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「のれん」 2010年04月30日

「『のれん』とは、何ですか?」の問いに、「それは『超過収益力』である」とよく言われます。

しかし、「のれん」には、「負ののれん」もあり、その整合性をどう説明するのか、さらに、無形固定資産である「営業権」との関係をどう峻別するか、難しい論点もあります。ですが、ここでは、この「のれん」がどのような仕組みで計上されるのか、少し整理してみたいと思います。

差額概念としての「のれん」

会計基準では、「『のれん』とは被買収企業または取得した事業の取得価額が、取得した資産及び引受けた負債の純額を超過する額をいう」と定義しています。

より具体的には、買収価額>被買収企業の時価純資産価額のときに「のれん」が生じるということです。

この場合の「のれん」は、買収価額が被買収企業の時価純資産価額を上回っていますので、その意味では、この超過額は超過収益力(被買収企業が持っている確立したブランドなどの無形の価値)と言っても問題ないかと思います。

一方、買収価額<被買収企業の時価純資産価額のときに「負ののれん」が生じます。

この「負ののれん」ですが、被買収企業に純資産額に見合った企業価値がないと判断された場合の買収や合併の際に生じるものです。

具体的は、「事業資産を有効に活用し、投資効率を上げるまでには時間を要する場合」などがその例のようです。


「のれん」の会計処理

会計基準では、「のれん」の償却は20年以内の投資効果の及ぶ年数で規則的に償却するものとされています。

しかし、「負ののれん」に関しては、その生じた事業年度において一括で利益に計上すべきものとされています(貸方のれんですので、利益に計上されます)。


法人税法と「のれん」

法人税法においても、原則、この「のれん」の計上の仕組みは、会計基準と同じです。

しかし、取扱に関しては、非適格合併などの場合にその計上が認められ、「のれん」は「資産調整勘定」として借方に計上され、
一方、「負ののれん」は「差額負債調整勘定」として貸方に計上されます。

償却に関しては、いずれも5年間にわたり月割で償却(減額)し各事業年度の損金又は益金の額に算入されますが、損金経理は不要です。




消費税の納税義務について 2010年04月28日


事業が3期目となり、「今年から消費税を納税していただく事になります」と説明したところ
「売上が落ちてきているのに、どうして今年から納税する事になるの?」と聞かれました。

消費税の納税義務の判定をどのように行っているか、おさらいしてみましょう。


消費税の納税義務の有無は、「2年前の収入が1千万円を超えているか、いないか」により判定します。

したがって、2年前の売上高が1千万円以下なら、当期に1億円の収入があっても消費税の納税義務はありません。


例えば資本金等が1,000万円未満の会社を前提とすると

第1期  売上高  1,230万円 仕入  840万円

第2期  売上高   910万円 仕入   720万円

第3期  売上高   840万円 仕入   630万円

当 期  売上高  1,500万円 仕入 1050万円


この場合、第1期は、2年前の前々期が存在しないので消費税の納税義務は無く免税業者となります。

第2期も同様に免税業者となります。

第3期は、売上高は840万円しかありませんが、前々期の売上高が1,230万円で、1,000万円を超えているので納税義務が生じます。


では、いくら消費税を納めることになるのでしょうか。

3期目の売上高840万円に含まれる預り消費税40万円から仕入高630万円に含まれるすでに支払った消費税30万円を引いた10万円が納税額となります。


次に当期はどうでしょうか。

前々期を見てみると売上高は910万円です。

ということは1,000万円以下ですので、今年は昨年より売上は増加しましたが、消費税は免税業者となり、納税義務がありません。


ちなみに翌期も前々期(第3期)の売上高が1,000万円以下ですので、納税義務がなく、結果として、消費税の義務納税は翌々期までないことになります。


このように消費税の納税義務が「あるのか、無いのか」の判定は毎期行う必要があります。

皆様の消費税の判定は当社が毎期適切に行っており、さらに計算方法も有利判定を行った上で納税額を計算させていただいておりますので、
どうぞご安心下さい。




医療と介護の負担軽減 2010年04月27日

高額医療・高額介護合算療養費制度

同世帯の中で同時期に医療保険や介護保険を支払い、両方を合算した額が一定の基準を超えた場合に自己負担額を軽減する措置が新たに設けられました。


支給要件は?

健康保険の被保険者とその被扶養者が平成20年8月~平成21年7月に支払った医療保険・介護保険の自己負担額(高額療養費及び高額介護サービスの支給額は除く)の合計額基準額を超えた場合に支給されます。

①以後、毎年8月~翌年7月までの1年間に支払った医療保険・介護保険の自己負担額が対象

②入院時の食事代、差額ベッド代は対象外

③基準額を501円以上超えた時が対象

支給される一例と申込方法

被保険者・被扶養者とも70歳未満で所得が一般の方の場合の例

一年間で一人が医療保険53万円、もう一人が介護保険で44万円を支払った場合、年間負担額の合計は97万円となり、基準額(67万円)を超えた金額30万円が支給されます。

