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離職票の退職理由と助成金支給 2010年05月29日

離職票をめぐるトラブルの増加

景気回復の兆しが少し見えてきたとはいえ、雇用情勢の回復はまだ遠く、失業率も0.3ポイント回復したものの、4・9%止まりとなっています。

このような雇用の背景にあって、退職時のトラブルも増加しています。

退職した際に交付される離職票に記載される退職理由に異議を申し立てるケースが多くあります。

会社都合退職と自己都合退職では失業給付の所定給付日数の違いがあり、会社都合退職のほうが給付日数は多くなります。

19年10月の法改正で、失業給付は直近に退職した会社の離職理由で給付日数が判定される事になり、直近の会社の勤務日数が短い期間の離職票であっても、離職理由が受給日数に関係し、自己都合か会社都合かは受給者に大きな影響を与えるようになりました。

トラブルを避けるには、退職日がいつか、理由は何かを退職願や合意文書等で文書を残しておく事が良いでしょう。


助成金への影響は

企業が助成金を受給していると、会社都合退職の離職票をハローワークへ提出した場合、助成金の受給要件にひっかかることがあります。

対象労働者の雇い入れの期間の前後一定期間の間に退職勧奨を含んだ会社都合退職を行っていないことや特定受給資格者を一定数以上出していない事が助成金受給要件に挙げられますので注意が必要です。


事業主都合が不支給要件となる助成金
よく、会社都合退職者を出すと助成金が受けられなくなると耳にします。

しかし、事業主都合退職で全ての助成金が不支給になるわけではなく、対象となる主な助成金は次のようなものがあります。

○特定退職者雇用開発助成金

○試行雇用奨励金

○中小企業人材能力発揮奨励金

○中小企業基盤人材確保助成金

○介護基盤人材確保助成金





医療機器の区分 2010年05月28日

取得した医療機器が「器具及び備品」に該当するのか、それとも「機械及び装置」に該当するのか、その判断に迷うこともあります。

税務当局も納税者(医療法人等)から申告書とともに提出された「中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却」の適用申請書に、その明細書の記載の種類欄に「医療機器」、名称欄に「血管造影X線診断装置」「超音波診断装置」との記載があることで、当該医療機器が「機械及び装置」に該当するものとして、同制度の特別償却(税額控除も含む)を認めていました。

しかし、この適用が誤りであることを会計検査院が発見、同院の指摘を受けた国税庁は、各国税局に適正な運用を促す異例の通知を送ったとのことです。

会計検査院の仕事の1つには、税務行政が適正に運用されているかどうかの検査権限があります。

言うなれば、税務署を税務調査するようなものです。


医療機器は「器具及び備品」に該当

医療機器は、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」のうち「8医療機器」に当たることから、「機械及び装置」には該当しないと判断されます。

なお、中小企業者等が機械等を取得した場合の同制度の対象資産は、

①機械及び装置

②特定の器具及び備品

③一定のソフトウェア

④車両総重量3.5t以上の貨物自動車

⑤内航海運業用の船舶となっています。

また、②の特定の器具及び備品は、一定の電子計算機など「事務処理の能率化に資するもの」となっていますので、医療機器はその対象資産から除外されます。


獣医も医療機器の特別償却が可能か

医療機器には前述のような制度の適用はありませんが、医療機関等が取得する一定の医療機器には、別途、「医療用機器等の特別償却」の制度があります。

この制度は、青色申告書を提出する法人(個人も含む)で医療保健業を営むものにその適用が認められています。

そこで、医療保健業に「獣医業」が含まれるかどうか、社団法人日本獣医師会からの事前照会に、

国税庁は、

①医療保健業が人間を要件としていない

②公益法人の収益事業34種にある「医療保健業」に獣医業が含まれている

ことを根拠として、同制度の特別償却の適用が可能である旨を回答しています。




社員の力を出し切る目標設定法 2010年05月27日

経営理念を実現するためには、戦略や事業計画を立てることが不可欠です。

これは中小企業にとっても大変重要で、 実際に2007年度に東京商工会議所が実施した調査によれば、経営総合力が高い中小企業では、5年以上の経営計画を策定している企業が約2割、3年以上までを含めると6割に達しています。


ここでは経営計画策定の4つのステップ

①現状分析

②経営ビジョンの明確化

③経営戦略の策定

④事業計画の策定(数値目標を含む)

