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60歳以後も働き続けて年金を満額もらう方法はあるの? 2008年09月30日

60歳以降も働き続けると受給年金が、「在職老齢年金制度」によって減額されます。
また、年齢(64歳以下、65歳以上)によってもその減額が異なります。
基準となるのは、大まかに言って「給料と前年のボーナスを合わせた年収の1ヶ月分
(概ね月々の給料+過去1年間にもらったボーナス÷12)と、年金の1ヶ月分を合計した額です。
64歳以下では、この金額が28万円までなら減額されません。65歳以上では、48万円までは減額されません。
それでは、年金が減額されない働き方はあるのでしょうか。少し、検討してみたいと思います。

(1)厚生年金に加入するケース

イ)厚生年金に加入し続けても減額されない条件、おおむね月々の給料+ボーナス1ヶ月分+年金1ヶ月分≦28万円 あるいは≦48万円となるような給与額を支給する会社に勤務する。
ロ)ボーナスを毎年受け取らず、退職するときにその分を退職金として支給してくれる会社に勤務する。
会社の特例措置で賞与を退職金に回すことが可能であれば、ボーナスが減額計算対象から外れので、給料の額をそれほど抑えなくてもすみます。

(2)厚生年金に加入しないケース
減額制度は、厚生年金に加入して働く人が対象ですので、加入しなければ年金額は減額されることも年金保険料負担もありません。

そこで、次のような方策が考えられます。

イ)個人事業主として独立する。勤めていた会社で働き続ける場合でも、個人事業主として「業務委託契約」を結んでもらう。
 個人事業主であれば、青色申告による節税効果も加わって、手取り総額が大きくなります。
ロ)勤務日数か勤務時間のどちらかが正社員の4分の3未満にする(厚生年金の加入義務はありません)。
ハ)原則、従業員が5人未満の個人事業所に勤務する。
 独立して個人事業主になる以外の方策としては、勤務先の都合もあり条件を満たすことはなかなか困難です。
あまり満額受給にこだわると、年金を含めた手取り合計額が減少してしまうこともあります。
また、年齢、配偶者の状況等によっても満額受給にこだわると世帯収入が減少してしまうこともありますので、慎重な対応が必要です。


1.社会保険庁のHP
在職老齢年金制度について

●会社に勤めているとき
Q151
<問>厚生年金保険の年金を受けている方が、会社に勤めることになったとき。
<答>
老齢の年金を受けている方が会社に勤めて厚生年金保険に加入すると、厚生年金保険の老齢の年金は給料と賞与によって決められる総報酬月額相当額と1ヵ月当たりの年金額との合計収入に応じて年金額の一部または全部が支給停止となる場合があります。
また、平成19年4月1日以降、70歳以上の方が厚生年金保険の適用事業所に勤める場合も、厚生年金保険の老齢の年金は給料と賞与によって決められる総報酬月額相当額と1ヵ月当たりの年金額との合計収入に応じて、年金の一部または全部が支給停止となる場合があります。
ただし、70歳以上の方は厚生年金保険の保険料負担はありません。
厚生年金保険に加入する方は、会社に「年金手帳」と「年金証書」を出して会社から社会保険事務所または社会保険事務局の事務所に年金を受けている人が厚生年金保険に加入するための手続きをしてもらってください。
手続きが遅れ、会社に勤めた月の翌月以後の年金を受け取ったときは、受け取り過ぎとなった分を後日返していただくことになります。ご注意ください。

