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上場株式等の配当金の受取方法 2009年06月30日

平成21年からの株券電子化に伴い、上場株式等(ETF,REITを含む)の配当金の受取方法の選択肢が広がりました。
従来は、発行会社から郵送された「配当金領収証」と引き換えに、ゆうちょ銀行等で配当金を受取るか(配当金領収書方式)、銘柄ごとに銀行等預金口座を指定して配当金を受取るか(個別銘柄指定方式)のいずれしかありませんでしたが、新たに「登録配当金受領口座方式」と「株式数比例配分方式」の2つの方法が選択できるようになりました。

(1)登録配当金受領口座方式とは
この方式は、「ほふり」(証券保管振替機構の略)に配当金の振込み先の銀行等預金口座を登録、そして、自分が保有している全ての株式の配当金をその登録した口座で受取る方法です。
ただし、ゆうちょ銀行の口座は指定できまません。
また、一部の銘柄だけ、別の銀行等預金口座に指定することはできません。
具体的には、N証券会社に甲会社の株式を1,000株、M証券会社に乙会社の株式2,000株を預け、甲銘柄に1万円、乙銘柄に2万円の配当があった場合、指定の銀行等預金口座に3万円(源泉税徴収後の金額)が振り込まれます。
この方式のメリットとしては、配当金受領の一元管理が可能となります。

(2)株式数比例配分方式とは
この方式は、配当金を証券会社の口座で受取ることができる方法です。
複数の証券会社に残高がある場合は、各証券会社の残高(株式数)に応じて、それぞれの証券口座に配当金が入金されます。
具体的には、甲会社の株式をN証券会社に3,000株、M証券会社に2,000株を預け、源泉税徴収後の配当金が合計5万円の場合、N証券会社の口座に3万円、M証券会社の口座に2万円が振り込まれます。
この方式のメリットとしては、
①株式と配当を一元管理することができ、
さらに、
②証券口座が源泉徴収ありの特定口座なら、平成22年以降の取引は口座内で配当金と株式の譲渡損が自動的に損益通算される利点があります。

いずれの方式でも、複数の証券会社と取引している場合は、どこか一社で手続きをすませれば、他の口座で保有している分の配当金も自動的に新しい方式で受取ることができます。




「普通株」って何 ? 2009年06月29日

ほんの十数年前までは、株式と言えば「額面株式」と「無額面株式」があるぐらいで、その株式にどんな違いがあるかと言えば、株券に券面額があるかないかの違いで、株式に内在する権利、①配当金をもらう権利(配当受領権)、②株主総会に参加する権利(議決権)、③会社が解散・清算した場合に残った財産をもらう権利(残余財産分配請求権)などには違いはありませんでした。
あえて、株式の権利に違いがある株式が存在していたと言えば、それは、「譲渡制限株式」くらいです。
しかし、その株式も譲渡の制限があるだけで、上記3つの権利は,欠けることなく持っていました。
したがって、「普通株」という名の株式は存在しませんでした。

(1)普通株の存在
しかし、その後、旧商法時代においても権利の内容を異にする株式、優先株(配当を優先的にもらう権利のある株式)、劣後株(配当より経営権を優先する株式)、議決権制限株、拒否権付株(黄金株、全議案に拒否権)などの発行が容認され、会社法になってからは、さらに多様な権利の内容の異なる株式、いわゆる種類株式の発行が定款変更によっていつでも可能になりました。
そこで、普通株の存在は、上記3つの権利を何ら制約なく行使できる株式を「普通株」と呼び、それ以外の株式との違いを明らにすることにあったようです。
株式市場で売買されている株、そして、未上場の中小企業の株のほとんどがこの「普通株」です。

(2)種類株式発行の目的
上場会社にあっては、種類株式発行の目的はファイナンス(資金調達)です。
一方、中小企業にとっては、オーナー社長の相続対策、あるいは、後継者の経営権確保を目的に発行されます。
しかし、議決権制限株、拒否権付株といった種類株を発行しなければ経営権がスムーズに移譲できないことの方が問題かもしれません。

(3)種類株式の相続・贈与の評価
一定の種類株式については、5%相当額の評価減があります。
しかし、減額したその5%相当額は、それ以外の株式(普通株を含む)の評価額に加算して評価しますので株式全体の評価額は変わりません。
なお、拒否権付株式(黄金株)は、普通株式とその評価に差異はありません。




厚生年金加入期間が足りない時は 2009年06月26日

厚生年金加入期間が足りない時は

昔勤めていたころ、厚生年金に加入したものの、年金の受給資格を得るには加入期間が短く、また国民年金にも未加入や未納であった等という方は、65歳になっても年金の受給権が発生しない事があります。受給資格を得る方法はないのでしょうか?

