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マイルやポイントの税務上の取り扱い 2012年07月31日

経費を支払ってポイントを貯めたものの

出張旅費などの仮払いを受けて、その現金を使わずに、自分のクレジットカードで決済する、なんてことをする人がいます。

会社の同僚と飲みに行った時、割り勘で支払った領収書をみたら、カード支払にチェックマークが付いていた、なんてこともあります。

損得なしだから、どうでもよいことと思いますが、カードで支払った人のカードの中にポイントが溜まる場合があります。


出張で貯めたマイルは誰のもの?

飛行機利用の出張で溜まったマイルは誰のものか、支払者たる会社のものか、利用者個人のものか、という議論があります。

公務員の公費出張の場合、航空券購入は税金で賄われますので、マイルをためて、家族旅行に利用するというのは、納税者の納得を得にくいところです。

多くの中央官庁は公務員のマイル取得自粛を申し合わせており、カード利用のポイント稼ぎも含めて禁止しているところもあります。

しかし、罰則はないようです。


経済的な利益を受けている事実は?

マイルやポイントを利用して、個人がその恩恵に与ったら、それは所得の発生と言えます。

個人の事業や副業に利用する場合は、経費の節約で、自動的に所得に反映されます。

個人的利用でも、金額僅少ならば、少額不追及で終わりでしょう。

しかし、金額が大きくなったら、課税関係を無視できないことになるかもしれません。

マイルやポイントを厳密に会社管理しているところもあるらしく、そういう場合の個人利用は現物給付としての給与課税の対象になりそうです。


お店側のポイントの取り扱い

法人税については、引き換え日基準で損金算入です。

販売日基準で損金経理により未払金計上可の場合もあります。

消費税については、ポイントの発生・発行時は不課税、ポイントの交換・売買は非課税、ポイントの利用時での商品券・電子マネーへの交換は不課税です。

現金交換(キャッシュバック)は課税(対価の返還)支払代金の控除や相殺は、不課税となります。




連帯納付の改正 2012年07月30日

非人道的な連帯納付義務

相続税の連帯納付義務については、以前から、

不意打ち的に納税を迫られること

担保提供の上での延納の場合の担保価値下落リスクが税務当局・担保提供者以外に転嫁されてくること

10数年も前もの相続税が問われることによる延滞者の高率延滞税の負担まで負わされること

相続財産だけでなく元々の固有財産まで没収される

等々の問題点が指摘されていました。


悲惨なケースも珍しくない

特に、バブルの影響で路線価が異常に高騰した年の相続だった場合、その相続税の額は、その後に相続財産全部を処分したとしても、その処分価格を遥かに超えてしまうことは珍しくありませんでした。

延納の許可を受けて、相続財産のほとんどを担保に供していた場合で、「滞納に至り担保物は処分させられても、地価下落で結果的に滞納税額だけが残り、他の相続人にしわ寄せがいく」という事例が沢山ありました。


ようやく腰を上げた

連帯納付を迫られても、所有財産が少なければ、開き直りもできますが、財産があると差押さえの対象になり、給与債権の差押さえもあることなので、納税者はパニックになってしまいます。

