の法人税調査よりも簡易な調査になると言われていますが、中小企業経営者の心理的圧迫感は相当なものです。
くれぐれも、中小企業いじめにならないよう、すんなり還付してほしいものです。




不利益不遡及の原則 2009年04月22日

不利益不遡及の税法原則への抵触3法
税法の遡及適用は可なれど、課税免除や緩和や繰延といった納税者有利規定に限られ、税負担が過重になる不利益規定に関しては立法無効とされます。
昨年のねじれ国会で予算関連税法は3月中に成立せず、4月末日に成立し、日切れ失効期間の4月初日に遡及されることになりました。
しかし、不利益規定であるため、不遡及原則に抵触することとなる規定が3つありました。

使途秘匿金への40%追加課税
その1つが使途秘匿金課税規定で、日切れ失効期間内に支出した使途秘匿金について課税するとの規定は無効なので、法律公布と同時にその無効を確認する政令も公布されました。

欠損金の繰戻還付中止規定
2つ目が、欠損金の前年への繰戻しによる税金の還付規定が法律にあるのに、それの中止規定を別途作っていたものが日切れ失効になったというものです。
4月30日公布の新法では4月初日に遡及して繰戻還付を中止するとなっていますが、不利益規定ですから公布前期間への遡及部分は無効です。
これについても、同時公布の政令に、この失効期間内に決算日を迎えて確定した欠損金については繰戻還付請求可との確認規定が置かれました。

交際費の損金不算入の日切れ規定
問題は3つ目の交際費の規定です。
日切れ失効期間に開始した事業年度の決算日がこの3月末日です。
交際費に関しての確認規定は政令にありません。法律の解釈はどうあるべきか悩むところです。
いくつかの解釈例が考えられます。
①新法公布前の日切れ期間に支出した交際費は損金不算入規定の対象外になる。
②新法公布前の日切れ期間に開始したこの3月決算期間の交際費の全額は損金不算入規定の対象外である。
③交際費の額の確定する3月末日時点での適用法律で判定するので全1年間の支出交際費が交際費課税の対象となる。

裁判で争うことになるのかも
課税当局は説得力のある解説のもとに見解を示そうとしていませんが上記の③の立場のようです。
しかし、公布が1年近く遅れたとしても、遡及適用可かと問えば③はおおいに疑問になるところで、最終決着は司法の判断と言うことかもしれません。




試用期間と本採用拒否 2009年04月21日

昨年来の不況の影響を受け、業績の悪化した企業による新卒者の内定取消しが問題とされ、企業名も公表されています。
内定取消しをしなかった企業でも、試用期間の満了による本採用拒否を検討せざるを得ない企業があるかもしれません。

試用期間とは
従業員を採用するに当たり、履歴書や面接等だけでは、その資質や適格性について十分に判断できないため、後日の調査や観察による最終決定を留保する趣旨で設けられているものです。
判例によると、試用期間とは「解約権留保付雇用契約とされ、当初から期間の定めのない通常の雇用契約が締結されているが、試用期間中は使用者に労働者の不適格を理由とする解約権が留保されている」とされています。

本採用を拒否できる場合とは?
採用決定後における調査や試用中の勤務状態により、当初知ることができず、また知ることが期待できなかったような事実を知ったことにより、その者を引き続き雇用するのが適当でないと判断する客観的に合理的な理由が存在し、それが社会通念上相当であると認められる場合です。
例えば、重大な経歴詐称、出勤率不良、無断欠勤が多い、勤務態度が悪く、上司から指導を受けても改善されない、協調性を欠き従業員としての適格性を欠く等が拒否できる正当な事由とされています。
なお、企業は従業員に対し教育・研修を行う立場にあるため、まずは注意・指導する必要があります。

