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同族判定と自己株式 2009年10月30日

同族会社概念の多義化
同族会社には、
同族会社(役員の認定、使用人兼務役員の制限、第二次納税義務、行為計算否認規定)
特定同族会社(留保金に対する特別税率)
特殊支配同族会社(役員給与の給与所得控除相当額の損金不算入)
の3つの使い分けがあります。

同族会社の判定は、上位3株主グループの持株割合50%超
特定同族会社の判定は第1順位株主グループの持株割合50%超
特殊支配同族会社の判定は業務主宰役員グループの持株割合90%以上
です。

持株割合とは
この判定での持株割合とは、発行済株式における所有割合ですが、自己株式がある場合には発行済株式数は自己株式数を除いた株式数によらなければならないとされています。
自己株式の有無が判定に重大な影響を及ぼすケースは少ないでしょうが、所有割合が各判定の境界線の近くにある場合には、判定が逆転する可能性もありますので、注意が必要です。

例えばこんな時
ある会社の発行済株式数が100 株で、オーナー経営者とその親族等で85 株保有していたとして、特殊支配同族会社の判定を行うとします。
特殊支配同族会社の該当要件は発行済株式の所有割合が90%以上であることですが、この会社は85%ですから特殊支配同族会社には該当しません。
しかし、6株の自己株式が存在していたとすると、自己株式を除いた発行済株式数は94株となり、所有割合が90.42%(=85 株/94 株)となり、特殊支配同族会社に該当することになってしまいます。

持株割合だけではない
ちなみに、会社法により様々な種類株式が発行可能になったため、各種同族会社の判定には発行済株式の所有割合による判定のほかにも、議決権数による判定、持分会社の社員数割合による判定、も加わり割合
の一番大きいもので、判定を行うことになっています。
ここでの議決権数による判定でも、会社法で自己株式は議決権を行使することができないとされているため、議決権総数から、自己株式の議決権数は除かれることになります。




国税の時効の意味 2009年10月29日

国税の時効
国は税金を徴収することができる権利をもっています。
これを「国税の徴収権」といいます。
その権利は、国税の法定納期限から5 年間行使しないことによって時効により消滅するとされています。

時効の利益
通常の債権債務において、時効による利益を得るには「時効の援用」すなわち時効の利益を得ることを選択する旨の主張をしなければなりません。
しかし、国税債務については「その援用を要せず、またその利益を放棄することができない」と法律で定めています。

更正の期間制限
時効と似ているものに「更正・決定の期間制限」があります。
税務署長による税額の変更や確定の権限行使可能期間のことです。

修正申告の期間制限
税額を変更・確定する権限は、申告納税制度の下では第1次的には納税者にあります。
当初申告による税額確定、修正申告による税額確定がその権限行使です。
修正申告は税務署長による更正処分がある前ならいつでもできます。

時効の利益を侵害できるか
期限内申告書を提出後5 年経過後において時効の確定している税額について「更正処分ができるか?」「納税者サイドからの修正申告ができるか?」と問われたら原則的には「否」です。
第1に一般の更正・決定の期間制限は時効の期間より長くないこと
第2に時効の利益は放棄できないので、時効の完成により租税債務は消滅していて修正申告の対象としてはもはや不存在である
ということです。
敢えて修正申告をしても、それは無効な行為をしていることになります。

時効が2 年延びることも
刑事告発されるような「偽りその他不正の行為」が発覚した場合には、時効の完成は7年に延び税務署長の更正処分の期間も7年に延びることになっています。
この場合には、修正申告も可能です。ただし「偽りその他不正の行為」が立証されないままでの修正申告書の提出は無効の行為の可能性が大です。
筋論からすればこのような場面は、職権更正以外はありえないというべきでしょう。




チョコレートと税金 2009年10月28日

消費税をあげるとすると
消費税の税率アップの検討の中では、世論の反発を配慮して食料品非課税やゼロ税率あるいは複数税率化というような意見が出てきます。
これら複数税率等は、税制複雑化・企業負担増加・課税ベースの蚕食を招く弊害がありますが、ヨーロッパでは普遍的になっている制度です。

イギリスでの食料品課税
イギリスの付加価値税は1973 年に導入されました。
現在、標準税率は17.5%ですが、食料品などに対してはゼロ税率が適用されています。
しかし、すべての食料品に対してゼロ税率が適用されるのではなく、菓子類・冷凍菓子類・アルコール飲料など例外的に標準税率が適用される食品があります。