のうち、

事業計画の眼目である、目標設定の方法に注目して、「社員の力を出し切る目標設定法」について解説することにします。


「目標」が持つ意義

経営にとって目標設定が重要な理由は、

①経営戦略・事業計画が達成されたかどうかを評価する基準であること

②社長をはじめ、社員が「頑張ればクリアできるぞ」と日々努力するバーの機能を果たすこと
 
にあります。

特に難しいのは、「社員がやる気になって力を出し切るストレッチ目標」をどう設定するか、と言う点です。


ストレッチ目標への誘導法

「ストレッチ」とは「従来の改善ではとても達成出来ない目標を設定して、全く新しい発想を出し合い、革新的な方法を考え出し、実践して目標を達成すること」です。

言いかえれば、「みんなが力を出し切ってようやく手が届くレベルの目標」のことで、社長や幹部社員の腕前が問われるのは、事業計画の目標を、社員にとって自らチャレンジする「ストレッチ目標」に置き換える誘導方法・技の使い方です。

そのヒントは次の2点です。

①社員に事業計画の背景・ニーズ・目的・目標の根拠を良く説明し、Q&Aで理解してもらい、協力を求める。(事業計画へ参加を求めればやる気につながる。)

②自分達の具体的目標とその達成手段について自ら考えてもらい、意見・アイディアを出し合い、「衆目評価法」を使う等によって、手段の裏付けがあるストレッチ目標に誘導する。




住民税の基礎知識 2010年05月26日

新しい住民税の納付書が会社や皆様のお手元に届く時期となりました。

確定申告の納税が終わりホッとしていた矢先に、またも税金の通知が届くと愕然としてしまいますよね。

そこで今回は住民税の基礎知識についてご説明します。

自分の給与は市区町村にどのように報告されるのか。

給与所得の方は年末に会社で年末調整が行われます。
年末調整とは、皆様の給与から毎月天引きした所得税が適正かどうか計算する手続きを言います。

年末調整の結果、適正な税額と天引き額に差額があれば還付もしくは追徴されます。

会社は年末調整が終わると、社員一人一人すべての住所地に個々の源泉徴収票(給与支払報告書)を送付します。

年末調整を当社に依頼していただいている方は、当社が従業員の皆様の各市区町村へ報告しています。

また、確定申告されている方については税務署に提出した確定申告書の内容が市区町村に自動的に申し送りされます。

住民税の周期は?
各市区町村は給与支払報告書や、確定申告書の内容に基づき、住民税の計算をします。

住民税の計算の基となる所得は前年の所得になりますので、例えば近日中にお手元に届く住民税は平成21年分の所得をもとに計算したものです。

これを平成22年6月から支払っていくことになります。


住民税の計算方法は?

住民税の計算方法は、とても複雑でひとくちに説明するのは難しいのですが、ざっくり計算する方法としては・・・

給与の方は「給与所得控除後の金額」、個人事業の方は確定申告書の「所得金額の合計⑨」から「所得控除の合計額」を引いた金額に5万円×(自分+扶養家族の人数)を足します。

この金額の約10%が1年間の住民税となります。

例えば給与所得控除後の金額が345万円、所得控除の合計額が150万円で妻と子供1人の方の場合

345万円―150万円+5万円×3=210万円×10%=21万円

これが1年間のおおよその住民税になります。




生保上場株式への課税 2010年05月25日

第一生命の株式上場

第一生命が、2010年4月1日に株式会社に組織変更して、東証1部に上場しました。

第一生命の保険契約者821万人のうち、120万~130万人が株を受け取ったとみられており、上場に合わせて取得する人も含めると株主数はNTT(昨年9月末時点で125万人)を上回って国内最多の150万人といわれています。

発行株式総数は1000万株で、売り出し価格は14万円だったものの、初値はそれを上回り16万円を付けました。

上場日における株式時価総額は約1兆6000億円ということになり、国内企業の中では30位~50位にランク付けされます。


先行事例がある

ところで、保険契約者が組織変更時に株式をもらった場合、課税はどうなるのでしょうか。

生保会社の株式会社化としては、大同生命(2002年)・太陽生命(2003年)・三井生命(2004年)に次いで4社目なので、先例を確認することになります。

大同生命保険が株式会社化されたときの処理が公開されています。


割当てを受けた株式に係る課税関係

①保険契約者が受け取る割当株式に係る経済的利益は、株式会社化に伴って偶然に実現する一時の所得なので、個人については一時所得の収入金額、法人については益金の額とされます。

