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日本年金機構の創設 2010年01月29日

年金行政、運営組織の変革
公的年金制度は平成22年1月より年金業務の適正な運営と国民の信頼確保のため、社会保険庁を廃止し、非公務員型の公法人「日本年金機構」が運営を担うこととなりました。

国と年金機構の役割分担
国(厚生労働省)は財政責任・管理運営責任を負いつつ、一連の業務運営は年金機構に委任・委託をします。
国の権限を委任された業務(資格の得喪の確認、届出・申請受付や厚生年金保険の標準報酬の決定、年金手帳の交付、受給権者に対する調査、事業主に対する立入調査 等)については日本年金機構が実施し、国からの事務委託を受けた業務(裁定・年金の給付、原簿の記録・ねんきん定期便の通知、保険料の告知・督促など)については国の名で機構が実施します。

日本年金機構の組織の全体像
日本年金機構は「本部」(以前の社会保険業務センター高井戸庁舎)と北海道、東北、北関東・信越、南関東、中部、近畿、中国、四国、九州に9つの「ブロック本部」を置き、その下に都道府県単位の「事務センター」および全国312カ所の「年金事務所」(以前の社会保険事務所)で組織されています。
事務センターでは対面業務はせず届出処理業務に集約化しています。
年金事務所は、実際の窓口業務はこれまでの社会保険事務所で行っていた業務と概ね変わりませんが、事業所の調査や、年金相談などの地域に密着した対人業務に集約しています。
07年に年金加入記録もれが社会問題となった事に端を発した社会保険庁の組織改革、新しい組織で国民の年金制度に対する信頼を回復して欲しいものです。




税金の場合の消滅時効 2010年01月28日

時効制度とは
時効とは、法律用語の一つで、ある出来事から一定の期間が経過したことを主な法律要件として、現在の事実状態が法律上の根拠を有するものか否かを問わずに、その事実状態に適合するよう権利又は法律関係を変動させる制度です。

破産制度も
破産も債権債務関係を強制的に変動させる制度で、特に自己破産の場合は、破産宣告を受けて、免責を受けると、債務がゼロになり、ゼロからの再チャレンジの機会を得ることになります。
ただし,税金等の公租公課や養育費や扶養義務に基づく支払債務などは公序良俗的理由から例外的に免責されません。

国税の時効
国税徴収権の消滅時効の期間は法定納期限から5年です。
ただし、刑事告発されるような「偽りその他不正の行為」が発覚した場合には、時効の完成は7年に延びます。
租税債務は破産でも消滅しないのですから特別扱いなのですが、時効についても何か特別扱いがあるかというと、そういう規定は特にありません。
逆に、「その援用を要せず、またその利益を放棄することができない」とされていて、納税者に有利な規定となっています。

税金の場合の時効消滅
国税徴収官には、滞納税金の消滅時効を回避保全する事が義務付けられています。
滅多なことでない限り単なる期間の徒過による時効消滅はありそうではありません。
それでは、納税者が破産宣告を受けた後でも、督促状が送り続けられてきた上で、破産後5年経過前に時効中断措置が採られるものなのでしょうか。
形式的にはそういうことになるのでしょうが、実際には民間の債権債務の貸倒処理と同じく、滞納税金が少額であるとか、回収費用がかかりすぎるとか、回収そのものが困難とかの場合には、時効回避保全事務を解除する措置をとりますので、督促状も来なくなり、滞納税金も時効期間の経過とともに消滅することになります。





消滅時効を防ぐ請求とは? 2010年01月27日

売掛債権の消滅時効は2年
売掛債権について、請求書を出したのに、相手方が支払ってもらえずに時間ばかりが経過すると、気になるのは消滅時効です。
ちなみみに、生産者・卸売又は小売商人の売掛債権の消滅時効は2年です。

債務を承認すればそれでよいが
さて、こちらの請求に対し、相手方がしばらく待って欲しいと言ってきた場合には、書面で少なくとも自ら負っている債務の内容、金額を確認する一筆を取り付けることが時効を中断させるための証拠として必要です。
ただし、これで今後消滅時効がなくなるわけでなく、中断時から新たに2年の消滅時効が進行します。

