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本当の家無き子に改正 2010年06月30日

現在は相続全体の4.2%の人しか相続税を払ってない状況とされています。

この要因のひとつとして小規模な宅地等について評価減の特例がありますが、平成22年4月の税制改正でこの小規模宅地等の評価減の特例について大きな改正がありました。


小規模宅地等の特例とは

相続人等が、亡くなった方(以下、被相続人と言います。)が住んでいたり、事業のために利用していたりした小規模な土地などを、相続や遺贈によって取得した場合には、その土地の評価額の一定割合を減額することができます。


取得者の要件

小規模宅地等の特例のうち、例えば、被相続人が自宅として住んでいた宅地等(特定居住用宅地)については、240㎡までその評価額が8割減額されます。しかし、この土地について配偶者以外の方が取得する場合には、取得者に一定の要件があります。

①相続開始直前に同居していた親族で、申告期限まで所有・居住していること。

②被相続人と生計を一にしていた親族で、申告期限まで所有・居住していること。

③被相続人に配偶者も同居親族もいない場合で、相続開始前3年以内に持ち家に居住したことがない親族が、申告期限まで所有していること。

このうち③の要件に該当する方を税務上の通称で「家なき子」と呼んでいます。

例えば、被相続人が配偶者に先立たれ一人暮らしをしていた場合で、その子供が独立して賃貸住宅(分譲住宅ではなく)などに住んでいる場合が該当します。


平成22年の改正で

改正前は宅地等を取得した人のなかに、配偶者か①~③の要件を満たす人が含まれていれば要件を満たしていない他の相続人も恩恵を被る事ができました。

例えば、「子供たちはそれぞれ独立していてお母さん一人が自宅に残された場合、子供たちは自宅の土地を取得しても減額が受けられませんが、お母さんにも自宅の持分を100分の1だけ取得させることにより、子供たちが取得する100分の99についても減額できる。」というような適用のしかたもできました。

しかし、これでは本来の趣旨とは違っています。


今回の改正では本来の趣旨に近づけ、その家に住んでいる配偶者、家族、持家のない「家なき子」にやさしい法律になりました。

この改正は、支払う税金に直接関わってきますので、今後、誰が土地を取得するのかなどの分割協議に影響を与えるのではないかといわれています。




自己株式の取得に伴うみなし配当と譲渡損益 2010年06月29日

自己株式の取得は、それに応じた株主にとっては、

①有価証券の譲渡とされ、その譲渡対価(「交付を受けた金銭等の額」から「みなし配当」を控除した額)と譲渡原価の額との差額が譲渡損益と認識され、

一方、

②交付を受けた金銭等の額が発行会社の資本金等の額を超えた部分は「みなし配当」と認識され、受取配当金の益金不算入の適用を受けることができます。


みなし配当と譲渡損益の仕訳

これを仕訳で表せば次のようになります。

設例)株式の取得価額(譲渡原価)60、発行会社から交付を受けた金銭等の額80、発行会社の資本金等の額50

 現金預金   80  / 有価証券 60

 有価証券譲渡損10 / 受取配当金 30

 *みなし配当に伴う源泉徴収税額は割愛


過日、日本IBMグループが自社株購入で赤字を作り出し、連結納税と組み合わせて過去最大規模の4,000億円もの課税回避をしたとの報道がありました。

国税当局は、これらの行為は「租税回避行為」にあたるとして更正処分に踏切ったようです。

一方、IBM側は、法人税法の規定に従って処理したまでで、「合法的な節税」であると主張しています。


自己株式の取得に伴う税務取扱の改正

平成22年度の税制改正において、この自己株式の取得に伴う税務上の取扱が改正されました。


改正内容は、次のとおりです。


(1)100%グループ内の法人間の自己株式の譲渡

100%グループ内の内国法人の株式を発行法人に対して譲渡する場合には、譲渡対価を譲渡原価に相当する金額とすることにより、その譲渡損益は認識しないこととされました。

前述の設例の「有価証券譲渡損10」は、「資本金等の額10」になるものと思われます。

なお、「みなし配当」に関しては、現行法通り、受取配当金の益金不算入制度が適用されます。


(2)上記(1)以外の法人間の自己株式の譲渡

自己株式として取得されることを予定して取得した株式が自己株式として取得された際に生ずる「みなし配当」については、受取配当金の益金不算入制度を適用しないこととされました。

なお、有価証券の譲渡損益の認識に関しては、現行法通り、適用があります。

適用は、平成22年10月1日以後の譲渡、取得からです。





賞与に対する源泉徴収 2010年06月28日

1.給与と賞与で全く異なる源泉徴収

給与や賞与を支給する時には、所得税の源泉徴収をしますが、賞与からの源泉徴収は毎月の給与からの源泉徴収とは計算方法が違います。

毎月の給与からの源泉徴収は、その給与の金額に比例して増減しますが、賞与からの源泉徴収は、基本的には賞与自体の金額には関係なく計算される仕組みになっています。

2.賞与からの源泉徴収

賞与からの源泉徴収は、社会保険料控除後の賞与の金額に一定の率を乗じて計算されます。

この一定の率は、賞与支給月の前月中の「給与」の金額と扶養親族の数に応じて決められています。


3.特殊なケース

前述のとおり、賞与からの源泉徴収は、賞与の金額に無関係に、前月の給与の金額によって税率が決定されることになるため、年末調整の際に不都合が生じる場合があります。

極めて特殊なケースですが、賞与の形で支給される金額がとても大きい給与制度になっている場合などで、例えば前月の給与は5万円程度でも、賞与は300万円の人がいたとします。