高齢任意加入被保険者となる
厚生年金保険の適用事業所に勤めている人は、原則として70歳に達した日に被保険者の資格を失います。
ただし70歳に達しても老齢給付の受給期間を満たしていない人は、受給資格を満たすまで、任意加入する事ができます。
高齢任意加入は社会保険事務所に資格取得の届出が受理された日に取得となり、老齢基礎年金等の受給権ができるまで、任意加入を続けることができます。
ただし、保険料を滞納し、督促状に指定された日までに納入しない時は資格を失います。
保険料は事業主負担分を事業所が負担し、給与から徴収するか、本人が本人分と合わせて全額負担するかを話し合いで決め、任意加入時に選択して申込みます。
本人が全額負担する時は本人宛に請求書が届きます。

脱退手当金を受ける。但手続き前に要確認
厚生年金の加入期間が短く、国民年金にも未加入や未納が長く、年金受給資格がない方は、昔勤めていた時の厚生年金加入期間の分を部分的に一時金で受け取る事も出来ます。
支給要件は
① 昭和16年4月1日以前に生まれ
② 被保険者期間が5年以上
③ 被保険者資格を喪失していること
④ 厚生年金保険の受給資格がないこと
です。

支給額は被保険者期間中の標準報酬月額の平均額に被保険者期間に応じて決められた支給率を掛けた額が支給されます。
注意する事は脱退手当金を受けると原則として、その計算のもとになった期間は被保険者でなくなったものとされます。
ですから、受給後に過去の他の厚生年金保険の加入期間が思い出され、合算したらもらえたのに等という事のないようよく確認することが大事です。




任意調査なのに何故受けなければならないの? 2009年06月25日

一般の税務調査は任意調査と聞いておりますが、任意調査なのに何故受けなければいけないのでしょうか?

質問検査権と受忍義務
税務署には「質問検査権」と言うのがあります。
それは各税法に「必要があるときは・・・質問し・・・検査することができる」と明記されているからです。
しかも納税者が、税務署員の質問に対して答弁しなかったり、税務署員の帳簿検査について帳簿を見せない等の拒否や妨害をした時は、「1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。」と言う罰則が規定されています。
刑事犯においてすら、自らの不利になることについての証言拒否など被疑者の不答弁が認められていますが、税務調査については調査受忍義務が課せられています。

「必要があるとき」とは何時?
ここで問題となるのは、「必要があるとき」です。
「必要があるかないかは税務署が判断する」では納税者は何時でも何処でも一方的に調査を受忍するしかありません。   
ですから本来税務署は調査が必要な客観的理由を開示し、調査依頼をおこなわなければなりません。
なお最高裁の判例でも「『具体的事情にかんがみ、客観的な必要性があると判断される場合』に質問検査権が許される」、としております。

実際の調査では
よく言われる、調査理由としては、「暫く調査に伺っていないので」といった理由です。
これは通常の更正処分の期間が5年と言う理由によっております。
税務当局としては、「申告が正しいかどうかを確認する為に調査をするのであって、調査以前に、申告の何処に誤りや疑問があるといった具体的な調査理由の開示は不要である。」という見解をとっております。
その意味では「調査の必要があるかないかは税務署が判断する」状況になっております。





個人が所有の建物を売却したら消費税はどうなるの? 2009年06月24日

会社などの法人が所有していた建物を売却した場合は、すべて消費税の課税対象となりますが、個人の場合はどうでしょうか?
個人の場合、売却建物の用途によっては消費税の課税対象にならないケースがあります。
なお、法人は前々期、個人は前々年の課税売上高が1千万円以下の場合は消費税の納税義務が免除されています。

個人が居住用の建物を売却した場合
消費税において課税対象となるのは、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等とされますので、事業者でない個人が、事業とは関係ない居住用建物を売却した場合は、消費税の課税対象とはなりません。

個人が別荘用の建物を売却した場合
個人が事業とは関係ない別荘を売却しても、消費税の課税対象とはなりません。

個人が賃貸住宅用の建物を売却した場合
その物件が住宅の賃貸用である場合、家賃収入には消費税がかかりません。
そのため、その物件を売却しても非課税と思いがちですが、そうではありません。
住宅用に貸付けていた建物は、事業として使用していたものであるため消費税の課税対象になります。

個人が賃貸事務所・店舗・工場用の建物を売却した場合
これらの賃貸収入には消費税が課税されていますので、売却収入が消費税の課税対象になることに違和感がないと思います。

まとめ
①資産をどういう目的で売却するかは、消費税の課税に関係ありません。
個人の生活用家財を購入するために事業用資産である建物や自動車などを売却しても消費税の課税対象になります。
逆に、事業資金を捻出するために個人資産を売却しても消費税の課税対象にはなりません。

②売却資産の用途で判定することになります
個人の場合は、その建物を事業として使用していたものだけが課税対象となります。
税務上、この「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいうとされています。




通勤費をめぐる係争 2009年06月23日

通勤手当がないから
通勤手当が給与明細項目として設定されていないけれども、それを前提として給与の総額が定まっている場合、給与収入のうち月々の定期券代相当分については給与収入から外して、通勤費補てん額として費用としての通勤定期券代の相殺項目に振り替えて、所得税の確定申告をすることは認められるでしょうか。

