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改正がないのに改正 2009年08月31日

リース契約と法人税・所得税
平成20年4月1日以後に契約するリース取引については、売買取引があったものとして法人税または所得税の計算を行います。
さらにリース取引には、少額減価償却資産や一括償却資産の特例の適用が否定されていますので、リース料支払取引を従来通りの賃貸借として会計処理をしていたとしても、ことごとく売買取引があったものとして扱われます。

リース契約と消費税
これに関連する消費税法の改正はありませんでした。
消費税法は現金主義的性格があるので「リース料支払いの都度、支払消費税を認識する」とするのが素直な解釈としてよさそうにも思われます。
しかし、消費税通達は当初より法人税所得税準拠主義を一貫して表明しておりました。
そのため消費税法では何の改正をもしないまま、法人税法・所得税法が改正されたことを根拠に「リース取引は、売買取引として消費税の計算を行う」との当局解説を喧伝しています。
もしこれを受け容れるとすると、仕入消費税の計上が契約時一括となるので一般的には有利といえますが、免税事業者期間・簡易課税事業者期間の場合での契約については不利なので、要注意事項となることに留意すべきことになります。

解釈立法
解釈によって立法と同じ効果を果たすことは解釈立法といえます。
会社が解散等によって通常の事業年度が分断された場合、事業年度開始の日から解散の日までの期間及び解散の日の翌日からその事業年度の終了の日までの期間が、それぞれ「みなし事業年度」となるとの規定が法人税法にあります。
これに対して会社法では、株式会社が解散して清算が開始する場合には、解散の日の翌日から一年の期間を「清算事務年度」としました。
法人税法ではこれを承けて、規定の変更のないまま、会社清算中のみなし事業年度の規定は機能しないと解釈をするものとの当局解釈が披瀝されています。




業務上の負傷とはどのような場合か 2009年08月28日

仕事上の傷病は労災保険を適用
労災保険は労働者が業務上の事由や通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり、不幸にも死亡された場合に被災者や遺族の方に給付が行われるものです。
業務上とは、その傷病の発生原因が業務遂行に直接起因し、業務と傷病との間に一定の因果関係があることをいいます。
業務災害に対する保険給付は適用事業所に雇用され、働いていたことで発生した災害について行われます。

業務上の負傷の3パターン
① 事業主の支配・管理下で業務に従事している場合
これは所定労働時間や残業時間内に、事業場施設内において業務に従事している場合が該当します。
業務中であっても私用を行い業務から逸脱している場合や故意に発生させた負傷・個人的なうらみ等で第三者から暴行を受けた時などは該当しません。
② 事業主の支配・管理下にあるが、業務に従事していない場合
これは昼休みや就業時間前後に事業場施設内にいて、業務には従事していないものの出社して事業場内にいる限り会社の管理下にあると認められます。
休憩は私的行為ですが、事業場の施設・設備や管理状況等が原因で発生した事故は業務災害となります。
③事業主の支配下にあるが、事業主の管理
下を離れて業務に従事している場合これは出張や社用での外出等により事業場施設外で業務に従事している場合が該当します。
事業主の管理下を離れているものの、労働契約上の事業主の命令の下、仕事に従事しており仕事の場所はどこであっても、積極的な私的行為を行うなど特段の事情がない限り業務に従事していることから、一般的には業務災害と認められています。




「窓税」と「間口税」 2009年08月27日


「窓税」と「間口税」
中世のオランダには、窓の数を基準として税を課す窓税というものがありました。
16世紀に、これが間口税という税になっています。
一定の床面積の建築なら、間口が狭く奥行きが深いほど税額が低くなります。
間口税や窓税などは、外からの観察だけで簡単に税額を決定でき、それはまた「私有建築物の内部は、犯罪捜査の場合でないかぎり侵されることがない神聖なプライバシー空間」なので、徴税当局が建築物の中に立ち入らなくて済む課税方法がよいという国民的合意があったからとされています。
守秘義務のない会社の経理担当者に家族の内情をすべて開示することを義務付ける年末調整制度をもつわが国とは大違いです。

アンネの日記
このためオランダの家は、うなぎの寝床のように細長く、奥行きの深い構造になりました。外から見ただけでは家の内部構造が分かりません。
だから、建物の奥に秘密の隠れ部屋を作ることができました。
アンネの家族が隠れていたのはこうした建物の1 つで、彼女はそこで日記を書き綴りました。
いまでもオランダを訪れると、運河沿いにこうした建物が隙間無く立ち並んでいるさまを見ることができます。

