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電子公告利用の現状 2012年01月31日

「公告」とは、法律で決められた出来事が起きた場合に、その事柄を広く一般に知らしめることを言います。

たとえば、決算や合併、分割、組織変更、解散等などが起きたときには公告をする必要があります。


3つの公告方法

会社の公告方法には現在、官報・日刊紙・電子公告の3つの種類があります。

このうち電子公告は、平成17年2月1日から施行された「電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律」により可能になった公告方法で、この法律によりインターネットを利用して公告を行うことができる制度が導入されました。


電子公告の導入件数

制度の導入からすでに7年近くが経とうとしています。

上場企業では導入率が約90%とも言われる一方、多くの中小企業ではまだまだ「官報」を選択しているのが現状です。

原因のひとつには、ほとんどの中小企業が「決算公告の義務を怠っている」ことがあげられます。

本来、有価証券報告書提出会社以外のすべての株式会社には、決算公告を行うことが義務付けられているため、規模の大小に関わらず、株式会社であれば年に1回は公告を行わなければなりません。

この決算公告を怠っているために、公告方法自体を意識していない株式会社が多いようですが、会社分割や株式交換、株式移転を行おうとする際など、思わぬところで決算公告を行っているか否かが問われる場面もありますので、決して無視し続けるわけにはいきません。


電子公告は安いか?高いか?

官報の一般的な掲載料は、決算公告の場合で約6万円、その他の場合で1行2,854円です。日刊紙の場合は50万円程度かかると言われます。

一方、電子公告の場合、自社のWebページで決算公告を行えば、特別の費用はかかりません。

決算以外を公告する場合は、電子公告調査機関による調査が必要ですので、その調査料がかかります。

この調査料は、以前は20~30万円前後とも言われていましたが、調査機関の登録数も増えたため、現在は数万円で調査を行う機関もあるようです。


もちろん、一概に電子公告が安いから良いというわけではなく、各企業に合わせそれぞれの公告方法にメリット・デメリットもあります。

決算公告は株式会社の義務であることを認識し、自社の実情に合わせた公告方法の見直しをしてみてはいかがでしょうか。




海外ファンドと税金 2012年01月30日

近年、個人投資家の海外ファンドへの投資が盛んです。

その多くは海外のオフショア市場(アイルランド、ルクセンブルグ等)のファンドで、投資顧問会社の助言によって、本人が直接海外の取扱業者を通じ海外送金にて購入しているのが実情のようです。

この海外ファンドとは、いったいどのようなものなのでしょうか。


(1)投資信託とファンドは同じものか

投資家から集めたお金をひとまとめにしたものをファンドといい、一般的には、「投資信託」と理解してもよいと思います。

税務上も「ファンド」という分類はありません。

そこで、海外ファンドは、外国籍(外国の法律に基づいて組成された)の投資信託(以下「投信」)の形であると考えられます。

さらに、この投信には、「契約型」と「会社型」があり、ほとんどは会社型、すなわち「株式」そのもので、収益の分配金もありません。

ちなみに、契約型とは、信託契約に基づいて信託された財産の受益権で、日本の投信の主流です。

一方、会社型は、投資法人が発行する投資証券(株式)です。

そこで、気になるのは、この海外ファンドを換金(売却)した時の税金です。

(2)所得税法上の株式等に該当するか

当該海外ファンドが日本の所得税(特別措置)法上の株式、株式投資信託等に該当するかどうかは、ファンドの目論見書でその内容を確認する必要があります。

該当すれば、株式等の譲渡で申告分離の20%の課税ということになります。

(3)上場株式等で一定の譲渡に該当か

次に、当該ファンドが上場しているかどうかを確認し、

さらに、当該譲渡(換金)が「金融商品取引業者等(内閣総理大臣の登録を受けた者)」を通じてなされたものであれば、

申告分離の10%の優遇課税が適用でき、それ以外の場合には上記(2)と同様20%の申告分離となります。





道路使用許可申請 2012年01月27日

飲食店などでは新メニューの展開、衣料品店では冬物セールなど、こうした告知の際には路上でのビラ配りが頻繁に利用されます。

しかし、このビラ配りをする場合にも一定の手続きが必要です。


ビラ配りにも許可申請が必要

道路は本来、人や車が通行する目的で作られたものですので、この目的以外の作業等を道路上で行う場合には、予め使用許可を得る必要があります。

この許可を得る手続きを、「道路使用許可申請」と言います。

路上で宣伝のためチラシやティッシュを配る場合には、この道路使用許可申請をする必要があります。

道路使用許可が必要なのにもかかわらず、使用許可を取得しなかった場合には、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられることになっています(道路交通法第119条)。


