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繰越欠損金を巡る緩和と制限   

組織再編と繰越欠損金の引継ぎ

「法人間の取引価額は時価であることを原則とする」という時代には、法人の繰越欠損金が引き継がれたり、制限を受けたりということはありませんでした。

しかし、平成13年の企業組織再編税制の施行に伴い、簿価での資産異動が法人間でできるようになってからは、適格合併での繰越欠損金の引継ぎが認められるようになりました。


欠損金使用への喧しい制限

しかし、その裏側として、欠損金引継ぎに神経質な要件が規定されるに歩調を合わせて、資産受け入れ法人側の欠損金の使用制限も厳しくなりました。

すなわち、引継ぎ欠損金を使って当期利益を圧縮することとは逆の、組織再編で得ることとなる当期利益を自分の過去の繰越欠損金で圧縮することにも制限が付されるようになったのです。


グループ法人税制へも波及

組織再編は合併や会社分割などばかりでなく、グループ法人税制の施行以後は、現物配当も組織再編行為に分類されるようになりました。

「金銭以外で配当を受けたら過去の繰越欠損金が使えなくなってしまった」と言うようなことが起こり得るようになりました。


また、含み損を抱えた資産の受け入れによる3年以内の実現損は損金不算入、

逆に、

含み益を抱えた資産の受け入れではその含み益分だけ、

受け入れ法人の自己の切捨て繰越欠損金が減殺されます。


引き算から足し算への変更の特例

ちなみに、昨年度の政令改正で、事業を移転しない適格組織再編成等の場合、明細書の添付を要件として、切り捨てられる欠損金額を移転資産の含み益の範囲内とすることができる特例が設けられました。

さらに、今年度の政令改正で、適格現物分配による移転資産が親会社の自己株式である場合には、含み益がある場合でも、ゼロとして、この特例を適用することになりました。

そして、移転資産が親会社の自己株式のみであるときは、明細書の添付も不要とされています。


制限の対象となるケースは少ない

なお、これらの制限は、組織再編する法人間の支配関係が過去5年以上に遡及できるときなどには適用ありません。

会社買い取りやM&Aで新しくグループ内に入ってきた法人との関係で注意すべきことです。