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離婚と税金 2009年05月29日

日本でも最近は離婚が増えてきております。
離婚は、今まで一緒に生計を立ててきた夫婦が別々に生活を始める為にどうしても、金銭問題は、避けては通れません。
離婚の際の金銭のやり取りは、通常「養育費」「慰謝料」「財産分与」等が一般的です。

養育費は子供の権利
養育費は子供が親に対して持っている権利であり、親にとって見れば子供に対する債務です。
ですからこれは、夫婦間の金銭のやり取りには入りません。

慰謝料は損害賠償
慰謝料とは、離婚原因を作った方が、相手方に支払う精神的・肉体的損害に対する賠償です。
ですから貰ったほうは収入になりますが、所得税法に心身に加えられた損害の賠償金は非課税とありますので課税されません。

財産分与は共有財産の分割
財産分与とは、夫婦の財産は2人で協力して築いてきた財産であるとして、その財産を単に2人で分けることであるため、原則贈与税はかかりません。
原則と言うのは、その財産分与が異常に過大であったり、この制度を利用して、贈与税や相続税を逃れるための離婚であったりした場合は、贈与税が課税されます。

金銭でない場合は要注意
財産を全て金銭(預金等)で持っている場合は少ないと思われます。
財産と言われる物としては自宅等の不動産があると思われます。
不動産で慰謝料や財産分与を支払った場合は、一度不動産を売却しそのお金で慰謝料や財産分与を支払ったと考え、支払った側に不動産の譲渡所得が発生します。
不動産が下落している場合は譲渡損となり譲渡所得は発生しませんが、不動産が値上がりしている場合や、相続や贈与で親から貰った場合は譲渡所得が発生し、所得税が課税されます。




贈与特例の500万円 2009年05月28日

政府の追加経済対策の裏付けとなる平成21年度補正予算が5月29日成立しました。
ただし、補正予算関連法案はまだ参議院で審議中ですが、今国会会期は7月28日までありますので、再可決か、否決・両院協議会不調・衆院優越規定での成立かを問わず、国会を通過するのはほぼ確かです。

住宅取得目的非課税枠500万円の特例
補正予算関連法案の中には、緊急減税措置の一つとして、住宅取得目的贈与税の500万円非課税枠拡大の特例が盛り込まれています。
今年1月1日に遡及して適用され、来年12月31日までの2年間に限定して、父母や祖父母などの直系尊属から居住用家屋の取得等に充てるために金銭の贈与を受けた場合には、その期間を通じて500万円まで贈与税を非課税とするものです。
この特例は、非課税枠年110万円の暦年課税の場合も、非課税枠3500万円の相続時精算課税の場合も、これらの非課税枠と併用できます。

暦年課税の場合
暦年課税贈与税の非課税枠500万円は贈与者ではなく受贈者一人当たりの枠で、今年と来年の2年間の贈与枠合計(500万円+110万円×2)のことで、贈与者は父母と祖父母です。

相続時精算課税制度の場合
相続時精算課税制度は一度選択すると、その贈与者からの贈与については暦年課税に戻れません。
なお、その贈与者は父母からの贈与に限られていますので、祖父母からの贈与の場合は暦年課税のみの適用になります。
相続時精算課税を適用した場合、従来の非課税枠と合わせて4000万円まで非課税となりますが、相続時点で4000万円全部が相続財産に取り込まれるのかというと、そうではなく、「贈与によって取得した住宅取得等資金のうち500万円までの金額については、贈与税の課税価格に算入しない」と規定されていることから、相続時精算課税で相続財産に取り込まれるのは3500万円だけとなります。

3年内贈与の取扱い
暦年課税での贈与の特例を適用して、贈与後3年以内に贈与者に相続が発生した場合の取扱いにおいても、相続財産に加算すべき贈与財産には含まれません。