2.日本経済新聞
 平成20年8月31日(日曜日)朝刊
 くらしの安心 働いて年金満額もらう法
日経新聞17面に、「働いて年金満額もらう法」という見出しの記事が掲載されています。
60歳以降も働き続けて厚生年金を受け取ると、在職中は年金受給額が減ってしまうというのが、在職老齢年金制度。せっかく年金受給年齢になったのに減額されるのは納得いかないという方も多いようです。
では、厚生年金を満額受け取りつつ働くにはどうしたらいいのかということになりますが、必ずしも満額受給が最良とは言い切れないので注意が必要です。
要は、年金をもらう方が働き続けたい場合、給与として受給するとその額によって年金が減額される仕組み。
であれば、個人事業主としての収入に変えることができればその減額は回避できるとその記事には書かれています。
仮に務めていた会社で働き続ける場合でも、個人事業主として業務委託契約を結べばいいとも書かれています。
ただこの場合は注意が必要です。問題は、契約を結んでもその実態が伴わなければ問題となります。
いずれにしても、年金の問題はケースバイケース。
過去の加入年数や加入年金の種類、配偶者の保険料の負担の実態等々によって大きくことなりますので、まずは社労士等へご相談ください。




後だしジャンケンの是非 2008年09月29日

違憲が一つ、合憲二つ
平成16年の土地建物の譲渡所得と他の所得との損益通算を廃止する税制改正は、4月1日施行のものを年初に遡及適用させるというものだったので、実行の時の法律では、譲渡損部分を他の所得から控除できるとの規定で税負担を予測していた人の税負担は、予想外に大きなものになりました。
この事例につき遡及立法の是非を問う裁判の判決が今年3件あり、1件はこれを憲法違反とし、他の2件は逆に合憲としました。
どれも高裁で現在係争中です。

遡及立法ではないとの理由
合憲判決によると、「所得税は期間税で、期間の終了を待ってはじめて所得が確定するのだから、納税義務の確定日としての12月31日からすれば遡及には当たらない」とされています。

遡及立法だとする違憲判決
違憲判決は、納税義務の確定については合憲判決と同旨ですが、遡及適用に当たるかどうかについては、既存の納税義務の内容を変更するものかどうかではなく、既存の行為に適用されるものであるかどうかで判定すべきものとしています。
理由として、「期間税の場合であっても、納税者は、その当時存在する租税法規に従って課税が行われることを信頼して、各種の取引行為等を行うのであって、そのような納税者の信頼を保護し、国民生活の法的安定性や予見可能性の維持を図る要請は、期間税であるかどうかで変わりがないから」としています。

福岡地方裁判所平成18年(行ウ)第24号所得税の更正処分取消請求事件(全部取消し)(納税者勝訴)(被告控訴)【違憲無効/譲渡損失の損益通算を不可とする税制改正の遡及適用】

確かに、期間税の場合、納税者の納税義務の内容が確定するのは1暦年の終了時であるが、遡及適用に当たるかどうかは、新たに制定された法規が既に成立した納税義務の内容を変更するものかどうかではなく、新たに制定された法律が施行前の行為に適用されるものであるかどうかで決せられるべきである。
なぜならば、期間税の場合であっても、納税者は、その当時存在する租税法規に従って課税が行われることを信頼して、各種の取引行為等を行うのであって、そのような納税者の信頼を保護し、国民生活の法的安定性や予見可能性の維持を図る要請は、期間税であるかどうかで変わりがないからである。


東京地方裁判所平成18年(行ウ)第603号、第604号、第606号、第607号更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求事件(棄却)(原告控訴)【遡及適用の合憲性/譲渡損失の損益通算を不可とする税制改正】

所得税はいわゆる期間税であり、これを納付する義務(納税義務)は、国税通則法15条2項1号の規定により暦年の終了の時に成立し、また、その年分の納付すべき税額は、原則として所得税法120条の規定により確定申告の手続によって確定するところ、譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額を各種所得の金額から控除する(損益通算する)ことは、所得税の納税義務が成立した後の納付すべき税額を確定する段階で初めて行うものであり、個々の譲渡の段階で行うものではない。
そして、所得税に関する法規が暦年の途中に改正され、これがその年分の所得税について適用される場合、暦年の最初から当該改正法の施行までの間に行われた個々の取引についてみれば、当該改正法が遡及して適用されるとみることができるものの、所得税の納税義務が成立するのはその暦年の終了の時であって、その時点では当該改正法が既に施行されているのであるから、納税義務の成立及びその内容という観点からみれば、当該改正法が遡及して適用されその変更をもたらすものであるということはできない。
そうすると、暦年の最初から当該改正法の施行までの間に行われた個々の取引についてみれば、譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額の多寡に応じた不利益を被るということも想定できるが、本件改正附則27条1項により改正措置法31条1項後段の規定を平成16年1月1日から同年3月31日までに行われた譲渡について適用したとしても、納税者の平成16年分所得税納税義務の内容自体について着目するならば、さかのぼって不利益に変更されたということはできない。