それで、平成23年6月改正と平成24年3月改正との2段階で一定の問題解決がなされました。

平成23年6月改正では、

①連帯納付者負担の延滞税の利子税化

②不意打ち予防の事前情報提供の制度化

平成24年3月改正では、

③連帯納付義務の5年での時効的消滅

④延納・納税猶予の承認を受けた相続税について連帯納付義務の不発生

ということになりました。

これらの改正は、

①は平成23年4月1日以後の期間について適用され

②は施行日以後で

③④は平成24年4月1日以後に申告期限等が到来する相続税について適用されます。

ただし、同日において滞納となっている相続税についても、上記③④の改正と同様の扱いとされます。




社内慶弔費の取扱い 2012年07月27日

社内慶弔費は、会社が従業員やその家族のお祝い、不幸などの際に支払うご祝儀、見舞金等のことです。

支給された社内慶弔費は、通常、福利厚生費として扱われ、会社の損金に算入されます。


従業員やその家族だけでなく、退職者や役員に対して支給された場合も同様です。


福利厚生費として取り扱われるために重要なことは、

1.支給の理由や金額等が社会通念上妥当であること


2.職責や地位などに照らし、他の従業員等とのバランスが取れていること

です。


高額であるとみなされた場合は、給与所得として課税対象になってしまいます。


慶弔見舞金規程については、


整備されているから福利厚生費になる、規程がないから福利厚生費とはいえない、といったものではありません。

しかし、このような明確な基準が社内にあれば、効率的ですし、客観性も保たれます。


社内規程がない場合には、慶弔見舞金規程を作成するとよいでしょう。




絶対考課と相対考課 2012年07月26日

人事考課を行うときには、「絶対考課」と「相対考課」のやり方と、それぞれの性質を理解して使い分ける必要があります。

「絶対考課」とは、考課項目ごとに基準を明確にして、その基準をクリアしたかどうかを考課することを言います。

「相対考課」とは、基準を定めずに複数の被考課者を比較して、その優劣で順位を考課することを言います。                                 


考課法の長所と短所

「絶対考課」の長所は、例えば

「○○氏の『計画力』は、彼の社内階級に期待されている基準と比較しておおいに高い。」

などと、どこがどのように優れているか、劣っているかを具体的に考課することができる点です。

このため、考課の結果を能力開発や適材適所の配置に使うことができますが、考課基準を設定、記述するには手数がかかり、特に定性的な考課項目では苦労することになります。

「相対考課」の長所は、複数の従業員を相互に比較して優劣を判断する方法であるため、具体的な考課基準を必要とせず、手数がかからないことです。

しかし、被考課者個々の特性を捉えた考課ではないため、能力開発や人事配置などには使いにくいと言えます。


考課法の使い分けと留意点

通常、人事考課は被考課者の直属上司(例えば課長)が1次考課を行い、その上位者(例えば部長)が2次考課を行って、必要な修正を行い、管理職については最終考課を社長が行うなど、考課手順をルール化して行います。

この1次考課は、考課項目ごとの「分析考課」を「絶対考課」で行い、それに基づいて「総合考課」行うのが適しています。

2次考課は、例えば部長が主催する考課調整会議で、1次考課者(課長)を集めて1次考課の結果を並べ、優劣を比較討論し、「相対考課」で部長が決定します。

このような2次考課を行うのは、限られた人件費(月例給与・賞与)の公正な分配が必要なこと、また誰でも年齢さえ上がれば給与が高くなる年功処遇によって、若くとも高能力を発揮している社員のやる気を失わせてしまう弊害を排するためです。

このように考課法と人材育成、従業員の意欲向上とは深い関係があり、経営管理の重要なポイントの1つです。
 




外国人労務の雇用以外の契約形態 2012年07月25日

外国人の方が日本で適法に在留するためには、27種類ある在留資格のうちどれか一つを得ている必要があります。

これら在留資格は、

その外国人の身分(日本人の配偶者である場合など)に基づき交付されるもの

または

その外国人の活動内容に基づき交付されるもの

とに大別され、このうち活動内容に基づき交付される在留資格については、さらに就労が可能な資格と、原則就労不可能である資格に分けられます。


契約形態は雇用契約に限らない

就労可能な在留資格のうち、いくつかの資格においては、その外国人が特定の機関との継続的な「契約」を結んでいることが求められます。

一般的には、会社と雇用契約を結び就労可能な在留資格を得ることが大半ですが、この「契約」は雇用契約だけに限らず業務委託契約や委任契約、派遣契約なども該当しえます。

「外国人労働者の知識・スキルを事業に活かしたいが、雇用契約よりもその他の契約形態の方が業務の性質上適している」といった企業であっても、雇用という形ではなく委託や派遣などの形で契約することにより、外国人の方に働いてもらうことが認められる場合があるのです。


雇用契約以外の契約形態の注意点

ただし、在留資格が得られる可能性については、通常の雇用と比べそれ以外の契約形態の方が申請手続きは煩雑になります。

在留資格の申請においては、その外国人が日本で継続的、安定的に生活できる基盤を立証することが非常に重要となります。

雇用以外の契約の場合、一般的に雇用契約よりも活動や報酬の安定性が低いとみなされることが多いため、雇用契約同様にその契約が期間・報酬ともに安定的なものであることを証明しなければなりません。

たとえば

派遣契約を結ぶ場合、派遣が継続的なものであること、

報酬額についても正社員と同程度以上の額が保障されていること

が望まれ、これらは在留資格の申請時既に確定されている必要があります。

また、申請時には企業の事業内容が適正であるかといった点も審査対象となります。

したがって、派遣契約であれば派遣元が労働者派遣法による許認可を受けていることや必要な届出を行っていること、諸法令に基づく労務管理が行われていることなども重要になります。




償却資産の概要 2012年07月24日

固定資産税は、土地や家屋のほかに、法人や個人が事業を営むために所有している構築物・建物附属設備・機械・器具・備品(償却資産)についても課税の対象となります。

償却資産を所有している事業者は、毎年1月1日現在所有している償却資産について申告することになっています。


償却資産の具体例

1 構築物、建物附属設備

舗装路面、庭園、門・塀・緑化施設等の外構工事、看板(広告塔等)、受変電設備、予備電源設備、その他建築設備、内装・内部造作等


2 機械及び装置

各種製造設備等の機械及び装置、クレーン等建設機械、機械式駐車設備等

3 船舶

ボート、釣船、漁船、遊覧船等

4 航空機

飛行機、ヘリコプター、グライダー等

5 車両及び運搬具

大型特殊自動車、構内運搬車、貨車、客車等

6 工具、器具及び備品

パソコン、陳列ケース、看板(ネオンサイン)、医療機器、測定工具、金型、理容及び美容機器、衝立、ルームエアコン、応接セット、レジスター等



償却資産の対象から除かれるもの

1 自動車税、軽自動車税の課税対象となるもの

普通自動車、軽自動車、小型特殊自動車等

2 無形固定資産

特許権、実用新案件等

3 繰延資産

4 少額資産

必要経費に算入された、取得価額が10万円未満の資産耐用年数が1年未満の資産

5 一括償却資産

国税において、取得価額20万円未満の資産で、3年間で均等に償却している資産

6 生物

観賞用・興行用の事業に使う物を除く馬・牛・魚等の生物

7 書画骨董

美術品、遺物等のように、歴史的価値や希少価値を有し、代替性のないもの

(単に装飾品としての絵画書画等は償却資産に含まれる)