外国勤務時の社会保険料 2009年05月27日

日本と外国との社会保障協定とは?
産業や経済の国際化や情報技術の進展に伴い、日本の企業から海外支店へ赴任したり、外国の企業から日本の支店に出向してきたりする人達が増えています。
このように、海外勤務をする人達は、日本と外国の社会保険制度にそれぞれ加入し、両国の制度の保険料を負担しなければならない事があります。
また、派遣期間が短い場合、外国の年金加入期間も短く、外国で支払った保険料が掛け捨てになってしまう場合もあります。
このように、日本と外国の社会保険に二重に加入したり、海外で支払った分が掛捨てになってしまう等ということのないよう、日本と外国の間では社会保障協定を締結しています。
さらに、締結国と加入期間の通算規定が結ばれている場合には外国の年金制度の加入期間を考慮して年金が受けられるようにしようというものです。

二重加入防止
通常は社会保障協定の上では、海外派遣された方が一時的(通常5年以内)に海外派遣された場合には派遣先国の制度に加入せず、自国の保険に加入し、派遣期間が5年を超える時は、派遣先国の制度だけに加入することとなっています。
ただし、社会保障協定の内容は締結国によって異なりますので、一方の国の社会保障制度すべてが加入免除されるわけではありません。

年金加入期間の通算
一方の国の年金制度の加入期間のみでは受給資格が満たされない時に、他国の年金制度の加入期間も通算して、受給資格期間を満たすものです。
これは、受給期間をみるためのものであり、受給額は各々の加入期間に応じた分が支給されます。
日本と社会保障協定を結んでいる国は、現在10カ国です。
そのうち、年金通算規定を締結しているのは、ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オランダ、オーストラリア、チェコとなっています。
イギリスと韓国については、二重加入防止の措置はありますが、年金の通算は現在のところ設けられていません。




サブプライム不況 2009年05月26日

日本独自の問題性を理解し経営に挑む
サブプライム問題の影に隠れてしまった日本固有の本質的な問題が、若年労働人口の急速な減少による経済活動の縮小問題です。
今後長期に渡り、日本経済に影響を与えますから、長期的で且つ緊急的に経営の再構築を進めなければなりません。

GDPは人口爆発で急成長した
日本の人口ピークは昨年あたりと考えられ、折りしも世界金融危機と時を同じく重なり、まさに経済縮小局面と共に、GDPが戦後最大の下降局面に入ってしまいました。
しかし、一過性の不況と捉えることが出来ないのは、“人口の下降局面”がそこにあるからです。

経済も経営も人口動態に合わせてダウンサイジング
「GDPが縮小する」と認識することから経営のあり方を考えると、基本的には拡大の方向ではなく、ダウンサイジングの方向が正しいとなります。
ましてや総人口数だけでなく、年齢構成からも明らかに高齢化からくる消費の量的縮小と質的に必要なサービスが変化します。
企業サイズだけでなく供給する側としてのサービスの存在性が根本的に問われることになります。

拡大するアジア人口の取り込みに活路
人口下降、高齢化の日本であっても、アジア人口と合算すれば、「人口増加と若年化」という10年以上前の日本の成功モデルが再現されるとあって、日本の大手企業はこぞってアジア化にシフトし始めています。
中小企業にとっても、どのようなスタイルでアジアの人、市場、文化に浸透していくのか、それとも国内でダウンサイジングを図るのか、経営の基盤を揺るがす本質的で大きな課題がそこにあります。




雇用確保の新設助成金 2009年05月25日

景気悪化が長引く中、人件費を重く感じている企業も多いかもしれません。
企業は従業員に支払う休業手当の一部を国が補てん(中小企業は算定額の8割相当補てん)する雇用調整助成金に殺到しています。
3月の申請件数は前月比57%増という状況で、雇用を確保しながら急場を乗越えようと努力していることがうかがえます。
一方でこのような時は人材を採用したい企業にとっては、確保しやすい状況になったともいえるでしょう。
非正規雇用者や派遣労働者等を正規雇用すると支給される助成金が創設されていますので紹介いたします。

若年者等正規雇用化特別奨励金
採用内定を取消された者(40歳未満)や年長フリーター(25歳から40歳未満)を正規雇用した場合に、1人につき100万円が3回に分けて支給されます。
手続きはハローワークに求人を提出し、紹介され正規雇用者となってから、6ケ月後に50万円を申請し、1年6ヵ月後に25万円を、さらに2年6ヵ月後に25万円を申請します。申請期間は、各々期間終了後1ヶ月以内です。