道路使用許可申請

申請先は、チラシ等を配る予定である道路を管轄する警察署です。

申請書に配布物、配布予定地を示した地図などを添付し、警察署へ提出します。

申請時には手数料を各都道府県の収入証紙で納めます。

収入証紙代は自治体により異なりますが、2,000~2,500円前後のところがほとんどです。

申請から許可証の交付までに3日~1週間程かかりますので、配布予定日の2週間前くらいから事前に準備しておきましょう。

その他道路使用許可が必要な例

ビラ配りの他、街頭アンケートやロケーション撮影をする場合も同様の許可を得る必要があります。

例えば、事業企画のためにアンケート調査を行いたい場合や、PRビデオ撮影のために道路上を使用したい場合などがこれに当たります。


申請場所の注意点

道路使用許可申請をしたからと言っても、どの道路でも必ず使用許可が下りるというわけではありません。

特に、混雑が予想される駅前などでは、予め一定区間の使用制限や、利用目的に対する制限が設けられていることもあります。

また、私鉄駅前の場合は各鉄道会社所有の土地に当たることもあります。

この場合は、警察署に対し道路使用許可申請をするのではなく、駅や鉄道会社へ直接問い合わせることになります。




ネットオークションの落とし穴 2012年01月26日

誰でも簡単に売り買いが楽しめるとして、ネット取引の中でも最も一般に馴染み深いインターネットオークションですが、こうしたネットオークションを通じたトラブルや違反摘発も年々増加しています。


ネットオークションで酒税法違反

ネットオークションで多く取引されるものの中に、焼酎やワインなどのアルコール飲料があります。

酒税法上、酒類を販売する場合、販売場所を所管する税務署長から酒類販売免許を受ける必要があります。

これは、ネットオークションを利用して販売する場合も同様です。

家庭で不要になった1本を販売する場合などは免許を必要としませんが、継続的に大量にさばく場合など、事実上、業として販売する場合には免許が必要になります。

ネットオークションでの高値に目を付け、酒を入手した個人や会社が無免許のまま販売を手がける事例が多発したため、国税当局ではこうした事業者を酒税法違反(無免許販売)として摘発を強化しています。

継続すれば酒類販売免許が必要

前記の通り、ネットオークションで酒類を販売する場合も、継続して行う場合には酒類販売免許が必要です。

酒類販売免許にはいくつか種類がありますが、ネットオークションやウェブサイトを通じて全国に販売する際には、「通信販売酒類小売業免許」と呼ばれる販売免許が必要となります。

無免許で酒類を販売した場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられるという罰則規定が設けられています(酒税法第56条第1項第1号)。


ネットオークション出品時の注意点

各オークションサイトでは、「継続的なアルコール飲料の出品は免許が必要」である旨の注意書きはされていますが、実際に免許を確認しているところはほとんどないのが現状です。

そのため、こうした販売にそもそも免許が必要であることを知らずに出品してしまう例も多数存在します。

また、酒類販売に限らず、アイドルのコンサートチケットをネットオークションに多数出品したことで、古物営業法違反とされ摘発された事例などもあります。

ネットオークションに出品する時には、各種許認可が必要となる商品ではないかどうか、事前によく確認する必要があるでしょう。




請負契約と労災保険 2012年01月25日

請負契約者が業務中にけがをしたら

建設現場などで作業員として請負契約を結んでいる個人の方が仕事中にけがをした場合、請負契約であっても労災保険の適用は受けられるのでしょうか。

労災保険の適用を受けられる労働者とは労働基準法第9条に規定されている

「職業の職種を問わず、事業又は事業所に使用される者で、賃金を支払われるもの」

とされています。

請負契約を結んでいても実態として作業をしていた人が労働者に該当するのかを検討する必要があります。


労働者性の判断基準

建設業従事者の労働者性の判断基準は、

①仕事の依頼や業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無

諾否の自由がない場合は使用者の指揮監督下にあるという要素となります。

②業務遂行上の指揮監督の有無

設計図等で作業指示がなされていても通常注文主が行う程度の指示ではなく、使用者の命令が通常の業務以外の業務まで指示するような場合は指揮監督を受けている要素となります。