他の国の場合
バルト3国にもイギリスにも同じ税がありました。
フランスは、革命後の1798年に固定資産税として導入しました。ただし、財産評価の手間を省くために、窓と戸口の数で課税する方式を採用しました。
シャンゼリゼや凱旋門近くの横丁に入ると立派な建物が広くない通りの両側に続いているものの、窓数が少なく、塗りつぶされた形跡の窓の跡があったりするようです。
窓税導入時の納税者の対抗策のなごりなのだそうです。
この税は、第一次大戦まで120年近く続きました。

わが国の場合
同じような税は、日本にもありました。
江戸時代、三代将軍家光によって店の間口の広さに応じて税金をかける「間口税」が導入された京都の事例がよく知られています。
また、田沼意次が町人に家の間口一間当たりで課税したことも、間口を狭くし奥行きが長い町家が各地にできた由来とされています。




子のない妻と主夫は損をする 2009年08月26日

子のない妻と主夫は損をする

「年金」と、一言で言っても
近年、社会保険庁などの不祥事により、国民の年金に対する関心が非常に高まっています。
ところで、年金といえば老後にもらえる年金(以下、老齢年金)をイメージされる方が多いのではないでしょうか。
実は、年金には老齢年金のほかに、障害年金や遺族年金というものが存在します。
障害年金は国で定める障害等級に該当するなど一定基準を満たした場合に、遺族年金は被保険者である配偶者が死亡するなど一定基準を満たした場合に受給できます。
ここで、遺族年金について検討してみましょう。

遺族年金って?
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、遺族の範囲が異なります。
もし遺族の範囲を知らなければ、年金を受給できないこともあります。
遺族の範囲は、遺族基礎年金では死亡当時その者によって生計維持していた子のある妻、または子となります。
子とは18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあり、結婚していない子などです。
最近は、子のない家庭や夫が家事と子育てをする家庭も増えているようですが、もしサラリーマンの妻に子がいない場合や会社勤めの妻が死亡し、夫と子が残された場合は年間80万円ほどの遺族基礎年金は受けとることはできません。

万が一のときのために・・・
遺族厚生年金は、妻や子、夫、父母、孫、祖父母が受給できます。
妻は子の有無や年齢制限はありませんが、夫などは原則55 歳以上(ただし、60 歳までは支給停止)でなければ受給できません。




業務上の疾病とはどのような場合か? 2009年08月25日

業務上の疾病とはどのような場合か?

仕事中に発症した疾病は業務上?
労災保険の業務上の疾病とは、労働者が事業主の支配下にある状態において有害因子に曝露(さらされる)したことによって発症した症状をいい、必ずしも仕事中に発症した疾病を意味しているわけではありません。
業務との間に因果関係が認められる場合に労災保険の対象となります。
例えば、労働者が就労中に脳出血を発症したとしても、その発症原因にあたる業務上の理由が認められない限り、業務と疾病との間に因果関係は成立せず、一方で労働時間外の発症であっても、業務上の有害因子に曝露したことによって発症したと認められた場合は、業務上疾病とされます。

業務上疾病の3要素
①労働の場に有害因子が存在していること
有害因子とは物理的因子・化学的因子・身体に過度の負担のかかる作業態様・病原体等の諸因子を指します。
②健康障害を起こしうるほどの有害因子にさらされていたこと
健康障害は有害因子に曝露したことによって起こりますが「そのような健康障害を起こすほどであったのか」が問題です。
その程度は基本的には、その濃度と曝露した期間によって決まります。
また、どのような形態で因子を受けたかも把握する必要があります。
③発症までの経過や病態の医学的妥当性。
業務上疾病は、業務に内在する有害因子に接触し、これが侵入することで起こるものなので、因子を受けた後短期間で発症するものもあれば、相当長期間の潜伏期間を経て発症するものもあります。
労働保険年度更新時に石綿(アスベスト)健康被害救済の一般拠出金が徴収されていますが、有害因子を受けてから何年も経て肺に中皮腫が発症したケースです。
また昨今は、過重労働や職場のストレスが原因で脳・心疾患やうつ病、自殺等が増え、労災とされるケースも目立っています。




「ふるさと納税」のすすめ 2009年08月24日

「ふるさと納税」の歴史
「ふるさと納税」は新設の制度ではなく従来からあったものです。
寄付金は担税力の配慮としての対象ではないため、地方税法では寄付金控除の制度は長らく存在していませんでした。
平成元年に足切り額10万円の寄付金控除が創設され、当初は共同募金会への寄付のみ2年後に日本赤十字社を対象に追加し、さらに2年後に地方自治体を対象にしました。

抑制的な制度だった
初年度であった1993 年度においては、地方自治への寄付をした人の総計は35,342人で、うち寄附金控除の適用を受けた人は6,819 人(19.3%)でしかなく、多くの人が足切 り額により適用外となっていました。