派遣労働者雇用安定化特別奨励金
6ヶ月を超えて派遣労働者を受入れている業務に、その業務に従事している派遣労働者を、無期又は6ヶ月以上の有期(更新有)で直接雇用した場合に支給されます。無期雇用は最大100万円、有期雇用は最大50万円支給されます。
手続きは、雇い入れから6ヵ月後に50万円を申請し、1年6ヵ月後に25万円を、さらに2年6ヵ月後に25万円申請します。
有期雇用は各々30万円、10万円、10万円となっており、申請期間は各々の期間終了後1ヶ月以内です。
この助成金は2009年の製造業派遣の期間満了を意識したものでしょうが、製造業に限らず派遣労働者を受入れている他の業種も対象となります。




利益と資本の峻別 2009年05月22日

旧商法時代には、「利益準備金の資本組入れ」、「利益の資本組入れ」は容認されていました。
しかし、平成18年、会社法になってからは、会社計算規則において、その他利益剰余金又は利益準備金を取崩して資本金に組入れる(振替える)ことはできなくなりました。
この取扱いは、会社法も会計基準と同様、「資本と利益の峻別」を遵守するという考えの下に定められたものでした。
今般、「会社法施行規則」及び「会社計算規則」の一部改正で、平成21年4月1日以後、「利益準備金やその他利益剰余金の取崩しによる資本組入れ」が可能となりました。 

会社法は、僅か3年余りで、「利益と資本の峻別」という大原則をあっさり葬り去ってしまいました。
理由は、国際的な会計基準とのコンバージェンス(収れん)の必要性からのようです。

(1)条文の改正内容
計算規則の改正内容ですが、旧条文にある括弧書き(資本準備金に限る)とか(その他資本剰余金に係る額に限る)とかいう文言が削除されました。
そのため、利益準備金及びその他利益剰余金も資本に組入れることが可能となったわけです。

(2)みなし配当課税
税法においては、この「利益の資本組入れ」に伴う「みなし配当課税」について、紆余曲折がありました。
遡っては、「利益の資本組入れ」については、「みなし配当課税」がありました。
その後、旧商法の最低資本金制度の導入により、会社組織維持の観点から、平成3年4月1日から平成8年3月31日まで、暫定措置として、最低資本金(株式会社1000万円、有限会社300万円)までの「利益の資本組入れ」については非課税としました。
そして、平成13年の税制改正(企業組織再編税制)で、「株主等に対し資産の交付がない場合のみなし配当」については、その課税を廃止することとされました。
当然ですが、その中には、「利益積立金」の資本又は出資への組入れも含まれています。
平成13年の改正以後、今日まで、この「みなし配当」に対する課税上の取扱に変更がありませんので、今回の会社計算規則改正による利益準備金等の資本組入れに関しても「みなし配当課税」は無いということになります。




高齢者雇用の助成金 2009年05月21日

職安で求職している人に対し、一人当たり何件の求人があるかの割合を示す有効求人倍率が、7年ぶりの低水準だと報じられています。
求職者は増えているものの、求人は減っているという状況では高年齢者の雇用は一層厳しさを増しているでしょう。
このような背景もあり、企業が高年齢者を雇った場合に支給される助成金が増額されたり、新設されたりしていますので高年齢者を雇い入れる企業は知っておくと良いでしょう。

特定就職困難者雇用開発助成金
この制度は以前からありましたが、助成額が改定されています。
高年齢者や障害者等の特に就職が困難な人をハローワークや職業紹介事業者の紹介により雇用した場合に支給されるものです。
60歳から65歳未満の方を雇用した場合は90万円(改正前60万円)、短時間勤務の方でも雇用保険の被保険者であれば60万円(改正前40万円)が支給されます。
手続きは6カ月ごとに2回に分けて申請します。

高年齢者雇用開発特別奨励金(20年12月創設)
65歳以上の離職者をハローワーク又は職業紹介事業者の紹介により、一週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れた場合に支給されます。
ただし、1年以上継続して雇用する事が前提です。
年齢的には雇用保険の被保険者とはされませんが、週20時間以上勤務する方の場合は支給対象とされます。
助成額は週の所定労働時間が30時間以上の場合は90万円、20時間以上30時間未満の場合は60万円支給され、6か月毎に2回に分けて申請します。
また、ここでいう離職者とは、以前の離職日から3年以内に雇用された場合をいい、その離職日以前1年間に6カ月以上雇用保険に加入していた事が条件です。