③拘束性の有無

勤務時間の指定がなされている場合は一般的に指揮監督下にあるという要素になりますが、他職種との調整のためや近隣に対する騒音の配慮のため等の時間指定は該当しません。

④代替性の有無

本人に代わって他の者が労務を提供することが認められていない場合は指揮監督下にあるとする要素となります。


⑤報酬の労働対象性の有無

報酬が時間給、日給、月給等の時間を単価として計算される場合は使用従属性を補強する重要な要素とされます。


事業者性・専属性の有無の程度

労働者性の判断は逆から見ると事業者性の有無ともなりますが、例えば据え置き式の高価な器具などを所有し使用していたり、報酬の額が同種の業務に従事する正規従業員に比較して著しく高額な場合は労働者性が低いとみなされます。

また特定の企業に専属性がある場合や給与所得の源泉徴収をされている場合にも労働者性を補強する要素となります。

請負契約者であっても労働者性の判断基準から労働者と判断できる場合は労災保険の適用を受けることができるのです。




お相撲さんの確定申告 2012年01月24日

力士はスポーツ選手?サラリーマン?

長い伝統と歴史の有る角界ですが、力士たちの収入はどのように申告されているか気になります。

その決め方はプロ野球選手のように毎年の年俸の更改をするのではなく、年6回開催される本場所の成績で決まる「番付」により上下するようです。

つまり年六回給与の改定が行なわれているみたいなものです。


力士の給与制度は魅力的

幕下以下の場合、場所手当てが15万円です。

月給に換算する7万5千円です。

少ないようですが所属する相撲部屋があるので食事と寝るところがタダと思えば充分やっていけると思います。

しかし、関取になると十両でも月給100万円、横綱になると月給300万円と中堅企業の社長の給与並みに急上昇します。


歩合がさらにどんどん加算

前述の場所手当ては、固定給みたいなものです。

これらに歩合が加算されていきます。

業績連動で加算されるのは入門時からの成績で、力士褒賞金と呼ばれる「持ち給金」です。

勝ち越したり、金星(横綱を倒す)を上げると加算されるシステムです。

朝青龍関は場所ごとに400万円位あったといわれています。

さらに幕内優勝すると場所ごとに1000万円のボーナスが出ます。

がんばると評価される人事評価システムが角界には昔から存在していたようです。

さらに「懸賞金」ですが、これは1本6万円で人気力士は一場所400本程度手にすることもあるようです。

これにテレビCM出演料や後援会からご祝儀も加算されると億単位になるようです。


申告はどうしている

力士たちは、前述の固定給部分は相撲協会に勤めているサラリーマンのごとく、給与所得として、源泉徴収されています。

さらに社会保険にも加入しています。

めでたく優勝すると優勝賞金は、一時所得として源泉徴収されているようです。

人気度に連動する、懸賞金やテレビCMや番組出演料の収入は“事業所得”として、

後援会からのご祝儀や副賞の乗用車も一時所得等に分類して個人事業主として確定申告をすることになっています。

この辺は、国税庁もはっきりと指針を示していますが、毎年の確定申告は結構大変な作業になるようです。




「役割・期待貢献」の決め方 2012年01月23日

「役割・貢献給」を活用するには、「制度設計・評価基準の設定・公正・納得性が高い運用」の三つが欠かせません。

今回は制度設計で最も基本となる「役割・貢献」の決め方について説明します。

その出発点はどのような企業でも作成されている組織図です。


組織図から役割・期待貢献定義へ

企業組織において個々の労働者が担う「役割」は、一般に組織図で職種と職位(例えば営業職という職種のマネージャー職位)によって、役割分担と指揮命令系統、責任・権限の概略が定義されていますが、そのままでは「役割・貢献給」に結び付けることはできません。

「役割・貢献給」における「役割等級(または役割グレード)」は、組織図より一歩掘り下げて、具体的に経営上どのような成果責任と能力発揮が期待されているか(期待貢献)、その責任の重さ・困難度等を基準として定義し、対応する「賃金表」を設定することになります。