月給が5万円の場合は賞与に乗じる率は0なので、300万円の賞与に対して源泉徴収税額が0ということが起こり得ます。

このようなケースでは、年末調整の際に高額な源泉所得税額を追加で徴収しなければならなくなります。

そこで、このような不都合を避けるために、特例が定められています。


4.特例の計算

前月中の給与がない場合や賞与の金額が前月中の給与の金額の10倍相当額を超える場合等には、前述の方法によらずその賞与の金額を6分の1(賞与計算の基礎期間が6カ月を超える場合は12分の1)にしたうえで、毎月の給与の源泉徴収と同様に計算した源泉徴収を行います。

この特例計算によって、前述のような特殊なケースでも、源泉徴収税額が過少となる不都合を避けることができます。





どう給付される賞与の保険料 2010年06月25日

賞与にも保険料がかかっている

健康保険や厚生年金保険、雇用保険は毎月の賃金から保険料が引かれています。

労災保険は全額事業主負担ですので賃金からは控除されませんが、労働保険料として申告納付しています。

さて、賞与が支給された際は毎月の賃金と同じように保険料が徴収されますが、賞与にかかる保険料は年金や手当等の受給にどのように反映されているのでしょうか。


保険料がかかる賞与とは

労災・雇用保険では「賃金、給料、手当、賞与その他の名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの」とあり、通常支払う賃金と区別していません。

健保・厚年保険では「賃金・給料・俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるもの」とあり、通常の賃金とは区別されています。

これは年に3回まで支給されるものをいい、保険料は実際の支給額の千円未満を切り捨てた「標準賞与額」に保険料率を乗じて計算されます。

賞与の保険料が反映される給付は

どの制度も賞与に保険料がかかりますが、給付はすべてには反映されていません。


・労災保険

労災保険の給付額は「給付基礎日額」で決められますが、年3回までの賞与は反映されません。

ただし、労働福祉事業の特別支給金については算定基礎となります。


・雇用保険

雇用保険の給付額は「賃金日額」で決められますが、年3回までの賞与は給付額には反映されません。


・健康保険
健康保険の給付の基礎となる「標準報酬日額」には賞与の保険料は反映されません。


・厚生年金保険

老齢・障害・遺族の厚生年金額を計算するとき、平成15年4月以降支給の賞与については、被保険者期間は標準報酬月額と標準賞与額の総額をその間の加入期間で除して得た額が平均標準報酬月額となり年金の額に算入されます。


このようにみると長期的給付に賞与の保険料が反映されているといえるでしょう。






役に立つ企画の立て方 2010年06月24日

中小企業経営では、社長をはじめ幹部が自ら販売、生産、開発などの企画・実行計画を明文化し、

P(計画)-D(実施)-C(点検・評価)-A(処置・改善)

のマネジメントサイクルを的確に回して実現を図らなければなりません。

企画を立てる定石

そこで、事業の成果に結び付く、実際に役立つ企画を立てることが重要な課題になります。

社長や企画担当責任者にとって「定石」と言える企画の要素と思考順序は次の7点です。

①「何について企画するのか」、テーマを明確にする。(商品改良・売り方改善等)

②このテーマの背景・ニーズから「企画の具体的切り口・目的」を明確にする。

③テーマに関する現状(社内状況・外部の変化など)を的確に状況判断する。

④「SWOT分析」等により重要課題を発見し、企画の方向性を決める。

⑤コンセプトと数値目標を設定する。

⑥目標達成の成功要因・障害要因を見つけ、解決具体策・処置を検討する。

⑦目標達成までのスケジュールを立てる。

実現力を持つ、役に立つ企画を

実行に移された企画が営業・販売・生産などの現場で実効を上げなければ、価値がありません。

的確に現場に理解され、事業の成果に現れる実現力を持つ企画とするために最も大切なことは


企画担当者と実施担当者が、

企画が実行に移される現地で現物を見て、

現実に即して、

話し合い、

状況判断を一致させること


すなわち“解は現場にあり”です。

このようにすると「机の上で、単なる先入感や希望的観測による判断をしてしまう重大な誤り」が回避できます。

また、実施担当者が企画に参加するため、実行しやすい企画になり、やる気も引き出せ、役割意識、責任意識を持って実行に移してくれますから、成果が生まれ易くなります。

P-D-C-Aのサイクルを確実に

企画の実行段階では、企画段階で想定外の様ざまな障害や変化が起こりますから、実行の経過を見守り、C-AをかけてP-Dにはねかえす軌道修正が欠かせません。




正しい遺言書の書き方 2010年06月23日

遺言書は万能ではない

不動産や預金などを将来、子供や配偶者へ確実に渡していくために生前に遺言書を作成することがよくあります。

しかし、せっかく書き残した遺言書ですが、どんな時でも遺言者の意思どおりに財産が分割されるわけではありません。

公正証書遺言

現在、法律上もっとも確実な遺言書であるとされる「公正証書」による遺言であっても、相続開始後に改めて相続人同士の話し合いで「分割協議書」を作成することで、「公正証書遺言」の内容とは違う形での分割が可能です。