憲法
第3章 国民の権利及び義務
第30条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。
第84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。




税法は予知能力を要求? 2008年09月26日

法の不知は許されない
法律は、それを国民は全部知っているということを前提に行政・司法は運営されています。
「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。」これは刑法38条です。
税法条文がどんなに難解でも、それを知らないことを理由に申告を漏らしたり、不正確にすることは許されず、情状酌量の扱いも原則的にありません。

税法は予知
憲法は、法律によらなければ課税できないとしています。この条文を逆読みして法律に書きさえすれば遡った時期への課税も許されると解釈をする人がいます。
誰がそういう解釈をするかというと、財務省・国税庁の役人・裁判官・税法学者達です。
税法については、国民はそれを熟知しているだけでなく後から作られる法律まで熟知していないといけないのです。

遡及立法違憲判決合憲判決
4月1日施行の改正税法を1月1日まで遡及適用させるとの規定につき、これを憲法違反とする判決が1件、逆に合憲とする判決が2件あり、どれも高裁で現在係争中です。
近い将来存在することになるかもしれない法律の内容を、条文がまだ作成される以前に熟知し、それに基づいて経済行動することが必要という過酷な要求を満たすのに現実の情報の伝達の程度と余裕期間が2週間ということで十分であったか否かで、片や違憲とし、片や合憲としました。

憲法は予知ではなく予測の確保を要求
法律によらなければ課税できないとの憲法原則は、自分の税金がいくらになるのか予測しながら経済選択行動することを保障するためのものであり、予測計算判断を十分にできるようにするための期間こそ確保すべきことを要求するものです。
翌年施行などのように、公布した法律の施行そして熟知までの期間の十分な確保への要求なのです。
即ち、予測可能性の確保です。
それを立法の予知可能性の確保の十分不十分の議論にしてしまっているのが、現在の憲法解釈論争です。




法の不知は許されない 2008年09月25日

江戸時代の法
江戸時代を通じて実用された唯一の刑事法典が公事方御定書で、上巻は警察行政的法令81通を収めた法令集、下巻は刑罰・訴訟の先例・取極め(刑事法規)を整理・収録しており、一般に公布されておらず、江戸時代を通じて秘密法典でした。

現代の法
昨年の通常国会と臨時国会で成立した法だけで139あり、今年の通常国会はねじれ国会なので提案法律数と通過法律数は少ないですが、それでも83あります。
その中の一つが国税に関する「所得税等改正法」で改正条文新旧比較表の冊子のページ数は200ページです。
改正に伴う政令・省令の分量も同程度あります。
これらはすべて公表されており、手を尽くせば必ず入手できます。

法の不知
法は社会の強制力のあるルールであり規範です。
法によって人は死刑とされることもあり、税として財産を侵されることもあります。
そして、現代社会では国民は法を知っているというのが前提条件になっています。
その上で、「法の不知はこれを許さず」という法原則が存在します。
税務判決などでは、訴えた者の法の不知や誤解は、本人責任であり、救済すべき「やむを得ない事情」には該当しないとの文章をよく目にします。

法はいつから在ることになる
知る対象の法は、施行された時から、公布即施行のときは公布の時から、在ることになります。
公布の時とは、東京の官報販売所にて閲覧・購入できるようになった瞬間を指す、という最高裁判決があります。
今年の改正税法は、衆院で3分の2の再可決をしたのが4月30日午後4時44分でした。
その後、主任の国務大臣の署名及び内閣総理大臣が連署し、閣議決定を経て天皇に上奏され、御名御璽を賜って、そして官報に掲載という手順を踏んで公布即施行されたことになっています。
しかし官報はすでに印刷されていたとしても、30日の官報販売所の5時半閉店前に閲覧・購入できるようにすることが可能だったかは疑問です。