チョコレートは
「ドイツ11.1Kg・オーストリア10.1Kg・ベルギー9.5Kg・イギリス9.4Kg に対し日本2.2Kg」
この数字は何かというと、国民一人当たりのチョコレートの年間消費量です。
こうしてみると、日本に比べてヨーロッパの人々はたくさんのチョコレートを食べていることがわかります。
チョコレートは菓子類に含まれ、17.5%の標準税率が適用されています。

外見はチョコレートでも
イギリスでは、ビスケットやケーキは、日本人の感覚と異なり菓子類ではなくパン類に分類されています。
小麦粉を使用し調理の過程で「焼く」という点で共通するからという考え方があるようです。
それでビスケットやケーキにはゼロ税率が適用されています。
チョコレートでコーティングしたケーキも外見はチョコレートでもゼロ税率です。

ビスケットは
ところがチョコレートでコーティングしたビスケットには税率17.5%が適用されます。
なぜ?と疑問に思いますが、ケーキの場合とは異なりチョコレートにビスケットが着いているという見方をされているようです。
ビスケットなのかケーキなのか判定困難なケースでのチョコレートコーティング商品ではかつて裁判で争われた事例もあったそうです。
制度が変わると予測のしようもないような珍事件が起きるもので、これは日本でも同じです。




消費税の仕組み 2009年10月27日

1.原則的計算方法
原則として消費税は、売上などでお客様から預かった消費税額から、仕入や交際費・会議費などで支払った消費税を差し引いて、最終的に残った額を納税します。
したがって、お客様から預かった消費税よりも自分が払った消費税の方が上回っている場合には1年間の全体を通してみると消費税を支払いすぎになっていますので、申告により還付を受けることができます。

2.具体例
<納税のケース>
仕入値が6万3千円の商品を10万5千円で売り上げた場合、預かる消費税は5千円で、支払った消費税は3千円です。従って納める消費税は2千円となります。

<還付のケース>
同じく仕入値が6万3千円の商品を10万5千円で売り上げた場合で、仕入れの際に3つで18万9千円支払っていた場合、すでに支払っている消費税は9千円となりますので、申告をするとその差額の4千円が還付されます。

3.大きな買い物をする場合
例えば、商業ビルや自動車の購入など、固定資産の取得に際し、大きな金額を支払う場合には、その分だけ消費税も多く支払っていることになります。
この場合、固定資産は減価償却により購入金額を経費にしていきますが、消費税は支払った期に全て控除する計算をします。
極端な例を挙げますと、年度末に耐用年数50年の商用賃貸ビルを10億5千万円で購入した場合、減価償却費として当期に経費に計上できる額は50年の1か月分で約150万円ですが、控除できる消費税の額は、ビルを購入する際に支払った消費税の全額である5千万円となります。

消費税は法人税や所得税とは全く異なった算出方法により計算されます。
したがって、赤字であっても消費税には納付額が出たり、利益が出て、法人税や所得税を払った時でも消費税は還付されたりすることがよくあります。
設備投資などで大きな買い物がある際には、必ず事前にご相談をお願いいたします。




FXとは何者? 2009年10月23日

脱税ニュース相次ぐ
外国為替証拠金取引のことを通称『FX』と呼んでいます。
近年FXによる脱税ニュースが巷を騒がせました。
脱税額も億円単位の話です。
なかには主婦や高齢者の方が対象となっています。
脱税するからには、それ以上の儲けが出ているのが当たり前のはずです。
どうしてそんな利益が可能なのか、FXとは何者か、どのような取引なのか 知っておいて損はないと思います。

外貨預金との違い
FXとは、1998 年の外為法改正によって生まれた歴史の浅い取引です。
よく混同しやすいのが外貨預金ではないでしょうか。
外貨預金は円をドルに換えて保有し、決済のときにドルを円に換えて元本と利息を受け取ります。
FXの場合は、取引業者に預けたお金は損を出した場合の担保として保管されます。
決済の時に為替の差額部分とその間の利息部分を受け取るまたは支払うことになります。
つまりFXは差金決済となります。
差金決済である以上、元本を全部必要とはせず少額で取引を行うことが出来ますので、大きな利益を生むこともあり、大きな損失を被ることもあります。
例えば100 万円を差金担保として拠出した場合、元本は1 億と言う外貨預金で取引していると決めることも可能です。
また、外貨預金の場合は買いから入ることしか出来ませんが、FXは買いからも売りからも入ることが出来ます。
つまり、円高になると予想すれば、ドルを売って円を買うという取引を行うことが可能となるわけです。