高齢化社会の進展で、元気で働き続けたい人達も増えているものと思います。
それにしても、今まで助成金は採用時の年齢が60歳代前半までしか支給対象とされていないのがほとんどでしたが、この制度の適用には上限年齢が無いというのも驚きです。




手形の変化 2009年05月20日

手形は2種類
手形、といっても人気力士の手形のことでなく、特定の日(支払期日)に一定の金額(手形の額面金額)の支払いを約束した有価証券のことです。
支払期日まで現実の支払いを先に延ばすことができますので、一種の資金調達手段として使われます。
手形には、振出人が受取人に支払を約束する約束手形と、振出人が支払人に支払を依頼する為替手形とがあります。
手形は法律上この二種類ですが、簿記会計上はどちらの手形も同一に扱い、手形代金の支払義務を支払手形勘定、手形代金を受け取る権利を受取手形勘定で表します。

手形の勘定科目は転生する
入手した手形は、支払期日が来るまでの期間は入金になりません。
その間に自分の方の支払資金が不足するようなときには、手形を割引く方法がとられます。
100万円を一定期間預けると例えば1万円の利息が付くとき、今の100万円は一定期間後の101万円と同じ価値と見るのです。
その逆に一定期間後の101万円を今の価値の100万円に引き直すことが割引です。
割引の際に手形自体は相手方に渡してしまっているのですが、法律的な手形の求償債務が残るので、割引額を割引手形勘定で処理する方法がとられます。
また手形割引によって資金化する代わりに、その手形そのものを支払に充てることもあります。
この場合の勘定科目は裏書手形、譲渡手形、裏書譲渡手形あるいは回し手形などいろいろな名称が使われます。

不渡手形
手形が支払期日に無事決済されると、この段階で受取手形、割引手形、裏書手形勘定や、支払手形勘定は消滅します。
ところが、期日に決済(支払)銀行に資金がなく決済されなかった場合、それまでの受取手形は不渡手形勘定となってさらに貸借対照表に残ることになります。
手形の発生消滅の過程は様々悲喜こもごもですが、誰もが不幸となるような終わりかたはしたくないものです。




経営の出口戦略 2009年05月19日

個人の死に限らず、企業の死もいつか現実となります。
しかし、企業の場合には、“市場存在性の争奪戦”という厳しい荒波の中での生き残り合戦ですから、自然人に比べて、“老衰による死”はなかなか困難といえます。

しかしながら、日頃から“死に方”を研究していては、何のための企業活動かわからなくなりますので、経営者は常に攻撃活動に明け暮れ、その結果、子供や親族までも銀行保証に差し入れし、玉砕してしまうということになりがちです。

絶対に玉砕はしない。
そのためには、どんなに銀行などから要求されても決して自分以外の者を巻き込まない。
ましてや融通手形なる地獄の切符に手を出さないのという経営哲学が重要です。

事業の寿命計画を立てる
企業の大半は、創業から30年前後で寿命を迎えますから
①廃業
②破綻
③事業承継や譲渡
についての対策は、経営者にとって、事業活動の成すべき大きな仕事といえます。

住居や財産の切り離し、事業承継者の育成・移転・従業員への分社移譲なども対策の一つですが、特に事業承継者の育成などは、債務保証能力と人身掌握能力を蓄積させなければならず、時間がかかりますので本来は社長就任時から計画すべき課題といえます。

また、廃業や譲渡にしても“計画”という知を駆使しない手はありません。




解は現場にあり 2009年05月18日

ある中小製造業で、設備トラブルがなかなか解決せず、不良率が高くて、困っていました。
現場担当者と技術担当者の間で、「その原因は何か?」と何カ月も議論していましたが、なかなか解決しませんでした。
たまたま、技術者が問題解決研修を受けて知った“三現主義”に基づく“解は現場にあり”を実行したところ、たちまち問題の原因が判明し、解決したのです。