請求書さえ出せば足りるか?
これに対し、相手方があくまで無視した場合にはどうでしょうか。
ただ手をこまねいて時間の経過を待っていてはまずいことはお分かりのことと思います。
とりあえず、請求書を出せば、権利行使をしているので、消滅時効は中断するのではないか。
そう考える方もおられることでしょう。
しかし、それでは消滅時効は止まりません。

内容証明郵便ならば十分なのか? 
請求書だけで不足ならば、内容証明郵便を出せばよいのではないかとお思いの方もおられるでしょう。
しかし、残念ながらこれも誤りです。
消滅時効を中断させるのに最も確実な請求とは、裁判を提起し、勝訴判決を得ることに他なりません。
なお、6ヶ月のブランクをおかずに、請求をかけ続ければ、裁判を起こさなくとも、時効は進行しないのではないかと思いの方がおられるかもしれませんが、それは誤解です。
正確には、消滅時効の期間内に督促をかけ、そこから6ヶ月以内に裁判を起こせば、仮に裁判を起こした時点で消滅時間を過ぎていても、時効が中断しますが、逆にその期間内に裁判を起こさなければ、やはり時効は中断されません。

 




役員慰労退職金による節税策 2010年01月26日

役員慰労退職金は、役員の功労をねぎらうという重要な意味を持つため高額になりがちです。
それではその支払いに耐えられる金銭をどこから捻出すればよいのでしょうか。

生命保険を活用
将来的な役員の退職を見計らって20年後に1億円の退職金を支払う予定をたてたとします。
退職金の支払いは先のことですので、今から1億円を用意しておく必要はありませんが、支出に備えて少しずつ積み立てをしておく必要はあるでしょう。
この際に、よく使われるのが生命保険です。
例えば、生命保険会社との契約で、20年後に1億円の生命保険金が支払われるようにした場合、毎月の支払う保険料のうち、半分が経費となり、半分が積立金として計上されます。
そして退職金支払いのため生命保険を解約したときには、受け取った保険金から積み立てていた金額を控除した金額が雑収入として計上され、課税の対象になります。
しかし同時に退職金を支払うことで収入と経費が両建てとなりますので、保険の解約に対する会社の税負担はなくなります。
したがって法人は、毎月の保険料について経費を計上することで毎期の税負担を軽減し、役員退職時には退職金を経費に計上でき、さらに役員の退職金原資を準備することができます。
また、役員は功労金を退職金として受け取ることで、退職所得控除という比較的大きな控除を取ることができ、大きな金額の収入を低い所得税率で受け取れることになります。

生命保険加入の注意点
生命保険の毎月の保険料は加入する時期、期間、保険金の額によって大きく変わってきます。
適正な金額ついてシミュレーションを行いますので、いつでもどうぞお気軽にご相談ください。




PE有無の判断慎重に 2010年01月25日

外国人(正しくは「非居住者」といいます)であっても日本で所得を得れば(この所得のことを「国内源泉所得」と言います)日本の所得税が課税されます。
その課税方式は、その外国人が日本にPEを持って所得を得ているか否かで異なります。
PEとは、permanent establishmentの略で 、通常、「恒久的施設」と呼ばれています。
PEがあれば、源泉分離課税に加えて総合課税の確定申告義務を負い、PEがなければ、源泉分離課税で課税関係が終了します。
これが、国内税法の原則的な定めです。

具体的には、
①支店PE(工場、事務所、営業所等)
②建設PE(国内において行う建設、プラントの組み立て等の作業所)
③代理人PE(契約締結等の代理)に分けられています。

(1)国内税法に優先する租税条約の存在
この国内税法の定めに対して、一般的には、その外国人の居住地国と租税に関する2国間の取決め(租税条約)があり、日本で得た所得であっても、日本にその外国人のPEがなければ、一定の所得については、日本では課税しないとする条約優先の規定があります。

(2)世界的権威の外科医5億円申告漏れ
過日、話題になった、「米在住の世界的権威の脳神経外科医が日本の病院で手術をし、得た収入が3年間で5億数千万円であったが、日本では申告しておらず、国税当局は、所得税及び消費税の申告を求めた」という新聞報道があります。
これに対し、外科医は「顧問の会計士は、日米租税条約では、日本にPEがなければ、外科医のような自由職業者の所得について、日本では課税しないことになっているので申告の必要はないと言われた」とコメントしています(詳細は不明)。