氾濫的に係争がおきている
派遣労働者の多くが、収入項目に通勤手当のない給与明細を受け取っており、所得計算において通勤費をどう扱うかが社会問題となっています。
非課税扱い申告をして、否認され、係争になっている事例が報道されるようになってきました。

形式論理の課税庁
課税庁は修正申告を勧奨しているようですが、納得しない申告者が沢山出現しているようで、国税不服審判所での非公表審判事例が増えていそうです。
当局の主張は、通勤手当が通常の給与と区分して支給されていないので、非課税に該当する所得はない、とつれない内容です。

審判所
審判所は、当局の論理を是としつつ、通勤手当が分別支給されていないという理由だけで課税対象にするのは不当という納税者の主張は、法令自体の当否を訴えていることであり、そういうことは審判所の権限を超えている、と裁判への誘導を促しています。

法律をよく読むと
通常給与と分別されている通勤手当の非課税の法律規定には、(これに類するものを含む)との注書きがあります。
公務員や正社員が優遇され、非正規労働者が冷酷なあしらいを受けることのないようにと配慮するとしたら、この注書きを幅広く解釈することは可能なはずです。

通勤費訴訟
通勤費訴訟がサラリーマンの底辺を構成する多数の派遣労働者により、サラリーマン内部の矛盾の告発として、起こされつつあります。
制度の矛盾と日本社会の大企業正社員主義が危機に瀕していることを表象しています。
また、雇用主側の通勤費負担の制限強化等の社会反動になる可能性もあります。
当局も予測しかねて臆病になっているのかもしれません。




国民年金の受給額を増やすには 2009年06月22日

国民年金の被保険者は自営業者、個人経営者、フリーター等の方、主婦等の被扶養配偶者が対象者となります。
老齢基礎年金を受給するには、原則として25年以上の加入期間が必要ですが、さらに老齢基礎年金受給額を満額受給するには、40年間の保険料納付済期間が必要です。
満額受給には加入期間が足りないとか、さらに上乗せして年金額を少しでも増やしたいという時には次のような方法もあります。

任意加入して増額する
満60歳になって、65歳から満額受給するためには、納付月数が足りない場合、65歳になるまでの間任意加入をして老齢基礎年金を増額する方法があります。
任意加入をした場合1年でどの位増えるでしょう。
792,100円(平成21年度)×12カ月÷480月≒19,802円となり、1年で約2万円弱が増額されます。

付加保険料で増額をする
任意加入にプラスして、付加保険料(400円/月)を支払うという方法もあります。
これは、あくまでも付加ですから定額保険料を納付している期間に対して上積みで納める事ができ、60歳未満の加入者でも申込めば納める事ができます。
付加年金額は、200円×付加保険料納付月数となります。

繰下げ支給で増額する
老齢基礎年金は満65歳から受給できますが、繰下げて受給すると年金額が増額されます。
昭和16年4月2日以降生まれの方の場合、繰下げ受給額は1カ月繰下げる毎に0.7%増額します。

100%+0.7×繰下げた月数

何歳からもらうのが得なのかを誰しも考える事と思いますが、上記生年月日以降の方は、公平感を出すための給付設計とされたので、どの年齢からもらい始めても77歳~80歳位での受給累計額はほぼ同額となります。




税務書類の閲覧は大変 2009年06月19日

過去の税務書類は大事
税務書類の作成には、どうしても過去の申告書や届出書が必要な場合があります。
過去にどう言った申告や届出をしていたかによって申告が大きく異なる場合があります。

税務署には保管してあります
しかし、万が一、税務申告書をはじめ、各種届出書類(青色申告の届出・消費税の簡易課税の届出等)で税務署に提出した控えを紛失してしまったり、はじめから控えを貰っていなかったような場合は、税務署に同じ物が保管してありますから、税務署に出向き閲覧することができます。

それなら大丈夫とお思いでしょうが、実はこの閲覧は大変面倒なのです。
まず、第一にコピーは取れません。
申告書の内容などは全て書き写してこなければなりません。
本人(法人であれば法人の代表者です。)が閲覧するのであれば、本人と確認できる公的証明書(運転免許証等)があれば閲覧できますが、専門知識も必要なので勢い税理士事務所に依頼する方法をとると思います。
税理士事務所が本人の代理で閲覧に行く場合には閲覧は税務代理業務に該当しませんので、「税務代理権限証書」を提出していたとしても、実印を押印した「委任状」と印鑑証明が必要となります。
しかも税理士事務所の職員は閲覧の代理人として、認められていないので、税理士本人が出向かなければなりません。

提出書類の控えの保管は重要です
閲覧は以上のように非常に手間暇がかかります。
量の多い申告書ですと1日で終わらない場合も想定できます。
税務申告書や各種届出書等税務署への提出書類は必ず控えを貰い、大事にご自身で保管しておいてください。




掛け捨てにしない脱退一時金 2009年06月18日

掛け捨てにしない脱退一時金

短期在留の外国人の年金一時金
日本国籍を有しない方で日本国内の企業に就業し、公的年金に加入した外国人の方について在留期間が短い場合、受給資格期間を満たさずに帰国して保険料の納付が年金給付に結び付かない事があります。
そのような外国人の方が帰国した場合に、2年以内であれば脱退一時金が請求できます。