業績悪化を理由に本採用を拒否できる?
急激な業績悪化を理由に本採用を拒否できるかどうかは、正社員の場合と同様に「整理解雇の法理」に照らして判断されます。
①人員削減の必要性
②解雇回避義務
③解雇基準・選定の合理性
④手続きの妥当性
が整理解雇の四要件です。
解雇する場合は30日前に予告するか解雇予告手当を支給することになりますが、試用期間開始後14日以内に解雇した場合は、支払う必要はありません。
法律は会社を守ってくれません。会社を守り、最終的に従業員を守るのは社長です。
事前に法律を知り、先手を打つことでトラブルを回避できることもあるのです。 




株券の電子化 2009年04月20日

特別口座からは売却不可
株券の電子化に伴い信託銀行等に「特別口座」が開設されました。
これはタンス株券や単元未満株などを所有する人に開設される口座です。
特別口座でも株主の権利は守られますが、特別口座内に保有される株式を売却する場合には証券会社等の口座への振替が必要になります。

3種類の口座
上場株式を預け入れる証券会社等の口座は
①取得価額管理機能
②譲渡損益計算機能
③納税代行機能
のどれを担っているかの相違により、3種類あると言えます。

①②③の全部を具備し、損益の計算をして納税も代行してくれるのが「源泉徴収ありの特定口座」です。
申告をしなくても原則として納税額に影響ないので申告を省略できる特典が付いています。
①②を具備し、損益計算だけしてくれて、申告納税は投資家本人がするのが「源泉徴収なしの特定口座」です。
①だけを具備し、投資家が自分で損益を計算して申告納税をするのが「一般口座」です。

本年5月末という期間制限
特定口座の開設や特定口座での上場株式の取得には期限制限がありませんが、一般口座で保有されている上場株式、公募株式投資信託、特別口座で保有される株式、タンス株券などの特定口座への預け入れは、平成21年5月末までに行う必要があります。
平成16 年末で終了した、いわゆるタンス株の特定口座への預け入れが、みなし取得費の廃止と実際取得費でとの限定のもと、平成17年4 月1 日から再開され、平成21年5 月31 日まで可能とされていたことによるものです。

「源泉徴収あり特定口座」の有利性
今年から上場株式の配当や株式投信の分配金などを、上場株式や株式投信などの譲渡損失と確定申告の手続の上で通算できるようになっています。
さらに来年からは配当や分配金を源泉徴収ありの特定口座で受け入れて、口座内で生じた譲渡損失と自動的に通算できるようになります。
当面売却の予定がなくても、なるべく早く源泉徴収ありの特定口座の開設を検討した方がよさそうです。




エコカー減税 2009年04月17日

即効性ある減税策
政策減税の目玉の一つの住宅ローン減税の目玉部分が後ろ倒しなのに比し、自動車をめぐる政策減税の目玉部分は1回限りの減税なので、即効性がありそうです。

自動車税制の減税策の趣旨
自動車税制の減税策は、最近の厳しい経済状況の中で自動車の販売台数が急速に落ち込んでおり、景気対策の観点から、自動車の購入や買換えを促すような施策であるとともに、排出ガス及び燃費性能に優れた環境にやさしい自動車の普及と技術開発促進を促すことにより環境技術立国も視野に入れているものです。

減税策の概要
景気対策と環境対策とを両立させるものとして、本年4月1日より3年間
(1)国税である自動車重量税についてはこの3年間のうちに初めて受ける車検時
(2)都道府県税である自動車取得税については新車取得時
に、それぞれ環境性能に優れた自動車に対して税の減免をします。
乗用車について大雑把にいうと、次世代自動車は免税、排気ガスがきれいでガソリン消費量が少ない(二酸化炭素排出量が少ない)乗用車は75%又は50%の税額軽減が行われます。

クルマ選びの参考に
車両価格200万円、車体重量1.3トンの環境性能に優良な新車の購入の場合を例にとって試算してみます。
(1)電気自動車、一定条件を満たすハイブリッド自動車・天然ガス自動車、クリーンディーゼル車等(いわゆる次世代自動車) 
→本来の税額をすべて免除です。
納税額は0円で、一般の自動車に比べ14万6700円の減税となります。
(2)平成17年排出ガス基準比75%低減を達成し(いわゆる☆☆☆☆認定車)、平成22年度燃費基準を25%超過達成している乗用車
→本来の税額の75%が軽減されます。
納税額は3万6600円で、一般の自動車に比べ11万100円の減税となります。
(3)平成17年排出ガス基準比75%低減を達成し(いわゆる☆☆☆☆認定車)、平成22年度燃費基準を15%超過達成している乗用車
→本来の税額の50%が軽減されます。
納税額は7万3300円で、一般の自動車に比べ7万3400円の減税となります。