のちのちモメない正しい遺言の仕方

遺言の内容を明らかにしないままに相続を迎えた場合、遺言者の思惑通りに相続人が分割を行う保証はありません。

したがって、遺言を残される場合には、以下の点について、周知しておく必要があります。

1.各相続人に分割する財産については生前に取得者を決めておき、遺言者の意思が確実に伝わるようにする。

2.もめる可能性のある財産については、単に遺言で取得者を指定するだけではなく、生前中に相続人が納得できるような協議を十分行うなど、その問題の芽をつみとり、争いのない状態を作っておく。

3.自筆・秘密など、相続人がその内容を知らず、遺言者の死後明らかになるような遺言は、相続人により遺産分割協議をすることで容易に覆されます。

4.自筆・秘密遺言は、専門家のチェックが入っていないため、遺言者の意思を十分に反映したものにならないことが多いため、無効になることもあります。




利子税の割合もいろいろ 2010年06月22日

国の税金は、納付期限までに金銭で、一時に納めるのが原則です。

しかし、納税者の申請により所得税や相続税の納付を延納することができます。

また、法人税では、一定の事由により、申告期限の延長によって納付期限も延期できます。

この申請によってかかってくるのが利子税です。

この利子税には、罰則的な意味合いはなく、期限までに納めた人との公平の観点から設けられた制度で、利息に相当するものです。   

したがって、利子税は、所得税のおいては、

不動産所得、事業所得、山林所得の必要経費に

一方

法人税では、損金額に算入されます。

所得税及び法人税の利子税の割合は、現行法では、7.3%

前年11月30日の公定歩合に4%を加算した割合

のいずれか少ない方の割合になっています。


相続税の延納に伴う利子税の割合

利子税の割合は、課税相続財産の価額に占める不動産等の価額の割合に応じて、特例で次のように定められていますが、現行法では、さらに特例の特例で、下記表の右端の特例割合を適用することになっています。

ちなみに、表の特例割合の数値は、公定歩合が0.75%の場合です。

特例割合は、

「利子税割合×(分納期間の開始の日の属する月の2月前の月の末日を経過する時の公定歩合+4.0%)/7.3%」(0.1%未満の端数切捨て)

で求められ、延納の時期により変動します。

物納にも利子税がかかる

平成18年度の税制改正により物納にも利子税が課されましたが、実際にかかる期間は、

物納申請に当って物納手続関係書類の提出期限を延長した期間

及び

物納申請後に申請者において物納関係書類の整備や財産の措置等を行った期間です。
 
その割合は、特例により、年7.3%と前年11月30日の公定歩合に4%を加算した割合のいずれか少ない方の割合です。




加入を促進改正雇用保険法 2010年06月21日

大きく分けると4つの改正点


景気の一部に明るさが見られるというものの、雇用情勢は新卒の内定率も就職氷河期並みといわれる状態では雇用の改善はまだ先のこととなりそうです。

このような中で非正規雇用労働者に対するセーフティネット機能の強化や財政の基盤強化を図るため4月より雇用保険法が改正されました。

改正点は大きく分けると四点となります。

非正規労働者に対する適用範囲の拡大

平成21年の雇用保険法の改正により、短時間労働者の適用基準を「1年以上の雇用見込み」から「6カ月以上の雇用見込み」で雇用保険に加入することができるようになりましたが、厳しい失業情勢の下では6カ月以上の雇用の要件も満たせない人も多く、更に「31日以上の雇用見込み」があれば適用ができるようになりました。

しかし、離職と受給を繰り返す人の防止の観点から受給条件は現行のままとされています。


雇用保険未加入者に対する遡及適用期間改善

会社が従業員に対し、雇用保険の加入手続きを行わなかった場合、遡及加入は2年前までしかできませんでしたが、失業給付の受給日数が減ってしまうこともあったため、2年以上の遡及も認めることになりました。

具体的には給与明細等に雇用保険の控除がされていたことを示す書類の確認が行われます。

雇用保険の財政基盤強化

雇用保険2事業(助成金等)については雇用調整助成金の支給要件の緩和措置等の継続雇用対策で財政の不足が生じてきたこともあり一般の事業の場合で2事業に係る保険料率が1000分の3.5に改正されました。

また、失業給付に係る保険料率は1000分の12(事業主と被保険者でこれを折半する)で全体の保険料率は1000分の15.5となりました。

育児休業給付金制度の変更

平成22年4月以降に育児休業を開始される方は、育児休業基本給付金と職場復帰給付金が統合され、全額を育児休業中に受給できるようになりました。





「なぜなぜ5回」の原因分析 2010年06月18日

顧客ニーズの変化が激しい、新しい競争相手が現れたなどの原因で、今日買って下さった顧客が明日も買って下さるとは限りません。

売上確保に懸命になって営業活動や店頭販売に努力していると

「売れ行きが悪い原因は自分達の頑張りが不足しているからだ。」

と反省し、ひたすら頑張り続ける一方で

「自分達の売り方が外部環境の変化や顧客の変化に対応できていない。」

と言う事業の本質的問題発見を遅らせ、戦略レベルの反省を鈍らせてしまう可能性があります。


需要の変化を自社データでつかむ


顧客が減った

顧客層が変わった

顧客の年代層が変わった

売れる製品が変化している

客単価が低下している

利益率が低下している

季節変動が激しくなった

等の現象データは需要の変化を的確に表し、自社のデータを分析すれば判明します。

このような客観的データを手掛かりにして売上や利益が変化した本質的原因を追求し、第一線の営業努力・販売努力だけでなく、抜本的な戦略の転換を検討することも大変重要な場合があります。