国民年金の脱退一時金
脱退一時金を請求できるのは、国民年金の第一号被保険者の場合、6カ月以上の被保険者期間がある方です。
この6カ月とは、保険料納付済期間、保険料1/4免除期間の3/4に相当する月数、保険料1/2免除期間の1/2に相当する月数及び保険料3/4免除期間の1/4に相当する月数の合計をいいます。
最後に納付された月を基準月とし、合計した月数に応じて受給額が決まります。
金額は毎年政令で出されており、21年度は43,980円から263,880円の間の金額となっています。

厚生年金保険の脱退一時金
厚生年金保険被保険者の場合は加入期間が6カ月以上ある方が対象です。
最後の厚生年金保険の被保険者資格の喪失日の属する月の前月を最終月とし、この最終月が支給率の計算基準となります。

受給金額の計算式は
被保険者期間の平均標準報酬額×支給率(0.4から2.7の間)です。
脱退一時金の請求は出国後2年以内に脱退一時金請求書に年金手帳、パスポート(写)、銀行口座証明が確認できる書類を添えて社会保険業務センターへ郵送します。
外国人の方でも日本の年金に加入した場合は、滞在中の事故により障害を負った時や不幸にも亡くなった場合には、障害年金や遺族年金が支給されます。




非上場株式を時価より安く売却したら 2009年06月17日

■売主が個人で買主が法人の場合
個人が非上場株式を法人に譲渡した場合、時価を基準に課税されます。

(1)譲渡した個人に対する課税
①個人が取引相場(気配相場を含む)のない株式を法人に譲渡した場合、譲渡価額が時価の2分の1以上であれば課税上の問題は生じませんが、時価の2分の1未満で譲渡した場合には、時価をもって譲渡したものとみなされて課税されます。
②時価の2分の1以上の譲渡であっても、同族会社の租税回避行為と認定された場合には、時価をもって譲渡収入があったものとして課税されます。

(2)譲り受けた法人に対する課税
購入価額が時価に満たない場合は、法人は時価と購入価額との差額について個人から利益を受けたものとして課税されます。

■売主も買主も個人の場合

(1)非上場株式を時価よりも著しく低い金額で譲渡した場合は?
個人間の売買では、法人に対する場合のように「みなし譲渡課税」はなく、その株式の時価の金額にかかわらず、実際の売買価額をもとに譲渡所得の課税が行われます。

ただし、個人間における低額譲渡(時価の2分の1未満の価額による譲渡)により譲渡損失が生じた場合には、その譲渡損失はなかったものとされます。

(2)非上場株式を時価よりも著しく低い価額で譲り受けた場合は?
買主は時価との差額を売主から贈与を受けたとして贈与税が課税されることがあります。
通常、第三者の個人間で売買した場合は、相互に利害相反する関係にあるため、そこで成立した価額が時価であると考えられます。
従って、贈与税の課税の問題は生じないように思います。
しかし、著しく低い価額によって譲受けをした場合には課税上問題とされるようです。
この「著しく低い価額」については、相続税法では、時価の2分の1をもって著しく低い価額とする定めがないので、個々の売買の具体的な事情に即して判定するとされています。




チェックしよう固定資産税 2009年06月16日

チェックしよう固定資産税

固定資産税の時価
固定資産税は収益税あるいは財産税としての性格上「適切な時価」に課税することになっていますが、全国に約1億8000万筆もある土地の時価を毎年評価替えするのは困難極まりないため、3年ごとの基準年に評価替えをし、あとの2年間は据え置くことにしています。
そして、今年はその評価替えの年です。

10年前の記憶
「やはり変だぞ!固定資産税/納税者の反乱」これは平成9年の日経新聞記事のタイトルです。
平成の早い時期から、地価が下落しているのに固定資産税が上がり続けることに怒った大都市部を中心とした住民が全国で3万件を超える審査申出を殺到させ、さらに行政訴訟を相次いで起こすなど、当時「納税者の反乱」とマスコミに騒がれる社会問題となり、裁判も多くのケースで納税者勝訴となりました。

時価とは
3年に一度見直される仕組みの固定資産税評価は、公示地価の70%を目途に土地の評価替えを行います。
具体的には、今年の場合平成20年1月1日現在の公示地価を基に評価することになっています。
本来なら、平成21年度の評価は平成21年1月1日の公示地価をベースとすべきものですが、市町村等の作業量の都合で、1年前の公示地価を用いて評価することにしています。
実勢時価を超える危険
平成20年初頭まで地価は再び騰貴していましたが、その平成20年秋以降地価は急激な下落局面に転じました。
単純に平成20年1月1日の公示地価準拠にしてしまうと、再び地価崩壊下での高評価替えの二の舞を演じてしまうことになります。