申告が必要な資産

申告の対象となるのは、1月1日現在において、事業の用に供することができる資産ですが、次に挙げる資産も申告が必要となります。


1 償却済資産

耐用年数が終了し、減価償却が終了している資産

2 簿外資産

帳簿に記載されていないもので、事業の用に供している資産

3 建設仮勘定

建設仮勘定で経理されている資産

4 遊休資産、未稼働資産

稼働を休止している資産や、まだ稼働していないが事業の用に供する状態にある資産

5 資本的支出

改良費のうち、資本的支出として計上した資産は、新たな資産の取得とみなし、本体と独立して扱う

6 福利厚生用の資産

7 少額資産のうち個別に減価償却資産として計上している資産

8 租税特別措置法の規定を適用している資産

中小企業者等の少額資産の損金算入の特例を適用した資産(30万円未満)


申告書の提出期限は、通常、その年の1月31日となりますので、償却資産申告書が送られてきた場合には、当社までご相談ください。




消費税のタックスヘイヴン 2012年07月23日

ネット取引はグローバル

「電子書籍や広告を配信している、楽天などインターネット関連の大手企業が、配信拠点を海外に移す検討をしている」との報道があります。

「日本の消費税不課税の海外ネット大手と競争条件をそろえるため」ということが理由です。

国境を越えた取引でも、税関を通過するものには、そこで課税できますが、ネットの中だけで取引が実現してしまうものには、消費税の課税をすることは限りなく不可能です。

それで、日本の消費税法も、最初から課税を想定していません。


日本の消費税課税への侵蝕

配信拠点の海外移転によって、消費者の負担する消費税はゼロになります。

海外配信拠点への国内事業者からの配信データの引き渡しは「輸出」に該当し、それまで累積されている仮払消費税はその「輸出」の際に全額還付され、国内事業者に累積消費税の負担が残らないので、消費者に価格転嫁する必要がありません。

ネット取引が非課税だったら、この消費税還付は無くて、事業者の負担のままになりますが、輸出は税率ゼロの課税なので、還付されるのです。

そうすると、事業者に負担が無いならば、事業そのものの海外移転は必要ないので、事業の空洞化は起きません。

そのかわり、課税の空洞化が起きます。


ゼロ税率課税を廃止したら

課税の空洞化を阻止する方策としては、ゼロ税率を廃止して「非課税とする」という案があり得ます。

ゼロ税率という輸出免税制度は、輸出産業に対する事実上の補助金なので、輸出免税の廃止は、輸出産業の国外移転を促進することになります。


国際消費税多国間条約の創設

消費税が世界標準の課税制度だったら、ネット取引に関する多国間条約を創始して、国際間共通税率を設定して、ネット取引の発信者を通じて、ネット取引利用者への課税をすることもありえるでしょう。




経営セーフティ共済 2012年07月20日

経営セーフティ共済とは、正式名称を「中小企業倒産防止共済制度」といいます。

取引先の倒産によって中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止する、万が一の事態に備える共済制度です。

国が全額出資する独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。


○掛金

掛金は、法人であれば全額損金に、個人事業であれば全額必要経費になります。

月額5千円~20万円の範囲で、5千円単位で選択することができますし、支払方法も毎月払いと年払いが選べます。

利益が出そうな場合は次年度分も前納し、業績が厳しい場合は掛金の減額といったように、会社の状況に合わせて掛金を支払うことが可能です。

ただし、掛金の積立額が800万円に達した場合、それ以上掛けることができません。


○貸付

万が一、取引先が倒産し損失を被った場合には、支払った掛金総額の10倍を限度に、無担保、無保証、無利子で貸付を受けることができます。

例えば、800万円積み立てたら、10倍が限度となりますので最高8,000万円、100万円積み立てていれば、最高1,000万円の貸付が受けられます。

ですが貸付を受けると、貸付額の10分の1に相当する掛金の権利が消滅しますので、実質的には無利子とは言い難いところがあります。

○解約

取引先の倒産とは関係ない任意の解約についても、40か月以上掛金を支払っていれば、掛金が100%戻ってきます。

戻ってきた掛金は益金となりますが、黒字の時に掛金を損金とし、赤字の時に解約して益金と赤字分を相殺すれば、節税となります。

また、設備投資や退職金の支払い等、多額の支出が発生するときに合わせて解約することで、資金繰りの一助とすることもできます。


○加入資格

1年以上事業を行っている法人または個人で、業種ごとに設けられた資本金の額や従業員数等の条件を満たした中小企業者が加入できます。

医療法人やNPO法人等は加入対象になっていません。

また、取引先に対する売掛金債権等が生じないのが一般的な業種(一般消費者を取引先とする事業者、金融業者、不動産賃貸業者など)については、通常、貸付けの対象となりませんのでご留意下さい。