「役割等級・期待貢献」の定義の仕方は個別企業によって異なり、多様ですが、一般に

「責任と影響」

「顧客」

「プロセス」

「学習と成長」

の4つの視点から設定すると適切でしょう。

例えば

「○○製品の開発による営業利益確保」

「△△市場・顧客の製品品質の高い評価」

「製品開発プロセスの効率化・スピード向上」

「開発技術の向上と人材育成」

のように成果責任と、それらに必要な発揮能力等を役割・期待貢献として定義します。




職務遂行能力とは 2012年01月20日

職務遂行能力は「役割・貢献給」において定義する期待貢献の要素のひとつで、成果責任とともに最も重要です。

つまり「期待貢献=成果責任+職務遂行能力」であり、成果を上げるために必要な能力を指します。

その定義が曖昧では従業員にとって「何が期待されているのか」が分らず職務遂行過程で迷走しかねません。


職群区分別職務遂行能力

「非定形的職群」と「定型的職群」とでは職務遂行能力が異なります。


「非定型的職群」の企画・専門・営業・職などでは、

「専門知識・技術活用力」

「外国語能力」

「IT活用力」

「問題発見/分析力」

「構想/企画力」

「判断・決断・意思決定力」

「実行力」

「スケジュール管理力」

「情報収集/発信力」

「対人対応/調整力」

「フォロアシップ」

など、

管理職では、

「リーダーシップ」

「人材育成力」

「評価力」

など、


「定型的職群」の製造職・店頭販売職などでは

「技能・技術力」

「チームワーク」

「実行の的確性・スピード」

「問題発見・改善力」

「積極性」

など、

が重要な職務遂行能力ですが、業種・職務内容に応じて自社独自の職務遂行能力を設定することも大切です。

また、経営理念の理解度は職務遂行能力発揮の全ての基礎であることから、「経営得理念理解力・マインド」を最重要な職務遂行能力とする企業が増えています。

また、運送業における自動車運転免許のように業種によって職務遂行に欠かせない公的資格を保有すること、銀行員の中小企業診断士資格のように持っていた方が職務遂行レベルが上がるとされる国家資格などを保有することも職務遂行能力となります。

評価に値するコンピテンシー

職務遂行能力は、ただ持っているだけでは評価されず、発揮した能力を評価するのが鉄則です。

近年は実際の成果に結びついた発揮能力(コンピテンシーと言う。)を重要視し、それを発見して多くの従業員に活用を奨励する評価制度が主流となっています。

コンピテンシーは、例えば「製造技能がチームワークと結びついて生産性が向上し、IT活用力が問題発見・分析力と結びついて重要な企画の手掛かりになる」というように、いくつかの職務遂行能力の組み合わせ活用で生まれることが多いといえます。




税制改正 国税通則法 2012年01月19日

平成23年度の税制改正は、2次改正で復興増税とセットで昨年11月30日に成立、同年12月2日公布・施行となりました。

そして、同年12月10日には「平成24年度税制改正大綱(23年度税制改正の積み残しの一部を盛り込み)」が閣議決定されました。

平成23年度の第2次税制改正

国税通則法においては、当初案にあった納税者権利憲章の策定等の一部は見送られ、以下のような改正が行われました。


更正の請求期間の延長と職権による更正期間の延長

①更正の請求期間は(改正前1年)5年に延長

②法人税の純損失等の金額に係る更正の請求(改正前1年)は9年に延長

③贈与税の更正の請求(改正前1年)は6年に延長されました。

一方、職権更正の期間もこれとつじつまを合わせ、所得税、相続税、消費税は5年、法人税の純損失等も9年に延長されます。

改正は、原則、公布日12月2日以後に法定申告期限が到来するものについて適用されますが、法人税の「9年」は、平成24年3月31日まで「7年」となります。




税制改正 所得税 2012年01月18日

所得税に関する平成23年度の税制改正は、当初案の目玉であった法案が削除され、2次改正で東日本大震災復興増税とセットで昨年11月30日成立、同年12月2日公布となりました。