需要の変化をつかんだ次のステップでは「なぜなぜ5回」と言う問題の本質を追求する思考法を使うと良いでしょう。


「なぜなぜ5回」原因分析と留意点


これは有名なトヨタの「カイゼン」手法の一つで、問題の原因を「なぜか、なぜか」と具体的な対策がとれるところまで5回以上掘り下げる原因分析の方法です。

例えば、売上が低下した原因分析を例にとると次のように掘り下げます。

・製品Aの売上が前年比10%落ちた。

・競合他社B製品が同じ価格帯で使い勝手がよく、当社の製品Aが劣っているから。

・製品Aの顧客満足度調査をしてこなかったので問題を見逃していたから。

・製品Aの使い勝手の悪さに対する改善策を検討したことがないから。

・製品Aの使い勝手を改善する製品デザイン改良を行っていないから。

・改良設計・改良計画がないから。

なぜなぜ分析の留意点は次の三点です。


・事実に基づいて分析する。

・複眼で分析する(関係者が参加する。)

・原因分析で外部環境や自分達以外のことへ「責任転嫁」しない。




早生まれはダブル損 2010年06月17日


「早生まれ組は、税制上の有利な控除がいつも1年遅れで、学齢期に係る扶養控除の場合は1年分損をする」という「早生まれは損」の現象は以前から存在していました。

それが、今年の税制改正によって、ダブル損になることになりました。


年少扶養親族の扶養控除廃止の改正

今年の税制改正で、15歳以下の年少扶養親族には扶養控除の適用がないことになりました。

改正法で、本来扶養控除の適用開始年齢と考えている高校1年生のときには、早生まれの生徒は判定ではまだ15歳なので扶養控除の適用を受けられません。

「相変わらず1年遅れで、必要な時に必要な政策的支援が行き届かず、さらに結果的に適用できる期間が1年短くなる」ことが続いています。

これが第一の損です。

子ども手当と年少扶養親族

「子ども手当を支給するから年少扶養親族を扶養控除から排除する」というのが新制度の趣旨です。

でも、子ども手当はその支給期間が中学校修了までの子育ての支援ということで、3月の卒業時までの支給で打ち切りという制度設計になっています。

そのため、早生まれの高校1年の生徒については、税法では年少扶養親族として扶養控除対象外としておきながら、一方で子ども手当については支給がありません。

「高校1年で、社会的子育て支援としての子ども手当もしくは扶養控除のいずれの恩恵も受けられない」

これが第2の損です。


放置された不平等に対する真摯な検討を

今年の予算をめぐる国会の議論を記録した衆議院財務金融委員会の3月1日の議事録をみると、

「『早生まれは損』が今年からダブルの損になる」

という指摘が佐々木憲昭議員から菅財務大臣に投げかけられていました。


官僚答弁は、

「高校の実質無償化が同時進行するので、負担は緩和されている」

と言うものでしたが、


菅財務大臣は、

「私たちが必ずしも気がつかなかったことを含めて御指摘をいただいたと思っております。

まさに、佐々木議員がおっしゃったように、私たちも、こういうことで一部の人に不利益な扱いにならないようにどうすればいいのか、ちょっといろいろ工夫が必要かもしれませんが、PT等で真摯に検討していきたい」

と答弁しました。




早生まれは昔から損 2010年06月16日

早生まれは昔から損


早生まれは1年待たされる

所得控除において、特定扶養親族や老人控除対象配偶者や老人扶養親族に該当する年齢になると控除額が増える仕組みになっていますが、この判定は12 月31 日で行います。

したがって、早生まれの人は同級生がこれらの有利な控除を受けられることになっても、1 年間待たされます。

その意味で、早生まれは損なのです。


早生まれは1年分損する

それだけでなく、早生まれの子を持つ親は特定扶養控除で公平に扱われていません。

平成22年までの制度で言えば、
特定扶養控除は高卒なら高校3年間、大卒なら高校大学の7年間の教育費負担の家計への配慮として、扶養控除額を増やしてくれる趣旨で設けられていましたが、