3)問題の所在(PEの事実認定)
実際、外科医は日本に事業所、手術施設等のPEを有していませんので、条約の定めからすれば日本に課税権はありません。
しかし、問題になったのは次の点でした。
国税局は実態を調査し、外科医と患者や病院との連絡やスケジュール調整を都内の医療機器販売会社に担わせていたことから、この会社を、外科医の代理人としてのPEと認定しました。




扶養親族の綱引き 2010年01月22日

離婚し、子は母方に
離婚後、養育費その他の費用を負担している父と、日常の起居を共にしている母とが、それぞれの勤務先に長女を扶養親族とする「扶養控除等申告書」を提出しているような場合、法律は、どちらか一方の扶養親族として調整することを要求しています。

調整不能時の判定
では、その調整ができない場合にはどういうことになるのでしょうか。
判断基準を考えるとしたら次のどれになるでしょうか。
①現実に長女と日常の起居を共にし、より多くの養育費を負担している者を優先すべきである
②納税者有利の原則から所得の大きいほうの扶養親族にすべきである
③長女を扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」を先に勤務先に提出したほうを優先すべきである
なんとなく、
①が最も正論
②は現実論とは言えるもののスジ論としては弱そう
③は意外な回答サンプルを提示するための異端な屁理屈
と思えそうです。
実際、この問題で係争となった事案があり、国税不服審判所の裁決が出ています。

審判所の見解は
①は母親の見解で、母親は税務署から長女を扶養親族とすることを否認され、増額更正処分を受けました。
②は税務署の見解で父親側に味方しました。
③は審判所の判断で、一転して母親に軍配をあげました。
審判所の裁決は、母親の見解も税務署の見解も否定し、第3の見解としての③を判断根拠としました。
③をもって法律の正しい解釈とするのは意外に思えますが、法令をよく読むと、確かに③とするのが正解になっています。

法令の内容は次の通り
法令には、①の見解の根拠になる規定はなく、規定があるのは②と③についてで、まず、勤務先に提出する扶養控除等申告書の提出の時間的先後をもって決着させるものとして③があり、それが決せられない場合は所得の大きい者の扶養親族とするとの②があります。
審判所は、各勤務先に扶養控除等申告書の提出された日を問い合わせて、母親の提出日が早いことを確認して、母親の申告を優先採用するものとしました。
書類は速やかに提出しといたほうが有利なのです。




サラリーマンの妻のカラ期間 2010年01月21日

妻の年金第3号被保険者とは
いわゆるサラリーマンの妻で被扶養者の方は、年金に関しては第3号被保険者となります。
夫(配偶者)の会社を通して第3号被保険者の届出を行うことにより、国民年金の保険料を支払った納付期間として扱われます。
被扶養者であるかどうかの認定基準は健康保険の被扶養者の認定の取り扱いに準じ、原則として年間収入が130万円未満の人が該当します。
保険料は夫が加入している年金制度から国民年金制度に対し、拠出金として支払われ、被保険者が個別に負担することはありません。
夫が厚生年金や共済組合に加入していることが前提ですので、夫が国民年金の加入者の場合は被扶養者であっても60歳未満ならば保険料は自ら納めなければなりません。

以前は妻の加入は任意であった
年金制度にこのような第3号被保険者制度が導入されたのは、昭和61年4月です。
その前は夫が厚生年金や共済組合の加入者であって妻がその被扶養者であったとしても、妻は国民年金に加入するかしないかは自由であり、「任意加入」とされていました。
加入すると保険料負担があるため、多くの妻は未加入であったようです。

カラ期間は加入期間と算定される
国民年金の受給資格を得る原則25年の加入期間を得るのに、任意加入しなかったという理由で受給資格期間が足りないのでは、不合理ということにもなりますし、一方で実際に任意加入し、保険料を支払っていた人もいるので、同じ扱いでは支払った人は納得できない事でしょう。
そこで年金を受給できるかどうかを確認する時には、任意加入をしなかった期間を反映し、受給資格期間とはするが年金額には加算されない、カラ期間として扱います。
この期間を忘れている方や、婚姻前の若い頃の加入期間が漏れている方も時々いますので、確認をしてみるのが良いでしょう。