江戸時代 公事方御定書下巻は制定されても、公布はされなかった


【制定法律一覧】
確定申告書への記載不備の理由で「やむを得ない事情」とは?
審判所、法の不知や誤解は「やむを得ない事情」に該当せず
国税不服審判所は法人税の額から控除を受けるべき「みなし配当に係る所得税」について、別表六(一)における記載箇所がわからなかったために当該所得税額を記載しなかったとしても、請求人の責めに帰すべき事情に基づくものではないとはいえず、法人税法68条4項に規定する「やむを得ない事情」には当たらないとして請求人の主張を斥けた(平18.4.6裁決)。

http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column020.htm
法律の公布・施行に関する事件
法律は、国会で制定され、天皇によって公布された後、その法律に定められた施行日から施行されます。その法律を施行するために特に準備や周知のための期間が必要ない場合や緊急を要する場合には、「この法律は、公布の日から施行する。」として即日施行を定めているものも多くあります。
この周知期間を置かなかったことが問題となった事件があります。昭和29年の「覚醒剤取締法の一部を改正する法律」は、同年6月12日に公布され、即日施行となっていました。
折しも、その日の午前9時ごろ、広島市内において、その改正法によってより重い罪となることになった行為をした人がいました。その裁判で、弁護人は、公布とは国民がその法律の内容を知りうる状態に置かれた時にあったというべきであり、当該法律の公布を記載した官報が広島市で一般に購入できたのは翌13日であるので、犯行時にはこの法律はまだ施行されている状態にはなかったとして、より軽い従前の刑罰が適用されるべきであると主張しました。
この裁判の上告審で、最高裁判所は、国民が官報を最初に閲覧・購入できる状態になった時に公布があったといえるとする判断を示して、本件の場合、それを東京の官報販売所において閲覧・購入ができた時刻である12日の午前8時30分としました。
(山本美樹/「立法と調査」NO.206・1998年7月)





銀行の見方は、財務バランスが企業力 2008年09月24日

成長性・未来性は客観的観察が困難
直前期“決算書の財務力”は過去の経営活動の集積結果であり、その数値が健全ならば、この企業はさほど問題が無いだろうと判断するのは一般的な判断であり、金融機関にとっても同様です。
社長の資質・理念・製品力の評価が正しい基準かもしれませんが、現在の企業格付システムは“スコア化の困難性と恣意性排除”などから、財務力を主要要素としています。

財務改善ポイント
①キャッシュベースで算定した総資産の時価から総負債を差引きした額(時価純資産)が自己資本額ですが、その自己資本額を同総資産額で除した比率(自己資本比率)を40%台に、更に50%以上に改善する。
②キャッシュフロー(CF)の改善
銀行の言うCFは、“返済能力”を意味します。総借入額を何年で返済できるかの年数短縮が重要で、基本的には税引き後の営業利益で総借入額を除した数が10年未満となるよう借入金を減らす。緊急対策として、“親族の増資・在庫や売掛金回収・資産の処分等による総資産の圧縮”等があります。




誰が納税義務者になるのか 2008年09月22日

一般的に、会社が破産(個人破産も同じ)した場合、裁判所から破産管財人が選任され、破産管財人は公正な債務弁済のため、破産会社の資産を管理処分して、これを債権者に分配します。
処分資産の中には、商品在庫・建物・什器備品等の課税資産の譲渡も含まれていますので、その消費税の納税が問題になります。
そこで会社が破産した場合、一体誰が納税義務者となり誰が履行するのか、破産法人なのか、それとも破産管財人なのか、消費税法では規定されていません。
破産法人は実体として機能していないので、破産法人に納税義務があるとしても一体誰が納税義務の履行をするのか不明です。 
一方、破産管財人は、破産者の財産を管理処分して、これを債権者に分配することを目的として存在するので、納税義務者になりうるかどうか疑問です。