1月から3月の間に生まれた早生まれ組は、

高卒なら高校2年生と3年生の2年間しか、

大卒なら大学4年生になった年までの6年間

しか特定扶養控除の適用がありません。


高校や大学を卒業して就職すると所得が生ずることになり、所得制限により扶養親族に該当しないことになるからです。

浪人して大学入学したり、
大学院に進学したり、
就職浪人したり、

の場合には1年分の損は発生しません。


早生まれは損の波及効果


所得税・住民税以外にも、

国民健康保険料や国民年金保険料の減免制度、

公営住宅の入居収入基準、

ホームヘルプサービス事業費用負担基準、

母子家庭に支給される児童扶養手当の額を確定するに当たっての所得基準、

などで特定扶養親族該当・非該当が関わっています。

前政権時代からずっと放置されてきた


これらは明らかに法の下の不平等です。

ただ、この課税上の不公平について、過去誰かが憲法違反といって争ったという形跡がありません。

しかし、1月から3月の早生まれ組は全体の4分の1を占めており、世論も容易にこれを是認しなくなるように思われます。




給与に含まれた場合の旅費交通費 2010年06月15日

通勤交通費は所得税の対象外

通勤交通費は、その人の通勤に最も合理的な経路に必要とされる金額であれば、所得税の対象とはなりません。

しかし、通勤交通費を給料と区分せず、給与に含めて一括で支払ってしまうと、通勤交通費相当額を含めた支給額全てが給与所得として所得税の対象となってしまいます。

したがって、通勤交通費を給与と同時に支払っている場合には、それが明確に分かるように給与明細に通勤手当を別枠で表示して区分しておく必要があります。

どのくらい違うのか

給与に対する通勤交通費の額にもよりますが、例えば額面が同じ20万円であっても、給料と交通費を区分している方法と、区分していない方法では、天引きする源泉所得税の額は以下のように変わってきます。

(源泉徴収税額表の甲欄で扶養がゼロの場合)

給与 15万円 + 交通費 5万円=20万円  → 源泉所得税 2,920円

給与 20万円(交通費を含む)             → 源泉所得税 4,670円


その他の注意点

そのほかにも、主婦が扶養の範囲内ぎりぎりまでパートをした場合、収入の限度額は103万円ですが、給与明細で給与と交通費がきちんと区別がされていない場合には、たとえ給与部分が計算の結果103万円を超えていなくても、給与と交通費の合計額で給与所得とみなされ、扶養の枠を超えてしまうこともありえます。

また、所得税の対象外となる通勤交通費は1か月当たり10万円までとなっています。

遠方から通勤されている方など、通勤交通費が10万円を超える場合には、その超えた金額については所得税の対象となります。




平成22年度の法改正と給与計算 2010年06月14日

保険料率改定が目白押し

平成22年度は社会保険料率が軒並み値上げされ、

さらに

労働基準法の時間外労働の割増率の引き上げ

扶養控除の改正

等が行なわれます。

給与計算を行なう担当者はこの改正内容や実施時期を把握しておく必要があります。

給与や賞与の計算に関係する改正内容見てみましょう。


①健保-介護保険料率の改定(22年4月)

協会けんぽの料率が改定されました。

健康保険料率は都道府県別で各々異なりますが介護保険料率は全国共通の1000分の1.5(被保険者負担分0.75)となりました。

また組合管掌保険でも保険料を改定した組合も多く、組合の通知を確認してみましょう。


②雇用保険料率の改定(22年4月)

雇用保険料率は特別措置や弾力条項等で保険料率を抑えてきましたが、財政面の悪化から原則に戻し、労使が負担する保険料率は一般事業の場合で事業主1000分の9.5被保険者1000分の6となりました。

また「31日以上雇用見込みのあるもの」も雇用保険の加入対象者となりました。


③時間外労働手当の割増率の引上げ

従来は時間外労働の割増率は2割5分以上とされていましたが改正で1ヶ月60時間を超える部分は5割以上、また45時間を超える場合は2割5分を超える率とするよう努めるとされました。

ただし中小企業は60時間を超える部分の5割以上割増は当分の間適用を猶予されています。

④厚生年金保険料率の改定(22年9月)

9月からは1000分の160.58(労使折半1000分の80.29)にされます。

⑤扶養控除等の改正(23年1月)

満16歳未満の親族に対する扶養控除が廃止されます。

年齢が16歳以上19歳未満の親族の扶養控除は特定扶養がなくなり、一般扶養(38万円)のみになります。

これは23年1月以降に支給される給与が対象となります。


以上のように給与計算の内容や料率が繁雑に改訂され細分化されてくると、担当者としては各人に応じて細かく注意を払った計算が必要になってきます。






国税訴訟と裁判管轄 2010年06月11日

国税訴訟の被告は誰か

国税裁判の被告は税務署長ではありません。

平成17 年4月1日施行の新行政事件訴訟法によると、処分行政庁が国の機関の場合には被告はすべて国となります。

また、「国の利害に係る訴訟についての法務大臣の権限法」というのがあって、国を相手にするときは、すべて法務大臣が代理人(実際は法務大臣が指名した者=訟務検事ほかの公務員)になることになっており、被告代理人のところには5,6名の名前が書かれます。

前記の施行日以後の判決をみると、それまで「被告 〇〇税務署長」とされていた部分は「被告 国」「上記代表者法務大臣 〇〇〇〇」「処分行政庁 ××税務署長 △△△△」と記されています。

原則的な管轄裁判所は東京地裁

行政事件訴訟法は被告所在地管轄裁判所を原則的な訴訟提起裁判所と規定しています。

従って、被告は国なので、全国で発生するすべての国税訴訟の訴訟提起先は首都東京を管轄する東京地方裁判所ということになります。

処分税務署を管轄する裁判所にも

しかし、すべての税務訴訟が東京地裁に限定されるということは、地方の原告にとって事実上裁判の途が閉ざされるということでもあるので、当然ながら地元裁判所への提起も可能とされています。