どんなことをしたのか
“三現主義”(現地・現物・現実に基づいて的確な状況判断を行うこと)に基づく問題解決のやり方で、現場担当者と技術者が、問題の設備の前へ行き、どんな時にどのように不良品ができてしまうのか、その事実状況だけに集中して観察し、二人で状況事実を理解し合った結果、たちまち原因の判断が一致して解決策がまとまり、目覚ましい不良率の低下が図れたのです。

“三現主義”は問題解決の鉄則
 このような問題解決法は、製造現場の問題に限らず、多くの問題解決に有効です。
例えば、部門間・担当者間でなかなか問題解決の意見がまとまらない、顧客のご満足をみんなで追求しているつもりだが、実情は会社の中で責任のなすり合いばかりしている、と言った、笑ってすまされない悲しい問題が起こっている時などに、“三現主義”の問題解決法が役に立ちます。
机の上で、問題の原因や、解決方法を議論するのではなく、関係者が、その問題が起こっている現場に行って、一緒に事実状況を観察し、原因を究明し、解決策を話し合うのです。つまり、社長が「現場を見て、話合おう。」と言い出せば、それが、問題解決の近道になるのです。

キーワードは“解は現場にあり”
ホッチキスや工具等で有名なマックス社は“三現主義”を徹底していることで有名です。
例えば、新入社員が現場で「この工程がちょっとおかしいのですが。」と言ったら、生産部長が「どれどれ?」と言ってすぐにその現場にやってきて、事実を確かめるのです。
また、同社の社員は、顧客が同社製品を実際に使っている現場へ出かけて、その使い方、使いにくさなどを調査し、新製品の開発や改良に活かしています。
トヨタ・日産・ホンダなど自動車メーカーでも“三現主義”が問題解決・改善の鉄則になっています。




負債評価益って何? 2009年05月15日

米国大手金融機関6社の2009年1月~3月の決算が出揃いました。
軒並み黒字を計上しております。
大きな要因として注目を浴びているのが負債評価益です。
シティーグループなどは、約16億ドルの最終利益を上げておりますが、その内負債評価益が27億ドルあります。負債評価益がなかったら赤字と言うことになります。

負債評価益とは
日経新聞によりますと、「負債評価益とは、社債など企業の負債の市場価値(時価)が下落した場合に、企業から債権者への支払い義務も同時に減少したとみなしてその分を利益に計上するもの」と解説しています。

例えばA社が社債を発行してお金を集め、先物商品等の金融商品に投資していた場合、投資した金融商品が下落すれば当然にも評価損が計上されA社は大赤字となります。
そうすると、今度はA社の社債の市場価格が下落します。
そこでA社が下落した自社の社債を市場で買い戻せば、下落した分だけ負債はなくなるということです。
こう言った論理で、実際に買い戻さなくても負債の評価を下げることで、負債評価益が計上できるとする米国の会計基準です。

金融機関を救う為の手法
そしてA社の社債を購入していたB社もその社債の評価損を計上し、同じ手法で負債評価益を計上すれば、金融機関は、誰も赤字を出すことなしに金融収縮に対処できます。

原点に立ち帰れ
日本の会計基準では、負債評価益は認められておりませんが、企業会計は企業の実態を的確に表現する為のものであると言う原点に立ち帰って、会計の諸規則を見直さないと、企業会計自体の信用の崩壊に繋がりかねない問題を含んでいると思います。




金融機関、本当に大丈夫? 2009年05月14日

米銀行の四半期決算
このところ金融市場が一時期よりはやや落ち着きを取り戻し、アメリカの各種経済指標や米企業の決算内容が下げ止まりつつあることから、株式市場も低空飛行ながら株価が安定するようになってきました。
また、米金融大手6社の1-3月期決算が出揃い6社のうち5社が黒字となりました。
シティグループでは6・四半期ぶりに黒字になったと報道しています。
実際に本業が儲かるようになったのでしょうか。
今回の決算の内容は疑ってかかる必要がありそうです。
それは、特殊な会計処理が施されているからです。
ポイントは負債評価益の計上です。