ローン控除の恩恵効果 2009年04月16日

昨年の3倍以上
本年平成21年度税制改正の目玉の中心は住宅ローン減税と言われています。
平成21、22年に取得住宅に入居する場合、10年間に一般住宅で最大500万円の税額を所得税・住民税から差し引くことができます。
平成20年に住宅取得した人の減税の最大控除可能額が160万円だったことと比べると大盤振る舞い振りがわかります。

ありがたみは
ところで、この大盤振る舞いの減税効果ですが、夫婦二人でそれぞれ2000万円づつの住宅ローンを20年返済金利3%で組んだ場合、年初取得・年内入居でしたら、当初6年間の減税額計は、平成20年取得入居と21年取得入居ともに207万円で変わりありません。
しかし最後の4年間分の計には差があり、平成20年での取得入居では52万円、21年では103万円です。
即効性を期待する政策減税としては、このように後ろ倒しにしたのでは、ありがたみが実感しにくくなってしまいます。

住民税の住宅ローン控除の復活
所得税から控除しきれなかった分について翌年分の個人住民税から控除(上限9.75万円)する制度は、平成18年以前居住開始者についてのみ適用できるもので、平成19年以後居住開始者には適用拒絶となっていましたが、平成21年以後居住開始者に再び適用可能となりました。
制度改正の経過からすれば当然(19、20年居住開始者のみ気の毒)とはいえ前倒し効果のある朗報です。

大盤振る舞いの恩恵を受けられる人
ところで、10年間合計の減税額が最大控除額の500万円に達するケースは、当初の借入金を20年ローンで8800万円、25年ローンで7300万円もしている場合です。
最近の不動産価格高騰時の2007年に、リクルートが「首都圏新築一戸建て、マンション契約者動向調査」として行ったレポートによると、平均借入額は概ね3000万円で、5000万円を超える借入をする住宅購入者の割合は5%前後に過ぎません。
7000万円、8000万円も借入する人など滅多にいません。
したがって、総額500万円もの控除を受けられる購入者はきわめて少数で、多数の人が実際に受けられる恩恵にあまり変化はないといえます。




2度課税が起きる場合 2009年04月15日

ストックオプションという無償取得の場合
1円ストックオプションなどで、株式を取得したときは、取得時に時価課税され、
(借)有価証券〇〇〇/(貸)給与収入〇〇〇
として、給与課税されるとともに、その金額が有価証券の取得価額となります。同時に売却した場合、譲渡益はゼロなので2度課税はありません。

広告資産の無償取得の場合
広告宣伝用の資産として車両などを受贈されたときは、取得時に時価課税され、
(借)車両〇〇〇〇/(貸)事業収入〇〇〇〇
取得車両は減価償却の対象になるとともに譲渡するときは、その未償却残額は譲渡収入から控除され、重複して利益に課税されることはありません。

取得時効という無償取得の場合
測量により隣家敷地の長期占有が判明したことに際し、取得時効を主張して自己のものとしたときは一時所得に該当するとの解説があります。
その取得時効部分の土地の時価が1千万円ですと、その価額で課税されます。
(借)土地〇〇〇/(貸)一時所得収入〇〇〇
次にその部分を同年中に1千万円で売却すると、再び1千万円の譲渡所得が計算され、2度課税が起きます。
この場合は、時価課税された金額が取得価額になるとの規定がありません。