年金のカラ期間 2010年01月20日

カラ期間とは年金の合算対象期間です
年金の受給資格を得るには原則25年の加入期間が必要ですが、年金額には結びつかないものの、老齢基礎年金の受給資格期間とされる期間があります。
年金額の計算には入らない期間なので、からっぽの期間という意味で「カラ期間」と呼んでいます。
正しくは合算対象期間と言いますが、年金の受給資格(25年以上)に加えることができる期間のことで、保険料は納めていないので、年金額には反映しません。
年金制度では、カラ期間が使えるかどうかで受給資格が得られるか否かというような影響が出ることがあります。

主なカラ期間の種類
①サラリーマンの妻であった期間(昭和36年4月から昭和61年3月までの国民年金に任意加入しなかった20歳から60歳までの期間)。
それ以降の昭和61年4月からは第3号被保険者又は1号被保険者になります。
②脱退手当金を受けた期間(昭和36年4月以降の厚生年金の脱退手当金を受けた期間で昭和61年4月以降に年金加入期間がある事)
③厚生年金に20年以上(中高齢特例の15年以上加入を含む)加入した後の本人及び配偶者の期間(昭和61年3月までの期間)
④遺族年金を受けていた期間(昭和61年3月までの期間)
⑤国会議員・地方議会議員であった期間(昭和61年3月までの期間)
⑥学生であった期間(平成3年3月までの期間)
⑦海外に住んでいた期間(20歳から60歳までの期間)
⑧学生納付特例期間で納付をしなかった期間
⑨若年納付特例期間で納付をしなかった期間
カラ期間の種類は他にもありますが、年金額には反映されないものの、受給資格期間として扱われるので、重要な期間といえるでしょう。




役員の退職金について 2010年01月19日

会社内に役員退職慰労金規定を完備することで、役員が退職した場合に退職金を支払うことができます。
創業者や代表者など、会社への貢献度が高かった役員については、退職金の支給額も大きな額になると思いますが、その額が高額になればなるほど、税務署によって不相応に高額であると指摘されるおそれが出てきます。
適切な金額とはどのようにして求めていけばいいのでしょうか。

1.役員退職金の決め方
一般的に役員の退職金は以下の計算式によって算出されます。
役員の最終月額報酬×勤続年数×平均功績倍率
このうち平均功績倍率とは、業種や売上高が同等程度の法人を何社かサンプルとして選定し、その会社の支給した役員退職金から功績倍率を算出し、その平均を求めたものです。すなわち、同業他社の退職金支給額にかかわる功績倍率を平均することで、不当に高額であると指摘されない金額が算出できることになります。

2.最終月額報酬
 景気後退が叫ばれる昨今、役員報酬を減額した上に、さらに退職をしなければならないという事態も生ずる可能性があります。
 その場合、上記計算式で退職金を計算すると、退職する役員の最終月額報酬は減額を余儀なくされた最近の低い報酬となり、退職金の計算についても低い報酬額が基礎となるため、役員の功労に報いる金額が算出できない可能性があります。
 そのため近年、役員退職慰労規定における役員の退職金の計算式を以下のように設定する会社も出てきました。
 在任期間中の最高月額報酬×勤続年数×平均功績倍率
このように規定することで、退職時に役員報酬が減少していたとしても功労に報いる退職金が算出できることになります。




準確定申告 2010年01月18日

相続人がする準確定申告
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。
しかし、確定申告をすべき人が年の中途で死亡した場合は、相続人が、1月1日から死亡した日までの所得金額に関して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。
また、確定申告をしなければならない人が翌年の1月1日から確定申告期限までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合も、同様に相続人は4か月以内に申告と納税をしなければなりません。
この死亡した本人に代わって相続人が行う申告を準確定申告といっています。