再反乱は起きないか
平成20年7月1日現在の公的土地評価である基準地価格が既に上げ止まり、もしくは下落への反転兆候を示しておりましたので、今年の評価替えに当たっては地価下落を予測的に織り込むべきなのですが、再び、「やはり変だぞ!」「納税者の反乱」という現象を生むことになりはしないか、と心配になります。




個人の住民税の基本 2009年06月15日

(1)個人の住民税とは?
個人の住民税は、日本国内に住所を有する個人にかかる税金で、「都道府県民税」と「市区町村民税」の2種類の総称です。
更に、道府県民税と市区町村民税には、所得に対してかかる「所得割」と、定額でかかる「均等割」とがあります。

(2)誰が課税するのか?
個人の住民税は、毎年1月1日現在の住所地の都道府県と市区町村が課税します。
都道府県民税と市区町村民税は別のものですが、徴収手続き等は、通常市区町村が都道府県分も含めて一括して行います。

(3)税率はいくらか?
個人の住民税所得割の標準税率は、所得の金額にかかわらず、都道府県民税4%、市区町村民税6%です。
個人の住民税の均等割の標準税率は、都道府県民税が1,000円、市区町村民税が3,000円です。
ただし、都道府県・市区町村の条例の定めによって標準税率と異なる税率を適用する地域もあります。

(4)いつ払うのか?
個人の住民税には、2種類の支払い方法があります。
①普通徴収
自営業者などに適用される納付方法です。
市区町村から納税者に直接納付書が届きます。
1年分の住民税を年4回(6月、8月、10月、1月)に分割して納税者自身が納付します。

②特別徴収
給与所得者に適用される納付方法です。給与支払者が従業員の給与から毎月天引きして、翌月10日までに納付します。
住民税は、前年の所得に対して確定した1年分の住民税を、6月から翌年の5月までの12カ月に分割して納付する仕組みなので、源泉所得税や社会保険料のように、賞与から控除されることはありません。




ローン不要住宅控除 2009年06月12日

ローン不要住宅取得控除が今年新たに創設されました。
次の4つの場合に限ってですが、ローンを組んだ場合でも、ローン不要の減税制度のほうを選択することは可能です。

長期優良住宅の新築又は取得の場合
通常の住宅価格よりも上乗せして必要となる費用(標準的な性能強化費用)が対象となり、控除上限額は100万円です。

省エネ改修工事をした場合
自己の居住の用に供する家屋について、窓全部の改修工事、床、天井、壁の断熱工事、太陽光発電装置設置工事などの省エネ改修工事を行った場合に支出する30万円超の費用が対象となり、控除上限額は20万円(太陽光発電装置を含めば30万円)です。

バリアフリー改修工事をした場合
65歳以上の者、要介護者、障害者、もしくはこれらに該当する親族と同居している者又は50歳以上の本人が、廊下の拡幅、階段の勾配の緩和、浴室改良、便所改良、手すりの設置、屋内の段差の解消、引き戸への取替え又は床表面の滑り止め化を行う工事で30万円超(補助金等を受ける場合はそれを除く)の工事費用の額が対象となり、控除上限額は20万円です。

耐震改修工事をした場合
自己の居住の用に供する家屋について住宅耐震改修工事を行い、この工事について一定の機関や専門家によって住宅耐震改修工事証明書証明書が発行される場合に支出する費用で標準的な工事費用の範囲内のものが対象となります。控除上限額は20万円です。


これらは政策促進効果の即効性が極めて高そうです。
ローン控除が1%づつ10年なのに対してローン不要は住宅取得時に10%の恩恵を受けられるからです。
しかし、10%を掛ける対象となる取得費用・改修費用にはそれぞれ適合要件と上限額が定められていて、ローン控除と比べ減税額は大きく見劣りします。




リコンの母、ミコンの母 2009年06月11日

死別、離別で寡婦に
寡婦(カフ)とは、広辞苑で「夫に死別した女。やもめ。未亡人。」とあります。
一般に馴染みのない言葉ではありますが、後家、未亡人というよりは受け入れやすいと思われます。
所得税法では死別だけでなく、離婚してから結婚をしていない人で扶養親族又は生計を一にする子供がいる人なども寡婦とされています。
寡婦に該当すると27万円、特定の寡婦であれば38万円の所得控除の適用があります。
子供がいるいないが寡婦や特定の寡婦の適用要件になっていますが、寡婦控除は寡婦に該当する本人に対するものです。
子供に対する扶養控除は、別に適用されます。

扶養親族が寡婦に大きく影響
寡婦要件のうち生計を一にする子供の所得は38万円以下ですので、子供が所得を得るようになると寡婦に該当しなくなります。
しかし、子供が成人しても所得を得るようにならない限りその子は扶養親族のままですし、また親など他の親族を扶養している限り寡婦要件は充たしていることになります。
さらに死別であれば、500万円という所得制限があるものの、生涯にわたって寡婦要件を充たすことになります。