②割当株式の評価額は、適正な時価を反映させる方式で出した売り出し価格により評価することとされています。

③ただし、組織変更と同時に強制売却される端株については、保険契約者が端株に関する権利を行使できないことから、実際に交付される金銭の額により評価します。


原価はゼロ

保険契約者には、保険会社への寄与度に応じて株式が交付されるようです。

すなわち、「生命保険会社を儲けさせてきた人」にはたくさんの交付があり、「古くからの個人年金保険や一時払養老保険などのように予定利回りが高くて逆ザヤの人」には株式の交付なし、ということなのでしょうから、過去の保険会社への提供利益の一定割合が株式の原価になるとも言えます。

しかし、計算可能性の困難さもあり、一種の割り切りで、原価はゼロの扱いです。





衆知を集めて合意形成 2010年05月24日


新しい商品やサービス、新しい販売方法生産方法など、売上・利益の向上・生産性向上などにつながる事業にとって価値ある方法を生み出すこと、

それも単発でなく、継続的に絶えず新しい「モノ」や「コト」を生み出す企業体質は、重要な経営資源です。

その様な企業体質は、全ての経営活動で、事業の方向性を踏まえて社員一人ひとりが考え、さらに力を合わせて様々な課題を発見し、解決策を見出し、自ら実行して結果を確かめる習慣づけから生まれます。 


衆知を集める「衆目評価法」

その元になるのは、力を合わせるために衆知を集める具体的方法であり、実技として「衆目評価法」が役立ちます。

文化人類学者の故川喜田二郎氏が開発した、発想と問題解決の方法「KJ法」の手法体系の中に「衆目評価法」があり、この方法を次のように簡易に使って、チームメンバーの合意形成ができます。

①具体的なテーマに基づいて、メンバーからすぐアクションがとれる具体的表現で多様なアイディアを出してもらう。

②それらのアイディアを各メンバーが5点法で採点し、投票する。

③合計点数が多いアイディアほど、「衆目評価」が高いと考え、リーダーがメンバーに確認し、合意形成する。


衆目評価の留意点

①テーマは仕事上のことに限る。

②正社員・パートさんの区別なく参加してもらう。

③仕事の合間のちょっとした時間を活用して、楽しみながら、しかし真剣にやる。


使いどころと効果

衆目評価法は、問題点の確認、目標の検討・改善具体策の選択・改善結果の評価等課題解決の様々な場面で使えます。

その効果は次の3点です。

①参加メンバーの納得度が高い合意形成ができ、決定後「やらされ感」がなくなり、自ら進んで「やりたくてやる」主体性が生まれる。

②重要な判断の焦点が絞り易く、小田原評定が避けられる。

③リーダーの決断がし易い。




共有物分割なれど 2010年05月21日


共有物分割は譲渡とされないという原則

共有物の分割は、交換行為に類似するものの、原則として、税法上は資産の譲渡にはならないと取り扱われています。

それでは、甲と乙とが、A土地とB土地とをそれぞれ共同で購入して共有(持分は甲乙2分の1)していた場合、

共有に係る土地を、分割して、甲はA土地を乙はB土地を単独所有するというような時、

これを共有物の分割だからとして、譲渡がなかったものと扱えるか、となるとにわかに疑問となりそうです。


共有物につき前提がある

譲渡とされない共有分割では、1つの物を2人が共有で所有しているという関係が前提にあります。

先の甲乙の事例では、2つのものを2人で共有しています。

甲はB地の共有持分権を放棄する対価として効用の異なるA地の単独所有権を取得し、

乙はA地の共有持分権を放棄する対価として効用の異なるB地の単独所有権を取得するということになります。

従って、これには、分筆登記による共有分割の場合のような扱いにはできません。

所得税法第58条の固定資産の交換の特例の適用がない限り、一般の譲渡として譲渡所得課税の対象とされます。


単独から共有への場合も同じ
同じように、それぞれが単独に所有していた土地を共有とする場合も、

実質的には、自己の所有に係る土地の共有持分と他人が所有する土地の共有持分とを交換することなので、

本来の譲渡行為に該当します。

この場合、分筆による分割に対応するような、隣接地同士の合筆による共有化だったら、分筆の場合の不課税の論理が合筆にも当てはまるのではないか、との類推が起きても不思議ではありません。