そのほか、加入資格を満たしていたとしても、

法人税や所得税を滞納している場合、

住所または主たる事業の内容を繰り返し変更したために継続的な取引状況を把握することが困難な場合、

すでに貸し付けを受けた共済金や一時貸付金の返済を怠っている場合、

等の理由がある場合にも、加入することができません。




国境を越えると、課税無し 2012年07月19日

国境に消える法人所得への課税権

支店、出張所等の事業所、工場、倉庫などをPE(恒久的施設)といいます。

日本国内にPEを持たない外国法人は、日本への申告・納税義務がなく、PEを持つ場合には、日本国内源泉所得が課税対象となります。

米国Amazonは、日本国内にPEを置かないままNet販売で日本顧客と取引し、米国で売上計上し、日本への法人所得に係る納税義務がないものとしています。

楽天とAmazonが同じNet書籍販売をしている場合、楽天は、日本への納税をしますが、Amazonはしないので、競争関係はAmazonに有利、楽天に不利です。

なお、このケースでは、Amazonは日本に消費税の納税はしています。


消費税も国境を越えると課税が無くなる

書籍も、電子書籍になると、流通はNet上だけで実現してしまい、国境を簡単に越えてしまいます。

輸入品には、輸入時点で税関が「輸入者」に消費税を課しています。

しかし、消費税課税があるのは、「外国貨物」に対してであって、ネットで配信されてくるものは「外国貨物」の概念に含まれません。

課税実務的にも、ネット配信の商品・サービスを捕捉しきるのは困難であり、課税対象とすべき「輸入者」を捕捉することも困難なので、日本は最初から課税を諦めています。

楽天とAmazonが同じことをしている場合、Amazonは所得課税だけでなく、消費課税からも逃れ得るので、競争優位は一層大きくなります。


それでは拠点を海外に移してしまおう

電子書籍や音楽映像などのNet配信国内企業がその販売窓口を海外法人に移すと、海外法人のNet販売売上に係る消費税はゼロになります。

それと同時に、その海外法人に、配信直前まで完成したデータを国内事業所から引き渡すとした場合には、それは、輸出売上になります。

輸入と異なり、輸出では、海外法人への役務の提供は、消費税の課税対象です。ただし、税率ゼロです。

すなわち、受取消費税はゼロ、そして、それまでの累積仕入税額は全額控除、となりますので、還付消費税を受け取ることになります。

こうして、楽天は漸く、消費税に関してAmazonと対等になります。




消費税増税の負担 2012年07月18日

消費税増税法案が衆院本会議にて可決されました。

具体的には、いつから、何%になるでしょうか?

2014年4月 消費税率 8%

2015年10月 消費税率 10%

このように、2段階での増税が予定されています。


消費税増税での家計への影響を、民間シンクタンクの大和総研が試算しています。

夫婦と子ども2人の世帯で、夫婦の一方が働いているケースで、消費税率5%の2011年と、年間を通して税率が10%となる2016年の消費税負担額を比べると

年収300万円の世帯  106,700円の増加

年収500万円の世帯  167,000円の増加

年収800万円の世帯  249,200円の増加

年収1000万円の世帯 294,000円の増加


となっています。


負担額は、年収が多いほど大きくなりますが、年収に占める負担増の割合では、年収1000万円では2.9%ですが、年収300万円では3.6%となり、年収が少ない人ほど、負担を重く感じる「逆進性」がうかがえます。

政府は、対象者に現金を給付する「簡素な給付措置」、

所得に応じて減税などを行う「給付付き税額控除」、

生活必需品の税率を低くする「軽減税率」

などの対策を練っていますが、具体的な金額や結論はまだ出ていません。

毎年引き上げが続く厚生年金保険料、年少扶養控除の廃止による所得税・住民税の増税、復興財源を賄うための所得税の増税など、今後の家計の負担増は避けられない状況です。




建設業法施行規則の改正と社会保険加入促進の動き 2012年07月17日

社会保険未加入企業に厳しい減点

今年5月1日、建設業法施行規則及び関連告示が改正され、7月1日より経営事項審査において新しい審査基準が適用されることとなりました。

経営事項審査とは、財務状況や規模等からその建設事業者の経営状態を審査する制度で、公共工事の入札に参加する際には必ず事前に受けておかなければならないものです。

この審査において、社会保険の加入状況について、これまでは

①雇用保険に加入しているか

②健康保険及び厚生年金保険に加入しているか

の2項目に分けて審査していましたが、新基準では

①雇用保険に加入しているか

②健康保険に加入しているか

③厚生年金に加入しているか

の3項目に細分化され、更に未加入の場合の減点幅がこれまでの30点から新基準では40点に拡大されます。

また、11月1日からは建設業許可の許可・更新申請時に、保険加入状況を記載した書類を新たな添付書類として追加される予定であり、今後社会保険の加入が建設事業者に一層求められる模様です。

社会保険加入促進の動きと各諸官庁の関係

社会保険についてはここ数年に渡り、厚生労働省による加入適用を進めていましたが、本年度はより一層強化する予定です。

同省は今年5月、厚生年金へ加入義務があるにも関わらず加入せず、保険料を払わない悪質な企業の事業主を厚生年金保険法違反容疑で警察に告発・公表することを決めたことを発表しました。

社会保険の未加入事業所総数は近年、10万前後で推移しているとされ、これに対し同省は3年以内に半減させるとの方針を打ち出しています。

こうした中で今回改正された建設業法施行規則ですが、加入率促進の動きは建設業許可事業者に限らず、他の許認可等を管轄する諸官庁にも見られます。

外国人の在留を管理する入国管理局では、加入促進のため平成22年4月1日より在留資格の変更や在留期間更新の際には申請時に窓口で保険証の提示を求めるようガイドラインを公表しています。