利益のかさ上げ
負債評価益とは、社債など企業の負債の時価が下落した場合に、企業から債権者への支払い義務も同時に減少したとみなしてその分を利益に計上するものです。
米会計基準ではこの処理を認めていますが、これはいってみれば見せかけの利益なのです。
その見せかけの利益が膨大で、シティグループにいたっては純利益が16億ドルに対して負債評価益が27億ドルとなっており、実質は11億ドルの赤字となっております。
このような利益のかさ上げまでして決算数字をよく見せようとすることは、米金融機関の実態は債務超過に陥っている可能性があるかと思われます。

ノーベル経済学賞教授の謝罪
金融機関の不良債権処理の難しさに関して興味深いコメントがありました。
2008年のノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授は、日本の不良債権処理に関して日本批判の急先鋒でしたが、以下のようなコメントをしています。
「私たちは、日本に謝らなければならない。日本は対応が遅く、根本的な解決を避けていると、西欧の識者は批判してきた。だが、似たような境遇に直面すると、私たちも同じ政策をとっている。3月で8・5%と上昇する米失業率を見ると、失われた10年を経験した日本より悪化している」といっています。




「貯蓄から起業へ」の転換 2009年05月13日

「貯蓄から起業へ」の転換

「貯蓄から投資へ」の誘導策
預貯金利子の税金、非上場株の売却益や配当の税金は20%で、上場株式の売却益や配当の税金は10%です。
その他、銀行への証券仲介業解禁、株式投資に関し3年間の損失の繰り越しを含む損益通算税制の導入、申告不要特定口座制度の創設、株式譲渡損失と配当所得の損益通算特例の創設など、これらが、「貯蓄から投資へ」の誘導税制です。

「貯蓄から投資へ」の認知度
しかし、内閣府広報室の世論調査によると、「貯蓄から投資へ」という言葉の内容を理解している人は18.3%しかおらず、聞いたことがあるだけ32.3%、聞いたこともない49.3%という実態であることが報告されています。
「貯蓄から投資へ」という国の方針の認知度は極めて低いようです。

なぜ「貯蓄から投資へ」なのか
金融取引の機能の基本は資金の余剰部門から不足部門への移転です。
そして間接金融主体の日本では余剰資金は金融機関に集中し、事業資金の貸付のみならず証券市場へも広く投資されますが、機関投資家中心の市場は乱高下の激しいリスク煽動型になり易く、金融危機を誘発しかねません。
それで、金融取引のリスクを金融機関に集中させるのではなく、家計部門を含め広く社会に分散させ、そうすることで、結果的には景気循環や金融システムに起因する景気の振幅を小さくさせたいわけです。

「貯蓄から投資へ」の欺瞞
しかし、企業に対するリスクマネーの供給は必要なことですが、そのリスクを家計に直接負わせるのは避けるべきです。
普通の家計がリスク資産に対処するには適切な知識を持っていることが前提となりますが、日本の家計資産の大部分は定期預金ですから、その知識は期待できません。

「貯蓄して起業しよう」への転換
世界経済危機の中で、消費者利益を損なう円安誘導政策、円安に依拠した輸出立国政策、米国債・ドル資産の蓄積という経済循環政策が崩壊の危機に瀕しています。
その状況の中で内需中心、雇用創出、新しい事業・産業創出型へ社会構造の大転換が期待されています。
自立して頑張る個人事業者や零細法人がどんどん生まれ、雇用の場が創出される起業促進型社会へこそ誘導すべきものではないでしょうか。
「貯蓄から起業へ」です。




出産、10月以降は一時金増額 2009年05月12日

少子化対策、出産育児一時金引上げ
子育て応援手当の制度が実施されている事は既に紹介しましたが、政府は経済対策として出産一時金の引上げと追加の増額を打出しています。
平成21年1月から一時金の支給金額は、1児につき35万円だったものが38万円となっています。
ただし、この3万円の加算を受給するためには条件があります。