平成20 年度の改正点
今年の地方税法の改正では、寄付金控除の控除対象限度額を総所得金額等の30%(現行25%)に引き上げるとともに、適用下限額が10万円から5 千円に引き下げられ、所得控除方式から税額控除方式に改められました。

試算してみました
所得税の課税所得500 万円の人が5 万5千円をふるさと納税した場合は、5 万円について所得税の所得控除として1 万円(20%税率)の減税があり、同じく住民税でも5千円(10%税率)の減税がまずあり、残りの3万5千円について、都道府県が4割の1万4千円、市町村が6割の2万1千円の減税をします。合計減税額は5万円です。

名誉勲章が無負担で、そして
このように、寄付額の大部分が税金の前払いの性格をもつことになり、寄付をしたという勲章のような名誉が実質負担のないまま得られ、さらに現行制度下では多くの自治体で国民健康保険料や介護保険料の負担減をももたらすので、わが国の寄付文化は 一気に進展しそうです。

案内はネットで
この改正は、平成21 年度分以後の個人住民税について適用されますから、20 年中に早速寄付した方がいいですね。各自治体は「ふるさと納税」用寄付の募集案内ホームページでしています。
自分のふるさとのホームページをみてみませんか。




租税不利益不遡及の原則の意義 2009年08月21日

労働法では「不利益不遡及の原則」は明確
平成14年に、人事院が公務員の給与減額を勧告した時、公務員から猛反発があり国会で延々と議論されましたが、その中では「不利益不遡及の原則というのは、法律を一通り勉強した人間には非常に大切な法原則」などという答弁がなされています。
与野党政府閣僚一致した合意原則でした。

税には「不利益不遡及の原則」はなかった
平成16年の土地建物の譲渡所得と他の所得との損益通算を廃止する税制改正は、年初への遡及適用でしたので、民主党から内閣に対し「不利益不遡及の原則に違背しないか」との質問主意書が提出されました。
これに対する小泉純一郎名義の答弁書には「過去においても、一定の資産の譲渡損失等について、その年の4月1日施行の法律改正によってその年分以後の所得税について損益通算を認めないこととした例がある。・・・御指摘の不利益不遡及の原則や法の安定的運用との関係については、問題はないと考える。」と書かれていました。

少しだけ例示してみます。
● 青色申告者にとっての純損失の概念から居住用財産の譲渡損失の一定のものを排除する平成10年改正も年初への遡及適用でした。
●専従者の場合、たとえ給与がわずかだったとしても扶養親族や控除配偶者になれないとの昭和62 年の改正も年初への遡及適用でした。

学者も「不利益遡及」を認めていた
最も権威のある「租税法」という本でも、「年度開始前に改正が十分予測できたなら遡及立法も許される」と書いています。
しかしこれは、法律を作るのは自民党でも官僚でもなく、国会なのだという原則を踏み外している意見です。

判決では「租税不遡及の原則」
後からの改正で土地の譲渡について遡及課税が許されるかを争った、今年1 月29 日の福岡地裁の画期的判決は「租税法規不遡及の原則に違反し違憲無効」としました。
この裁判は高裁で係争中です。




貸倒損失は早くても遅くてもダメ 2009年08月20日

貸倒損失が認められる場合
売掛金や貸付金が回収不能となった場合は、貸倒損失として損金に処理できます。
しかし回収不能かどうかの判断は様々で、税務上では通達で大きく以下の3 つに分けて通達で細かく条件を定めています。

① 会社更生法や特別清算・債権者集会での決定・書面による債務免除等法的に債権が消滅した場合
② 実質的に債権の全額が回収できないことが明らかになった時
③ 売掛債権が取引停止後1 年以上回収できないときや、回収のコストが債権金額より大きい時
早く落としたい売掛債権などはすでに売上に上げて収益としていますから、どうせ回収できないのなら税金を払う前に損金として落としてしまいたいのが人情ですが、回収不能の条件を満た
していない場合は、税務上損金として認められません。

遅い分ならかまわないのか?
逆に今期は赤字なので、回収不能が明らかとなったが、来期に落とす分には遅いのだから問題はないだろうと、そのままにし
ておいて次の期に損金に落とした場合はどうなるのでしょう。
結論から言えばその場合も、損金としては認められません。
貸倒損失は、回収不能であることが明らかになった事業年度において損金処理することができるとありますので、明らかになった事業年度以外では損金処理はできませ
んので気を付けてください。

欠損金の繰越延長と同じ
これは税務上欠損金の繰越期間は7 年ですが、その後の事業年度で貸倒損失の処理を認めると、実質的に繰越期間の延長を認めることとなるからだと言われています。