支給申請は介護保険(市区町村)の窓口で申請手続きをして介護保険の自己負担額の証明書の交付を受け、これを添付して協会けんぽや健康保険に申請します。

平成20年4月から21年7月までに、現在加入している以外の健保に加入していて、現在の健保に移ってきた方は、以前に加入していた医療保険の窓口への手続きも必要です。

基準額 ( )内はH20.4-H21.7の額

70~74歳の方

①高齢受給者証の負担割合が「3割」となっている場合 67万円(89万円)

②①③④以外の場合 56万円(75万円)

③被保険者が市区町村民税非課税の場合 31万円(41万円)

④③のうち、被保険者とその被扶養者全員の所得が一定以下の場合 19万円(25万円)

70歳未満の方

①被保険者の標準報酬月額が53万円以上の場合 126万円(168万円)

②①③以外の場合 67万円(89万円)

③被保険者が市町村民税非課税の場合 34万円(45万円)




確定申告の誤り・失念に気付いたとき 2010年04月26日

確定申告も終わり、いろいろと申告書に関する資料を整理していると、
「税金を過少(過大な還付)」に申告していたり、また、「税金を過大」に申告していたり、
その誤りに気付くことがよくあります。

そこでそれぞれのケースについて、適正申告のための諸手続きに関して整理したいと思います。


「税金の過少申告(過大還付)」に気付いたとき

この場合には、自主的に「修正申告」をします。
これによって過少申告加算税はかからず、延滞説(納付期限の2ヶ月以内は4.3%、以後は14.6%)だけの課税で済みます。

しかし、税務署からの指摘などによって不足税金を納めるときは、原則、追加して納めるべき税金の10%の過少申告加算税がかかり、追加の税金額が期限内に申告して納めた税金、または50万円のいずれか多い金額を超えるときは、その超える部分の税金に15%相当の加算税がかかります。
余分な税金を納めなくてもすむよう、適時適正な対応が必要かと思います。


「税金の過大申告」に気付いたとき

税金の納め過ぎが判明したときは、来年の3月15日までに「更正の請求」をするとによって税金を戻してもらうことができます。

なお、申告の誤り内容によっては、「更正の請求」期間経過後であっても、税務署長への「嘆願」あるいは憲法16条に保証された請願法に基づく「請願権」によって税金を戻してもらうことができます。

このことを「減額更正」といいます。

この減額更正は、税務署長が申告期限から5年以内であればできることになっています。


確定申告を失念してしまった場合

うっかり、申告期限まで確定申告を失念してしまった場合には、原則、期限後に申告して納める税金の15%、その納める税金が50万円を超えるときは20%の無申告加算税と延滞税が課されることになるので注意が必要です。

ただし、期限後申告であっても税務調査や税務署から指摘される前に自主的に申告をしたときには、無申告加算税も5%に軽減されます。





確定申告の誤り・失念に気付いたとき

確定申告も終わり、いろいろと申告書に関する資料を整理していると、
「税金を過少(過大な還付)」に申告していたり、また、「税金を過大」に申告していたり、
その誤りに気付くことがよくあります。

そこでそれぞれのケースについて、適正申告のための諸手続きに関して整理したいと思います。


「税金の過少申告(過大還付)」に気付いたとき

この場合には、自主的に「修正申告」をします。
これによって過少申告加算税はかからず、延滞説(納付期限の2ヶ月以内は4.3%、以後は14.6%)だけの課税で済みます。

しかし、税務署からの指摘などによって不足税金を納めるときは、原則、追加して納めるべき税金の10%の過少申告加算税がかかり、追加の税金額が期限内に申告して納めた税金、または50万円のいずれか多い金額を超えるときは、その超える部分の税金に15%相当の加算税がかかります。
余分な税金を納めなくてもすむよう、適時適正な対応が必要かと思います。


「税金の過大申告」に気付いたとき

税金の納め過ぎが判明したときは、来年の3月15日までに「更正の請求」をするとによって税金を戻してもらうことができます。

なお、申告の誤り内容によっては、「更正の請求」期間経過後であっても、税務署長への「嘆願」あるいは憲法16条に保証された請願法に基づく「請願権」によって税金を戻してもらうことができます。

このことを「減額更正」といいます。

この減額更正は、税務署長が申告期限から5年以内であればできることになっています。


確定申告を失念してしまった場合

うっかり、申告期限まで確定申告を失念してしまった場合には、原則、期限後に申告して納める税金の15%、その納める税金が50万円を超えるときは20%の無申告加算税と延滞税が課されることになるので注意が必要です。

ただし、期限後申告であっても税務調査や税務署から指摘される前に自主的に申告をしたときには、無申告加算税も5%に軽減されます。





提出を要しない確定申告書 2010年04月23日


1か所からの給与しかなく、他に所得のないサラリーマンで、妻を控除配偶者として年末調整を済ませていたが、妻の所得が38万円超であると分かったため、税務署に配偶者控除不適用の確定申告書を提出した場合のその意味について考えてみます。


申告義務のない確定申告書の提出

このサラリーマンには確定申告の提出義務はなく、税務署長にもこれに対し確定申告を強制する決定権限はありません。
しかし、自主的に提出された確定申告書は法的には有効です。
サラリーマンには確定申告をすることが禁じられているのではなく、申告義務が免除されているに過ぎないからです。