遺失物の取得や無主物、埋蔵物、景品等の取得についても同じ現象がおきます。
相続・贈与という無償取得の場合
相続や贈与で先祖伝来の土地を無償で取得した後に売却した場合、相続や贈与で時価課税の洗礼を受けていたとしても、相続や贈与で認識された時価は売却時の原価とはならず、原則として、先祖伝来の土地の継続所有者として再び時価課税され、2度課税となってしまいます。

2度課税への疑問
昭和の時代には所得税と住民税の最高合計税率が90%で、相続税贈与税の最高税率が70%ということがありましたから、限界事例でみると、所得税の2度課税、所得税と相続税の2度課税がされることにより、無償取得財産の価額より多くの税負担を負うことになってしまいました。
今は、それぞれ50%にまで下がっていて、そういう悲惨さは大分緩和されましたが、税の理屈からいって、2度課税はもともとあってはいけないのではないかと思います。




損益分岐点売上高を計算してみましょう。 2009年04月14日

(1)損益分岐点売上高とは
損益分岐点売上高とは、赤字でもなく黒字でもなく、文字通り損益の収支がトントンとなる売上高のことです。

(2)どのようにして計算するか
損益分岐点売上高を計算するには、まず会社の費用を変動費と固定費に分類します。
費用には、売上高に比例して増減する「変動費」と、売上高の多寡に関係なく定額で生じる「固定費」の2種類があります。

変動費の例:物品販売業における「仕入」
固定費の例:「家賃」や従業員の「固定給」

損益分岐点売上高は次の算式で計算できます。
  固定費 ÷( 1 - 変動比率 )
(※)変動比率=変動費÷売上高

(3)計算例
5万円で仕入れた商品を10万円で販売するA社があります。
変動費は仕入の5万円だけです。
固定費は、社長の給料40万円と家賃10万円の合計50万円(月額)です。
変動比率は5万円÷10万円=0.5です。
損益分岐点売上高の算式で計算すると50万円÷(1-0.5)=100万円
損益分岐点売上高は、100万円ですので、売上高が100万円を超えれば利益が出て、下回れば赤字ということになります。

 A社の諸費用の条件が変わった場合の損益分岐点売上高の変化を見てみましょう。
・仕入が6万円になった場合(粗利率低下)
50万円÷(1-0.6)=125万円
・仕入が4万円になった場合(粗利率上昇)
  50万円÷(1-0.4)=約83.4万円
・社長の給料を10万円上げた場合
60万円÷(1-0.5)=120万円
・社長の給料を10万円下げた場合
40万円÷(1-0.5)=80万円

(4)結論
損益分岐点売上高は低いほど経営が安定しますが、固定費が増加したり変動比率が上がる(粗利が減る)と損益分岐点売上高は上昇します。
損益分岐点売上高を下げるには、「固定費を下げる」「変動比率を下げる(粗利を増やす)」ことが必要です。
過大な設備投資などを行って固定費が増大していると、不況で売上が減少した時に赤字陥りやすくなります。
不況に強い会社を作るには、固定費が過剰にならないよう、日頃から注意が必要です。




固定資産税の基本 2009年04月13日

(1)固定資産税とは
固定資産税は、毎年1月1日現在の土地、家屋、償却資産の所有者にその財産が所在する市町村が課す税金です。
(2)土地、家屋の評価
土地と家屋は3年ごとに評価替えが行われます。
評価替えの行われる年を基準年度と呼びます。
平成21年度は評価替えの行われる基準年度です。
また、地目の変更や家屋の新築・改築等があった場合には、基準年度以外の年でも1月1日時点の現況で評価替えが行われます。

(3)税額の計算
固定資産税の税額は、課税標準額に税率を掛けて計算されます。
課税標準額とは、原則として固定資産評価基準により評価された固定資産の適正な時価です。