よって通常の場合は、処分行政庁である××税務署所在の管轄地方裁判所が原則的訴訟提起先となります。

さらにもう一つ訴える先がある

前記の施行日以後のことですが、管轄裁判所が拡大され、被告側の管轄ではなく、原告在住地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも訴訟提起できることとされました。

なお、これは訴える側の任意の選択肢でもあるので、例えば、京都市在住の原告が京都下京税務署長の処分の取消訴訟を提起する場合は、「東京地裁、京都地裁だけでなく、原告在住地管轄高裁が大阪高裁なので、その地を管轄する地裁たる大阪地裁に訴えてもかまわない」と言い直せることでもあります。

また、過去3年分にわたっての更正処分について取消訴訟をする場合、有利判決を期待できる裁判所への移送の可能性を視野に入れつつ、異なる裁判所に年次別に提起するという試みもあることになります。




修正申告不可の場合 2010年06月10日

修正申告とは

納税申告書を提出し、あるいは更正処分や決定処分があって、既に税額などが確定している者が、自らの税額などを増加させることのために行う手続が修正申告です。

税額を増加させる権限は税務署長にもあるので、修正申告の提出は、税務署長による更正処分がある前に行われなければなりません。

提出無効の修正申告

修正申告の提出は納税者の自由意志に委ねられているので、提出されればどんな修正申告書も有効か、というと必ずしもそうではありません。

国税の徴収権は、偽りその他不正の行為により税額を免れた場合を除き、その法定納期限から5年間行使しないときには消滅することとなるので5年を超えた年分の修正申告書は提出することができません。


提出不可の修正申告

修正申告は、すでに確定済みの課税標準等または税額等を修正するために提出するものですが、

◆税額に不足額があるとき

◆純損失等の金額が過大であるとき

◆還付税金の額が過大であるとき

◆納付税額を無から有にするとき

に提出する

との法律の規定になっているので、税額に異動はないが所得金額を増加させるというような修正申告書は提出できないことになっています。

たとえば、繰越欠損金を使い切れずに切捨てることになった場合において、本来は計上すべきであった売上があったので、切捨て欠損金を減らすことになる修正申告書を提出しようとするようなときです。

扶養親族の所属の変更目的の修正申告

同一生計内に2人以上の納税者がいる場合において、その控除対象配偶者又は扶養親族は、納税者の選択によりそのうちいずれか1人にのみ該当するものとされ、

その選択は、

①「予定納税額の減額の承認申請書」

②「確定申告書」

③「給与所得者の扶養控除等申告書」

に記載されたところにより適用することとなっています。


上記の申告書等には、「修正申告書」も「更正の請求書」も含まれていないので、一方が「修正申告書」を、他方が「更正の請求書」を提出しても、それによる所属の変更は認められません。




マイホームの買換特例 2010年06月09日

住み替えの際にお得な税制

「15年住み慣れたこの家も手狭になってきた。ここは自宅の買い替えを検討しよう。この家は現状で土地建物合わせて2千万円の価値があるけど、6千万円で売れそうだから、少し足して7千万円で家を買い換えよう。でも不動産を売却したら税金を払わなければならないかな。」

こんな場合でも、「マイホームの買換特例」が適用されれば、買換え前の不動産が高値で売れて、利益が出たととしても税金はかかりません。


「マイホームの買換特例」の要件

マイホームの買換特例を受けるためには、おおまかには次のような要件を満たすことが必要です。

①所有期間が10年超、居住期間が10年以上でること。

②買換前資産の譲渡先が配偶者・親子等以外であること。

③売却した年の前年と前々年に、「3千万円の特別控除」、「居住用財産の買換え」、「交換の特例」の適用を受けていないこと。

④譲渡した年の、前年1月1日から翌年12月31日までに買換資産を取得し、一定期間内に住むこと。

⑤買換資産は土地500㎡以下、建物床面積50㎡以下など一定要件を満たすこと。

⑥譲渡した年の翌年3月15日までに確定申告をすること。

「マイホームの買換特例」の注意点

買換特例を適用したとしても、購入したマイホームが売却した金額を下回る場合には、その差額について所得税15%と住民税5%の税金がかかってきます。

しかも買換特例の適用を受ける場合には、同時に「3千万円の特別控除」や「所有期間10年超の低率分離課税」の適用が受けられません。

また、この買換えたマイホームを再度売却する際には買い換え前のマイホームの取得価額を使って譲渡益を計算するので、多くの場合、税額が高くなります。




期限後と過少申告の加算税 2010年06月08日

無申告加算税と過少申告加算税

期限後申告には、申告によって納める税金のほかに無申告加算税が課されます。

原則として、納付すべき税額のうち50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合となります。

ただし、自主的期限後申告の無申告加算税は5%です。

修正申告には、修正により増加する税金のほかに過少申告加算税がかかります。

増加税額の10%相当額です。

なお、増加税額が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。

ただし、自主的修正申告には過少申告加算税はかかりません。

期限後還付請求申告についての加算税

予定納税額又は源泉徴収税額の還付を受けるために提出する申告書を「還付請求申告書」といいます。

還付のための申告は例え期限後であっても加算税の対象になりません。

しかし、期限後に還付請求申告があった場合で、その後の更正又は修正申告によって増差税額が生じた時には加算税が課せられます。

なお、当初の還付金が多すぎただけの場合には、増差税額に対して課せられるのは過少申告加算税です。

当初から本来は還付ではなく納税申告書を提出すべきであった場合には、増差税額に対して課せられるのは無申告加算税です。


自主的申告であったとしても

期限後又は修正申告書の提出が調査による更正又は決定を予知してなされたものでない場合が自主的申告です。

自主的修正申告には加算税というペナルティーはなく、自主的期限後申告には無申告加算税というペナルティーも5%と軽減されています。

では、自主申告と税務署の指摘による申告とが混合しているときは、どうなるかというと、税務署が指摘していない内容を含むものであったとしても、その提出自体が税務署の指摘に基づいてされたものである限り、無申告加算税や過少申告加算税の軽減措置の適用は一切ありません。