提出した確定申告の撤回も任意

とはいえ、サラリーマンの自主申告に対する国税庁の姿勢は、これを本来のあるべき姿とは捉えていません。
通達によると、確定申告義務のないサラリーマンの提出した申告書は、撤回の申立てをすると当然に撤回されることになり、申告により納付した税額も還付されることになっています。


過年度分の申告の場合の附帯税

また、サラリーマンには、そもそも確定申告書の提出義務がなく、従って提出期限の定めもないので、サラリーマンの提出する自主的申告書は、例え過年度分であったとしても期限後申告書には該当しません。
従って、加算税や延滞税の課せられるべき構成要件に該当することはありません。


再年調処理が実務の慣例

サラリーマンの自主申告があったことによって、その者に係る国の歳入額がすでに充足されていたとしても、源泉徴収義務者が正当な計算を行って追徴税額を徴収する義務が免除されるわけではありません。
課税庁が年末調整の不適正を知った時は、源泉徴収義務者を通じた年末調整の再計算を示唆してきます。


再年調の規定はない

しかし、法的には再調整の規定は存在しません。
年末調整は年の最後の給与で行うものとされ、扶養控除等の情報申告・修正も給料日前に行うものとされており、予測された真実に基づく限りそれは適正であり、源泉徴収義務者にはその申告の正否を調査する義務も権限もありません。




人事考課の注意点


人事考課の難しさ

人が人を評価することは、大変難しいものですが、さりとて評価をしないとできる社員も働きが悪い社員も賃金や昇進で同じ扱いを受ける「悪平等」につながって、会社の活力が生まれません。 

例えば社長が、社員のモラルを上げたいと思って、よく頑張った者とそうでない者を明確に区分して、人事考課の結果をA~Eの5段階区分になるように努力しても考課結果が中間評価のCに集まってしまい、「メリハリのある考課にならない」と言った悩みが生まれます。


人事考課・5つの誤り

人事考課で陥り易い誤りの代表的なものは次の5項目です。

1.ハロー効果:ハロー(HALO)とは、太陽・月などのかさや後光のこと、ハローがかかっていると本体が見えにくくなり、部下のある特性が優れている(又は劣っている)と他の特性も同じに見えてしまう誤り

2.寛大化傾向:常に甘い方へ偏ってしまう誤り(人情・愛情・好意・部下に恨まれたくない、などが原因)

3.中心化傾向:考課が「普通の成績」にあつまり、優劣に差がない傾向(考課をする人に自信がないことが原因)

4.論理誤差:「責任感」「規律」など考課の概念が似ていると、同じ考課にしてしまう誤り

5.対比誤差:考課者が自分を基準にして考課する結果、生じる誤り(自分の専門分野については厳しく、専門でない分野については甘くなるのが原因)


誤りを防ぐ対策

社長として、評価を受ける社員が「どんな立派なことを言ったか」ではなく、「実際にどんな時、どんな行動をとったか、その結果はどうなったか」に注目して、優れた点、劣った点を褒めたり、注意したりしながら、都度具体的に記録しておき、きちんと見分け、メリハリのある考課を実践することが5つの誤りを防ぐ共通のカンどころです。




FX取引の税金 2010年04月21日


FX取引には2種類ある
FX(外国為替証拠金取引)には「店頭取引」と「取引所取引」の2通りがあります。
「店頭取引」とは、多くの金融機関が扱っている取引で、利用者(投資家)と金融機関の相対取引です。
一方、「取引所取引」とは「くりっく365」や「大証FX」と呼ばれる取引のことで、投資家の注文を金融機関がFXの公設の取引所に取り次ぐものです。


税の取り扱いも2種類

(1) 店頭取引の場合

店頭取引の場合は、「雑所得」として総合課税の対象となります。
つまり、給与所得などの他の所得と合算して税金が計算されます。
総合課税は所得が多ければ税率も上がるので、給与が高い方はFXの店頭取引に関する税金も高くなります。
取引で損が出た場合は、同じ「雑所得」の年金などと損益を通算することはできますが、他の給与所得や不動産所得などとは損益通算はできません。
また通算しきれなかった分があっても翌年以降に繰り越すことはできません。


(2) 取引所取引の場合

取引所取引の場合は「先物取引に係る雑所得等」として、20%(所得税15%・地方税5%)の税率で課税されます。
これを申告分離課税と言います。
損が発生した場合は、他の「先物取引に係る雑所得等」の金額との損益の通算は可能ですが、「先物取引に係る雑所得等」以外の所得の金額との損益通算はできません。
また、他の「先物取引に係る雑所得等」と損益の通算をしてもなお引ききれない損失の金額は、確定申告をすれば翌年以後3年間繰り越すことができます。


どちらが有利か

他の所得と合わせても所得が195万円以下であるならば、店頭取引が有利ですが、330万円を超えた場合、取引所取引の方が有利となります。




全国で6名のための制度 2010年04月20日

超稀少な人々

サラリーマン5500万人のための税制に「特定支出控除」という制度があります。
この利用者は極めて少なく、1000万人に1人の割合でしか利用されていないので、利用者に遭遇することは限りなく困難といえます。
平成20年の利用者数はたったの6人です。
平成19年で7人、平成18年で9人、平成17年で13名、平成16年9名、平成15年10名という状況です。