(4)税率
固定資産税の標準税率は1.4%です。
(5)免税点
同一の市町村内で、各資産の課税標準額の合計額が以下の金額に満たない場合には、固定資産税はかかりません。
  土地 30万円
  家屋 20万円
  償却資産 150万円
(5)住宅用地の課税標準の特例
住宅の敷地となっている土地は、課税標準額を減額する特例があります。
・住宅の敷地のうち200㎡までは評価額が1/6になります(小規模住宅用地)。
・住宅の敷地のうち上記の200㎡を超える面積は評価額が1/3になります(住宅である家屋の床面積の10倍が限度)
(6)新築住宅の税額軽減
新築された住宅は、新築後一定期間税額が軽減されます。
・木造住宅等は、一定の面積につき新築後3年度分の税額が1/2となります。
・3階建以上の耐火建築等は、一定の面積につき新築後5年度分の税額が1/2となります。
(7)都市計画税
固定資産税に似た税金に都市計画税があります。原則として、市街化区域内に所在する土地、家屋に課税され、納税義務者や納期などは固定資産税と同じです。
税率は0.3%を上限に各市町村が定めます。




子育て応援手当 2009年04月10日

多子家庭の経済的負担、少し緩和
年度末、年度初めにかけ、テレビ等の報道で、さかんに定額給付金支給の話題を取り上げていましたが、定額給付金とともに始まった「子育て応援特別手当」を知っている方は案外少ないのかも知れません。
多子家庭の子育てを応援する目的で実施されますが、対象が幼児のいる家庭だけなので知名度はいま一つです。

対象となる子どものいる世帯とは
この手当の支給対象となるのは、平成14年4月2日から平成17年4月1日生まれの第2子以降の子供のいる世帯です。
ですから、17年4月2日生まれ以降の乳児は対象になりません。
また、18歳以下(今春高校卒業)までを、子供と扱いますので、19歳の子が上にいて、その下に対象幼児期の子がいても、第2子とは扱われません。
子供が2人以上いても乳児だったり、生年月日により人数の数え方が違うので該当するとは限りません。
一方で、外国人の方でも外国人登録原票に登録されている支給対象年齢の子のいる世帯は支給されます。

手当の給付額、手続きは
支給額は1人当り、3万6千円です。
申請書が送付されてきたら、市区町村が定める受給開始日から6ヶ月以内に申請をしないと受け取ることができません。
該当する世帯は忘れずに申請しましょう。
政府は今年度の追加経済対策で、就学前3年間の子供を対象に「子供と家族応援手当」を1人当り3万6千円支給することを発表しています。
この手当なら対象年齢の子が1人っ子でも支給されることになります。




雇用悪化時代の雇用保険法改正 2009年04月09日

非正規労働者向けに雇用の安全網の拡大
景気後退を受け、まっ先に雇用の場を失った非正規労働者は雇用保険の適用条件が合わず、加入できなかった為、失業給付を受けられない人々も多かったことから、今回の改正では雇用保険の適用範囲を拡大し、セーフティネット機能を強化した内容となっています。

改正内容のポイント
①短時間労働者及び派遣労働者の雇用保険の適用基準は、以前は1年以上の雇用の見込みがあり、1週間当りの所定労働時間が20時間以上ある事となっていましたが、この雇用見込期間が6ヶ月以上あれば適用できることとしました。
②失業給付の受給要件も、退職時に6ヶ月以上の加入期間があれば、給付を受けられる事となりました。
20年度末の派遣契約期限切れを迎え、失業する人々の救済もあり適用開始は21年3月31日からとし、24年3月31日迄の措置となっています。
③再就職支援として、倒産や解雇等で離職し、雇用機会の不足している地域等再就職が困難な一定の要件に該当する者には、失業給付が60日分延長されます。
また、再就職手当給付残日数に応じて支給が30&から、残日数×日額×40%~50%と引き上げられました。

雇用保険料率の引き下げ
失業給付に係る雇用保険料率は0.4%引き下げられ、一般事業の場合事業主負担が1,000分の7、労働者負担が1,000分の4となりました。これは21年度限りの措置です。
急速な雇用の悪化を受け、厚労省発表では、2009年2月に失業給付を受けた人は約69万3千人と前年同期比は33.8%の増加となっており、増加率は1975年11月以来約33年ぶりという大きさだといいます。
有効求人倍率の下げ幅も第一次石油危機時以来の低水準であり、完全失業率も上がってきている事から、非正規社員ばかりでなく正規社員にも雇用調整が波及してきていることがわかります。
今後、年度末に退職した人たちの失業給付も始まります。引下げは1年度限りとされているので、来年度の雇用保険料率は昨年度並みに戻るか、今までよりも上がるかも知れません。。