現在、同ガイドラインでは、保険証を提示できないことのみで在留資格の変更や期間更新を不許可にすることはないとしていますが、厚生労働省がこうした方針を強化した以上、影響力が増すことも否定はできません。

今後はこのような各諸官庁を媒体とし更なる取締りを進める方向にあるのか、意識をしたいところです。




印紙税のしくみ 2012年07月13日

印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書・領収書など、文書に課税される税金です。

郵便局や印紙売りさばき所等で売っている収入印紙を文書に貼り、消印することで、印紙税を納めたことになります。

印紙税では、収入印紙を貼らなければならない文書(課税文書といいます)を、20種類指定しています。

そして、その課税文書の内容や契約金額、受取金額などによって、印紙税額が定められています。

印紙税を負担するのは、原則として課税文書の作成者です。

契約書のように2人以上の人が共同で課税文書を作成した場合には、その双方に納税義務があります。

印紙を貼り忘れてしまうと、印紙税の納付漏れですから、ペナルティ(過怠税)が課せられます。

その金額は、納付しなかった印紙税額+その2倍に相当する金額、つまり当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。

ただし、自主的に納付していなかったことを申し出た場合には、過怠税は1.1倍に軽減されます。

また、消印がない場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。

逆に、印紙を貼らなくてもいい文書に誤って貼ってしまった場合や、決められた金額以上の印紙を貼ってしまった場合は、その文書と印鑑を持って税務署へ申し出れば、交換や還付の相談に応じてもらえます。

この場合、貼り付けた部分を切り取ったり、用紙からはがしたりしたものは、交換や還付が受けられませんので、ご注意ください。




分析考課と総合考課 2012年07月12日

人事考課の実務では「分析考課」と「総合考課」と言う二つの方法を使います。

「分析考課」とは、考課項目ごとに考課を行うことで、「総合考課」とは全体的に考課することを言います。


2つの考課方法の特徴

2つの考課方法には次のような特徴があります。

①「分析考課」は、例えば“計画力・判断力などの考課項目ごとに考課を行うこと”であるから、被考課者の行動事実を観察して、その特性を明確に捉えることができる長所がある一方で、全体的に捉えることはできない。

②「総合考課」は、“被考課者の業績や発揮能力などの仕事ぶりを全体として観察して考課を行うこと”であるから、文字通り総合的に捉えることができる長所はあるが、考課者が被考課者に対して先入観を持っている場合には誤った考課に陥り易い欠点がある。

考課者が陥り易い誤り
 
考課者は部下の日常の仕事ぶりから、その性格や得手・不得手などを知っており、好き・嫌いの感情を持っていることが多いと言えましょう。

そして、“好き・嫌いの感情”は、被考課者の全人的な“優れている・劣っている”と言う先入観に転化しやすい傾向があります。

その場合、考課のやり方としては、意識的、無意識的に、まず「総合考課」を行い、次に「分析考課」でつじつまを合わせることになりがちです。

これを“逆算考課”と言って、人事考課の禁じ手になっています。


経営者・考課者の留意点

人事考課は、被考課者の業績や行動事実から、的確に判断して行うことが公正性・納得性を高め、人を育てることにつながります。

注意点は次の通りです。

①経営者は考課者(部長・課長などの上司)に、被考課者に対する先入観を排するなど正しい考課のやり方をトレーニングし、熟知させる。

②考課の実務手順は、まず「分析考課」を行い、項目ごとに考課してから、「総合考課」を行って、逆算考課”を防止する。

③「総合考課」では、「分析考課」の優等生タイプばかりでなく、項目別考課のバランスは悪いが、特長がある“尖った(一芸に秀でた)人材”の発見に努める。




オフィスでできる節電方法 2012年07月11日

電力不足に備えて7つのポイント

今年も5月よりクールビズが始まり、この夏懸念される全国的な電力不足対する取り組みも始まっています。

オフィスでできる節電について環境省で推奨している方策を紹介いたします。

自社で行える事があれば取り組んでみてはいかがでしょうか。


①エアコンで節電(設定温度や風向調整)

ア、冷房時の室温は28℃を目安にする

イ、冷房、暖房は必要な時だけ使う

ウ、扇風機やサーキュレーターを併用して風向きを上手に調整

エ、エアコンのフィルターは2週に一度は掃除をする


②断熱性を向上(熱の出入を効率的に防止)

ア、カーテンやブラインドを夏は閉め、冬は光を取り込む

イ、カーテンで窓の熱の出入を調整

ウ、窓を断熱シートや二重サッシ等にする

エ、自然の風を取り入れる

オ、植物のグリーンカーテンで涼しく演出

③照明を工夫

ア、照度を下げる。必要ない照明は減らす

イ、照明器具を掃除して明るさをアップ

ウ、点灯時間を短くする

エ、明るさや人を察知するセンサーを使用

オ、省エネ型の照明器具やLED等に変える

④就業の見直し(朝方生活にチャレンジ)

ア、就業時間の前倒しで朝方生活に

イ、ノー残業デーの推進

⑤省エネ機器の導入(進化した省エネ機器)