平成23年度第2次税制改正

2次改正においては、いくつかの改正はありましたが、目玉であった法案が削除され、大きな改正はありませんでした。

なお、住民税における退職所得の10%税額控除は廃止となりました(平成25年1月1日以後に支払われるものから適用)。


震災復興特別所得税(創設)

納税義務者及び源泉徴収義務者は、居住者、非居住者、内国法人及び外国法人です。

課税標準は基準所得税額及び源泉徴収税額(予定納税額も含む)で、税率は2.1%です。

期間は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までです。

住民税は、均等割が1,000円引き上げられます(内訳は道府県民税500円、市町村民税500円)。

期間は平成26年度から平成35年度までです。


平成24年度税制改正大綱

大綱では、23年度税制改正で削除された法案の一部が盛り込まれました。

内容は次の通りです。

(1)給与所得控除の見直し

①給与所得控除の上限設定(給与等の収入1,500万円超は245万円が限度)

②特定支出控除の見直し(支出の拡大と給与所得控除額の加算計算の見直し)です(平成25年分の所得税及び26年分の住民税から適用)。

(2)退職金課税の見直し

勤続5年以下の役員等の退職所得の課税については、2分の1課税が廃止されます(所得税については平成25年分から、住民税は平成25年1月1日以後の支払わるものから適用)。

その他、認定住宅取得のローン控除(借入限度額が平成24年4,000万円、平成25年3,000万円)、特定事業用資産の買換えの延長及び要件の見直しなどがあります。


税制抜本改革の素案

昨年末の税制抜本改革の素案では、税率区分を現行の6段階から7段階に増やし、平成27年分から年収5,000万円超の層には、最高税率45%を適用する。

また、現行の証券税制ついても、平成26年分から税率20%に戻す、となっています。




税制改正 相続・贈与税 2012年01月17日

相続・贈与税の平成23年度税制改正の当初案は、昨年6月に分離した「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築」

いわゆる税制構築法案

同年10月28日の修正後の同案

のいずれにも含まれていましたが、同年11月10日の三党協議で、突如、その全てと言っていいほどの法案がボツになりました。

平成23年度第2次税制改正はゼロ

その結果、平成23年度税制改正の2次改正は、東日本大震災復興増税とセットで昨年11月30日成立、同年12月2日公布となりましたが、

①相続税の最高税率の引き上げ

②相続税の基礎控除額の圧縮

③生命保険金の非課税制度の見直し

④未成年者・障害者控除の拡充

⑤贈与税の税率構造の緩和

⑥相続時精算課税の拡充

は、すべて先送りされることになりました。


平成24年度税制改正大綱(復興支援除く)

先送りされた改正案は、24年度の大綱に盛り込まれることもなく、結局、昨年末に明らかにされた税制抜本改革の素案に盛り込まれています。

大綱の改正項目の多くは、制度の拡充と延長で、主な改正は次の2つです。


(1)相続税の連帯納付義務

連帯納付義務については、次の場合には解除することとしています。

① 申告期限等から5年を経過した場合(ただし、5年を経過した時点で連帯納付義務の履行を求められているものは解除できません。)