リースと償却 2009年08月19日

リースは売買
平成20年4月1日以後、締結分からの普通のリース取引は、売買取引とみなされることなり、リース料総額を取得価額としてリース期間定額法で減価償却するということになっています。

税額控除は有利に
税務上、ファイナンスリース取引は存在しない扱いなので、リース税額控除はその対象を失い、規定はすべて廃止となりました。
その代わり、資産の取得に係る通常の税額控除規定をそのまま適用します。
従来のリース総額に60%を乗じたあと税額控除率を乗ずることは不要となり、リース総額に直接税額控除率を乗ずることになりました。

特別償却は適用除外
従来、リースの時は、特別償却は資産の取得ではないので適用の余地がありませんでしたが、これについてはリースの時と同じ扱いで、特別償却制度からは除外されています。
売買扱いになったことはまったく無視された状態です。

10万円未満・20万円未満は適用除外
特別償却のケースと同じく、10万円未満や使用可能期間1 年未満の資産を一時の損金に算入できる少額減価償却資産、20万円未満の資産を3 年で全額を均等損金算入できる一括償却資産の2 つの規定では、リース資産を適用除外としました。
ここでも売買扱いになったことはまったく無視です。

30万円未満即時償却は適用対象
「中小企業者等の少額減価償却資産の特例」は総額300万円を限度として、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、損金経理を条件にして一時の損金算入できるものですが、条文上にリース資産を対象資産から除外する規定を置いていません。
従って、先の20万円未満リース資産も、この規定の中に呑み込まれて、即時償却できることになります。
ここでは、売買取引扱いになったことが有効に生きています。




リース取引の中には、金銭の貸借として取扱われるものもある 2009年08月18日

セール&リースバック取引
資産の譲受人(=賃貸人)から譲渡人(=賃借人)に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る。)をすることを条件に資産の売買を行った場合に、その資産の種類、売買および賃貸に至るまでの事情その他に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときには、税務上は次のように取扱われます。

①その資産の売買がなかったものとして、売買により計上した利益(または損失)を否認する。
②譲渡人が譲受人から受け取った譲渡代金は借入金として認定する。
③譲受人(=賃貸人)がリース期間中に支払うリース料総額のうち、借入金相当額は元本の返済額とし、それ以外を支払利息として認定する。
金銭貸借に該当するかどうかの判定金銭貸借に該当するかどうかは、取引当事者の意図・リース資産の内容などから、そのリース資産を担保とする金融取引を目的としているか否かにより判定します。

例えば次のよう取引は金銭貸借に該当しません。
(1)譲渡人が譲受人に代わって資産を購入することに次のような正当な理由があり、かつ、立替金、仮払金等の仮勘定で経理処理し、購入価額で譲受人に譲渡するもの。
① 数多くの種類の資産を購入する際に、譲渡人が購入した方が効率的なもの。
② 輸入機械・器具のように通関事務などに専門的知識が必要とされるもの。
③ 今までの経験からして、譲渡人が購入した方が安く購入できるもの。

(2)譲渡人が事業の用に供していた資産を、資産の管理事務の省力化のためリース

会社などに譲渡し賃借を受けたもの。
消費税の取扱い
税務上で金銭貸借取引として認定された場合は、譲渡とリースはなかったものとされるため消費税はかかりません。




中間申告、する?しない? 2009年08月17日

2分の1 の申告、納税
法人の事業年度が6か月を超える場合には、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に、中間申告書を提出しなければなりません。
事業年度の期間は法人が独自に定めることができることになっていますが、現在ほとんどの法人が1年間を事業年度としていますので、前事業年度の税額の12分の6を中間申告書として申告し、
納税することになります。
ただし、この中間申告として算出される税額が10万円以下であるときは、申告も納税も不要となっています。
2 分の1 が多すぎるのなら中間申告は今期も前期と同程度の所得や税額になると想定して、前期の半分の税金を仮納付させようという趣旨のものです。
しかしたまたま前期の業績が良すぎた、逆に今期の業績が落ち込んで、前期ほどには見込めないというような場合には、今期6か月間の仮決算所得での申告、納税が認められています。
苦しいときこそ中間申告、資金繰り面でおおいに助かるはずです。

中間申告はしなくてもよい
確定申告には所得や税額を確定するという重要な意味がありますが、中間申告はそのような意味はなく、税金を仮納付させるためのものです。
したがって期限までに仮決算による中間申告書が提出されなければ自動的に前期の12分の6の税額が確定することになっています。
申告をしなくても確定申告のような無申告加算税は発生しませんが、納税が遅れると延滞税は発生しますので、留意してください。