ア、省エネタイプのOA機器の導入

イ、太陽光発電、温熱器の設置

ウ、最新の省エネ断熱材やエコガラス使用


⑥省エネ行動(電気使用は最小限に)

ア、低層階はエレベーターの使用を控える

イ、パソコンやコピー機不使用時は電源off

ウ、使用してない機器のコンセントを抜く

⑦夏はクールビズで快適に(勤務の状況に合わせて服装を工夫)

ア、涼感素材や上着無しスタイルを導入

イ、体感温度を下げるグッズの活用




所得税の住宅取得借入金等の特別税額控除

いわゆる住宅ローン控除のことです。

居住者が償還期間10年以上の借入金等によって住宅の取得等をし、半年以内に居住した場合には、居住年から10年間、年末借入金残高に応じ、毎年一定額を所得税額から控除できる制度です。


適用要件

・住宅取得、または、増改築完了から6ヶ月以内に、自らが入居し、控除を受ける年の年末まで、引き続き居住していること


・控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること。

給与所得のみの方は年収3,336万円以下となります。

・住宅の取得が、配偶者、または、生計を一にする親族等からの取得でないこと



・入居した年、その前年、前々年、または、入居した年の翌年、翌々年において、居住用財産の買換えや、3,000万円の特例等を受けていないこと


住宅の要件

新築、中古、リフォーム共通

・床面積が50㎡以上(上限なし)。登記簿面積で判定

・床面積の2分の1以上が自己の居住用であること

中古

・建築後に住宅として使用されていたものであること



・マンションなどの耐火・準耐火構造の場合は築後25年以内、木造の場合は20年

以内、または、新耐震基準に適合する住宅であること(平成17年4月1日以降に取得した場合に限る)


リフォーム

・増改築、建築基準法上の大規模修繕・大規模模様替え、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修などであること



・増改築の工事費用が100万円を超えるもので、その内、2分の1以上が自己の居住用部分の工事費用であること


ローン内容の要件

・マイホーム(建物・土地)のための借入であること

・返済期間が10年以上の住宅ローンであること

・金融機関、地方公共団体、建築業者、勤務先(年利1%以上)等からの借り入れであえること

・親族、同族会社からの借入は対象外


控除額の計算(平成24年入居の場合)

①家屋等の取得対価(持分按分)

②年末ローン残高 限度3,000万円(認定長期優良住宅 4,000万円)

③ ①と②いずれか少ない金額(居住割合按分)

④ ③ × 1% = 住宅ローン控除額

・所得税から控除しきれない金額は、住民税から控除されます。




住宅ローン控除の適用を受けるためには、確定申告の手続きが必要です。

給与のみの方は、2年目からは、年末調整で控除を受けることができます。

適用要件は、すべて満たさなければなりません。

新築の場合は要件は少ないですが、中古、リフォームは事前に確認したほうが良さそうです。




相続放棄と生命保険 2012年07月10日

生命保険金は相続財産ではない

相続によって引き継がれるのは、プラスの財産だけではありません。

例えば、被相続人に借金があれば、借金も同時に引き継がれることになります。

借金の方が多い場合は、「相続放棄」をすることもできますが、ここで気になるのは、相続放棄をした場合、被相続人の生命保険の保険金を相続人が受け取ることはできるのかと言うことです。

結論から言えば、生命保険金の受取人が相続人の場合、相続放棄をしても、生命保険金を受け取ることはできます。

つまり、保険金請求権は相続人にあり、被相続人の財産ではなく、相続人の財産とみなされるため、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることは可能なのです。

しかし、ここで注意しなければならないのは、生命保険金は相続財産には含まれませんが、相続税の対象になることです。

次に、生命保険金の税法上の取り扱いについて説明したいと思います。


相続放棄した場合の税金計算

生命保険金は、相続財産ではありませんが、相続税の計算上は「みなし相続財産」として相続税の対象となります。

つまり、相続財産ではないが、相続税は支払わなくてはならないのです。

財産放棄して生命保険金を取得した場合でも、相続税の計算に際して基礎控除(5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)や配偶者控除(配偶者の相続分が1億6,000万円までは相続税は課税されません。)を受けることはできます。

しかし、生命保険金にかかる「非課税枠」は適用できないので注意が必要です。


生命保険金の非課税枠

生命保険金には、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。

つまり、死亡保険金が非課税限度額以下である場合には税金はかからないし、超える場合でも超える部分のみが相続税の対象となります。

しかし、相続放棄をすると、この非課税枠を利用することはできないので、注意が必要です。

また現在相続税の基礎控除や、生命保険金の非課税枠に関しては税法の改正が検討されておりますのでこちらも注意して下さい。





社会保険算定基礎届と保険者算定 2012年07月09日

定時決定とは

社会保険の加入者が実際に受ける報酬と、すでに決定されている標準報酬月額がかけ離れないように、毎年1回、原則として7月1日現在の被保険者全員について、4月、5月、6月に受けた報酬の算定基礎届出を行い、その年の9月以降の標準報酬月額を決定します。

6月1日から7月1日までに被保険者の資格を取得した人は対象から除きます。

また、7月から9月までのいずれかの月から随時決定(月額変更届)や育児休業終了時改定で標準報酬が改定された人も対象外です。

保険者決定とは

通常の方法では報酬月額の算定が困難な時や、算定結果が著しく不当になる場合は、保険者が特別な算定方法(修正平均)によって報酬月額を決定します。

算定が困難な場合

①4月、5月、6月の各月とも支払い基礎日数が17日未満の時(パートタイマーは15日未満)