でも、それはダメなのです。

所有者の異なる土地は合筆ができないことになっているからです。

複数の単独所有土地を一つの共有土地にするには、それぞれの単独所有土地に、他の者の共有持分権を新たに発生させる持分交換を先にして、合筆対象土地の所有者名義を同一にしなければならないからです。





共有物分割の税務 2010年05月20日


共有物分割は交換に近い

1つの土地を2人が共有で所有しているという関係は、それぞれがその共有土地の全部について、その有する共有持分に応じて権利を有するということになります。

したがって、甲と乙とが共有していた1つの土地をAとBの2つに分割し、

甲がA土地を、乙がB土地をそれぞれ単独で所有することとなった場合には、

甲はB土地の部分について有していた共有持分権を放棄する代償としてA土地を単独所有することになり、

乙はA土地の部分について有していた共有持分権を放棄する代償としてB土地を単独所有するということになって、

法律的な構成からすれば、いわば交換に近いことが行われたといえそうです。


交換とは見ない税法の立場

交換は譲渡の一形態です。

しかし、共有物の分割は譲渡に該当するかということになると、税法上はそういう見解をとっていません。

譲渡所得は、資産の値上り益が譲渡によって実現した時に一時の所得として課税の対象とされるものであることから

「2人の共有に係る1つの物がその持分に応じて2つに分割された」


ということだけでその資産に係る譲渡所得が実現したと考えることには無理があるからです。

共有に係る1つの物をその持分に応じて現物で分割した場合には、

「その物の全体に及んでいた所有権が単独所有することとなったその物の部分に集約された」

に過ぎないので、このような場合における共有物の分割は資産の譲渡にはならないと税法上取り扱われています。


譲渡がないものとされることの意味

交換はその特例の適用する旨の申告をして課税の繰延を受けられるのですが、共有物の分割の場合は、「譲渡がなかったものとする」という扱いなので、申告も不要です。

もちろん、交換特例のための要件である、1年以上の所有とか、直前用途と同一用途とか、という縛りもありません。

土地の分筆による共有分割の場合、分筆の登録免許税こそかかりますが、不動産取得税もかかりません。




2つの育児給付金を統合 2010年05月19日

育児休業給付の改正(H22年4月1日改正)

育児休業給付金は、育児休業中に休業開始時賃金の30%の育児休業基本給付金が支給され、その後職場復帰し6カ月経過後に、20%の育児休業者職場復帰給付金が別々に支給されています。

この両者を統合して、育児休業中に支給することになりました。

これについては、育児休業を取ってもやむを得ない事情で職場復帰できないケース等満額受給できない場合もあり、所得保障の観点から改正が望ましいとする意見の一方で、現在の職場復帰率8割余りを引き上げる観点からは、慎重であるべきという意見も出ていました。

しかし、最終的には、育児休業者の所得保障を優先する事とし、2つの給付金を統合する事となりました。

統合された給付金は4月以降の休業開始者に支給

平成22年4月1日以降に育児休業を開始した人については、2つの給付金がまとめて育児休業中に支給されます。(職場復帰給付金は廃止)。

つまり育児休業が終わって職場復帰後6カ月経過を待たなくとも従来の職場復帰給付金を含めた額の給付金を受給できます。

手続きにおいては、22年3月31日までに育児休業を開始した労働者の職場復帰給付金の手続きを忘れないように注意が必要です。


給付率引き上げ延長措置
現在の職場復帰給付金は、平成22年3月31日までは本来の給付率が暫定的に20%に引き上げられていて、2つの給付金は合わせて50%となっています。

今回の改正でこの引き上げ期間は当分の間延長される事となりました。

2つの給付金は統合されて基本給付金のみとなりますが、統合後の基本給付金は50%になり支給されます。


 




マイホーム売却時の特別控除 2010年05月18日

自宅を売らなければならなくなったら…

例えば、8年前に購入したマイホームを売却しなければならない状況になったとして、土地・建物合わせて8,000万円で売れて4,000万円の利益が出た場合、税金はいくらくらいになるのでしょうか・・・・

マイホームを売却した際には「3000万円の特別控除」という特例の適用があります。これはマイホームを売却して利益が出たとしてもあまり税金がかからないように、3,000万円までは利益から控除することができるという制度です。


「3,000万円の特別控除」の要件

この3,000万円の特別控除を受けるためには、おおまかには次のような要件を満たすことが必要です。

①親族以外へ、自分が住んでいる、または3年前まで住んでいた家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。

