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借家人が受ける立退料と所得区分   

所得税では、所得の源泉による担税力を考慮して、所得を10種類(利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得、一時所得、退職所得、山林所得及び雑所得)に分類し、それぞれ所得の計算方式を定めています。

したがって、所得が生じた場合、所得は原則として、この10種類のいずれかのカテゴリーに峻別されることになります。


借家人が受ける立退料

借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料は、一義的には一時所得に分類されます。

それは、一時所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの、と定義されていますので、立退料は、まさに、

①一時的・偶発的な利得であり、

②労務や役務の対価でもなく、さらには

③資産の譲渡の対価でもない

ことからこの定義の範疇に入ることになります。

立退料の内容及び性質

しかし、一口に立退き料といってもその内容は様々です。

現行の課税実務では、一般的に借家人が受ける立退き料については、

①借家権の消滅の対価たる性質を有するもの

②事務所等の移転による休業等に伴う収益の補償的性質を有するもの

③その他のもの

に区分しています。

そして、

①に係る所得は、譲渡所得に該当し

②に係る所得は、原則、事業所得に該当し

③に係る所得は、一時所得の該当するもの

として取扱っています。

したがって、事業者が事務所等の立退きに際し、立退料等の名目で、旧事務所から新事務所に移転するための移転費用や新事務所との差額賃料補てん費用等の補償を受けた場合には、当該補償金等の立退き料は、事業所得に係る収入金額に算入されることになります。

一方、事業者として受ける立退料であっても、当該立退料等が収益及び必要経費を補てんするものでないときは、一時所得の収入金額として所得区分されることになります。