スワップ金利とは
FXの利益の源泉は大きく分けて二つあります。
一つは為替差益を享受することと、もう一つはスワップ金利を享受することです。
スワップ金利とは二国間の金利の差をいいます。
ドルを買って円を売った場合、アメリカが2%の政策金利で日本が0.5%の政策金利だとすると、年1.5%の金利が毎日
口座に反映する仕組みとなっています。
逆に円を買ってドルを売った場合、年1.5%の金利を毎日口座から差し引かれることになります。
高金利通貨を買って、低金利通貨の日本円を売ることにより、スワップ金利を大きく享受しようという戦略も考えられ
ます。




領収の証 2009年10月22日

領収証って何だろう?
領収証と言うと、すぐに思いつくのが税務調査などで支払を証明するための資料、サラリーマンであれば、会社に経費を請求するため、支払を証明する資料ということになると思います。
いずれにせよ、支払の事実を証明し経費に落としたりお金をもらったりするための証拠書類という認識が一般的だと思います。
ですから、なんでもかんでも領収証を貰うことが、ミミッチイと思われるのではないかと感じることや、「領収証はいらないよ」と言うと、なにかお金持ちになったような気分になるのではないでしょうか?

領収証の本来の意味は違います。
しかし、領収証の本来の意味は、金銭等のお金をもらったことを証明するための資料です。
例えばAさんが、いつも会社に請求書を送ってもらっているような(付けが利く)飲食店で、個人的に飲食をしたとします。
会社の仕事ではないので、もちろん付けにせずにその場で現金支払をしました。
もちろん、経費に落とすつもりもないし、特に領収証を必要としないと思い、Aさんは領収証を貰いませんでした。
後日会社の経理から、「会社の業務と関係無い請求が飲食店からきているがその分はご自分でお支払頂きたい」という旨の連絡がありました。
Aさんは憤慨してお店に駆け込み、事情を説明しましたが、店側からお金を受取ったという証拠の領収証を貰っていなかったことに気付き、泣く泣くもう一度料金を支払いました。

お金を払ったら領収証を貰いましょう。
領収証とは、店側が確かにお金を貰ったという資料です。
経費に落とすためとか、会社に請求する必要があるなしに関係なく、金銭等を支払った場合は必ず貰うべきものなのです。
金銭等を支払った側は、受取った側に領収証の作成を必ず要求できますし、要求されたら受取った側は必ず作成しなければなりません。




ビール券配布先不明は使途秘匿金? 2009年10月21日

ビール券や商品券を交際費として贈答したものの、その相手方の氏名等を会社の帳簿書類に記載することなく放置していたら使途秘匿金になってしまうのでしょうか。
税務調査の中でそのような指摘を受け、更正処分になったという事例があります。

更正処分された理由
更正の理由は、「『「商品券等の配付先をすべて管理している』と言いながらその意味は発注控をみれば配送先が判明するはずということにすぎず、それも紛失していたり発注先でもその原票保存が確認できないのだ
としたら、もはや商品券等の購入の事実が推認されるということにとどまり、引渡しの事実及びその目的並びに相手方の特定ができない以上、交際費等であるのか否かさえ判断できないから、各支出を交際費等で
あると認めることはできない」、ということでした。

使途秘匿金とは
赤字法人であっても、使途秘匿金があると、その金額の40%もの法人税が別枠で追加課税されます。
使途秘匿金は、法人の支出する金銭等のうち、相当の理由がなく、相手先の氏名等を当該法人の帳簿書類に記載していないものをいいますが、その記載要件は申告書の提出期限において充足している必要があります。
税務調査を受けた時にはじめて使途を開示したというのでは遅すぎるのです。

国税不服審判所の判断
納税者の異議申立を受けて国税不服審判所が審理して出した答えは、次のような普遍性の高い内容のものでした。
「企業が相手先を秘匿するような支出は、違法ないし不当な支出につながりやすく、それがひいては公正な取引を阻害することにもなるので、そのような支出は極力抑制する必要があるとの立法趣旨からすると、
支出の時期や金額の多寡等からみて相当と認められる金品の贈答については、公正な取引を阻害することにつながるものではなく、相手方の住所・氏名まで一々帳簿書類に記載しないのが通例であると認められる
から、その通例処理には相当の理由があると解され、相手方の氏名等を帳簿書類に記載しなかったことが秘匿するためであったか否かを判断するまでもなく、その引渡しは使途秘匿金の支出には当たらないという
べきである」と判断しました。