②病気欠勤等や育児・介護休業で4月、5月、6月の3か月に全く賃金を受けなかった時

いずれも以前の標準報酬で決定します。

著しく不当となる場合

①4月、5月、6月のいずれかの月にその月より以前の遅配分や遡り昇給分を受けた場合は、その差額を引いて算定します。

②4月、5月、6月のいずれかにストライキによる賃金カットあった時や低額の休職給を受けた時は、該当月を除いて算定します。


昨年新たに追加された保険者算定

4月から6月の報酬額を基に算定した標準報酬月額が、過去1年間(前年の7月から当年6月)の月平均報酬額によって算定した標準報酬月額と2等級以上の差があり、それが業務の性質上、例年発生することが見込まれる場合は、前年7月から当年6月までに受けた月平均額から算定した標準報酬月額で決定できるようになりました。

業務の性質上、春から夏ころに残業が極端に増えるような企業はこれまでは高い給与時に報酬月額が決定されていましたが、この制度利用で少し保険料が節約できるかもしれません。

ただし、本人の署名捺印を得た同意書を添付する必要があります。




扶養親族 2012年07月06日

扶養親族とは、その年の12月31日時点において、納税者から見て次の4つの要件すべてに当てはまる人を指します。

①配偶者以外の親族であること。

また、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。

②納税者と生計を一にしていること。

③年間の合計所得金額が38万円以下であること。

④青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと、及び白色申告者の事業専従者でないこと。

親族とは

親族は、6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。

6親等の血族は、自分をゼロとおき、以下のように数えます。

(大変範囲が広くなりますので、4親等以降は省略している部分があります。)

1親等:両親・子供

2親等:祖父母・孫・兄弟

3親等:曾祖父母・曾孫・甥姪・伯叔父母

4親等:甥姪の子・従兄弟

5親等;甥姪の孫・従兄弟の子

6親等:甥姪の曾孫・従兄弟の孫

姻族とは、配偶者の血族のことです。

1親等:配偶者の両親

2親等:配偶者の祖父母・兄弟

3親等:配偶者の曾祖父母・甥姪・伯叔父母

生計を一にする

生計を一にするとは、その扶養親族の生活費を負担している、金銭的に面倒を見ているということです。

必ずしも同じ屋根の下に暮らしていなくてもよいのです。

勤務、修学、療養等の都合で別居している場合でも、生活費、学資金、医療費等を定期的に仕送りしていれば「生計を一にする」と取り扱われます。

(ただし、定期的な送金についての証明が必要になる場合があります。)


一方、親族が同じ屋根の下に暮らしていても、それぞれが独立した生活を営んでいることが明らかな場合は「生計を一にする」とはいいません。




全面適用改正育児・介護休業法 2012年07月05日

平成22年の改正が100人以下企業にも適用

2年前に施行された改正育児・介護休業法が平成24年7月から、これまで適用が猶予されていた従業員100人以下の事業主にも適用になります。

急速に進む少子高齢化による将来の労働力不足が予想される中で、子育てや介護の担い手が必要とされます。

企業の人事管理においても、男女共にどのように仕事と家庭の調和を計って行くかという視点が欠かせないものとなってきました。


改正法のポイント

新たに追加された改正は次の3点です。


①短時間勤務制度(所定労働時間の短縮)

事業主は3歳に満たない子を養育する従業員について、希望すれば利用できる短時間勤務制度を設ける必要があります。

制度は就業規則などに規定する必要があり、1日の労働時間を原則として6時間(5時間45分から6時間まで)とする措置を含むものとなっています。

対象となる従業員は

ア、3歳未満の子を養育し、短時間勤務をする期間に育児休業を取っていないこと 

イ、日々雇用される労働者でないこと

ウ、労使協定により適用除外とされていない従業員であること

です。


②所定外労働の制限

3歳に満たない子を養育する従業員が申し出た場合には、所定外労働を免除することとなりました。

手続きは1回につき1か月以上1年以内の期間について開始日と終了日を明らかにし、開始予定日1か月前までに申し出をさせます。

申し出は複数回も可能です。

③介護休暇の創設

要介護状態にある家族の介護や世話を行う従業員は申し出により対象家族1人につき5日まで、2人以上であれば年10日まで1日単位で休暇を取ることができることとなりました。