②売却した年の前年と前々年に、「3,000万円の特別控除」や「居住用財産の買換え」もしくは「交換の特例」の適用を受けていないこと。

③売った家屋や敷地について、固定資産の交換の特例、事業用資産の買換え・交換など他の特例の適用を受けていないこと

④譲渡した年の翌年3月15日までに確定申告をすること。
たとえ売却益から3000万円を控除した結果、譲渡所得が0円となった場合でも、必ず確定申告しなければなりません。


特別控除を使った際の税金の額

マイホームでない場合、上記の土地建物の売却では、「売却益4,000万円について、所得税15%と住民税5%の税率がかかり、800万円の税金となります。

しかし、上記の要件を満たしている場合、「 (4000万円-特別控除3000万円)×(所得税15%+住民税5%)=200万円」となり、600万円、税金が少なくなります。




更正の請求の原則と例外 2010年05月17日


更正の請求のできる期間の原則

所得税などの税金の増額修正は修正申告により納税者自らが行えますが、減額修正は税務署長にしか権限がありませんので、納税者は減額修正の請求を税務署長にすることになります。

これを更正の請求といいますが、それには期間制限があり、法定申告期限後1年以内とされています。


法定申告期限がない場合

給与所得者である納税者が医療費控除を受けるための平成21年分の還付申告書を平成22年4月10日に提出した。

という場合、この申告書には法定申告期限がなく、期限後申告ということになるものではないので、この還付申告書についての更正の請求期限は、その申告書を提出した日から1年以内となり、平成23年4月10日が提出可能期限となります。


法定申告期限がない場合でも

先の例で、平成21年分の還付申告書を平成22年1月10日に提出した。

という場合には、更正の請求期限は、申告書提出後1年以内の平成23年1月10日ではなく、「一般の法定申告期限から1年以内のいずれか遅い日であれば行うことができる」とされているので平成23年3月15日が提出可能期限となります。


1年以上経過している場合でも

平成19年分の売上げを平成20年分に計上していたため、平成19年分について平成22年3月19日に修正申告書を提出したという場合、それに伴い、翌年分の平成20年分の確定申告に係る所得税の額が過大となるような時には、修正申告書を提出した日の翌日から2か月以内に限り平成20年分の所得税について更正の請求をすることができます。

訴訟が確定したような場合も同じです。


更正の請求の撤回可能性

確定申告書は、提出と同時に所得税額が確定するため、原則として、撤回することはできません。

申告義務のないサラリーマンの申告書のみは例外的に撤回可能です。

それに対し、請求や届出等は、「法律上の効果が発生するまでは撤回することができる」ものと解され、一旦提出した更正の請求書でも未だ更正処分が行われていない場合には、撤回することができます。




更正処分の原則と例外 2010年05月14日


更正処分のできる期間の原則

所得税などの税金の確定は本人からの申告に拠りますが、税務署長もそれを変更する権限を持っています。

その権限行使を更正処分といい、期限内申告書に対する(増額)更正処分には法定申告期限(平成21年分の場合は平成22年3月15日)から3年以内、(減額)更正処分は5年以内という期間制限が付されています。

なお、脱税で刑事訴追を受けるようなケースでは7年です。


そもそも申告義務がない場合

給与所得者である納税者が医療費控除を受けるための平成21年分の還付申告書を平成22年1月10日に提出した。

という場合、この申告書には申告義務、すなわち法定申告期限がないので、この還付申告書についての(増額)更正処分の期限は、その申告書を提出した日から3年以内となり、平成25年1月10日が処分可能期限となります。


期限後申告だと3年縛りを超えることも

申告義務のある者が期限に遅れて、期限後申告書を提出した場合には、(増額)更正処分の期間制限は、「法定申告期限から3年を経過する日と期限後申告書提出日から2年を経過する日のいずれか遅い日まで」となっています。

ただし、最長5年が限度なので、4年9ヶ月で出した期限後申告では更正処分可能期間は3ヶ月しかないことになります。


期限内申告でも3年縛りを超えることも

判決があったこと等に基づいて5年前分の申告について更正の請求をしたことに関連して4年前分の所得税額が増加するような場合には、3年経過後にかかわらず、更正の請求に拠る更正があった日から6か月間であれば、期間制限の特例により(増額)更正処分をすることができることになっています。