特定支出控除とは

サラリーマンにも確定申告の道を拓くものとして1987年(昭和62年)に創設されたもので、「給与所得者が特定の支出をした場合、その年の特定支出の合計額が給与所得控除額を超えるときは、その超える金額が給与所得控除後の金額から差し引ける」というものです。
もし、給与に係る必要経費があるとして、給与所得控除額よりも少ない金額で確定申告をしたとしても、その申告は誤りのある申告として、給与所得控除額による所得計算に置きかえる更正処分をされて税金は還付されます。


限定的な特定支出

特定支出は、
1)通勤費
2)転勤に伴う引っ越し費用等
3)研修費
4)一定の資格取得費
5)単身赴任者の勤務地と自宅の往復旅費
の5つだけです。

この5つという特定支出の範囲が極めて狭いこと、またその適用にあたっては、要件が事細かく定められていて限りなく使いにくいこと、ということをみていると、国税庁としてこれの利用者を絶対に増やさせない、との決意を固く持っているような印象を感じます。


政権交代でどうなるのか

今年の税制改正大綱に「給与所得控除と特定支出控除を見直すことにより、特定支出控除の選択的適用の増加を通じ、給与所得者の確定申告の機会拡大につなげます」とありました。
ただし、今年の改正税法の原案にはこれに係るものは全然ありませんでした。
特定支出控除制度は、すなわち架空経費控除になっている給与所得控除問題のことなので、容易には手がつけられないものなのでしょうか。

 




法人税法上の役員 2010年04月19日


会社が従業員に支払う給料・賞与は、原則、その支給時期、支給額等の如何を問わず、費用として損金の額に算入することができます。
しかし、役員ともなると、給料については定期同額、賞与に関しては事前確定届出といったその支給形態等について一定の要件を満たさなければ損金の額に算入されません。
税法上の役員が会社法上の役員よりその定義が広いため、うっかり、従業員と思っていた者が役員に該当し、結果、その者に支払っていた給与・賞与の一部が損金不算入になってしまうことがあり、役員の是非について慎重な対応が必要かと思います。


税法上の役員となる人

役員と言えば、会社法上の役員(取締役、監査役、執行役、会計参与など)を言いますが、これらの役員は、当然、法人税上の役員です。
税法特有の役員とは、役員の肩書きがなくても、事実上、会社の経営に関与している人で、例えば、会社法上の役員でありませんが、会長、相談役、顧問といった肩書きで経営に従事している人、また、同族会社の従業員になっているけれど、一定の持株割合を超える株を持っている人で、経営に従事している人などが該当します。
これらの人を法人税法では「みなし役員」と言います。


会社の経営に従事するとは

「みなし役員」に該当するかどうかは、経営に従事していることが要件です。
「経営に従事している」とは、経営上の重要な意思決定に参画していることで、具体的には、資金調達等の決定、新規事業や設備の決定、事業の撤退、重要な契約に関する決定、価額の決定、主要な取引先の選定や変更などが上げられます。


使用人兼務役員とは

役員の中には、取締役営業部長・経理部長・工場長などの肩書で、役員でありながら従業員としての職制上の地位を持ち、かつ、常時使用人として職務に従事している人がいます。
このような人を「使用人兼務役員」と言います。
この兼務役員の使用人としての賞与の損金算入については、その支給に関して一定の制約があります。
なお、代表取締役など一定の役員、同族会社の役員で一定の持株割合を超えている人は、使用人兼務役員にはなれません。





チームワークづくりのポイント 2010年04月16日


不況で製品が売れにくい時などに、営業部門は「開発部門が良い製品開発をしてくれないから売れないのだ。」と言い、開発部門は「営業が製品の特長や強みを良く理解して売ってくれないから売上が上がらないのだ。」とお互いが責任を追及する
と言ったチームワークの乱れが起こりがちです。


チームワークが低下する原因

営業担当・開発担当などの間のチームワークが低下する本質的原因は、次のような点にあります。

①互いが経営目標(売上・利益目標)と「顧客ご満足」を得る互いの役割分担を理解し合っていない。

②お客様から見て、製品の品質や営業方法・納入方法等どこがどのように不足しているのか、事実を通じて具体的に掴んでいない。

③それぞれの部門が、互いに謙虚に反省せず「うまく行かないのは相手の責任だ。」と責任転嫁をしている。

①~③の結果「チームワーク・人間関係が良くないと言う事態」に陥っているのですが、社長が中に入って、それぞれに反省を促したり、仲直りをさせようと、一杯やる席を設けたりしても一向に改善されません。
何故かと言うと、チームワークが良くないのは「人間関係」に起因しているのではなく、「仕事関係」の悪さに起因して「人間関係」がおかしくなっているからで、根本の改善が必要なのです。