所得税の確定申告の際に控除できる社会保険料 2009年10月20日

健康保険や年金を支払った方は所得税の確定申告の際に、社会保険料控除の欄に支払った金額を記載し申告することで、税金を安くすることができます。

1.社会保険料とは・・・
以下、対象となる主な社会保険料は以下のとおりです。
国民健康保険料
国民年金
介護保険料
国民年金基金
後期高齢者医療費
など

2.社会保険料控除を受けることができる方
社会保険料控除は、社会保険料の対象となった人が受けられる控除ではなく、実際にその方の保険料を支払った人が申告できる所得控除です。
すなわち、ご自身の健康保険料を自分で納めた場合に控除を受けることができるのはもちろん、子供や配偶者の社会保険料を本人に代わって支払った場合にも控除を受けることができます。

3.法律ではどうなっているか
社会保険料控除を受けられる範囲について、法律では「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族」としていますので、一緒に生活をしていたり、(同居・別居を問わず)扶養していたりするような親族の社会保険料を負担している場合であれば控除の範囲内と考ていいと思われます。

4.控除ができない場合
ご夫婦がそれぞれ年金をもらっている場合で、例えば妻の年金から天引きされている介護保険料を夫の確定申告で控除することはできません。
社会保険料控除はあくまでも払った人が受けられる控除だからです。
また、同居親族の社会保険料を負担した場合でも、明らかにその親族が独立して生計を営んでいると認められる場合は控除を受けることはできません。

10月も半ばを過ぎ、確定申告の時期が近づいてまいりました
今年の確定申告で税金を安くする工夫は今のうちからやっておかなければなりません。
申告についてご心配な点がございましたらいつでもお気軽にご相談ください。




直接支払制度で出産費用負担軽減 2009年10月16日

支給額が4万円引き上げられる
健康保険の被保険者や被扶養者が出産した時に支給される「出産育児一時金」は、38万円となっていましたが、平成21年10月から42万円に引き上げられました。
産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産した場合で、それ以外では35万円から4万円引き上げられ、39万円となります。

4万円上乗せ助成は23年3月まで
対象となる出産は妊娠4カ月(85日)以降の分娩、死産等です。
4万円の追加支給は緊急少子化対策として、平成23年3月までに出産する方を対象としています。
また、新政権のマニフェストによると今後ほぼ自己負担なしに出産できるようにと、一時金は55万円まで助成を行うことが案として出されています。
出産時の費用負担が軽くなるのは助かりますが、子ども手当の財源確保も難しい中、実現はかなうのでしょうか。

手続きは医療機関等へ直接
今までは原則として出産後に、被保険者が申請し、本人に「出産一時金」を支給していましたが、10月からは被保険者が医療機関等に「直接支払い制度」を利用する旨の合意を申し出て、医療機関が出産一時金相当額を本人に代わって協会けんぽ等保険者に請求する仕組みとなりました。
まとまった出産費用を事前に用意する必要はなく、出産費用が一時金の額を超えていた時は、差額だけを支払えばよいので、一度に大きな額を負担する事がなくなりました。
また、退職日まで被保険者期間が継続して1年以上ある方が、退職日から6カ月以内に出産した場合で、在職中に加入していた健康保険からの出産一時金の支給を希望する場合は「資格喪失証明書」を医療機関等へ提出する事で直接支払制度を利用する事ができます。
かかった費用が一時金より少なかった時は「出産育児一時金支給申請書」に「領収明細書」を添えて、協会けんぽ等保険者に差額を請求します。

直接支払制度を希望しない場合
従来通り、先に医療機関等へ被保険者が費用を支払い、後日支給申請書を協会けんぽ等保険者に請求する事もできます。
その場合には医療機関等で直接支払制度を利用していない事が明示された「代理契約に関する文書」及び「領収明細書」を申請書に添付します。




「士」業の源泉所得税 2009年10月15日

源泉徴収制度は広範囲
法人や個人事業主が、給料や賞与を支払う際には支払額に応じた所得税を徴収することが義務づけられています。
この天引きで徴収する所得税を源泉所得税といい、徴収が義務づけられた法人や個人事業主のことを源泉徴収義務者といいます。
源泉所得税は原則として徴収した翌月の10日までに国に納付しなければなりません。
源泉徴収義務者が源泉徴収の対象とすべき支払には、給与のほかにも様々なものがあります。
弁護士や税理士などいわゆる「士」業に対する報酬・料金は、その代表的なものです。