メタボと医療費控除 2009年08月14日

メタボと医療費控除
洋ナシとリンゴ
下腹部、腰のまわり、太もも、お尻のまわりの皮下に脂肪が蓄積する洋ナシ型タイプを「皮下脂肪型肥満」、内臓のまわりに脂肪が蓄積するリンゴ型タイプを「内臓脂肪型肥満」との分類があります。

メタボリックシンドロームとは
生活習慣病とよばれる疾患に高血圧、糖尿病、高脂血症などがあり、これらの疾患は個々の原因で発症する独立した別の病気ではなく、内臓脂肪型肥満が原因と言われており、これによってさまざまな病気が引き起こされ易くなった状態を「メタボリックシンドローム」といいます。
厚生労働省の調査によると、40~74 歳までの中高年世代においては、男性では2人に1人、女性は5人に1人が該当するとされています。

医療費控除の対象になるか
ところで、健康診断の費用は、病気の治療を行うものではないので、重大な疾病が発見され、引き続きその治療を行わない限り医療費控除の対象とはなりません。
そして、従来の常識ではメタボは重大な疾病とは言えそうもないので、メタボとの診断結果だけでは健診費用は医療費控除の対象になりにくそうですし、メタボは疾病以前の症候なのでメタボ対症費も治療費と言えそうもありません。

拡張解釈の仕方と展開
ところが、事態は大きく変わりました。
今年4 月から40~74 歳の保険加入者を対象にいわゆるメタボ健診が導入されました。
テレビ等でこれが話題になりだしたところで、厚生労働省健康保険局長は国税庁に税務取扱いの照会をしました。
これに対し、「下記の見解で差支えない」との回答があり、メタボ費用は医療費控除の対象になることになりました。

◆メタボは「高血圧症・脂質異常症・糖尿病と同等の状態と認められる」。
◆メタボと診断され、かつ、引き続きメタボ保健指導が行われる場合には、メタボ健診費用の自己負担額は医療費控除の対象となる。
◆引き続き行われたメタボ保健指導費用の自己負担額は、医療費控除の対象となる。
◆確定申告書にはメタボ健診、メタボ保健指導についての概要を記載した領収書を添付する必要がある。




会社と家の間の事故は通勤災害? 2009年08月13日

通勤災害とはどのような場合か
労働者が通勤途上に被った負傷、疾病、障害又は死亡は労災保険の通勤災害となります。
この場合の通勤とは就業に関し、
(イ)住居と就業場所との間の往復
(ロ)就業の場所から他の就業場所への移動
(ハ)単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動について合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くとされています。

通勤災害の5つの要件
① 上記の「就業に関し」とは往復又は移動が業務と密接な関係をもって行われることが必要であり、被災当日に就業することとなっていた、または現実に就業していたことが必要です。
移動の場合は原則として就業日の前、翌日までに行われるものは就業との関連性が認められます。
② 「住居」とは労働者が居住して日常の生活を行う家屋等の場所で、本人の就業のための拠点をいいます。
就業の必要上、家族と離れ、会社近くに借家住まいをし、そこから通勤するときは、そこが住居となります。
③ 「就業の場所」とは業務を開始又は終了する場所をいい、一般的には会社や工場等本来の業務を行う場所をいいます。
外勤者等は最初の用務先の業務開始場所となり、最後の用務先が終了の場所となります。
④ 「合理的な経路及び方法」とは往復又は移動を行う場合に、一般に労働者が用いると認められる経路及び方法をいいます。
経路については、通勤のため通常利用する経路であり、合理的な方法とは公共交通機関の利用、自動車、自転車等を本来の使途で使っている場合、徒歩の場合等、通常用いられる交通方法は一般的に合理
的方法となっています。
⑤ 「業務の性質を有するものを除く」とは、上記の①~④までの要件を満たした場合でも、その行為が業務の性質がある場合は通勤ではなく、業務中の災害となります。




医師会の消費税非課税批判 2009年08月12日

非課税はありがた迷惑
日本医師会は平成22年度税制改正要望で、社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度をゼロ税率ないし軽減税率とすることを求めています。
社会保険診療報酬等に対する消費税は非課税とされているため、医療機関の仕入れに係る消費税額(医薬品・医療材料・医療器具等の消費税額、病院用建物等の取得や業務委託に係る消費税額など)のうち、社会保険診療報酬等に対応する部分は仕入税額控除が適用されず、還付(戻し税)されないことは、不合理と指摘しています。
そして、ゼロ税率ないし軽減税率になれば、一切の消費税非課税に関する不合理を解消できるとしています。