準確定申告は法文上にない
この準確定申告という用語ですが、所得税法及び同施行令上にはありません。
所得税法の第五章(申告、納付及び還付)第二節中、第一款(確定申告)、第二款(死亡又は出国の場合の確定申告)と区分されているところからして通常の確定申告とは違うと理解するところです。
タックスアンサーその他国税庁のサイト内では普通に準確定申告といっていますし、申告書の記載例においても「平成○○年分の所得税の確定申告書」の「確定」の前に「準」を手書きで挿入するようになっています。

非居住者のする準確定申告
ところで非居住者が一定の場合に確定申告をするときに使用する申告書は、「平成○○年分の所得税準確定申告書(所得税法第172条第1項に規定する申告書)」というものです。書式でも準確定申告書とあります。






平成22年度税制改正 国際課税編 2010年01月15日

税制改正速報の最後は、国際課税です。
改正の主要な部分は、タックス・ヘイブン税制です。
この税制は、軽課税国等(所得課税がない、あっても、税率25%以下の国又は地域)にある名目だけの外国子会社を利用して、租税回避を行うことを防止する目的で創設された制度です。
具体的には、その外国子会社の所得に相当する金額(持分相当額)を日本の親会社の所得とみなして、日本で課税します(正確には、内国法人に係る特定外国子会社等の課税対象金額の益金算入)。
但し、実体のある事業を行っている等、一定の条件(適用除外基準)を満たす場合には、課税の対象とはなりません。
今回の改正は、アジア地域の国々(中国、韓国他)が法人税率を25%以下に引下げたことに伴い、現行法のままでは、これらの国々が同制度の対象となり、「海外進出の障害になる」との声が産業界から上がったことが発端だと言われています。

(1)軽課税国の基準税率の引下げ
特定外国子会社等に該当するか否を判定するための基準税率を25%から20%に引下げました。
この基準税率の引下げにより、外国子会社の3割強が申告不要になり、税務負担を大幅に軽減できるとのことです。
(2)納税義務者要件の緩和
現行法では、内国法人単独又はグループで直接・間接に5%以上を保有している場合に納税義務を負いますが、改正では、この保有株式要件を、10%に引上げました。平成4年前の水準に戻ったことになります。
(3)適用除外基準の見直し
 特定外国子会社等に該当しても、いわゆる、適用除外基準を満たせば、適用除外となり、合算課税の適用を受けません。
改正では、この基準を経済の実態に即して緩和され、実体ある事業持株会社、物流統括会社が対象外になりました。
これにより、日本企業による更なる海外市場の開拓、その果実の活用に弾みがつくとのことです。
(4)資産性所得の租税回避への対応
現行法では、適用除外基準を満たせば、合算課税の適用は受けません。
しかし、利子、配当、株式譲渡益、ロイヤリティなどの資産性所得は、容易に、海外子会社に付替えることができるため、適用除外基準を満たす子会社でも、一定の資産性所得については、合算の対象とされました(改正案は平成22年10月1日から適用です)。
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平成22年度税制改正 消 費 税 編 2010年01月14日

平成22年度の予算総額に対する国債依存は44兆円です。
消費税引き上げの議論は、次期衆議院選まで避けて通れるかどうか、難しい状況です。
第4回目は、消費税です。
改正項目は少なく、特殊な取引に係わるものだけですが、1つだけ、大きな影響のある改正がなされました。
それは、会計検査院が指摘し、新聞紙上等でも話題になった、「賃貸建物引渡し時の自販機等の設置による、消費税額の還付」を大幅に縮減させる改正です。

(1)事業者免税点制度の適用の見直し
消費税法では、調整対象固定資産(固定資産のうち消費税抜きで1単位100万円以上のもの)を取得した場合、これについて3年目に一定の方法で仕入控除税額を調整することになっています。
そこで、改正案は、
①免税事業者が課税事業者を選択した場合には、2年間の強制適用期間中に、調整固定資産を取得した場合には、当該取得があった課税期間を含む3年間は、引続き課税事業者の適用を強制することとしました。
これにより、3年間の通算課税売上割合が消費税還付をした当初の課税期間の課税売上割合より、著しく減少していれば、還付した消費税額は国庫に返還しなければなりません。
正確には、3年目の課税期間の仕入税額から控除、控除しきれないときは課税資産の譲渡等に係る消費税額に加算して消費税額を納付します。
なお、著しく減少した場合とは、減少割合が当初の課税売上割合に占める割合の50%以上、かつ、減少割合の差額が5%以上である場合をいいます。
また
②調整対象固定資産を取得した場合の3年間の課税事業者の強制適用は、資本金1,000万円以上の新設法人についても、適用されます。
上記の改正は、①は、平成22年4月1日以後に課税事業者選択届出書を提出した事業者の同日以後開始する課税期間から適用され、②は同日以後設立された法人から適用されます。