増税のない場合の増額更正は5年
繰越損失の額を少額なものにする更正処分は増額更正の仲間ですが、損失額の発生年度の額の変更に関しては3年ではなく、5年の期間制限です。ただし、その更正に伴い3年を超える過去の期間について納税額が算出されたとしても、それは期間制限により更正処分の対象になりません。




相続税の計算の流れ 2010年05月13日

ご両親や親族に不動産を多く持っている、もしくは盛況な事業を行っている方がいらっしゃる場合には、将来の相続税について心積もりをしておかなければなりません。

そこで今回は、お客様からのご質問の多い、「相続税はいったいいくらの遺産からかかってくるのか」をご説明します。


相続税の計算の流れ

相続税は複雑な過程を経て算出されますが、一番最初に把握しなければならないのは、残された遺産の総額です。

そのため、全ての財産が漏れなく計上されるよう、法律に基づいた適切な評価方法によって1つ1つの財産を厳密に評価し、相続税の申告書に計上しなければなりません。

そして、この遺産の総額から、入院費用や銀行借入金などの債務やご葬儀の費用を差し引きます。


基礎控除

上記のとおり、遺産の総額から債務・葬式費用を差し引いた純資産から、さらに基礎控除を差し引きます。

この基礎控除の額は、5千万円+法定相続人1人あたり1千万円で計算されます。例えば夫が亡くなり、相続人が妻と子供2名であった場合、5千万円+3千万円で、基礎控除は8千万となります。

そして、基礎控除を超えた金額について段階的に10~50%までの税率がかけられ、取得した財産の金額によって各相続人に按分されます。

したがって、相続税が1億円と計算されても、取得する遺産がゼロであれば、相続税はかかりません。
さらに配偶者については、取得した財産について税金を軽減する措置が設けられています。


遺産は残っているものばかりではありません。

残された遺産の把握の際に注意しなければならないのは、お亡くなりになる前の3年以内に相続人が贈与を受けた場合にはその3年間の金額の合計、また相続時精算課税の適用を受けた贈与については、この贈与が無かったものとみなして財産に戻して計算しなければならないことです。

したがって、お亡くなりになった日時点での遺産の総額で基礎控除を超えていないと安心しても、贈与の部分を加味してみると控除を越え、税額が発生することもありますので、注意が必要です。




青色控除の奇妙な現象 2010年05月12日

青色申告特別控除には10万円と65万円の2種類があります。

適用対象所得は、10万円の方は不動産所得、事業所得、山林所得で、65万円の方は事業所得と事業的規模の不動産所得です。


控除のときの順序

控除の順序は、不動産所得、事業所得、山林所得の各所得につきそれぞれ青色申告承認の要件を満たしている限りで不動産、事業、山林、の順序です。


なぜか事業規模でないのに65万円控除

不動産所得と事業所得がある場合で、不動産所得の方は事業的規模ではないので、簡易帳簿で記帳し、申告での不動産所得の青色決算書でも貸借対照表の作成を省略していたとしても、控除の順序には影響はありません。

あたかも、65万円控除の適用を受ける資格のない不動産所得について65万円の控除の適用を受けているように見える奇妙なところです。


家内労働者控除の65万円と青色控除

事業所得者がたまたま内職者などであった場合、必要経費については実額計算の結果が65万円に満たない場合には赤字にならない限りで65万円とすることとなっています。

この65万円を適用すると、青色決算書の必要経費の欄には何も書かれず、家内労働者控除65万円とでも書かれるだけです。

家内労働者控除の65万円は必要経費で、青色申告控除の65万円は必要経費ではありません。


帳簿要件等、貸借対照表の記載等があれば可

65万円の青色申告特別控除は、「事業」を営む者が、これらの「事業」につき備え付ける帳簿書類について、その所得の金額に係る一切の取引の内容を詳細に記録等しているほか、貸借対照表及び損益計算書を作成している場合に適用することとされています。

したがって、青色申告の承認を受けている事業所得者で、家内労働者控除65万円を必要経費にしたとしても、そういう損益計算書を作成し、その上で貸借対照表を複式簿記で作成していれば65万円の青色申告特別控除が受けられるということです。

あたかも、65万円控除を二重に受けているように見えてしまう奇妙な現象です。
    





営業の目標達成力を上げよう 2010年05月11日

営業の目標達成力を上げるには、営業担当個々の営業力を高める方法と、営業グループ全体の営業力を高める方法がありますが、ここでは後者の方法に焦点を当てて、担当者間で競い合いながら営業目標達成力を上げる方法を紹介しましょう。