医師会だけではない
国は、消費税を課税するとしている課税売上に係る消費税の総額を税収とすればよいのにもかかわらず、非課税と定めた売上に係る前段階仮納付消費税を収納したまま還付しません。
非課税売上に係る消費税が国に仮納付されたままであることは不合理なことです。
医師会はこれを指摘するのですが、不合理から救済を医師会だけの問題としています。
しかし、この不合理には介護サービスや住宅貸付ほか多くの非課税事業者が被害を受けているのですから、医師会だけの主張にすべきではありません。

医師会は配慮されていた
消費税導入の際やその後の(3%→5%)税率引上げの際において、還付されない消費税相当分を考慮して社会保険診療報酬の値上げがされています。
確かに、医療機器、病院用建物等の取得の際に負担する消費税は多額になるため、こういうものまでの配慮が不十分であることの主張に誤りはありません。
とは言え、他の中小零細の非課税事業者はそのような仕入税額控除不適用分を売上代金に転嫁できる制度的恩恵を受けることなどできず、泣き寝入りしているだけなのですから、このような非課税事業者の声も代弁した主張にしてほしいところです。




夫婦の年齢差と年金受給額 2009年08月11日

加給年金と振替加算の関係で変わる年金額
年金受給をする際に、夫婦の年齢差で年金受給額の有利・不利はあるのでしょうか?
夫婦各々の年金受給額は加入中の報酬や、加入期間で決まってきますので、その時点では有利、不利ということはありません。
ただし、厚生年金の加入期間が20年以上ある場合には、配偶者や子がいる場合、加給年金や振替加算が付く事があります。
加給年金とは、厚生年金に20年以上(男子40歳以降、女子35歳以降に15年以上)加入した人が定額部分の支給開始年齢となった時に、その方の65歳未満の配偶者(一般的には妻)で年収850万円未満(所得では655.5万円未満)の人や、18歳到達時年度末までにある子がいる場合に受けられるものです。
受給権者(一般的には夫)が昭和18年4月2日生以降の人の場合は配偶者加給年金額は39万6千円、子の場合は22万7千9百円が支給されます。
振替加算とは、配偶者が65歳になると、加給年金は外れますが、配偶者自身の老齢基礎年金に加給年金相当額として振替加算が支給されます。
ただし、振替加算に切り換わると配偶者の生年月日により、加給年金額よりは減額された額で支給されます。
つまり、配偶者が若ければ若いほど、加給年金は長い期間受給できる事となります。
また、配偶者(一般的には妻)が働いている場合、厚生年金加入期間が20年以上ある(男子40歳以降、女子35歳以降に15年以上)配偶者が厚生年金を受給するようになると、加給年金は支給されなくなります。
配偶者が20年以上厚生年金に加入した場合には、加給年金や振替加算は支給されないのですから、配偶者の勤務期間が20年を超えそうな時は、場合によっては退職も一つの選択肢かもしれません。





仮装隠蔽と偽り不正 2009年08月10日

仮装隠蔽と偽り不正
「仮装隠蔽」と「偽り不正」との二つの言葉があります。
税法上いずれも不適法な行為の類型なのですが、この二つは明確に使い分けられています。

仮装隠蔽へのペナルティー
仮装隠蔽行為は重加算税が課せられる原因となります。
また、仮装隠蔽により支給された役員給与は損金不算入です。
仮装隠蔽行為のために要した費用は損金不算入です。仮装隠蔽行為があるときには青色申告承認や連結納税承認が取消しとなる場合があります。

偽り不正へのペナルティー
偽り不正の行為については5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金という罰則があります。
また、期限前納税が強制されたり、1年超の期間の延滞税の免除規定が不適用となったり、更正処分の期間制限や国税債務の時効の期間が7年に延びてしまう、という重い負担が強いられます。

仮装隠蔽と偽り不正の範囲の相違
仮装隠蔽とは、
(1)二重帳簿の作成
(2)帳簿・書類・証憑の隠匿、虚偽記載、改竄
(3)架空名義などでの事業の経営や取引・所有・取得、(4)税務調査での虚偽答弁、などであるとされています。

偽り不正とは、脱税の意思を持って偽計その他の工作をして、税の賦課徴収を不能もしくは著しく困難ならしめる過少申告や無申告をすることとされています。

偽り不正は仮装隠蔽を含むが
偽り不正とされ、7年間の遡及課税をされたアメリカ大使館職員給与の過少申告の事件では例外的に重加算とされませんでしたが、偽り不正事件のほとんどは重加算税の対象になっています。
逆に、仮装隠蔽には刑事罰規定はありませんし、仮装隠蔽ゆえに重加算税が課されても、時効5年や個人3年、法人5年の更正除斥期間に変更はありません。延滞税の1年超期間の免除も維持されます。
語感からくる仮装隠蔽と偽り不正の違法性の軽重度合いは似ているかもしれませんが、ペナルティーの重さには大きな相違があります。