要介護状態とは負傷、疾病、心身の障害等で2週間以上の期間に渡り常時介護を必要とする状態を言います。

対象家族は配偶者、父母、配偶者の父母及び子の他同居している扶養家族が対象です。

以上の改正点は上記の①と②の制度は、勤続年数1年未満、③は6か月未満、また週2日以下の勤務の人は、労使協定で対象者から外すことができます。




考課基準の決め方 2012年07月04日

人事考課では「考課基準」の決め方が問題になりやすく、失敗すると上司(考課者)にとっても、部下(被考課者)にとっても納得できない結果に陥ります。
 
これでは、人事考課の公正性・納得性が得られないため、役に立たないどころか、上司と部下の信頼関係にも悪影響が出て、職場の人間関係・意思疎通が悪くなってしまいます。


考課基準とは何か

「考課基準」には次の三つがあります。

①会社が定めた基準

本人が属する社内階級の人には、この程度の業績や能力発揮をして欲しい、と会社が定めた業績や、能力発揮の基準、通常は人事考課シートなどに記載されている基準


②上司(考課者)の期待基準

管理者として担当部門(課)の目標を達成するためには、是非達成して欲しいという業績や能力発揮などの基準


③本人(被考課者)の満足基準

この程度は達成しなければならない、と被考課者が自分で判断して決めた業績や能力発揮の基準


①の会社が定めた基準は、被考課者が属する社内階級の従業員には標準的に期待されている基準ですから、②の基準や③の基準がそれを下回っていることは誤りです。

従って①の基準を満たした上で、②や③の基準について、期初に考課者と被考課者が確認し合っていないと、期末の考課で基準(物差し)の違いに気が付き、お互いに納得できない事態になってしまいます。


上司(考課者)の留意点

被考課者が複数いる場合、通常能力の違いがありますから、おおいに期待しており、頑張って欲しい、という部下(被考課者)には、期初に①の基準と比較して高いレベルの②(上司の期待基準)を特定するとともに、本人が持っている③の基準を聞き出し、良く話し合って②に合わせておく必要があります。

また、①の標準的基準に対して、③が低いレベルの基準に止まっている部下(被考課者)は、話し合いで発見して、少なくとも③の基準を少なくとも①の基準となるよう期初に合意しておく必要があります。




事前確定届出給与 2012年07月03日

事前確定届出給与とは、役員に対する給与のうち、支給時期、支給額をあらかじめ定めておき、その内容についての届出書を、事前に税務署に提出しておく給与のことです。

通常、毎月支給される役員給与は、定期同額給与といって、毎月同額が支給されるもので、届出等は不要になります。

届出の提出期限

“事前に”とは、いつまでに提出するのでしょうか。

原則として、「株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日」と、「その会計期間開始の日から4か月を経過する日」のうちのいずれか早い日が提出期限となります。

メリット

・臨時的に支給する賞与を損金算入できる

役員に賞与を支払う場合、損金算入できませんが、届出をしておけば損金算入することができます。


・非常勤役員、会計参与の給与

非常勤役員、会計参与などの場合、毎月出勤するとは限りません。


1年分をまとめて支給したり、半期ごとに支給する場合もありえます。そのような場合に、事前届出をしておけば、定期同額でなくても、損金算入することができます。

デメリット

・事前に届出が必要

あらかじめ事前に、支給時期、金額を決めなければならず、そのための準備や事務手続きなどの負担が増加します。

届出には、対象者ごとに、具体的な支給時期・金額を記載して提出しなければなりません。

・届出通りに支給しなければならない

届出通りに支給しなかった場合には、超過・不足にかかわらず、支給した金額全額が損金不算入となります。

当期は、考えていた以上に不振だからといって、支給しないということができなくなります。(全額不支給の場合には、不算入となる対象額がないので、損金不算入は結果的にゼロとなります。ただし、不支給が、問題になる可能性があります。)

利益の変動が、月や季節ごとに大きい法人は、事前確定届出給与を利用すれば資金繰りなどに有効かもしれません。

ただ、事前に予想をたてて、決定しなければいけませんので、利益対策として活用するのはなかなか難しいですし、デメリットも大きいので、実際に活用している法人は少ないようです。




相続税の取得費加算 2012年07月02日

相続税が必要経費になる

相続や遺贈(相続等)で財産を取得した人で相続税額がある人が、相続開始日の翌日から3年と1か月を経過する日までに、その取得した財産を譲渡した場合は、

その人の確定相続税額のうち、その譲渡した資産に対応する相続税額を、当該譲渡した資産の譲渡所得の金額の計算上、その所得を限度して、必要経費に算入することができます。

このことを、所得税法上、相続税の取得費加算といいます。

なお、譲渡した相続財産が土地及び土地の上に存する権利(土地等)であれば、相続等により取得したすべての土地等(物納及び物納申請中の土地等は除く)に対応する部分の相続税額が必要経費(取得費)となります。

相続税額の確定と所得税の納税義務

この取得費加算の適用にあたっては、原則、相続等により取得した資産を譲渡した年分の所得税の納税義務が成立する時において、相続税が確定していなければなりませんが、次に掲げる日のうちいずれか遅い日までに相続税が確定し場合には取得費加算の適用があります。

①譲渡した日の属する年分の所得税の納税義務の成立の時(その暦年の終了の時)

②相続税の申告書の提出期限 


所得税の申告手続き

規定は、譲渡したその年の末日までに、相続税の申告期限が到来しておらず、相続税が確定していない場合であっても、取得費加算の適用可となっています。

この場合、通常の取得費の計算で譲渡所得を計算、所定の税額を確定し、所得税の期限内申告をします。

その後、相続税の申告期限までに相続税額を確定、当該申告書を提出すれば、その事実に基づき、所定の書類等を提出することで、当初申告の所得税は減額更正(還付)されます。


期限後申告の場合の留意点

なお、相続税の申告が期限後(3年以内)となった場合には、譲渡した年の末日までには相続税額が確定していなければ、この取得費加算の特例は受けられません。