その条件は
①分娩した医療機関が産科医療補償制度に加入していること
②在胎週数(妊娠週数)22週以降の分娩、又は死産であること

産科医療補償制度に加入の医療機関とは?
お産に伴って発症した重度脳性マヒの子とその親の経済的補償を提供する制度で、医療機関が掛金を支払う制度です。
その掛金の支払いのため、出産費用にはね返り、費用が上がる場合もあるので、出産する者の負担を軽減するよう3万円の増額が行われたものです。
この、増額された出産一時金の請求をする際には、医療機関等へ支払った出産費用の領収証に「制度対象分娩であることを証明する」スタンプを受け、一時金の請求用紙に添付します。
普通は健保加入者が出産費用を病院に支払い、請求後に各保険制度から保険加入者に支払われていますが、事前申請用の一時金請求用紙を提出すれば、各保険制度から直接医療機関に一時金が支払われます。
出産費用が一時金の額を超えていた時は差額だけ払えばよいので、一度に大きな額を負担することはなくなります。

今後の一時金の改正予定は、10月には42万円に引き上げられる事が決まっています。
10月以降に出産される方は、さらに4万円増額されることになります。
ただし、緊急少子化対策という名目で、平成23年3月迄の暫定措置とされています。




税金や保険料のずれ 2009年05月11日

給与から控除される税金や保険料
月々の給与からは、税金や保険料などいろいろなものが差し引かれます。
給与と税金ですぐに連想されるのが源泉所得税ですが、月々の給与が上がれば税額も増え、下がれば税額も減ります。
累進税率ゆえに増減割合は違いますが、感覚的にもなじみます。

給与が変動してもすぐに変わらない社会保険料
給与から控除される保険料には、社会保険料(健康保険、厚生年金保険)と労働保険料(雇用保険)があります。
このうち労働保険料は源泉所得税と同じく月々の給与に連動します。
ところが、社会保険料は給与の3か月間の平均額がそれまでの給与の等級と2等級以上変動した場合に、月額変更届を提出し、その後に保険料が変わることになります。
したがって昇給や減給が保険料に反映するのは4か月や5か月後になります。

住民税
給与から控除される住民税は、前年分の所得に対する税額が12等分され、今年の6月から来年の5月にわたって差し引かれます。
今年の1月に給与が半減したとしても、5月までは前々年の所得に対する税額であり、その後来年の5月までは前年の所得に対する税額が差し引かれます。
半減した今年の給与は来年の6月以後にならないと反映されません。
給与が上がって控除される税金や保険料が増えるのは負担感があまりないといえますが、給与の下落時に税金や保険料が高止まりするのは、感覚的になじめないどころか酷ともいえます。




個人事業も開業は大変 2009年05月08日

個人事業も開業は大変

個人事業は、簡単に始められそうですが、個人事業者の場合であっても、税務署へは様々な届け出が必要となります。
開業届や青色申告の承認申請、専従者のいる場合には青色事業専従者に関する届出など、片手ではおさまらないほどの書類を作成しなければなりません。

原則的な効力発生は
新規に開業した場合、大抵の書類は開業後しばらくの間に提出すればいいことになっています。
例えば青色申告の承認申請は開業後2ケ月以内に提出すれば、開業の年から青色申告者として確定申告をすることになります。
つまり開業後しばらくの間にこれらの書類を提出すれば、開業時点から各規定が適用されることとなります。
 
例外的な規定
1.源泉徴収の納期の特例
従業員に給与を支払うような場合には所得税を源泉徴収し、その翌月10日までに国に納付することとなっていますが、給与の支払を受ける者が常時10人未満である事業所等については申請書を提出した場合には特例としてその納付を1月(7~12月分)と7月(1~6月分)の年2回とすることができます。(これを源泉徴収の納期の特例と言います。)

ですから4月1日に開業して開業と同時にその申請書を提出したような場合には、4月分から6月分の給与に係る源泉税をまとめて7月に納付すればよいと考えがちです。
ですがこの申請書は一般的に提出月の翌月末日に承認がされるものとなっております。
4月1日に提出した場合、特例の効力発生は5月31日となり、1回目の納付日である5月10日は特例の適用が受けられず、4月分の源泉税を納付しなくてはなりません。

2.消費税課税事業者選択届
この届出は、開業した年の12月31日までに出せば良いこととなっております。
開業時は何かと物入りで、なおかつ売上も見込めない場合、この届出を出せば消費税の還付が可能となります。
しかし慌てて出して、結果納付となってしまわないように、じっくり見極めてから出すようにしましょう。