目標はシンプルに

競い合う目標は売上高・利益を、毎月・半期・1年で評価するなど、なるべく分かりやすくシンプルにします。

そして、営業担当者のペアを作るなどグループを決め、その一人当たり達成目標を決めて競い合う仕組みにします。

ペア間の競争意識が出て、ペアになった担当者はあれこれと営業のやり方を工夫しながら競い合うようになるでしょう。

営業のゲーム化でやる気を高める

社長がこのような競争を仕掛けるときは、尻を叩いたり、単純に馬の鼻先に人参をぶら下げる意識ではなく、ゲーム感覚で、明るく楽しく真剣に、どんな小さなことでも担当者がああでもない、こうでもないと自分達で工夫したり、試したりしながら頑張るように仕向けると良いでしょう。


ゲーム化の留意点は

①毎月・半期・年間で定期的に各ペアの営業目標達成実績を社内公表し、評価、表彰します。

②社長自ら成績が良いペア・営業マンのどのような工夫が売上・利益の向上に効果があったのか、具体的に解説した上で表彰状を渡します。

そうすると、新しい営業ノウハウが、営業社員全体に広がって行きます。

このように営業担当者が、自分達の営業のやり方を自由闊達に話し合い、常に自分を深堀しながら、競争を楽しむようになると継続的な好業績に結びつくのです。

パートさんの頑張りを引き出そう

パートさんなど女性の競争感覚は大変鋭く、責任意識が高く、また楽しいことが大好きだと言う特性を持っていますから、パートさんに頑張ってもらうと販売が伸びる業種でもこの考え方、方法が使えます。
 




たばこ増税と禁煙効果 2010年05月10日


たばこ税の増税

2010年度税制改正案は3月24日参院通過し成立しました。

そこにはたばこ税の増税が盛り込まれました。

今年10月から1本当たり3.5円の増税となり、その結果、平均で1箱あたり100円の値上げとなるようです。

JTのホームページによると現在1箱300円の場合、63.1%の189.17円が税金です。

今後は65.98%の263.93円が税金となる計算です。


日本人の喫煙状況

平成20年の成人喫煙率調査では、日本人の喫煙者は2477万人、喫煙者率は21.8%で、男性喫煙者は1946万人、喫煙者率は36.8%、女性喫煙者は531万人、喫煙者率は9.1%です。

女性喫煙者が漸増しているのに対し、男性喫煙者は平成7年より減少してきており、平成17年度以降4割をきるようになり、年々減少しています。

たばこ税の税収2.2兆円から逆算して喫煙者平均1人1日0.8箱消費していることになります。


たばこ値上げの禁煙効果

インターネットでのアンケート調査をしたとの報告がある喫煙補助剤を販売するJohnson & Johnsonのホームページをみると、禁煙・節煙を考えている喫煙者の6割超が、たばこ税増税を機に禁煙すると回答しています。

増税を機に「完全にやめたいと思う」が21.5%、「本数を徐々に減らし、やめたいと思う」が40.7%、「本数は減らしたいが、やめたいとは思わない」が20.2%、「やめたい、減らしたいと思っているが、増税とは関係ない」が17.6%です。

禁煙成功確率3分の1として

この調査報告によると、日本全国には将来、禁煙・節煙を考えている喫煙者は、約1800万人いて、これは喫煙者の72.7%で、さらにその6割すなわち全体の43.6%約1080万人の喫煙者が、この機会に禁煙にチャレンジすると推測できます。

禁煙成功確率が3分の1として、14.5%のたばこ売上減少となります。

増税による税収増が30%で、禁煙による税収減が15%といったところがここから見えてくる予測値です。

政府の大義名分としての健康という観点からのたばこ税の見直しとしてはまだまだ不十分ということになるかもしれません。




滞納借主への対処にご注意を 2010年05月07日


鍵の交換は確かに即効的ではあるが・・・

不動産の賃貸経営で避けられないのは、借主の賃料滞納と明渡しの問題です。

長期間にわたり賃料を滞納する借主に対しては、賃貸借契約を解除の上、明渡請求をなし、それでも応じなければ裁判を起こすことになろうことは、大方察しがつくことでしょう。