「仕事関係」改善でチームワークを

このような場合、社長におすすめの処方箋は次のように「仕事関係」を改善するリーダーシップを発揮することです。

①売上・利益など経営の現状、経営目標(在りたい姿)を数値で理解し合う。

②経営目標を達成するために、「納入製品や、関連サービス・納期など、お客様の具体的な要望事項・ご注意」を事実に即して的確につかむ。

③その情報から、それぞれの担当が改善に取り組むとともに、協力してお客様への対応の仕方を変える改善を行う。

このような「仕事関係」の改善は売上高・利益の向上と社員の一体感を高め、しかも皆が成長する上策と言えます。




司法書士の立合責任 2010年04月15日


司法書士の取引立合い

税理士も時には不動産取引の契約決済の場面に立ち合うことを依頼されることがありますが、司法書士さんの場合はそれが本来の業務です。
司法書士として不動産取引に立ち合うことは、その取引の信頼性を保証するような役回りを引き受けることになります。
取引当事者はそれで安心できますが、ほとんど立合料という特別の報酬を受け取っていないにもかかわらず、すごく大きなリスクを負っているわけです。


当事者に悪意があるとき

善意の当事者だけならリスクは少ないでしょうが、詐欺師のような人を相手にしたとなると、責任重大です。
土地所有者になりすました人物との間で売買契約を締結し、売買代金を騙し取られた当事者が、土地所有者と称した相手側について本人確認作業をした司法書士及び司法書士法人に対し、本人確認を誤った過失があると主張して、損害賠償を求めたという事件があります。


司法書士の過失と損害額

司法書士は、「相手が真正な不動産所有者であることを確認すべきであるにもかかわらず、偽造の運転免許証をつぶさに検証することなく安易に信用し、売買代金を騙し取られる原因を作った」と主張されました。
売買代金は2億円で登録免許税は262万円でした。


判決による損害賠償額

判決は、原告の側にも過失があったとして過失相殺2割を減じた1億6千万円余の損害賠償義務を負うとしました。
司法書士には運転免許証が偽造であるかどうかを見抜く専門的能力はないのであるから、過大な要求であるなどと反論していましたが、認められませんでした。
裁判は高裁に控訴されています。


税理士の場合にも

平成の時代になってから、税理士への損害賠償請求訴訟も起こされるようになってきており、過去に「買換え特例を適用した事実があるかないかについて税務署に問い合わせる義務がある」とされた判決や、相続税の納付についての物納手続きの依頼を延納手続きにしてしまった事案で2億8千万円余の損害賠償義務を課せられた判決があります。
専門家の責任は重くなっています。




新卒者を雇った時の助成金 2010年04月14日

新卒者体験雇用奨励金

長引く景気低迷を受け、新卒者の雇用も今年度の就職内定率は大卒で73.1%と過去最も厳しかった04年春卒業者を下回っています。
このような雇用情勢の中、就職先が未決定の新規学卒者を、31日間の有期雇用の体験者として受け入れた時に支給される助成金が新設されました。


受給要件、受給額は

雇用される対象者は、ハローワークに求職登録を行い、就職先が未決定の者で、平成21年10月から平成22年9月末までに卒業した者のうち、雇い入れ開始日現在の満年齢が40歳未満のものです。


受給要件は、以下の通りです。

①ハローワークからの紹介により、対象者を雇い入れ、31日間の有期雇用の体験雇用を実施すること。

②体験雇用に係る職業紹介を受ける以前に、その対象者を雇用する約束をしていないこと。

③体験雇用開始日から10日以内に、対象者の同意を得て「体験者雇用実施計画書」を提出すること。

受給額は一人当たり8万円です。手続きは、「体験雇用結果報告書兼新卒者体験雇用奨励金支給申請書」を指定された添付書類とともに、体験雇用終了日の翌日から起算して1カ月以内にハローワークへ提出します。


注意するポイントは

①体験雇用期間中の賃金・労働時間等については、体験雇用の開始にあたり、実施計画書にあらかじめ定める必要があり、労働時間は原則、各事業所の通常の労働者の1週間の所定労働時間と同程度(30時間を下回らない)であることです。

②実施計画書に定める「正規雇用へ移行する為の要件」を対象者が満たした場合、原則、体験終了後には正規雇用扱いに移行しなければならないため、要件は吟味して記載しましょう。

③この制度は22年度限りの時限措置で平成23年3月末までに体験雇用を開始した人が奨励金の対象者です。





扶養控除の対象にできる人 2010年04月13日

扶養控除の対象にできる人の要件

確定申告時期は過ぎましたが、所得税を計算する際に扶養の範囲についてよくお問い合わせがあります。今日はもう一度おさらいしてみましょう。
扶養控除の対象となる扶養親族は以下の全てに該当している人を言います。


1. 扶養者の配偶者以外の親族

配偶者は配偶者控除を使いますので扶養控除の対象外です。
親族とは6親等以内の血族と3親等以内の姻族を言います。また、親族でなくとも、里子や市町村長から擁護を委託された老人なども扶養に入ります。