申告によって新たに納める税額全体に対して軽減のない無申告加算税又は過少申告加算税が課せられます。





住宅手当と割増賃金 2010年06月07日

割増賃金の基礎から除外される住宅手当

時間外労働の割増賃金の計算の基礎となる賃金に参入しない賃金としては、

家族手当

通勤手当

別居手当

子女教育手当

住宅手当

臨時に支払われた賃金

1カ月を超えるごとに支払われる賃金

があります。

このうち住宅手当については、計算の基礎に含まれる場合と含まなくて良い場合があります。


割増の基礎から除外される例

具体的にどのような住宅手当が除外されるのか見てみましょう。

①住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給するとされているもの。

例えば賃貸住宅に住んでいたら家賃の一定割合、持家に住んでいたらローン月額の一定割合を支給するとされている場合など。

②住宅に要する費用を段階的に区分し、費用が増えるに従って、額を多く支給するとされているもの。

例えば家賃月額5万円~10万円の者には1万円を、家賃月額10万円を超える者には2万円を支給するとされている場合など。
 


割増賃金の基礎から除外されない例

①住宅の形態ごとに一律定額支給されるもの。

例えば賃貸住宅に住む者3万円、持家に住む者、2万円を支給するとされている場合など。

②住宅手当以外の要素に応じて定率又は定額で支給するもの。

例えば扶養手当のある者には2万円、扶養家族がいない者は1万円を支給する場合など。

③全員一律定額で支給するとされているもの。

住宅手当として割増賃金の計算の基礎から除外する者には「住宅に要する費用に応じて算定される手当であり、名称と関係なく実質により支給される」ことが必要で、住宅手当は費用の何%というような細かい取り決めでなくとも、住宅に要する費用が手当額を決める基準となっていることがポイントです。




遅延損害金等の法定利率と延滞税 2010年06月04日

2005年12月に起きたジェイコム株の誤発注事件を巡り、みずほ証券が東京証券取引所に約415億円の損害賠償金を求めていた訴訟で、昨年12月、東京地裁は約107億円の損害賠償の支払を命じました。

その後、この訴訟は控訴審で引続き争われているようです。

訴訟の内容はともかく、東証の賠償金が膨らんでいるのは、4年分の金利に当たる約25億円の遅延損害金が加算されているためと言われています。

超低金利時代の高い法定利率 

損害賠償債務のような金銭の支払を目的とする債務の遅延損害金の場合、当事者の合意がなければ、民法の定める年5分の民事法定利率か、または商法の定める年6分の商事法定利率によって計算されます。

この法定利率の趣旨は、「得べかりし運用益」、言い換えれば、「被害者が賠償金を現実に受取るまでの期間について『利子』を付けてもらわないと、実質損害が填補されたとは言えない」ということでしょう。
であれば、現下の超低金利時代にこの法定利率はあまりにも高すぎはしないかという疑問が生じます。

この法定利率は、法の趣旨からいって、罰則、懲罰的な意味を込めて定めているわけではないと思料します。

高度成長時代から昭和の終わりにかけては、市場金利が9%前後も珍しくありませんでした。

しかし、現状の金利水準を考えると、法定利率が今も昔も同じ水準というのは問題です。

税務はすでに対応した

税務においては、資金繰りが厳しくて納期限までに税金が支払えなかった場合には、その遅延による損害金(税法では「延滞税」)は、懲罰的な意味を込めて(税の公平性の観点から)、納期限から2ヶ月以内までの期間は未納税の7.3%でした。

しかし、平成12年1月1日以後については、年7.3%と各年の前年の11月30日を経過するときにおける公定歩合に4%を加算した割合のいずれ低い方で計算することに改められました。

(遅延が2ヶ月を超える場合の14.6%は変更ありません)。

現在、債権法の見直し作業が進められており、この法定利率も変動方式に改めることも検討されているようです。

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改正される育児介護休業法 2010年06月03日


難解さを増す育児・介護休業法

子育てや介護をしながら働き続ける人の休業制度を定めた育児・介護休業法は育児・介護各々の対象者の範囲や社内手続きの違いで内容が複雑になっています。
これまでにも改正を重ねてきましたが、この度休業後就労形態の選択肢の拡張に対応した改正が6月30日に施行されます。
主要な改正ポイントを紹介します。