(2)簡易課税制度の適用の見直し
上記の3年間の課税売上割合による仕入控除税額の調整は、簡易課税適用事業者には適用されません。
そこで、課税事業者強制適用の3年間は、簡易課税制度の適用が受けられないことにしました。




平成22年度税制改正 法 人 課 税 編 2010年01月13日

平成22年度税制改正大綱では、法人税の改革の方向性として
①租税特別措置法の抜本的な見直し
②課税ベースの拡大
③法人税率の引下げを上げています。
しかし、改正案は、企業の競争力強化という視点でみると、法人税の見直しは力不足との印象です。
第3回目は、法人課税の主要な改正項目をお伝え致します。

(1)1人オーナー会社の課税(特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度)の廃止
上記の改正は、平成22年4月1日以後に終了する事業年度について適用されます。

(2)グループ内取引等に係る税制については、次のような改正が行われました。
①100%グループ内の法人間での一定の資産の移転(非適格合併等による移転も含む)及び資本関連取引(現物配当等)については、譲渡損益を認識しない。
②100%グループ内の法人間の寄付金については、支出法人において全額損金不算入とし、また、受領法人においては全額益金不算入とする。
③100%グループ内の内国法人からの受取配当について益金不算入を適用する場合には、負債利子控除を適用しない。
④資本金1億円以下の法人であっても、当該法人が資本金(出資金)の額が5億円以上の法人等の100%子会社の場合、次の特例制度については、適用しない。
イ)軽減税率
ロ)特定同族会社の特別税率の不適用
ハ)貸倒引当金の法定繰入率
ニ)交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
ホ)欠損金の繰戻しによる還付制度

(3)100%グループ内の内国法人の株式を発行法人に譲渡する場合には、その譲渡損益を計上しないこととされました。

(4)自己株式として取得されることを予定して取得した株式が自己株式として取得される際に生ずるみなし配当については、益金不算入制度を適用しないこととされま
した。
上記の改正は、(2)③、④は平成22年4月1日から、それ以外は平成22年10月1日から適用です。

(5)その他改正事項
①清算所得課税を廃止し、通常の所得課税に移行
②適格合併等における欠損金の制限措置等について、実態に応じて適用要件を見直す等があります。
いずれも、平成22年10月1日から適用です。




少額減価償却資産について 2010年01月12日

「パソコンを買いたいけど、経費になるの?」「いくらまでの備品が経費で落ちるの?」というお問い合わせをよくいただきます。購入した備品が会計年度においていくらぐらい経費になるかは、購入代金により変わってきます。
税法上、10万円未満の品物は購入時に消耗品費等として全額経費に計上できます。しかし、10万円以上のものは基本的には耐用年数により、毎期減価償却費相当分を経費に計上することになっています。
ただし、中小企業者等については一定の要件を満たせば下記のような特例があります。

1.少額減価償却資産の特例
中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成22年3月31日まで(その後も延長される見込みです)に取得して事業に使った場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。

2.取得価額
30万円のもとになる取得価額は一式または一組での判断となります。
例えばオフィスに部屋の間仕切りを設置したとします。パーテーション1枚の単価が5万円のものを7枚連結して設置した場合、パーテーション一式での判定となりますので、7万円×5枚で35万円となり、少額減価償却資産には該当しません。ちなみに、パソコンなどで本体とディスプレイをセット販売ではなく、別々に購入した場合には、それぞれ単体で判断してよいと思います。
また30万円の判断は、その中小企業者等が消費税について税込経理をしていれば、税込で30万未満、税抜経理をしていれば税抜で30万円未満となります。