2. 扶養者と生計を一にしている。

扶養者の稼ぎで暮らしている人が扶養者になります。海外や地方で暮らしている両親や子供に、生活費を仕送りしている場合でも扶養に入れられます。


3. 扶養対象者の1年間の合計所得が38万円以下である。

扶養されている人の合計所得が38万円以下でないと扶養に入れません。
合計所得とは、例えば、以下のような収入から経費(控除)を引いた額となります。

① アルバイト・パートの人
給与収入の合計から給与所得控除を引いた額

② 年金受給者
年金収入の合計から一定の控除額を差し引いて計算した雑所得の合計額

③ 個人事業の人
売上から経費を差し引いて計算した利益額から青色申告特別控除を差し引いた金額

④ 土地や建物を売った人
売却金額から取得費・譲渡費用・特別控除を差し引いた後の金額

⑤ 株の収入がある人
株式の譲渡収入から譲渡費用と取得費を差し引いた金額(株式の譲渡損失を控除する前の金額)
上記の金額の合計が38万円を超えた場合には扶養に入ることができません。


4. 扶養者の専従者として給与を受けていない。

扶養者の事業の手伝いをして、青色専従者や白色の専従者の給与を受け取っている人は、たとえその額が38万円以下であっても扶養には入れません。




ホステス報酬の最終判決 2010年04月12日

ホステス報酬の源泉徴収

キャバレーなどのホステスの多くは給与所得者ではなく事業所得者です。
でも報酬を受け取るときには所得税を源泉徴収されることになっています。
徴収額は、1回に支払われる報酬額から、1日当たり5000円を控除した額の10%とされています。


1日当たりの意味

法律の正式な文言は1日当たりではなく「計算期間の日数」となっています。
毎週払いだとして、出勤した5日分として10万円の報酬を支払うとしたら、
(10万円-5000円×日数)×10%
の計算式で徴収する源泉税を計算します。
ここで日数は、5日と7日と、どちらであるかにつき、納税者は7日、税務署は5日を主張して裁判になっているものがいくつかありました。


納税者勝訴となった地裁高裁判決

○川崎南税務署長を被告とする裁判
平成18年 5月10日 横浜地裁判決
平成19年 3月27日 東京高裁判決

○立川税務署長を被告とする裁判
平成18年11月21日 東京地裁判決
平成19年 6月12日 東京高裁判決

この二つの裁判事案では、敗訴の国側は最高裁への上告を断念し、納税者勝訴となったまま高裁の判決で決着させています。


納税者敗訴となった地裁高裁判決

●大宮税務署長を被告とする裁判
平成18年5月24日 さいたま地裁判決

●杉並・武蔵野税務署長を被告とする裁判
平成18年 3月23日 東京地裁判決
平成18年12月13日 東京高裁判決


時期的には納税者勝訴事案と似ていますが、こちらは納税者敗訴判決となっています。
大宮税務署の事案は地裁で敗訴したまま納税者はそれを受け容れ、控訴しませんでした。
杉並・武蔵野税務署の事案は、似た時期に納税者勝訴の判決を出している東京地裁・東京高裁が出した全く異なる結果の判決で、これは最高裁に持ち込まれました。


最高裁での最終決着
最高裁小法廷は、「施行令にいう『計算期間の日数』とは、ホステスの実際の稼動日数ではなく、その期間に含まれるすべての日数を指す」と判決し、解釈の最終判断をし、納税者に逆転勝訴をもたらしました。




納税管理人とは 2010年04月09日

納税管理人とは、1年以上の予定で海外に出張したり、リタイヤして海外に居住している人を非居住者と言います。

その非居住者に変わって、税務署からの通知を受け取ったり、確定申告を行う者を言います。

一般的には家族や親族が行いますが、税理士や税理士法人でもかまいません。

非居住者は原則として日本国内での納税義務はありませんが、国内源泉所得がある人で申告義務のある人は、納税管理人を選任しなければなりません。

国内源泉所得とは

日本国内に源泉、すなわち収入の源があることをいいます。

給料も国内の会社からもらっている場合国内源泉所得と思われそうですが、海外で仕事をしているわけですから、収入の源は海外での役務の提供になりますのので、国内源泉所得には該当しません。

ですから多くの海外出張サラリーマンは、納税管理人を選任する必要がありません。

ただし国内の会社の役員報酬は、国内源泉所得となりますが、非居住者の役員報酬は、源泉徴収され、課税関係が終了します。

したがって、特に納税管理人を選任する必要はありません。

納税管理人を必要とする場合

一般的には国内に不動産を所有している場合です。

日本国内の不動産から得る賃貸収入は、国内源泉所得となり申告義務が発生しますから、納税管理人を選任する必要があります。

自宅などの場合は収入が発生しませんから、通常の場合は、国税の納税管理人は必要ありませんが、売却した場合などは、必要となります。

国税の納税管理人としたのは、地方税の固定資産税の納税義務は、発生しますので、地方税の納税管理人は必要となります。

ただし固定資産税の徴収に支障がない場合は特におかなくても良いとの規定がありますので、一般的に自宅などの場合は納税管理人を置くケースは稀です。




傷病手当の支給要件 2010年04月08日

健康保険の傷病手当金は、被保険者が病気やけがの療養のため働く事ができない場合に支給されます。

労務不能の4日目以降が支給対象で、支給額は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額となります。