発足1年長寿医療制度 2009年05月07日

発足1年長寿医療制度

低所得層の負担軽減
「長寿医療制度」は75歳以上を加入者として一年前に発足しましたが、高齢者を軽視しているとの批判も続出したようです。
当初は「後期高齢者医療制度」という名称で、この名も不評の一因ではありました。
今では名称は両者並列的な扱いで表示されることが多くなりましたが、それ以外にも制度に不満を持つ人は今もいるようです。
批判もふまえ、今年度よりいくつかの点が改正されたので見てみます。

①保険料の納め方
年金からの天引きか口座振替かを選択することができるようになりました。
配偶者や同居する子供の口座からでも振替利用できます。
口座振替の場合の社会保険料控除は、口座の名義人に適用されます。
ですから、口座振替に変更する場合は、誰の口座から振替するのか考えて行うことが必要でしょう。

②保険料に新たに9割減額制度創設
保険料は、全員一律に掛かる「均等割」と所得に応じて決まる「所得割」から成立っています。
均等割額は、軽減割合が7割、5割、2割であったものが、7割軽減を受ける世帯のうち、長寿医療制度の被保険者全員が80万円以下の(例えば、夫婦共国民年金しか収入が無い等)低所得者世帯は9割軽減されます。
また、所得割部分でも行われていた軽減措置は、21年度も継続されます。

③健康保険の被扶養家族だった方の保険料特例
制度開始前、政管や健康保険組合の健康保険の被扶養者で、保険料を払っていなかった方は、制度開始当初から2年間は、所得割額は無料となっています。
均等割額の負担率は20年10月から負担無から1割負担にはなりましたが、21年度から5割負担になる予定のところ、今年度も1割負担のままということになっています。

このように、保険料負担が軽減されることは良いことに違いありませんが、総選挙を意識した対策でもあるといえるかもしれません。




やる気の中小企業に朗報!! 2009年05月01日

「愛媛県の従業員26名のタオルメーカー・株式会社オリムは、問屋主導の受身型生産体制であったが、シェアが東南アジアにとって代わられる状況下で、約13年前から素材や使用感にこだわった自社開発のオリジナル商品・ボディータオル・マフラー・帽子などを生産・販売しているが、3年前に自社開発商品の売上が50%を超えたところで全社員が自社商品に誇りと責任が持てるようになった。」と言う事例が中小企業庁の経営革新事例集に紹介されています。
 この会社は政府の施策による「経営革新計画」の承認を平成15年に取得し、政府の支援を受けています。

「経営革新計画」とは
「経営革新計画」は所定の計画を立てて、都道府県の承認を得ると、「やる気がある中小企業」として認められ、政府系金融機関による低利融資、税制措置(設備投資減税)中小企業信用保険法の特例(別枠保証)などの支援策が受けられる制度です。
また、東京都の調査によると、
新製品開発計画の立て方が分かった
新商品の開発ができた
知名度・信用度が向上した
宣伝・営業がし易くなった
社内の意識づけができた
中長期計画の立案が可能になった
計画の実行性が増した
などの経営メリットがありました。

この制度は平成11年施行の経営革新支援法、平成17年改正施行の中小企業新事業活動促進法に基づく施策で、10年前からの累計承認件数が全国で約3万件と、全国の中小企業(個人事業所を含む)420万社のわずか0.7%に過ぎず、あまり良く知られていません。

運転資金借入れのあとにくるものは
昨年からの大不況下で今、ほとんどの業種が不況業種と認定され、特別な保証枠で運転資金を借りられますから、これを利用して多くの中小企業が生き残りを図っています。
しかし、その次には、利益体質を確保した上で返済しなければなりません。
つまり、真の生き残りは、経営力を高め、利益体質を確保する以外に道はないのです。

真の「経営革新」に取り組もう
大不況からの経済回復期を睨んで真の経営革新に取り組むべき時がやってきました。
「経営革新計画」の承認申請については、都道府県の相談窓口や全国の商工会議所等で相談に乗ってくれます。