①3歳までの子を養育する労働者に対する短時間勤務制度(1日6時間)の措置の義務化、および所定外労働の免除の制度化

②子の看護休暇の拡充

③父親の育児休業取得促進

④介護休暇の創設

今回の改正の大きな柱は①ですが①と④については常時100人以下の労働者を雇用する企業は2年遅れで施行予定です。


子の看護休暇の拡充

現制度では養育する小学校就学前の子が病気やけがをした時にその子に対する看護休暇は1年に5日ですが、子が2人以上の場合は10日まで取得できるようになります。
2人の子各々5日ずつということでなく1人の子だけの看護でも10日まで取得でき、子の予防接種や健康診断でも取得可能となります。


介護休暇の創設

改正法では要介護状態にある家族の介護を行う労働者が休業を申し出た場合、1年で最大5日まで世話を行うための短期休暇が取得できるようになります。
従来の介護休業とは別扱いで家族の病院の付添い、介護サービス受給のための手続き代行等、長期間でない介護や世話が対象です。


育児休業取得促進

妻の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、子が1歳2カ月になるまでの間に再取得ができるようになります。
またパパ、ママ育休プラスと称し、父母ともに育休を取得する場合も子が1歳2カ月になるまでの間に各々1年まで休業できるようになります。


会社は事実証明を提出してもらう
事業主は育児・介護休業を申し出た労働者に事実の証明を求めることができます。
また事業主は休業期間を書面等で通知することが必要です。
  




相続と消費税 2010年06月02日

被相続人の申告の承継

課税事業者である個人事業者が課税期間の中途で死亡した場合、その相続人は、相続開始を知ってから4か月以内に、被相続人の消費税に係る準確定申告書を被相続人の納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。

相続人の免税課税判定

免税事業者である相続人が、課税事業者である被相続人の事業を承継したときの免税・課税の判定は、次の通りです。

●相続があった日の翌日から年末までの期間については課税事業者

●相続年の翌年又は翌々年については、それぞれの年の基準期間の相続人と被相続人の課税売上高の合計が1000万円を超えていれば課税事業者

相続人の簡易課税判定

簡易課税適用中の相続人が、簡易課税不適用の被相続人の事業を承継したときの簡易課税適用の判定では、基準期間の課税売上高に被相続人の課税売上高を合算することにはなっていません。

免税・課税の判定と異なり、被相続人の基準期間の課税売上高が5000万円をはるかに超えていても、それは相続人の簡易課税適用の判定には影響を及ぼしません。

非課税事業の相続の場合

貸地やアパートなどの非課税事業の相続があったところで、相続人が新たに課税事業を始めるとした場合、その課税事業開始日の属する課税期間に「消費税課税事業者選択届出書」を提出した場合には、翌期からではなく、その課税期間から届出の効力が生じます。

なお、これは相続の場合の特例ではなく、非課税資産の譲渡を行っていた事業者が、新たに課税資産の譲渡等に係る事業を開始したときの一般的規定です。

課税選択があった場合

そもそも、被相続人が提出していた「課税事業者選択届出書」の効力は、事業を承継した相続人には及びません。

したがって、相続人が課税事業者を選択する場合は、新たに「課税事業者選択届出書」を提出する必要があり、相続のあった日の属する課税期間中に届出書を提出すればその課税期間から課税事業者になることができます。

なお、これは、「課税期間特例選択届出書」及び「簡易課税制度選択届出書」についても同様です。




役員賞与のおそろしさ 2010年06月01日

事実上、役員に賞与は無い

役員に賞与を支払う場合には、税務署に事前に賞与の日と支給額の届出を出しておく必要があります。

そして、この届出と違うタイミングで役員に賞与を支給した場合には、経理上では賞与として処理としたとしても、その賞与は法人税の計算過程で否認され、賞与の支払いは無かったものとして、法人税が計算されます。

したがって法人は、役員に賞与を払ってキャッシュが減っている中で、賞与を否認され、高くなった法人税の負担をすることになってしまいます。
そのため、実務上、役員には賞与を支給せず、賞与を見込んだ1年間の給与を見積もり、毎月定額で支払う方法が一般的です。

この定期同額給与の場合には税務署に届出を出す必要はありません。

税務調査で賞与とされてしまう

税務調査などで、会社の帳簿上の現金の残高が実際よりも多かったり、法人から社長がお金を引き出し、個人的な目的のために使っていた場合などは、帳簿現金と実際現金との差額や、社長が個人的に引き出した金額が、社長の賞与として認定されてしまうことがあります。

この場合の賞与も、経理上はいったん経費に算入され、利益が減少しますが、法人税の計算では、経費に入れることが認められませんので、法人税の負担が増えます。

さらに、認定された賞与を法人税の計算で否認されたとしても、社長の個人収入としては会社から金銭を引き出していることは事実なので、その賞与に対する所得税の納税はかかってきます。

役員賞与は「会社の経費にもならず、所得税も増える」と言うまさに悪循環です。

役員賞与にしないためには

このように役員への金銭の支払いを賞与とすると、所得税、法人税それぞれが増加してしまいますので、社長が会社から個人的な引き出しをする場合には、役員貸付として処理するのが一般的です。

ただし、自分の会社からの引き出しとはいえ、貸付には違いありませんので、当然利息を認識し、法人は役員貸付金の利息を雑収入として収入に計上します。

また、返済も必要ですので、平年よりも高めに役員報酬を設定し、その一部を返済に回したり、個人資産から法人へ返済しなければなりません。