仮決算のすすめ 2009年08月07日

前事業年度の法人税額が20万円を超える場合、半期経過後に、その半分の税額を納税する必要があります。
しかし、業績が悪化し資金繰りが厳しい場合、納税せずに済ませる方法があります。

中間申告には2種類ある!
(1)予定申告
前事業年度の法人税額等の半分を、半期経過後から2カ月以内に納税する方法です。
ただし、前事業年度の法人税額が20万円以下の場合には、納税する必要はありません。
また、中間申告書を提出しない場合は、予定申告したものとみなされますので、納税せずに放っておくと延滞税がかかってしまいます。

(2)仮決算による申告
仮決算とは、事業年度開始から6カ月間を1事業年度とみなして中間決算を行い、それに基づいて、中間申告を行う方法です。
前期は業績が良く多額の納税を行ったが、今期は業績が悪かったり赤字が見込まれる場合は、仮決算に基づく中間申告を行うことにより、中間納税の負担が軽減されます。
なお、この場合は、税務署等から送られてくる中間申告書は使用せず、確定申告書と同じ様式によって申告します。
中間申告による納税額は、確定申告による納税額から控除されます。

仮決算ってどうするの?
仮決算も決算ですので、基本的には、決算手続きと同様の手順です。
現金残高の確認から始まり、減価償却費の計上や決算整理仕訳も行います。

消費税は?
消費税も仮決算による中間申告を行うことができます。
法人税は予定申告で消費税は仮決算で、といったようにそれぞれ選択適用できますので、シミュレーションして有利な方法を選択すると良いでしょう。

 




特例民法法人(旧公益法人)待ったなし 2009年08月06日



新公益法人制度の根拠となる法律3本が平成18年5月成立、平成20年12月1日から施行されています。
この3本の法律は、
①一般社団・財団法人に関する法律(法人法)
②公益社団・財団の認定等に関する法律(認定法)
③従来の公益法人に係る新制度への移行手続きに関する法律(整備法)
からなります。

(1)新公益法人制度の骨子
新制度では、公益法人の設立は、従来の主務官庁による許可主義から準則主義に改められました。具体的には、
①法人法の要件を満たせば、登記のみで一般社団・財団法人を設立することが可能となり
②設立された一般社団・財団法人のうち、認定法に定められた基準を満たしていると認められる法人は、公益認定を受けて公益社団・財団になることができます。

(2)既存の公益法人はどうなったのか
既存の公益法人(社団・財団)は、新制度の施行(平成20年12月1日)と同時に「特例民法法人」となりました。
そして、法律の施行から5年以内(平成25年11月30日まで)に、公益社団・財団法人への移行認定(2階に上がる)又は一般社団・財団への移行認可(1階に下りる)の申請をしなければなりません。
申請を行なわなかった場合、認定又は認可が得られなかった場合は、解散となります。
なお、特例民法法人の間(移行期間5年間)は、運営及び法律の適用関係は従前のままです。

(3)公益法人(2階に上がる)への移行
特例民法法人が公益認定を受けて「公益社団・財団法人」になるためには、定款の内容等が法人法及び認定法に適合することが前提にありますが、少なくとも、認定基準の次の3条件をクリアーしないと厳しいと考えます。
①収支相償であること(公益事業で儲けてはいけない)
②公益目的事業比率が50%以上であること(公益事業に要する費用が事業費及び管理費の合計額の5割以上であること)
③遊休財産額が1年分の公益目的事業費相当額を越えないこと。

(4)一般法人(1階に下りる)への移行
特例民法法人が一般社団・財団法人への移行は比較的容易ですが、最大の障害は、法人の移行時の純資産額を基礎に計算した「公益目的財産額」がある法人にあっては、公益目的財産額に相当する金額を公益の目的のために消費していく実行性のある計画(公益目的支出計画)を作成しなければならないことです。




健康診断を受診しない時 2009年08月05日

職場の健康管理(健康診断)
企業には、そこに働く人に対し、安全と健康を確保するため、健康診断の実施をする事が「労働安全衛生法」に定められています。
対象者は常時雇用する従業員については、1年以内に1回、パートタイマーでも1年以上雇用され、1週間の労働時間が通常勤務者の4分の3以上の者については同様に実施する事となっています。
健康診断の実施はその結果について医師からの意見を聴き、事後措置等を本人へ通知し労災予防や健康維持のための指導を行う事であり、健康管理は企業の安全配慮義務の観点からも、又、活力ある職場環境の面からも欠かせないものでしょう。