② 納税義務者が延納又は納税猶予の適用を受けた場合

上記改正は、平成24年4月1日以後に申告期限等が到来する相続税について適用されます。

ただし、同日において滞納となっている相続税についても、上記の改正と同様の扱いとなっています。


(2)住宅取得等資金贈与の非課税措置

直系尊属からの住宅取得等資金の贈与は、適用期限を3年延長、取得する住宅(床面積240㎡以下)の内容により、年度ごとに3段階の非課税枠を定めています。


①省エネ・耐久性を備えた良質な住宅

平成24年贈与:1,500万円、25年贈与:1,000万円、26年贈与:1,000万円

②上記①以外の住宅

平成24年贈与:1,000万円、25年贈与:700万円、26年贈与:500万円


上記の改正は、平成24年1月1日以後の贈与から適用です。





税制改正法人税 2012年01月16日

法人税に関する平成23年度の税制改正は、当初案のほとんどが2次改正で、東日本大震災復興増税とセットで昨年11月30日成立、同年12月2日公布となりました。


平成23年度第2次税制改正

主な改正は、次のとおりです。

(1)法人税率の引下げ

法人税率が次のように引き下げられました。

①普通法人の基本税率(改正前30%)は25.5% 


②中小法人等(大法人の100%子会社等を除く)の年800万円以下の所得に対する軽減税率(改正前22%)は19%

③上記②における法人の時限措置による軽減税率(改正前18%)は15%

なお、時限措置は、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する3年事業年度です。


(2)欠損金の繰越控除制限と期間延長

欠損金(青色及び災害損失欠損金)の控除限度額は、その控除前の所得金額の80%とされました。

しかし、中小法人等(大法人100%子法人等を除く)については、現行の100%控除の規定が存置されています。

また、欠損金の繰越控除の期間ですが、帳簿等の保存を前提にその期間(改正前7年)が9年とされました。

なお、控除期間の延長は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について適用されます。


(3)貸倒引当金の改正

引当対象法人が限定されましたが、その対象に中小法人等(大法人の100%子会社等を除く)が含まれていますので、従前と何ら変わりません。


(4)減価償却資産の償却率の見直し

平成24年4月1日以後に取得される償却資産については、定率法の償却(改正前250%)が200%に縮減されました。


(5)一般寄附金の損金算入限度額の縮減

損金算入限度額について、資本金等の額の0.25%相当額と所得金額の2.5%相当額との合計額の4分の1(改正前2分の1)に引き下げられました。

上記の改正は、原則、平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。


平成24年度税制改正大綱

大綱では、変更、創設された規定はあまりなく、多くが適用期限の延長(試験研究費の税額控除、交際費課税、

投資促進税制、少額減価償却資産の取得価額の損金算入等)に留まっています。




税制抜本改革 2012年01月13日

税制抜本改革の先行措置

2012年度税制改正大綱には、「税制抜本改革」という言葉が何度も出てきます。

大綱によると、その抜本改革の一部は2011年度に先行措置として改正案とされていたようです。

ただし、国会通過がままならず、積み残しが発生したとしています。

積み残しの一部である給与所得控除や退職所得2分の1課税については2012年度改正案として国会に再提案されます。

積み残しの残りのものである、相続税・贈与税の改正は「税制抜本改革における実現を目指す」としています。


税制抜本改革とは何か

大綱には、「所得課税、法人課税、消費課税、資産課税の全般にわたる税制抜本改革」とか、「消費税を含む税制抜本改革」とか、という表現が出てきます。

ニュアンスとしては、消費税の税率アップを実現することが税制抜本改革の最終目標のような印象を受けます。

また他方で、「社会保障と税の一体改革」との表現もあり、消費税と社会保障費のリンクが目的のように思われます。


税制抜本改革をすることの決まり

ところで大綱の、「税制抜本改革をすることは当然の大前提」とはどこから出てくるのでしょうか。

そう考えながら大綱を読んでいくと、「平成21年度税制改正法附則104条に示された道筋」と言う言葉が強調されていることに気付きます。

法附則104条

税制改正法は各税法の改正部分を一括して条文化しているので、改正後は各個別税法に異動し、その一括法には何も残らないのが通常です。

ところが、「平成21年度税制改正法附則104条」は、それらと異なり特殊で、異動していく個別税法がありません。

改正一括法にポツンと残っている規定です。

そこに、社会保障給付の財源措置として「2010年代の半ばまでに持続可能な財政構造を確立する」ために、各個別税法の抜本的改革をする旨の宣言的規定がありました。





2012年度税制改正大綱は2番煎じが目玉 2012年01月12日

マスコミにみる今年の大綱

12月10日、2012年度税制改正大綱が公表されました。消費税増税を控えて場当たり的とか、小粒な内容とか、政策理念がないとか、マスコミ評価は惨憺たる状況です。

自動車重量税の軽減が取り沙汰されていることの外は、目立つ形で取り上げられていません。