同じ「士」業でも異なった扱い
「士」業に支払う報酬等に対する源泉徴収税額は、報酬等の額の10%というのが原則ですが、同一人に1回に100万円を超えて支払うときはその超える部分について20%と、徴収割合が高くなります。
「士」業のうちでも、司法書士、土地家屋調査士、海事代理士については、報酬額から1万円を控除した金額に10%の税率をかけた額が徴収税額になります。
また、行政書士に対する報酬は源泉徴収の対象になっていません。




社員がやる気を出す評価の仕方 2009年10月14日

社員70名の化学薬品製造業B社では賃金テーブルと評価項目を社員に公開しており、4半期毎に社長が管理職全員の出席する席で「○○課は、外部環境が厳しくなった中で良く頑張ったので5段階評価のAランク」「△△課は、競合の状況が好転したのに機会の活用が不足したので、Dランク」と、具体的な根拠を挙げて評価を発表し、半期ごとの賞与に反映するとともに、年度の評価では昇給や処遇で報いていますので、課長達は発奮し、おおいに頑張って競争し、好業績をあげています。

上手な人事考課制度づくり
人事考課制度は
①業績などに応じた公正な評価で賞与や昇給に反映させる。
②能力の発揮度合を評価して、社員の能力開発・育成を図る。
と言う二つの目的があります。

制度づくりのポイントは
①評価項目を、「会社の業績への貢献」「対人関係能力(顧客や部下とのコミュニケーション能力の発揮度)」「技術・技能・ノウハウの活用度」「意欲・勤務態度」で構成し、自社の業務実態に合った分かりやすい表現にすること
②評価項目・評価結果の賃金や処遇への反映ルールを公開すること
③評価結果の公正性・納得性を保つこと
にあります。

評価のコツ
その評価結果の公正性・納得性を持たせるコツは次の3点です。
①なるべくホットな(結果がでたら早めに)評価結果を伝える。
②評価の根拠事実をキチンと伝える。
③全員が自分の評価の社内に於ける位置付けが解るように伝える。
それは大変難しく、多くの企業が苦労していますが、事例のB社は上手にやって、社員がやる気を出す効果をあげているのです。

政府の支援施策
人材育成に関して、職業能力の向上のための支援制度として「キャリア形成促進助成金制度」があり、問い合わせ先は独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センター(電話:0570-00154)です。




役員報酬を減額する場合の注意点 2009年10月13日

前回お知らせした通り、法人税の規定では、役員報酬を定期同額で支払わない場合にはペナルティが課されます。
期の途中で増額するのはもちろん、経営不振で減額を余儀なくされている場合にも、原則としてペナルティがかかります。しかし、役員報酬の減額について一定の用件を満たす場合、ペナルティが課されない事例がいくつか紹介されました。

以下に代表的な例を列挙いたします。
1.金融機関との協議による場合
2.株主からの要請による場合
3.利害関係者への信用を維持するため
4.その他

1.金融機関との協議による場合
経営不振により資金繰りが悪化したため、取引銀行に借入金の返済スケジュールを見直してもらう際に、その条件として役員給与を減額することになった場合などがあげられます。

2.株主からの要請による場合
経営不振の説明等のために開かれた臨時株主総会で株主から、業績や財務状態の悪化が役員の経営上の責任にあるとされ、役員給与の額を減額せざるを得ない場合などがあげられます。

3.利害関係者への信用を維持するため
業績や財務状況または資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保するために、経営状況の改善が計画され、この計画に役員給与の額の減額が盛り込まれた場合などがあげられます。

4.その他
①役員が病気等により一時的に執務が行えなくなった場合の減額
②グループ会社の給与と足並みをそろえるための減額
③社長から会長へなど、役員の分掌変更があった場合の減額
④企業の不祥事で責任を取った場合の減額


以上、役員報酬の減額については、一定の要件に基づき、様々なケースにおいて減額が認められています。
しかし、ただ単純に「利益を調整するため」、「一時的な資金繰りのため」、「企業の業績目標に達することができなかったため」などの理由では、定期同額報酬の減額要件は満たせません。
期中に役員報酬を増減させることを検討される場合には一度ご相談ください。