未婚では寡婦に無縁
寡婦は配偶者との死別や離婚が前提ですので、いわゆる未婚の母は寡婦になりえません。
戦後の寡婦支援を持ち出すまでもなく、寡婦控除が、配偶者との死別や離婚によってその後の生活が大きく変わってしまうことに対する措置であると理解できます。
それでも死別や離婚した人と、非婚で子育てや老親を扶養する人との違いについてどれだけ説得力を持つのか疑問です。




太陽光発電への期待 2009年06月10日

太陽光発電の状況
太陽光発電に関して日本の技術は世界トップクラスを誇りますし、導入量も2004年までは世界一でした。
しかし、ドイツでは電力会社が太陽光発電でつくった電力を2倍以上の固定価格で買い取ることを義務づける制度を導入、国を挙げて強力にバックアップした結果、05年以降、太陽光発電の導入量で世界首位となりました。

今年、補助金が復活した
1月からは、家庭用太陽光発電設備に対して国、自治体から補助金が出ることになりました。
国は《7万円/ kW》、自治体では東京都の場合《10万円/ kW、上限は、100万円》、新宿区の場合18万円/ kW、上限80万円》です。
加えて経産省が2010年度に太陽光発電による電力を電気事業者が1kWh当たり約50円という高値で買い取ることを義務付ける仕組みを検討していると発表しています。

初期費用回収シミュレーション
標準的な3kW装置を設置したとすると、設備費に200万円以上かかりますが、新宿区でなら補助金で約半分補てんできます。
その上、年間約3000kWの発電とすると光熱費の約6割が節約となり、5年以内に初期費用を回収できる計算になります。

税制支援も登場
税制も今年から支援制度を創設しました。
太陽光発電装置を設置する居住用家屋についてのリフォーム減税で、3種類あります。
一つ目は、一般の住宅ローン減税で、10年にわたり毎年ローン年末残高の1%が所得税及び住民税から控除されます。
二つ目は、特定の住宅ローン減税で太陽光発電装置の設置費用部分(300万円が限度)とその他の改修工事費用に係る住宅ローン年末残高(最高1千万円)につき、太陽光発電装置部分は2%、その他は1%を5年間にわたり所得税及び住民税から控除されます。
三つ目は、ローン不要減税で、太陽光発電装置の設置費用を含む省エネ改修工事費用(300万円が限度)の10%を所得税から控除できます。

こんなおまけも
三つの減税は選択ですが、公的補助金は減税の対象となる改修費用の額から控除することになっていませんので、補助の恩典は加重的です。




裁判員制度はこうして生まれた 2009年06月09日

裁判員制度(陪審制度)の沿革
裁判官が行ってきた刑事裁判に、一般市民が直接参加する裁判員制度がスタートしました。
我が国にも戦前には裁判員制度があった事を知っている若い方は少ないでしょう。
その歴史を振り返ってみます。

陪審裁判が開始されたのは昭和3年
●明治初期 岩倉具視等欧州使節団が陪審制度を学び、導入を今後の懸案とした
●明治43年 大逆事件(天皇暗殺を企てたとして、12名が死罪)を契機に立法化への動きが始まる
●大正12年 大正デモクラシー思想の広がりもあり陪審法成立
●昭和3年 大分で初めて陪審制による裁判実施
重大事件を対象とし、一定額以上の納税者で30歳以上の選ばれた男子12人の陪審員が有罪、無罪の結論を出し、裁判官に「答申」した。
●昭和18年 戦時色が強まり制度廃止
開始から15年間に484件、無罪率は17%であった。
●昭和38年~47年 返還まで沖縄で実施
●平成2年 日弁連が再びの導入を提案
●平成11年 司法制度審議会設置される
●平成16年 裁判員法成立、5年以内に施行
●平成21年5月 裁判員制度スタート

陪審制と参審制とは
欧米では古くから陪審制度が行われていますが、陪審制とは事件ごとに市民から選ばれた陪審員が有罪、無罪を決め、裁判官は量刑や法解釈を担当する方法で、イギリスやアメリカで採用されています。
参審制とは任期制で選ばれた参審員と裁判官がともに有罪、無罪を決め、量刑も判断する方法で、ドイツ、イタリア、フランス等で採用されています。
デンマークやノルウェーは両制度を併用しており、我が国の場合も両制度を折衷していると言えるでしょう。
市民革命を経験した欧米と異なり、我が国では国民の司法への参加は義務でもあり、権利でもあるという意識が根付くのにはしばらくかかるかもしれません。




クリック&モルタルで商売繁盛 2009年06月08日

ネット販売には二つの業態があります。
ネット販売専業小売業(ビュアプレーヤー)と実店舗を持ちながらネット販売する小売業態(クリック&モルタル・Click and mortar)です。
つまり、クリック&モルタルは、店売りとネット販売の相乗効果を狙うビジネス手法のことで、今アメリカではネット販売の主流になっており、例えば、大手小売業のウオルマート・JCペニー・ノードストロームなどがこの販売手法を取り入れています。

このような商売の方法は、当然ネット販売と言うITを活用した販売方法が登場し、その技術革新を活用して、顧客のニーズに応える販売方法の革新を図ったところがポイントです。