むしろ、この税制改正案が、今年もまた、まともな国会通過を果たせないのではないかと心配になってしまいます。


大綱の拾い読み

その中で、注目されそうな制度改正をピックアップしてみます。

①給与所得控除の見直し

②退職所得課税の見直し

③住宅取得資金贈与の非課税枠拡充

この①と②は昨年の改正予定で積み残しとなったものです。

同じく積み残しの相続税増税・「納税者権利憲章」策定などは姿を消しています。

③は今年のささやかな目玉です。


給与所得控除の見直し


イ 給与所得控除の上限設定

給与収入が1,500万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の上限が設けられます。

ロ 特定支出控除の見直し

〇弁護士、公認会計士、税理士などの士業資格の取得費が特定支出の範囲に追加され、図書費、衣服費及び交際費等の「勤務必要経費」も、特定支出の範囲に追加されます。

〇給与所得控除の2分の1の額も特定支出の範囲に追加されます。


退職所得課税の見直し

役員等としての勤続年数5年以下の者が受ける「役員退職手当等」については、2分の1課税の措置が廃止されます。

「役員等」には、通常の法人役員のほか、国会議員及び地方議会議員、国家公務員及び地方公務員が含まれます。

住宅取得資金贈与の非課税枠拡充

平成23年までの非課税贈与枠を、事後3年にわたり漸減しながら延長するとともに、優良住宅向け特別拡充枠が設けられました。

23年の1000万円枠は24年まで延長し、その後25年は700万円、26年は500万円と漸減します。

ただし、省エネ・耐震住宅取得資金の場合は、24年1,500万円、25年1,200万円、26年1,000万円です。




執行役と執行役員 2012年01月11日

執行役とは

執行役は、会社の業務を執行する者であり、委員会設置会社ではその設置を義務付けられています。

委員会設置会社とは、指名委員会、監査委員会、報酬委員会(以下「委員会」という)を置く株式会社で、会社法でその内容が定められています。

執行役は、取締役会の決議によって選任されますが、取締役を兼ねることもできます。

それゆえ、執行役の身分は、会社との関係では委任に関する規定に従うことになっています。

それでは、委員会設置会社の取締役の権限は何かということになりますが、取締役は、会社の業務を執行できず、もっぱら、取締役会の構成員として基本方針の決定や監督に専念することになっています。

あくまでも、会社の業務執行は、執行役の専権事項です。


執行役員とは

一方、執行役員は、取締役会の活性化と意思決定の迅速化という経営の効率化、あるいは監督機能の強化の観点から取締役会の改革の一環として導入されたもので、その存在に会社法の根拠があるわけではありません。

執行役員は、経営における業務執行を担うという点では取締役と同じですが、法的に根拠のない任意の制度であるため、その身分は会社によっても異なり、その身分の違いを一律に論ずることもできません。

一応、会社との法律関係は、「雇用関係」と「委任関係」の混合のような関係ですが、前者の方が濃厚のように思われます。


執行役員就任の伴う退職金

使用人から執行役員への就任の伴い退職金が支給されるケースがままありますが、問題は、執行役員は雇用関係としての身分も併せ持っているため、この退職金が退職により一時に受ける給与等に該当するかどうかです。

この疑義に関して、課税庁は通達を発遣し、次のような要件を満たすものについては、原則、退職金として取り扱うこととしています。

①執行役員との契約は委任契約又はこれに準ずるもの

②使用人としての再雇用が保障されていないこと

③取締役に準じた報酬等であること

④使用者に生じた損害について賠償責任を負う

等です。




国外財産調書制度 2012年01月10日

海外への資産逃避による申告漏れ対策

2012年度税制改正大綱は、国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れが近年増加傾向にあること等を踏まえ、一定額を超える国外財産を保有する個人に対し、「その保有する国外財産に係る調書の提出を求める制度を創設する」としています。


対象者は中流上層以上の資産家か

対象者は、年末時点で国外財産の総額が5千万円を超える居住者であって、提出する「国外財産調書」には、財産の種類、数量及び価額などを記載し、翌年3月15日までに、税務署長に提出するということのようです。

所得税、相続税の申告漏れを捕捉することが目的とされてはいますが、提出期限から判断して、所得税法に規定が置かれるものと推測されます。


所得の有無とは無関係な申告

所得税法に規定が置かれるとしても、この「調書」は所得の有無とは無関係に提出義務が生じます。

所得税法では、合計所得金額が2千万円超の者への「財産債務明細書」の提出を義務付けていますが、新設予定の「国外財産調書」の提出義務者には所得要件がありません。

所得税の確定申告書の提出義務がなくても、調書提出だけが必要になることもありえます。


財産申告という新しい可罰制度

従来からあった「財産債務明細書」の提出という財産申告には、不提出や虚偽記載に対するペナルティーはありませんでしたが、「国外財産調書」の提出という財産申告には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が法定されます。