留保金課税と配当の流出時期 2009年10月09日

一定の同族会社には、通常の法人税の他に「特別の税金」が課されることがあります。
このことを「特定同族会社の留保金課税」と言います。
この留保金課税の是非はともかく、現行法では、資本金1億円以下の会社にはこの課税の適用はありませんので、多くの中小企業ではこの規定の存在を意識する必要はなくなりました。
しかし、商法から会社法に変わったことにより、留保金課税の規定が一部改正されています。

(1)配当の流出時期
税務において、当期の留保所得の金額を計算する際、期中に配当として社外に流出した金額をいつの事業年度の所得から控除するか、すなわち、配当による利益積立金(利益剰余金)が減額される時点についての明確な規定はありませんでした。
旧商法では、配当(中間配当は除く)は事業年度終了後の定時株主総会で利益処分が可決されて確定することを明文で規定していました。
そこで、税法は、この商法の規定に準拠し、「確定決算において利益の処分として流出される配当は、翌期に確定するが、その効果は当該事業年度末にさかのぼり、当該事業年度の社外流失」として取り扱ってきました。

(2)会社法ではいつでも配当できる
会社法では、定時株主総会に限らず配当(自己株式の取得も含む)は期中でも行うことができるようになりました。
これを受けて税務では、従来の取り扱いでは運用できなくなり、「利益積立金(利益剰余金)を減額するのは配当の基準日ではなく剰余金の配当等の効力が生ずる日」としました。

(3)配当の流出時期のみなし規定
具体的には、従来の定時株主総会の配当決議によると同様な留保課税の実務が踏襲できるよう、「配当の額は、当該基準日に属する事業年度に支払われたものとする」、みなし規定を設けました。
このみなし規定の対象となる配当は、「配当決議の日がその支払に係る基準日の属する事業年度終了の日の翌日から当該基準日の属する事業年度に係る決算確定日までの期間内にあるものに限る」とされています。
この規定の適用を受けるためには、株主資本等変動計算書の配当に関する注記において配当基準日及び効力発生日について適切な開示を行う必要があります。




役員報酬の改定について 2009年10月08日

役員報酬の改定は年に1 回だけにしましょう。

法人税の規定では、役員報酬を定期同額で支払わない場合にはペナルティが与えられます。
例えば、3 月決算の会社の場合は役員報酬の改定は決算月の翌月4月から7 月末の支払いまでです。
この時期に決定して毎月定額を支払う取り決めをしなければなりません。
以下、期の途中で役員報酬を増額した場合と減額した場合の影響を簡単にご説明します。

1.期の途中で増額した場合
例 役員報酬を月額100 もらっていたが半年後に月額を倍の200 にした場合
役員の年収は100×6 ヶ月+200×6 ヶ月で1800 になります。
しかし定期同額給与に違反していますので、法人税の申告書上で、役員報酬のうち増額した200 と増額前の100 との差額である100×半年分の600 が法人の経費から除かれてしまいます。
したがって法人の経費になる役員報酬は1800 のうち1200 だけとなります。
法人の経費から除かれたといっても、役員がもらった報酬の額は1800 のままですので、所得税と住民税は1800 を基準に計算されます。

2.期の途中で減額した場合
例 役員報酬を月額300 もらっていたが10 ヶ月後に月額を半額の150 にした場合役員の年収は300×9 ヶ月+150×3 ヶ月で3150 となります。
この場合も定期同額給与に違反していますので、法人税の申告書上で、役員報酬のうち減額前の300 と減額後の150 との差額150×9 ヶ月分の1350 が法人の経費から除かれます。
したがって法人の経費になる役員報酬は1800 です。
また、法人の経費から除かれたといっても、役員がもらった報酬の額は3150 のままですので、所得税と住民税は3150 を基準に計算されます。

結果として、増額した場合・減額した場合、どちらでも法人にとってみれば、「経費にならない無駄な支出」をしたことになってしまいます。

役員報酬の設定については、期の途中で簡単に上げ下げできないため、将来の予測も含めて非常に難しい判断を迫られます。
決算期が近づいているお客様につきましては、役員報酬の仕組みと注意点についてご説明させていただきますので、翌期の役員報酬の設定について、よく相談してから決定するようにお願い申し上げます。