ただし、その間に会社から給与を受けた時は支給額が調整され減額されます。

1日あたりの報酬額がこの傷病手当金の日額以上のときは傷病手当金が支給されず、又1日あたりの報酬の額が傷病手当金の日額より少ない時は、その差額のみが支給されることになります。

支給される期間は支給開始日から1年6カ月です。
この間、受給しない期間があっても原則、開始より1年6カ月経てば、同じ傷病では受給できません。

役員は傷病手当金の支給対象となるか

役員であっても健康保険の被保険者であれば、通常の社員と同様支給対象者となります。

ただし役員の場合、報酬を変更するには、株主総会の決議が必要とされていますから、実際は傷病で短期間休んでも減額しないことがほとんどです。

役員の場合は長期療養が必要な傷病で働くことができず、満額の傷病手当を受給する時には、療養の間役員報酬を一時的に不支給にすることで受給できます。

議事録の作成も必要となる

通常の傷病手当金の請求では、賃金台帳と出勤簿の写しを添えて保険者(協会けんぽや健康保険組合)に請求しますが、役員の場合は会社から報酬を受けない事を確認するため、療養中は一時的に役員報酬を不支給とすることが記載された株主総会議事録又は取締役会議事録の写しを添付する必要があります。

役員の傷病による休職期間は一般社員より長く規定されている企業もありますので、このような事態の時は利用できるでしょう。




アルバイト先へ行く時の通勤災害 2010年04月07日

休業中の人がアルバイト先へ向かう途中の事故

昨今の経済情勢の中、業績が振るわず、従業員を休業させている会社も少なくありません。
従業員側から見ると、休業し賃金カットがなされ、アルバイトをしたいという人も出てきます。
会社でアルバイトを認めれば、アルバイトをする事もあるかもしれませんが、例えば全1日の休業でなく半日休業等で(午後だけ休業等)会社からアルバイト先へ移動中、事故にあった時には労災保険はどうなるのでしょう。
届出はもとの会社かアルバイト先か、どちらにすべきでしょうか?


事業所の間を移動した時の通勤災害

複数の事業所で雇用される労働者が、前の事業所から次の事業所へ移動する途中で事故にあった時でも労災保険は適用されます。
この場合でも、自宅から事業所へ移動する間の事故と同様に「通勤」の要件を満たしている必要があります。

「就業に関し、合理的な経路及び方法」により移動を行い
「経路を逸脱したり、移動の中断をしたりする場合は、日常生活上必要な行為(日用品の購入その他これに準ずる行為)でやむ得ぬ事由による最低限の範囲で行う」

場合にその行為後の移動は通勤とみなされます。


労災保険の適用はどちらの事業所か

二つの事業所間の移動中に被災した場合は第二の事業所の労災保険を適用します。
この場合の移動は第二事業所で仕事に就くために行われている行為だからです。
また休業補償給付を受ける場合、被災前3カ月間の平均賃金をベースに給付基礎日額が算定されますが、この場合の平均賃金は労災保険が適用される事業所から支給される賃金で算定されます。
ですからアルバイト先で労災保険が適用されると、本来勤務の第一事業所よりも低い賃金で計算されることになります。




福利厚生費で経費にできる社員旅行 2010年04月06日

お客様との会話の中に、「海外旅行に行った場合になんとか経費で落とせないか」と言うご質問がよくあります。
もちろん、単なる家族旅行であれば経費にすることはできませんが、いくつかのケースにおいて海外旅行を「全額経費にする」もしくは「一部を経費にする」ことができる場合があります。


<慰安旅行の場合>

下記の要件を満たす慰安旅行の費用を会社が負担した場合、福利厚生費として経費に落とせます。

1.旅行先での滞在日数が4泊5日以内であること
2.参加する人数が全従業員の50%以上であること

ただし、次のようなものについては、その旅行に係る費用は給与、交際費などとして適切に処理する必要があります。

(1) 役員だけで行う旅行
(2) 取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行
(3) 実質的に私的旅行と認められる旅行

また、上記の要件を満たさない社員旅行の会社負担分は、役員・従業員の給与として課税され、各個人に所得税の支払いが生じます。
さらに役員の分に関しては定期同額給与に該当しませんので、役員について所得税の支払いは生じますが、法人の経費としても認められないことになります。


<視察旅行の場合>

同業者団体の主催等による視察旅行ついて、視察に併せて観光もする場合、視察に要した費用については会社の経費となります。
この場合の視察に要した費用の計算は概ね以下のように行います。

1.日程基準
渡航の全日程で業務に従事した日数を按分した「事業割合」で計算する。
2.渡航が業務上不可欠であった場合
渡航費用以外の滞在経費を上記の「事業割合」で按分する。

したがって、海外旅行を計画される際は、何かの行事と絡めて出発されるとよいかもしれません。




使途不明金と使途秘匿金 2010年04月05日

(質問)

取引相手からリベートを要求されていますが、そのリベート相手を公表できません。
本来キッパリとお断りするのが正しい選択だとは思いますが、そうもいかないのです。
どうしたらよいのでしょうか?