今、クレドが流行るワケ 2009年04月08日

数年前、リッツカールトンホテルの「クレド」が紹介されて以来、様々な企業が相次いで導入するようになりました。
通販大手のジャパネットたかたは、不祥事により一時、業積を落としましたが、このクレドの導入により、業績を伸ばしています。

クレドとは
クレドとは、ラテン語で信条、志、約束を意味します。
クレド導入の目的は、経営理念を従業員に浸透させ同じ価値観を共有し、お客様や取引先などといったステークホルダーを満足させ感謝されることで、従業員を育て、業積を伸ばしていくことにあります。

今は心を求める時代に
ほんの数年前までは、欧米流の画一的なサービスが求められ、各企業では、マニュアルに従った教育とサービスを行うことが顧客満足を高めると考えられていました。
しかし、「ホスピタリティ」や「感謝」という言葉がメディアなどで取り上げられるようになった頃から、顧客が心の温もりを求めるようになってきました。
決められたことを機械的に行うだけのマニュアル的接客は、事務的で冷たいといったクレームさえ出されるようなりました。
顧客のニーズに答えるためには、従業員が状況に応じて自ら判断しなければならない局面が増え、マニュアルに代わる新たな指針が必要とされるようになったのです。

具体的な行動指針としてのクレド
クレドは、経営理念を簡潔に、そして具体的に行動指針としてまとめたものです。
全従業員がクレドの作成に係わることが重要です。
経営理念を本当に理解し、想いを同じくする必要があるからです。
自らが作成したクレドに照らしてどう行動すべきか、個々の従業員が状況に応じて自ら判断し行動する、この行為を通じ、従業員は経営理念と個人の目標・目的をリンクさせることで生きがいを見出し、会社とともに成長していくのです。
つまり、社長と従業員は対立するものではなく、WBC日本代表の原監督風に言うと、「向う港はひとつ」なのです。
最近、経営理念の作成が流行っていますが、一歩進んで、従業員とともに「クレド」を作成されても良いかもしれません。




底堅い消費と消費税 2009年04月07日

世帯あたり平均消費税額
2008年の年間消費税負担額の1世帯あたり平均は17万5000円だそうです。
1世帯あたり平均収入は719万円、1世帯あたり平均消費支出は482万円、うち課税消費支出は368万円と報告されています。
報告とは、日本生協連「2008年全国生計費調査」「2008年消費税しらべ」速報のことです。
世帯主平均年齢は51.3歳、平均家族人数は3.4人で、全体の76.2%が給与所得世帯、21.8%が年金世帯、2.0%が自営業世帯です。
生協組合員が中流層で構成されていることを伺わせます。

報告の2008 年の特徴
1. 給与所得世帯の収入は、前年比99.3%と微減で、月平均5,000 円の減少です。
2. 消費支出はほぼ前年並みで、灯油やガソリンの価格変動があったものの、大きな影響を受けていません。
3. 給与所得世帯の税金の合計は、2007 年の住民税率変更(定率減税の廃止・税率変更)の影響から、前年比107.3%と著増で、月平均約4,000円の増加です。
4. 「後期高齢者医療制度」の影響をうける年金世帯の社会保険料の合計は、前年比99.4%で月平均150 円と、微減です。

過去10年間の推移
消費税が1997年に5%になって以後は、消費税負担額が17.3万円~19.3万円、収入に占める割合が2.23%~2.43%、消費支出に占める割合が3.24%~3.64%、大きな変動はなく、同じような水準で推移しています。消費税が極めて安定的な税収であることを物語っています。