クリック&モルタルの利点
この販売方法が持つ利点は
①一定の知名度と信用があると会員を集めやすい。
②広告宣伝は店舗の宣伝と一緒にやれるからコストがかからない。
③在庫や物流施設、システムが共用できる。
と言ったところにあるようです。

中堅・中小企業の活用
この方法は、地域一番店の地位を得た中小企業・中堅企業にも応用が可能で、役に立つ商売の方法になる可能性があります。

経営革新の定石
経営革新の定石は、自社の得意分野の商品やサービスを、巧みなやり方で有望な市場に投入することです。
そのために、今までのやり方を変化させなければなりません。
また、それを社長一人が着想したとしても、成功させるには社員の力を活かさなくては不可能です。
つまり、経営革新のもう一つの定石は社員にそのアイディアへの参加を呼びかけ、知恵と力を出してもらえるように、社長が働きかけることです。
三つ目の定石は、「新しいことはやってみなければわからない。」と言う事実にありますから、なるべくお金がかからない方法で試して見ることが大切です。何事も積極一貫で動くことが、革新の始動には重要です。




裁判員制度と企業の対応 2009年06月05日

裁判員は何をするの? その実務とは
国民が刑事裁判に参加する「裁判員制度」が5月21日からスタートしました。
対象となるのは殺人・強盗致死傷・傷害致死等の重大刑事事件で審理は裁判官3名裁判員6名、予備裁判員3名で構成されます。
昨年末29万5千人に候補者として通知がされましたが、その中から面接やくじ引きで人員を選びます。
選ばれる確率は試算によると1年間で5,500人に1人だといわれます。
ただし、70歳以上の方は辞退できることとなっています。

審理は起訴された対象事件の「公判前手続き」で争点整理の上、地裁で第一審のみを行い、量刑も決定します。
評決は9人の多数決によりますが、たとえ裁判員全員が同判定でも裁判員のみの多数では認められません。
拘束される日程は3日から5日というのが普通です。

裁判員には守秘義務がありますが、その事だけでなく、心理的負担が大きい場合もあるでしょう。
万一心理的外傷後ストレス障害で治療が必要となった時には国の労災保険で費用を負担、カウンセリングも行うとしていますが、刑事裁判に無縁であった一般国民がこのような経験でストレスを感じないということのほうが無理とも思えます。
心のケアの問題は課題となるでしょう。

裁判員社員に対する企業の対応
大手企業では裁判に参加する社員に特別休暇を設けたところが多いのですが、中小企業ではまだ多くが対策はしていないという調査結果が出ています。
裁判参加日で休業した日の有給・無給は任意ですが、本人には1万円以下の日当が国から支給される事となっています。
裁判員を務める事は労働基準法第7条に定める「公民権の行使」にあたり、休暇を申請されれば認めざるを得ません。
単に仕事が忙しいという理由では辞退が認められない以上、休んだから勤務評価を下げる事等は裁判員法に触れることもあり、難しいでしょう。




財産分与は離婚成立後 2009年06月04日

財産分与とは
財産分与とは離婚の時に夫婦の協力で築いてきた財産を2人で分け合うことです。
ご主人名義の財産であれ、もともと2人で築いてきた財産であると言う考えに基づいて分けるだけですから、基本的に税金はかかりません。

不動産の財産分与は
しかし財産と言っても、日本の場合多くは不動産です。しかも不動産の財産分与は換金して分けるのではなく、名義を変更して分ける事が一般的です。
特にご自宅などは、換金せずにどちらかがそのまま住みつづける場合があります。

ご自宅はご主人名義
ご自宅を購入する場合、奥様が子育て等で専業主婦の時などは、奥様に収入がありませんから、住宅ローンが組めず、多くの場合はご主人名義となります。
共稼ぎで、奥様にも収入がある場合は、共有名義で住宅ローンが組めます。

財産分与は離婚成立後
共有名義にしろ、ご主人名義にしろ、ご自宅を財産分与で奥様に分与する場合には、離婚が成立し、赤の他人になってからおこなってください。

譲渡所得が発生します
税務上、財産分与自体には税金はかかりませんが、ご自宅などの不動産を分与した場合は、一度不動産を売却して換金した後に分与したと考えます。
ご主人にご自宅を売却したことによる税金がかかってきます。

離婚前では特別控除は使えない
ご自宅を売却した場合、売った値段から買った値段を引いた譲渡所得から3000万円の特別控除ができます。
しかしこの特別控除はご夫婦や親族の間での取引では摘要できません。
ですから離婚が成立する前に、財産分与による名義変更をおこなった場合には、特別控除が使えず思わぬ税金がかかってくることがあります。




通勤費の事業主負担 2009年06月03日

居住、移転の基本的人権
国民の憲法上の権利の一つとして居住地選択の自由があります。
そして、自由に選んだ住居からの通勤費については、スジからいえば自己負担すべきものですが、通常は雇い主が全額負担しています。
素直に考えると変なことです。
別に、雇い主に通勤費負担の法的義務があるわけではありません。
とはいえ、雇い主の通勤費負担は雇用に伴う単なる任意の給付というよりも、強制的社会慣行とでも言うべきものとなっています。