健康診断の未受診者の扱いはどうする?
しかし、定期健診を予定していても、業務多忙や個人的な都合で受診しなかったり、受診拒否された場合、会社に責任はあるのでしょうか?
健康診断の受診は従業員にも受診義務がある事が「安衛法」に定められています。
ただ、ここには未受診者に対する罰則等は規定されていません。
企業としては、従業員側にも受診義務がある事を告げ、診断日の予備日を設けたり、受診しやすいよう業務上の配慮を行い、未受診者には改めて受診を指示する事が必要でしょう。
(なお、従業員が他の医師の健診を受け、その結果の書面を提出した場合は、会社の健診を受けなくて良い事とされています。)
企業は受診機会の提供や費用負担をするだけでも、なかなか大変ではありますが、健診日を設定するだけでは不十分なので、従業員側にも健康診断の大切さを理解させ協力を求めたり、就業規則に従業員側にも受診義務がある旨を記載しておくのも良いでしょう。




景気と労働時間の関係 2009年08月04日

働きたいが、仕事量減じて余暇が増える
昨今の景気後退で、働く人の労働時間が減ってきています。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によってもその実態は明らかになっています。
我が国の実労働時間は10年以上前は年間2,000時間を超えていました。
最近10年は週休2日制の進展もあり、1、800時間台半ばで推移していました。
ただし、この数字はパートタイム労働者を含んだ全労働者の平均労働時間であり、むしろ一般労働者の労働時間はここ数年は増加傾向にありました。
週60時間以上働く長時間労働者は30代では5人に1人という調査結果もあり、08年度の過労による労災認定者数も心の病の人は過去最多、過労自殺や過労死も過去2番目の高水準でした。景気が悪化し、企業間の競争が激化した職場では益々厳しい労働環境になってきています。
しかし一方で、08年秋に生じた金融危機以降雇用情勢が悪化して、労働時間が減った職場も大幅に増えて来ています。
ある調査によると正規社員では3割程度が、非正規社員では4割以上が労働時間が減ったと答えています、
所得の面でも一世帯当たりの平均所得は1994年の年664万円をピークに減少傾向にあり、非正規社員の増加や高齢者単身世帯の増加が影響し、07年には世帯収入は556万2千円と19年ぶりの低水準です。
所定外労働時間(残業時間)も09年4月には月13時間と前年同月比で22.3%減じています。
今までのように過重労働が問題となっていた時期に比べ、労働時間が減る事は喜ぶべき事のはずですが、収入が減ると帰りに「ちょっと一杯」もしにくくなりますし、将来設計にも影をおとしてきます。
家族団欒の時間が増える事は良い事ですが、空いた時間の使い方に本人だけでなく、人によっては早い時間の帰宅に家庭でもとまどいの光景がみえるようです。
働く環境と収入のバランスがとれるのが良いのでしょうが、今は企業も働く人も将来に備えた種まきの時期ということでしょうか。




払ってない保険料の控除 2009年08月03日

2分の1損金保険
養老保険では保険期間満了時に死亡保険金と同額の満期保険金が支払われます。
契約者が法人、被保険者が役員及び従業員、満期保険金の受取人が法人、死亡保険金の受取人が被保険者の遺族となっている場合、保険料の半分が損金、残り半分が資産積立となるとの通達があります。

受取人が逆のケース
逆の、満期保険金の受取人が被保険者、死亡保険金の受取人が法人となっている場合については通達の定めがないのですが、実務的には同じ2分の1損金扱いとなっています。
ある会社では、この保険契約をして支払い保険料の半分を会社負担損金とし、残りを被保険者の個人負担としました。

満期保険金の受取の課税関係
このケースで、個人が受取った満期保険金は、一時所得として所得税・住民税の課税を受けることになります。
一時所得では「収入を得るために支出した金額」は必要経費となりますが、収入との直接的関連性も要求されています。
それで、必要経費の額は個人が負担した部分のみか、会社負担分も含めた保険料全額か、どちらでしょうか。

法令や通達の規定は
法令では、生命保険金が一時所得となる場合、保険料の「総額」を控除できるものと定めており、通達でも、使用者が負担した保険料で給与等として課税されなかったものは控除保険料の総額に含まれる、としています。
先のケースでの係争で、地方裁判所は、会社負担分を含めた保険料総額を必要経費とする、との納税者の主張を認めました。

税務署の反論、租税公平論の欠如
税務署は、一時所得の計算上控除されるのは、本人が負担した保険料と給与課税された保険料に限られ、本人が負担していない保険料は控除されないことになる、との解釈論を展開していました。
もともと法令通達に欠陥があり、法人処理への扱いに問題があるのですが、納税者勝訴には意味があるものの、租税負担の公平論からすると、判決には疑問があります。議論の場はいま高裁に移っています。