年金保険料の控除のあり方 2009年10月07日

所得計算の原則
税法でいう所得とは利益のことで、収入から必要経費を差し引いた残額のことです。
必要経費とは収入を得るために支出した金額のことです。
年金収入についても必要経費相当額を差し引いてその所得を算出することになっています。
ただし、公的年金収入については支払年金保険料を必要経費にできないことになっています。

事業主負担分社会保険料の税の扱い
公的年金に係る支払年金保険料の半分は本人ではなく給与の負担者たる事業主が支払い、事業主の必要経費になります。
また、それは給与所得者の将来の年金所得の受給原資になりますので、給与所得収入に含めるべきものですが、税法上はそういう扱いになっていません。
収入は無いものと扱われ、従って年金保険料の支払いも無いものと扱われます。収入控除の扱いともいえます。

社会保険料の控除の理論的なあり方
公的年金に係る支払年金保険料の残り半分は給与所得者本人が支払いますが、それは給与所得者に課せられた法的義務に基づく金銭負担なので給与所得の必要経費になるべきものです。
さもなければ、事業主負担と同じく収入控除扱いにすべきものです。

所得控除にすることの不整合
公的年金等に係る支払保険料はすべて課税所得を減額しつつ支出されているので、年金収入の必要経費にはならないことは理解できます。
しかし、事業主負担分は収入控除扱いで、本人負担分は所得控除というのでは扱いに一貫性を欠きます。
一貫性に着目するなら本人負担分も通勤交通費と同じく収入控除扱いにすべきです。
必要経費性を重視するなら、事業主負担を含めすべて給与収入に計上し、給与に係る必要経費にすべきです。

問題は給与所得控除
支払年金保険料を給与所得の必要経費と理解するならば所得控除の現制度は二重控除を制度化していることになります。
給与収入控除が是との立場でも、現制度では給与所得控除額を過大にしているということになります。
給与に係る必要経費でありながら実質は架空経費である給与所得控除の存在が問題解決を困難にしています。




年金負担と個人起業 2009年10月06日

国民年金の被保険者
被用者年金制度(厚生年金保険・共済組合)に加入できない自営業、農林漁業、学生、無職の人などが国民年金の主たる加入対象者、保険料支払者です。
税理士や弁護士や医師も多くは個人事業者で国民年金の被保険者です。

個人事業所での社会保険
個人事業所は従業員5人以上のとき社会保険の強制適用事業所となります。
5人未満の事業所の従業員は国民年金・国民健保への加入となりますが、その規模の事業所でも社会保険への任意加入はできます。
なお、社会保険は被用者保険ですから、従業員は厚生年金・健康保険の被保険者になり、そしてその保険料の半分は事業主の負担になるものの、個人事業主はこれら社会保険の被保険者にはなれません。

年金保険の保険金の落差
個人事業主の加入する国民年金の保険金は最高にもらえても年額80万円未満です。
雇われている被用者が入る厚生年金の場合、平均的な人のモデル年金は月額24万円とされています。
自分の事業所で働いている従業員は将来月額24万円の年金を受け取れるのに、その保険料の半分を負担している自分は月額6万6千円しかもらえない、ということになります。




4つの壁 2009年10月05日

パートタイム奥さんの収入調整の時期になっています。
調整の前に立ちはだかる4つの壁について考えてみます。

100万円の壁
住民税の納税義務が発生するのは、給与年収が100万円を超えた場合です。
100万5000円の年収の場合、所得控除が基礎控除のみだったら、均等割4,000円、所得割1,250円となり収入増加額以上の税負担になります。
壁超過額5,000円程度では入りと出は逆転です。
ただし、これは小さな壁です。

103万円の壁
○妻自身の所得税はゼロ
○夫の所得税で配偶者控除の対象となる
こういう扱いとなるのが給与年収103万円までです。
例えば、夫の所得税の税率が20%の場合夫の所得税額が配偶者控除により76,000円減ります。
妻の給与年収が128万円で所得控除が基礎控除のみだったら、本人の均等割4,000円、所得割27,500円、所得税12,500円、夫の配偶者特別控除による減額は32,000円となります。
壁超過額25万円で81,500円の負担増となります。入りと出に逆転はありませんので、気にする必要のない壁と言えます。

130万円の壁
妻の収入が130万円以上になると、社会保険料を妻自身で負担することになります。
会社の社会保険に加入するか、市区町村の国民健康保険と国民年金に加入しなければなりません。
130万円になり会社の社会保険に加入した場合に負担する額は厚生年金保険料15.704%と健康保険料8.18%と介護保険料1.19%の各半分なので、概算で年間163,000円となります。
国民年金・国民健保加入の場合は、国民年金保険料175,920円、国保81,340円がそれぞれの年額となります。
この壁は巨大で突然の負担増により著しい支出超過となります。