3.限度額
この特例は、合計で300万円までが限度となります。例えば、30万円のパソコンを9台と25万円のパソコンを1台購入した場合で、さらに25万円のパソコンをもう一台購入した場合には、最後の25万円のパソコンは通常の減価償却をしなければなりません。今後備品等を購入される場合、少しだけ以上の事を踏まえていただくと損益予測がたてやすいかもしれません。




平成22年度税制改正 個人所得課税編 2010年01月07日

今回の税制改正大綱の文章表現は、自民党時代の「何々する」調の表現から「ですます」調の表現に変わっています。
自民党時代の税制改正大綱は、どちらかと言えば、「専門家向け」に、一方、民主党は「一般国民向け」に発表しているように思います。
第2回目は、個人所得課税の主要な改正項目をお伝え致します。

(1)扶養控除等について
①扶養控除(年少(~15歳))は、所得税・住民税ともに廃止
②特定扶養控除(16歳~22歳)は、16歳から18歳までの特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分(所得税:25万円、個人住民税:12万円)を廃止
③扶養親族(成年23歳~69歳)は、そのまま存続
④同居特別障害者加算の特例の改組
これは、年少扶養親族に係る扶養控除の廃止に伴い、従前の同居特別障害者加算35万円が適用できなくなるため、その代替措置として「特別障害者控除の額」に35万円を加算することに改組しました。
この改正は、所得税については平成23年分から、個人住民税については平24年分から適用です。

(2)少額の上場株式等投資のための配当所得及び譲渡所得の非課税措置
個人の株式市場への参加を促進する観点から設けられたもので、具体的な内容は次の通りです。
①非課税対象:上場株式等の配当・譲渡益
②非課税投資額:毎年、新規投資額100万円を上限(未使用枠は翌年以降繰越不可)
③非課税投資総額:300万円(100万円×3年間
④保有期間:最長10年間
⑤中途売却:自由(但し、売却部分の枠は再利用不可)
⑥口座開設数:年間1人1口座
⑦年齢制限:20歳以上
⑧開設者:居住者等です。
適用は平成24年1月1日からです。
(3)その他改正事項
①平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例については、適用期限(平成22年12月31日)の到来をもって廃止
②上場株式等の自己株式の公開買付けの場合のみなし配当課税については、平成22年12月31日をもって廃止
③特定の居住用財産の買換え等の特例について、譲渡対価が2億円以下であることの要件が追加されました(平成22年1月1日以降の譲渡から適用)。




平成22年度税制改正速報相続税及び贈与税編 2010年01月06日

平成21年12月22日に「平成22年度税制改正大綱」が発表されました。
そのサブタイトル「~納税者主権の確立へ向けて~」
この文言は、民主党政権の思いが垣間見えます。
そこで、主要税目及び項目についての改正内容の概要をお伝えします。

第1回目は、「相続税及び贈与税」です。
なお、改正法の骨格が明らかになり次第、その詳細は順次お伝えして行きます。

(1)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税限度額が引上げられます。
現行の限度額は500万円ですが、
①平成22年中の贈与は1,500万円
②平成23年中の贈与は1,000万円に引上げられます。
しかし、
③受贈者に合計所得金額2,000万円以下の所得制限が設けられました。
適用期限は平成23年12月31日(現行 平成22年12月31日)までです。
また、住宅取得等資金の贈与に係る相続時清算課税制度の特例について、現行の特別控除の上乗せ(現行1,000万円)特例を廃止し、年齢要件の特例の適用期限を2年延長することとされました。

(2)小規模宅地の相続税の課税価額の計算の特例について、相続人等による事業又は居住の継続への配慮という制度趣旨等を踏まえて一部見直しがなされました。
①申告期限まで事業又は居住を継続しない
宅地等(現行:200㎡まで50%減額)を適用対象から除外
②共同相続があった場合には、取得者ごとに適用要件を判定
③一棟の建物の敷地の用に供されている宅地等のうち特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して減額割合を計算
④特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限る、とされました。
なお、この改正は、平成22年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する小規模宅地等に係る相続税について適用されます。