また、国外財産に係る所得があるのに国外財産調書不提出の場合、その所得部分についての無申告加算税・過少申告加算税には、5%が追加重課されます。




経営革新の取り組み方 2012年01月06日

利益が上がらない、コストがかかり過ぎるなど経営がうまくいかないとき、どのように経営革新を図るかは経営者にとって共通の課題です。

経営革新には奇をてらった一獲千金の技があるわけではなく、定石と言える取り組み方があります。

経営革新取り組み方概要

その概要は次の通りです。

1.最近3~5年の経営分析で利益・売上・経営効率などの問題点を的確に判断する。

2.市場・顧客・競合・政府の動きなど自社の経営に関係する外部環境の変化を分析し、併せて自社のもつ顧客構造・技術・人材・経営資源などの強みと弱み・自社にとっての機会と脅威を的確に判断する。(SWOT分析と言う。)

3.トップの意思として経営革新の基本構想を記述する。

4.基本構想を実現したときの利益水準(付加価値額・営業利益・経常利益)・経営効率などを数値による経営革新目標・達成時期(3年以内)として決定する。

5.経営革新目標を達成するための成功要因・障害を具体的に見極める。

6.成功要因を創り出し、障害を取り除く具体策を検討、設定する。

7.成功要因を獲得し、障害を取り除く具体策を実行し、目標を達成して行くスケジュールを立てる。(3年以内の期間)


経営革新の成功ポイント

経営革新を成功させるには、トップとして、少なくとも次の点に留意すべきです。

1. 経営の現状やSWOT分析では事実に基づく判断を重要視する。

2. 基本構想・経営革新目標・成功要因・障害の認識と具体策・スケジュールの決定に当たって具体的な裏付けのない希望的観測を排し、よく検討した上で決断を下す。

3. 経営革新計画の検討プロセスに主要幹部を参加させ、分析・検討・率直自由な意見交換を徹底し、よく聴いた上で判断・決断する。

4. 計画を全社員に発表し、理解と協力を求める。

5. 経営革新計画の実行プロセスでは、外部環境などによって、変化があるため、毎月幹部とともに計画通り実行されているかチェックし、計画の補正、変更を指示する。





金地金の売却と所得税 2012年01月05日

ドルの信頼が揺らぐと「金」の価格は高騰します。

まさに、金の信頼は絶大なもので、金本位制の復活です。

ところで、この金(金地金)を個人が売却した場合、所得の区分によって税の負担額が異なるため、売却で得た所得(売却益)がどの所得に区分されるでしょうか。

(1)所得区分の判断基準

一般的には、金の譲渡による所得は、原則として、譲渡所得に該当します。

譲渡所得と区分されれば50万円の特別控除の適用、さらに譲渡が長期譲渡に該当すれば、譲渡益の2分の1のみが課税対象になります。

ただし、金の譲渡が、棚卸資産の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる譲渡に該当する場合には、その譲渡による所得は、事業所得または雑所得に該当します。

所得の区分は悩ましい問題ですが、これは事実認定に関する事柄であり、個々の事案、売買の回数、売買金額、売買方法、資金の調達、金の運用状況その他諸般の事情を総合的に勘案して判定されます。


(2)譲渡原価等の計算方法

金の譲渡による所得が譲渡所得に該当するとした場合、金を2回以上にわたってそれぞれ異なる価額で購入し、さらに、当該金を同一年に全て譲渡していない場合、当該所得の計算上控除される取得費及び譲渡原価の計算方法はどのようになるでしょうか。

これについては明確な規定はありませんが、一般的には、「譲渡所得の基因となる『有価証券の取得費等』及び『有価証券の譲渡原価等の計算及び評価方法』の規定に準じた、『総平均法』に準ずる方法により計算する」ことが合理的と考えられています。


(3)短期・長期の判定

譲渡所得の短期・長期の判定は、譲渡資産の所有期間が5年以内であれば短期、5年を超えるものは長期となります。

金の譲渡も例外ではありませんが、所有期間のカウント方法に関して明確な規定がありません。

現実の実務においては、「有価証券の譲渡所得が短期譲渡所得に該当するかどうかの判定」に準じ、先入先出法により判定されているようです。