配偶者手当内規の壁
所得の少ない配偶者に内助の功手当として月に数万円支給する会社があります。
この内規の壁は無視できない大きい壁といえます。




新型インフルエンザで休業した時の助成金 2009年10月02日

新型インフルエンザのピーク時企業対策
ある新聞記事によれば、企業で新型インフルエンザ流行時に事業を継続していかれるような事業継続計画を立てている企業は9%程度という調査結果が出ています。
新型インフルエンザは今後しばらく続くとみられ、持病のある方や高齢者、妊婦、子供等には配慮する必要があるものの、企業は流行時期に合わせた柔軟な対応が求められているようです。
欠勤が一定以上の人数になった時は在宅勤務、交替勤務、応援人員のやりくり等も必要ですが、もともと中小企業では人員の余裕はあまりないので、いざという時には拡大しないように手を打つぐらいとなるかもしれません。

助成金の対象となることも
一方で、このような状況下で新型インフルエンザで売り上げが減少し、社員を休業させた時には、「雇用調整助成金」及び「中小企業緊急雇用安定助成金」が「インフルエンザの発生及び感染拡大に伴う特例」として、対象となる制度の改正がありました。
もともと、「雇用調整助成金」とは景気の変動、産業構造の変化等に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、休業や教育訓練又は出向を行った事業主に対して、休業手当、賃金又は出向労働者に係る賃金負担額の一部を助成するものです。
さらに最近の改正で新型インフルエンザの対応の緊急性をふまえ、本年7月31日迄に初回の計画届を提出し雇用維持をしている事業主については、国内発生が確認された今年5月16日までさかのぼって、支給申請ができるようになりました。
生産量要件も緩和され「生産指標の直近3カ月の月平均値がその直前3カ月又は前年同期に比べ5%以上減少している事業所の事業主」の「3カ月」要件は「1ヵ月」に緩和されています。
対象は「新型インフルエンザの影響による客数や受注量等の減少」を理由に休業を行う事業所で、計画書を「新型インフルエンザ対応事業所の事業活動の状況に関する申出書」とともに都道府県労働局長に提出しておきます。
支給申請は判定基礎期間の末日から起算して2カ月以内となっています。




破綻上場株式 2009年10月01日

専門誌によれば、今年上半期における上場会社の倒産件数は、戦後2番目の数値だそうです。
自民党の小泉政権の時代、個人の金融資産について、「貯蓄から投資」への「構造改革」が叫ばれました。
この喧伝にのって、株式投資を開始して個人投資家となった方も多いのでないかと思われます。
しかし、当時の証券税制では、上場株式の発行会社が倒産した場合、上場廃止前に売却して損失を確定していない限り、倒産等による株式の無価値によるその損失は、譲渡損として扱われず、他の株式等の譲渡益と損益通算ができませんでした。
そこで、証券市場に個人資金の流入を促進するため、平成17年の税制改正で、一般の個人投資家の投資リスクの軽減策の一環として、株式喪失損の特例制度が創設されました。

(1)無価値化に伴うみなし譲渡損の特例
正式な制度の用語は、「特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例」です。
制度の概要は、特定口座で管理していた上場株式(国内法人株式)が上場廃止となり、その後、その株式が「特定管理口座」で引続き管理され、さらにその後、その株式が清算結了等に至った場合には、その株式の無価値化損失は、「株式等の譲渡損」とみなし、株式の譲渡益との損益通算を認めるものです。
なお、この制度は、平成17年4月1日以降に上場廃止に至り、その後清算結了等に至った場合が対象です。

(2)みなし譲渡損の金額の計算
譲渡損とみなされる「特定管理株式の価値喪失株式に係る損失の金額」は、その株式の取得価額相当額です。
(3)申告手続き
その会社の清算結了等の事実が発生した場合、「特定管理口座」を開設する証券会社等から「価値喪失株式に係る証明書」の交付を受け、その年分の確定申告書に明細書等の添付が必要です。
なお、この場合、上場株式等の譲渡損失の3年間の繰越控除制度の適用をうけることはできません。
もし、上場廃止となり無価値になった株式等があれば、この制度の適用可否を検討されるのも一考です。