(3)その他改正事項
①定期金に関する権利の評価に関しては、給付事由の発生有無を基準に、原則、解約返戻金相当額をベースに、一定の評価方法による評価額との比較による方法に改正
②相続税の障害者控除額の計算に関しては、現行年齢70歳から85歳に達するまでの年数とされました。
適用は、平成22年4月1日以後の相続又は贈与からです。




現金贈与を行う場合の注意点 2010年01月05日

現金贈与を行う場合の注意点

贈与は受け取る人、1人あたり年間110万円までは基礎控除の範囲内となり、税務署に申告することも税金を払うこともありません。
したがって、将来の相続財産を減少させるため、基礎控除の範囲内で少しずつ財産を贈与する場合には、あげる人と受け取る人が確実に合意したという契約書や書面を完備しておかないと、受け取った金銭が貸付なのか、贈与なのか、ただの預り金なのか判断がつかず、将来の相続時点でそれが贈与であったことの証明ができなくなってしまいます。

以下のような贈与は無効になる可能性があります。

1.祖父母が孫の通帳に勝手に毎年入金している。
祖父母が孫の将来の住宅資金や教育資金のために基礎控除の範囲内で毎年少しずつ贈与を行うことがあります。その際に、孫が勝手に引き出してお金を使わないように通帳やキャッシュカードを祖父母が管理し、さらに贈与した事実さえ伏せている場合もあります。
しかし、贈与は契約行為ですので、「あげるよ」「もらったよ」という合意がない贈与は無効となる可能性があります。
すなわち、もらった人が贈与を受けたことを知らず、その金銭を自由に使うことができない場合には、それは贈与ではなく、他人名義の通帳に自分の預金をしたと同じであるとみなされてしまうのです。

2.贈与を受けていたが受け取った金銭には手を付けずにいた。
贈与を受けた人がもらった事実を認識しているにもかかわらず、金銭をそのまま放置していた場合、贈与が無効になることがあります。贈与された金銭は、生きたお金として動かし、有効に利用しなければなりません。

3.具体的対応方法
贈与をする場合にはどんな少額であっても贈与契約書を作り、書面上、あげる人ともらう人が合意した上で行うようにしましょう。
贈与を受けた人は、あげた人の名義預金とならないように電気・ガス・水道代などの生活資金の一部として贈与を受けた金銭を有効に活用し、本来の自分の収入から将来の貯金をするようにしましょう。




健康保険と国民健康保険 2010年01月04日


私達は一般的に何らかの健康保険制度に加入しています。
業務外の事由による疾病、負傷、若しくは死亡、及び出産等本人並びに被扶養者も、保険給付を受けています。

4種類の健康保険
 健康保険には主に4つの種類があります。
1.全国健康保険協会官掌健康保険
2.健康保険組合
3.国民健康保険組合
4.国民健康保険
(他に後期高齢者医療制度があります。)
運営については、
健康保険は全国社会保険協会(以前は政府官掌保険)が保険者となり、
健康保険組合は各健康保険組合が、
また国民健康保険は原則として、市区町村が保険者となります。

健保の違いは大きく分けると2つ
各々の違いの一つ目は、加入者の構成です。
国民健康保険は自営業者等のうち、個人経営者や、フリーター等、企業で加入している健康保険には加入しない人が対象です。
健康保険は法人で働いている人が対象で、法人の経営者も該当します。
但し、法人でも大企業が単独で、あるいは同業者が集まり健康保険組合を作っているような時は組合の加入員となります。
同じように、国民健保組合は同業者の集まっている組合ではありますが、給付は国保に近いです。
二つ目の違いは、保険給付にあります。
病院等に支払う治療費は患者が3割負担、保険者が7割です。
これは4種類とも同様です。

給付の良さは保険料の差
給付のうち、傷病手当金や出産手当金等(傷病や出産で休職し、賃金が減額された時に給付される手当)は国民健康保険では原則として支給されません。
さらに違うのは国民健康保険では扶養という概念はなく、被扶養者であっても保険料は世帯の加入者数に含まれて計算されます。
健康保険や健康保険組合は被扶養者に保険料はかかりませんが、事業主負担分もあり、給付も厚いため、保険料は一般的には、国民健康保険料に比べ高くなります。