しかし、建物賃貸借について、より手っ取り早い方法として、こちらで鍵を替えて、借主を締め出す方法を聞いたことがある、あるいは、現にやったことがあるという方もおられるかもしれません。


自力救済の禁止

しかし、これは、法治国家である我が国では問題ありと言わざるを得ません。

すなわち、自力救済禁止の原則から、仮に自らの権利が侵害されても、その回復は、自らの実力行使ではなく、司法手続に委ねて図らねばならないとされております。

もっとも、かつては、借主は賃料を滞納している手前、それを問題だとして訴えることはなかったかも知れません。

しかし、今日の権利意識の高まりの表れとして、このような手法を問題視し、司法の場で責任追及する事例が出てきました。

損害賠償の対象に

そして、本件建物内の動産類の撤去の機会を与えず、明渡しの要否について判断ができず、鍵の交換を承諾又は容認したとは認められない事情の下でなされた鍵の交換について、借主の占有権を侵害する自力救済で、違法であるとして不法行為が成立し、貸主の損害賠償責任を認めるという裁判例が出されました。

刑事罰の対象になりうる

また、家賃債務の保証業者による悪質な取立てによる弊害を背景に、これを刑事罰で取り締まろうという動きも出てきました。

すなわち、借主に無断で鍵を換えて部屋に入れなくしたり、深夜や早朝に家を訪れて督促したりすること等の行為を禁止し、これに違反すれば2年以下の懲役または300万円以下の罰金を科し、悪質な事例には両方を科すという厳しい内容の法案が今国会で提出されました。

このような現状からすれば、鍵の交換という手段はもはや禁じ手と心得るべきです。





医療・介護の保険料負担膨らむ 2010年05月06日

協会けんぽ保険料率改定

全国健康保険協会は、3月(4月納付分)からの健康保険・介護保険料の引き上げを発表しました。

これによると、健康保険は全国平均で現在の8.2%(労使折半)から22年度は9.34%に引き上げられます。

景気低迷から、保険料収入の落ち込みと高齢化による医療費支出の増大等が主因で財政悪化と言われていました。

新保険料負担増分の計算方法

協会けんぽ加入者各人の保険料負担が4月納付分からいくら位増えるのかは、簡単な計算で把握できます。

保険料の上昇率は医療保険の1.14%に介護の0.31%を合わせた1.45%

労使折半した保険料率0.725%(40歳未満は介護分が無いため0.57%)

この数字を自分の税引き前の年収に乗じれば、おおよその負担増額が分かります。

実際には健康保険料率は住んでいる地域によって違っており、計算には各人の算定の基礎となる標準報酬月額と標準賞与の合計額に保険料率を乗じて計算します。


協会けんぽだけでない厳しい財政状況

自分の加入している健康保険が協会けんぽでなく、健康保険組合だったとしても安心はできず、財政悪化の背景は同じ状況です。

厚労省は組合健保に協会けんぽへの財政支援を義務付ける法案を国会に提出している段階で、今後、保険料値上げをせざるを得ない組合も出て来るかもしれません。

物価は下がっても、給料の手取りの減少や保険料の値上がり等で負担はむしろ増えていく方向が見えてきています。


各都道府県の保険料率(H22.3~)

北海道  9.42%

滋賀県  9.33%

青森県  9.35%

京都府  9.33%

岩手県  9.32%

大阪府  9.38%

宮城県  9.34%

兵庫県  9.36%

秋田県  9.37%

奈良県  9.35%

山形県  9.30%

和歌山県 9.37%

福島県  9.33%
 
鳥取県  9.34%
 
茨城県  9.30%
 
島根県  9.35% 

栃木県  9.32% 

岡山県  9.38% 

群馬県  9.31% 

広島県  9.37% 

埼玉県  9.30% 

山口県  9.37% 

千葉県  9.31% 

徳島県  9.39% 

東京都  9.32% 

香川県  9.40%
 
神奈川県 9.33%

愛媛県  9.34% 

新潟県  9.29% 

高知県  9.38% 

富山県  9.31% 

福岡県  9.40% 

石川県  9.36% 

佐賀県  9.41% 

福井県  9.34% 

長崎県  9.37% 

山梨権  9.31% 

熊本県  9.37% 

長野県  9.26% 

大分県  9.38% 

岐阜県  9.34% 

宮崎県  9.34% 

静岡県  9.30% 

鹿児島県 9.36%
 
愛知県  9.33%

沖縄県  9.33%
 
三重県  9.34%