(回答)

当然領収書はもらえないと思いますから、支出した金額は、使途不明金となります。
科目としては交際費として全額否認することが妥当と思われます。
しかし現金で先方に渡さず、必ず振り込むようにしてください。
現金で渡した場合支出の事実が確認できませんから、本当はそんな事実は無かったのではないかと疑われます。
税務調査の際には、支出の事実(振り込み控え)を明確にしたうえで、事情を説明してください。
どうしても相手が現金でなければだめだと言う場合は、役員への渡し切り交際費、すなわち役員賞与とすることが妥当だと思われます。
役員への貸付とし、後で役員報酬を上げて一部返済に充てるという方法もありますが、事実が明らかになった場合は、使途秘匿金とされる可能性が残ります。

使途不明金とは、法人が交際費・機密費・接待費等の名目で、支出した金銭でその使途が明らかでないもの、または法人が使途を明らかにしないものをいいます。
一方、使途秘匿金とは、使途不明金のように金銭の支出のうち、相当な理由なく、相手方の氏名、名称等を帳簿書類に記載していないものをいいます。
さらに、使途不明金は全額損金に算入されず所得に課税されるのに対して、使途秘匿金は全額損金不算入となるだけでなく、通常の法人税に加え、支出額の40%の追加課税が行われます。


使途不明金は経費処理が前提です。
これに対して、使途秘匿金は経費処理を前提にしておりません。
この点から貸付処理は危険です。
ただ使途秘匿金は本来の趣旨からすれば、「違法ないし不当な支出」に対する追加課税ですから、経費処理だけを持って使途秘匿金とされるわけではありません。




「まだ最高裁がある」 は本当か 2010年04月02日


三審制とは言うものの・・・

我が国の裁判では、いわゆる三審制が採られております。
第一審が地方裁判所ならば、控訴審が高等裁判所、上告審が最高裁判所です。
しかし、民事裁判は特にそうですが、ほとんどの場合では、最高裁判所に至らずに決着せざるを得ません。


事実審と法律審

それは、第一審・控訴審と上告審における大きな違いに由来します。
我が国の裁判では、第一審、控訴審が事実審、上告審は法律審と言われております。
裁判の事実認定をするのは事実審だけであり、上告審は原審(事実審)の適法に確定した事実に拘束されるのが原則です。
したがって、上告理由となりうるのは、
憲法の解釈の誤りその他憲法違反があること
その他の特定の事由のあること
または判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違反があること
であって、事実認定の誤りは上告理由とはなりえません。

その一方、民事裁判での争点は、ほとんどが事実認定に関する争いです。
例えば、
貸金に関する裁判ならば返済約束の事実の有無
損害賠償請求ならば問題とされる行為自体の有無あるいは相手方の過失の有無
といった事柄です。

しかし、それらの判断に不服があっても、最高裁判所ではそれ自体を理由に上告を受け付けてもらえません。


あくまで第一審が主戦場

ちなみに、民事裁判における控訴審は、第一審で集めた資料を前提として、その上に控訴審で集めた資料を積み重ねて判断するという方法が用いられています(続審制といいます)。
すなわち、控訴審の口頭弁論は、第一審のそれの継続としてみられ、当事者は控訴審で第一審における資料を提出するとともに、新しい資料を提出することができます。
しかし、あくまで続きは続きであり、第一審で出てきた資料が前提となり、一度判決が下されていることの重みは大きく、第一審により重点が置かれます。
 したがって、実際裁判に遭遇した場合には、あくまで第一審こそが主戦場という心構えで臨むべきです。





法人への債権の現物出資(DES) 2010年04月01日

「DES」とはなにか

DES とは、債権者が債務者である法人に対して既に貸し付けている金銭などをそのまま現物出資することと引き換えに、債務者である法人の株式を取得することを言いま
す。
逆に言えば、債務者である法人が借入金などをなくしてもらう代わりに、自社の新株を発行することです。


「DES」のメリット

法人にとってのDES のメリットは、債務を株式化することで、貸借対照表の負債が減少し、その分資本が増加することです。
借入金から株式になれば返済する必要はなくなります。
借入金が減少して、資本金が増加し自己資本比率が上がることで決算書の見栄えがよくなり、銀行から借り入れがしやすくなる可能性もあります。
また、DES を行う借入金のすべてが社長からの借り入れであれば、社長の持株比率が上がり、経営が安定します。


「DES」のデメリット

逆に社長以外が債権者である場合、当該債権者に株式を与えることになるので、債権者が株主となり、経営に関与することになります。さらに他にも株主がいる場合で、
DES を行うことで株式の評価額が上がると、債権者から他の株主に株の価値を贈与したこととなり、贈与税が発生する場合があります。
税務的には、債務から株式に変更する際には、債務を時価で評価しなおして、その評
価額で出資することとなります。
例えば1,000 万円の債務を現在の時価に直して評価した際に50 万円の価値しかなかった場合には、1,000 万円の借入金は資本金として計上されるのは50 万円だけとな
ってしまい、差額の950 万円は、「債務免除益」として収益計上され、税金を払わなければなりません。
そして実務上非常に悩ましいところは、この債務の時価評価方法が具体的に定められていないことです。