雇用主はつらいよ
だからでしょうか、従業員からは、負担してもらった通勤費について、当然のこととして何の感謝もされません。
従業員自身が引っ越しをしたり、工場移転をしたり、ということで従業員が遠距離通勤者に変わってしまった場合に、解雇にもできないし、通勤費の増える分を負担しないということにもなかなかできません。雇い主にとっては辛いところです。

通勤費の本来性格
労務の提供をするために事業場に赴くことが通勤であり、通勤そのものは労務の提供ではありません。
労務の提供をできるようにするための条件整備行為に過ぎないからです。
その通勤に費用がかかる場合において、その費用を雇い主から補填されているのですから、雇い主の通勤費負担分の性格は、給与所得の必要経費を補填するもの、すなわち給与所得計算上の労務の対価としての収入ではなく、給与所得計算上の必要経費のマイナス項目とするべきものです。

非課税という奨励規定
実際日本では給与を得るのに従業員が何か仕事に不可欠な物・道具・その他の代金を負担するということはあまりありません。
所得税法では通勤手当や仕事における無償貸与物の給付を非課税としています。
非課税としているのは、雇い主の従業員通勤費等の負担によって、労務の対価以上に従業員の手元に残る金銭が増えることはないからでしょうが、さらに、非課税とすることにより、働くための条件整備費用は、従業員自身ではなく雇用主負担とすることがよい、との考えを奨励しているともいえます。




死ぬまで一緒にいたくない? 2009年06月02日

昔々若い頃から頑張って一代で財を成したAさんとBさんと言う2人の若者がおりました。
AさんとBさんの苦労は大変なものでしたが、それにも増して、ご主人を支え子供を育てた奥様の苦労は大変なものでした。
Aさんは終生奥様を愛し、死ぬまで添い遂げました。
一方Bさんは遊び人で、あちこちに愛人を作り、最後は奥様からも愛想をつかされ死ぬ直前に離婚してしまいました。
Aさんの奥様はAさんから莫大な財産を相続によって取得したため、大変な相続税を納めなければならず、多くの財産を失うこととなり、今では細々と暮らしております。
一方Bさんの奥様は、離婚の際の財産分与で莫大な財産を取得したため一銭も税金を納めることなく、今では悠悠自適の生活をおくっております。

世の中どちらが幸せか判らないというお話でした。

財産分与とは
財産分与とは離婚の時に夫婦の協力で築いてきた財産を2人で分け合うことです。
ご主人名義の財産であれ、もともと2人で築いてきた財産であると言う考えに基づいて分けるだけですから、基本的に税金はかかりません。

相続とは
離婚しないでご主人がお亡くなりになった場合はご主人名義の財産は、奥様がご主人の財産を相続したとして相続税の対象となります。
この場合にも、もともと2人で築いてきた財産であると言う考えに基づいて財産の半分までは奥様に税金を掛けないこととしています。

しかし財産に換金性があれば良いのですが、換金性のない非上場株式などですと税金の支払は現金ですから大変な苦労となる可能性があります。




通勤費をめぐる不合理 2009年06月01日

通勤費非課税規定
所得税法では通常の給与に加算して受ける通勤手当を非課税としています。
実際、給与を得るのに従業員が何か仕事に不可欠な物・道具・その他の代金を負担するということはあまりありません。

例外は皆無
ただし、通勤費が10万円超のケースではその超過分は給与所得だとの規定があります。
しかし、平均通勤費は1.6万円で、通勤費3.5万円以下で98%超、4.5万円以下で99.9%を占めており、通勤費10万円超該当者はほとんどいません。
10万円規定はズルく利用されることへの予防線にすぎません。通勤費完全非課税という実態認識を変える必要はないと思われます。

社会保険は不合理
ところが、社会保険や雇用保険や労災保険では通勤費について、必要経費の補てん金ではなく、給与収入の一部という扱いにしています。
それで保険料負担の対象になっています。
年金・健保・雇保からの給付金を受けるようなときは通勤することがなくなっているときなのですから、給付額の中に通勤費に相当する部分が入っている必要はないはずです。
それに、能力が低いので給与も低い従業員だったとしても、遠距離通勤だったことにより、社会保険料の本人負担分、事業主負担分が増えて、その従業員の将来受給年金や雇用保険などの給付が多くなる、というのも納得し難いところです。

格差社会での派遣労働者は自己負担
税の規定は所得の実質主義に基づいているかのようではありますが、税の規定も形式主義で、通勤費名目でないものは非課税にならないようです。
派遣労働者の多くは通勤費補助がない人です。
しかし、彼らも通勤費を負担して通勤しており、その費用は受け取る給与によって償っています。
同じ通勤費について、公務員や正社員は非課税、非正規労働者は考慮なしでは社会的差別の上塗りです。
通勤費非課税の規定の不平等取扱いを早急に改めるのは時代の要請です。
それとともに、社会保険の不合理性も税との取扱いの一元化の方向で改められるべきです。