所得階層別消費税
2008年の1世帯あたり年間消費税額を所得階層別にみると、負担額は、年収「1000万円以上」の世帯で28万3000円、「400万円未満」の世帯で10万3000円と2.75倍となっていますが、年収に占める負担割合では、「400万円未満」の世帯で3.39%と高く、「1000万円以上」世帯の2.21%の1.5倍の負担率となっています。
消費税が消費額比例課税であることから、社会参加費的応益課税としてはふさわしい側面をもちつつ、年収に占める負担割合は、低収入世帯ほど負担率が高いという、所得逆進性をしめすことになる、ということを示しています。




法人税関係に伴う届出等について 2009年04月06日

平成21年度税制改正の法人税関係ついては、現下の経済金融情勢を踏まえ、景気回復の実現に資する等の観点から、いくつかの改正が行なわれました。
これらの改正の中には、それぞれの制度において定められている期限までに、「所定の手続き」や「届出書」が納税地の所轄税務署長に提出しなければ適用が受けられないというものもあります。

(1)中小法人等の欠損金の繰戻し還付 
「中小法人等の欠損金の繰戻し還付請求」は、確定申告書の提出期限までにその法人の確定申告書の提出と同時に、納税地の所轄税務署長に「所定の事項を記載した還付請求書」を提出しなければ適用がありません。

(2)土地等を先行取得した場合の特例 
平成21年及び平成22年に土地等を先行取得した場合の課税の特例です。
具体的には、平成21年、22年中に土地等を取得した法人については、その土地の取得価額を限度として、その後10年間に他の土地を売却して譲渡益が発生しても、その8割(平成22年取得分については6割)を先に取得した土地の価額を圧縮記帳することにより課税を繰り延べるという制度です。
この制度については、法人が平成21年1月1日以降に取得をする土地等について適用がありますが、適用を受けるためには次に掲げる提出期限までに「所定の事項を記載した届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することが要件となっています。

1)通常の事業年度(「下記2)」以外)
その土地等の取得をした日を含む事業年度の確定申告書の提出期限がこの制度の特例を受けるための届出書の提出期限です。
2)平成21年4月1日前に終了する事業年度で確定申告書の提出期限が平成21年4月30日前に到来する事業年度
この場合については、確定申告の提出期限にかかわらず、平成21年4月30日がこの制度の適用を受けるための届出書の提出期限とされていますので留意が必要です。
例えば、1月決算法人で土地等の取得が平成21年1月10日であれば、今後10年以内にこの特例を適用することが予期さるのであれば、平成21年4月30日まで所定の届出書を提出する必要があります。




事後課税と日米憲法 2009年04月03日

事後課税の標的AIG高額ボーナス
政府管理下で公的支援を受けて経営再建中にも拘わらずAIGが高額ボーナスを支給していた、というのも驚きながら、米議会がそれに対し報復的に90%課税という法案を通したというのも衝撃的でした。
感情論を排して考えると、事実が明らかに確定してからその後に作られた法律で国家から報復を受けることは、近代法治国家にあってよいのか、と疑問になります。

罪刑法定主義と租税法律主義
罪刑法定主義とは犯罪を処罰するには法律に犯罪類型と刑罰を明確に規定しておかなければならないとする原則で、遡及処罰の禁止などの原則が派生的に導かれるとされていて、日本国憲法には遡及処罰の禁止規定も明記されています。
同じく課税についても、租税法律主義が日本国憲法に明記されています。
なお、遡及課税禁止の条項はありませんが、昨年の通常国会で、租税にも不利益不遡及の原則がある、との政府答弁があり、遡及処罰禁止と同じく遡及課税禁止も派生的に導かれるべきものとの原理が確認されています。

アメリカ憲法は成文主義ではない
罪刑法定主義や租税法律主義の憲法規定は明治憲法にも同趣旨の規定がありました。
しかし英米法の国々は、成文法主義ではないので、罪刑法定主義や租税法律主義の考え方を採らず、判例を筆頭とするコモンローと称される不文法も成文法と同格と考えます。
従って、アメリカ議会が遡及課税法案に多数決で承認することは、あり得るべきことなのかもしれません。

日本にもある遡及立法
日本では遡及課税はあり得ないはずなのですが、3月後半の法律施行にもかかわらず、年初に遡及させるということが、たびたび行われてきました。
昨春の租税不利益不遡及原則の政府確認答弁にもかかわらず、所得の確定は年末なのだから、年初への遡及に違憲性はない、との財務省見解は相変わらず続いています。死亡や出国では年末はおろか法律施行以前にすら所得が確定することはあり得ることですから、この見解が詭弁であることは明らかです。




アメリカ憲法と事後課税 2009年04月02日

AIG高額ボーナス
AIGは1730億ドル(約17兆円)の公的資金を受け取り、政府管理下で再建を進める中で既に400人余りに支払ったボーナスは、総額約1億6500万ドル(約160億円)ということです。

GMワゴナー氏も高額退職金
米政府の追加支援と引き換えにGMのCEO辞任を表明したワゴナー氏が受け取る退職関連手当は2000万ドル(約20億円)を超す金額になると報じられています。
ただし、こちらについては実際にいくら支払われることになるのかまだ不確定です。

AIGボーナス90%課税法案
巨額ボーナス支払いに米議会で批判が噴出し、下院は巨額ボーナスを国庫に取り戻すことを狙った90%課税という異例の法案を賛成328、反対93の賛成多数で可決しました。
下院の法案は米政府から50億ドル(約4750億円)以上の公的資金を受けた金融機関で25万ドル(約2375万円)以上の年収がある従業員が昨年末以降に受け取ったボーナスが対象です。上院も同様の法案を検討中のようです。

後だしジャンケンの課税法案
反対票の中心は共和党議員で、「法案には憲法上の問題がある」という理由を挙げている、と報じられています。
確かに、感情的には理解できても、後から作った税法で懲罰的な課税をするということには疑問がわきます。

アメリカ憲法は?
アメリカ所得税の申告期限は4月15日ですから、昨年末ボーナス分への課税はもう間に合いません。
課税は法律に拠ることを要す、との現日本国憲法の規定は、当然にアメリカ憲法にもあるだろうと思って探してみると、意外にもアメリカ憲法は、連邦議会の所得税を主とした租税賦課徴収権を宣言しているだけで、国家権力と国民の財産権との緊張関係を前提とした権力に対する課税制限規定はありませんでした。




知っておきたい高額療養費制度 2009年04月01日

高額療養費は自己請求が基本
重い病気等で病院に長く入院したり、治療費が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。
その場合は、負担を軽減するため一定の金額を超えた部分が払い戻される高額療養費を請求することができます。
70歳未満の方の場合、同一月、同一医療機関毎に支払った一部負担金(自己負担額)の合計額が一人当り自己負担限度額を超えた時に対象となりますが、一部負担金を取りまとめるには、次のような合算のポイントがあります。

①被保険者又は被扶養者ごと
②同一診療月ごと
③同一の医療機関ごと
さらに、医科診療と歯科診療ごと、総合病院は各診療科ごと、入院・外来の診療ごととなります。

自己負担限度額は下記のとおりです
区 分     自己負担額
上位所得者 15万円+(医療費-5万円)×1%
一 般   8万100円+(医療費-26万7千円)×1%
低所得者  3万5,400円(定額)

世帯で合算した高額療養費が限度額超の時
同一世帯で同一月に自己負担額が2万1,000円以上の人が複数あった場合には、其々の自己負担額を合算して、自己負担限度額を超えた額が支給されるという世帯合算制度もあります。
同一世帯とは被保険者と被扶養者を指しますので、共働きで、各々が別々の健康保険制度に加入している時は同一世帯とはなりません。
また、医療機関ごとの合算なので、異なる病院の場合も合算されません。

事前申請で支払負担を減らす
入院する場合、事前に「健康保険限度額適用認定証」を入手しておくと病院での窓口払いが自己負担限度額までとなる制度もあります。
これを利用すると。まとまったお金の用意が不要となるので家計への負担を軽減できる事でしょう。