(1)消費税の実務上の取扱い
実務解説書は、次のように述べています。
①破産財団(破産法人の総財産)の管理及び処分をなす権利は破産管財人に専属することになりますが、②破産手続中であっても破産法人は存続し、破産財団は破産法人に帰属します。したがって、③破産手続中に破産管財人が行なった課税資産の譲渡に係る納税義務者は破産法人となります(よって、破産法人の基準期間における課税売上高により納税義務の判定を行なうことになります)。なお、納税義務の履行手続きは破産管財人が行なうことになります。

(2)破産管財人が納税義務を負う根拠
この実務上の取扱に異論を唱えて、提訴した破産管財人がいます。
その主張は、
①破産財団と破産法人とは別の法的主体、結果、②基準期間における課税売上を引継がない、③破産財団は新設法人であり基準期間がないから「納税義務を負わない」
でした。

一審の福井地裁で勝訴しましたが、控訴審で国側勝訴の逆転判決となりました。
勝訴理由は、法人税が解散した場合の清算所得に対する規定は、破産清算を適用除外としていないこと。
また、清算中の所得にかかる予納法人税の予納申告・納付義務規定は、破産管財人に及ぶとする最高裁平成4年判決などが根拠のようです。
なお、破産管財人は、判決内容を不服として上告した模様です。


1.破産財団に帰属する課税資産の処分に係る納税義務者
「問」
当社は、破産宣告を受けましたが、破産財団に帰属する課税資産を破産管財人が処分した場合、その課税資産の譲渡に係る納税義務者は、破産法人である当社となるのですか。

「答え」
破産財団(破産法人の総財産)の管理及び処分をなす権利は破産管財人に専属することとなりますが、破産手続中であっても破産法人は存続し、破産財団は破産法人に帰属します。
したがって、破産手続中に破産管財人がその地位に基づいて行なった課税資産の譲渡に係る納税義務者は破産法人になります(よって破産法人の基準期間における課税売上高により納税義務の判定を行なうことになります。)。
なお、納税義務の履行手続は破産管財人が行なうことになります。

回答事例
消費税質疑応答集  平成14年版
斉藤文雄編 大蔵財務協会
*****************************************


2.福井地裁 2007年09.12
◆ 福井地裁
破産財団の消費税課税取消し
福井地裁でこのほど、破産財団の消費税の取扱いについて画期的な判決が出た。
破産宣告後に店舗などを売却し、その売却収入についての5%の納税を税務署から決定されたことについて争ったものであった。破産財団は、「破産宣告後に生じた新規の法人で人格のない社団に該当し、債務超過のため資本金が1,000万円以上の会社と同様の扱いは相当ではない」という理由で、新規設立スタート2年の免税規定が適用される、との内容であった。


3.名古屋高裁金沢支部
◆名古屋高裁
◇財産売却への消費税めぐり
倒産した紳士服会社の破産財団の財産売却に、福井税務署が消費税を課したのを不服として、同社の破産管財人が国などに納税決定処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が16日、名古屋高裁金沢支部であった。渡辺修明裁判長は原告の主張を認めた昨年9月の1審・福井地裁判決を取り消し、原告の請求を棄却した。
この紳士服会社の倒産時の財産(破産財団)が、納税義務のない「人格のない財団」として、同社とは別の事業者に当たるかどうかが争われた。
◆愛知ニュースより引用




交換と株式 2008年09月19日

資産の交換と所得税法・法人税法
譲渡とは、税法では、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいいます。
通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。
したがって、交換も譲渡の一種なので、資産の交換が行われた時は原則として、「交換引き渡し資産を譲渡し、その対価として交換取得資産を受け取った」ということになります。
ただし、譲渡と交換の違いを考慮して、土地や建物等の特定の資産の交換については、譲渡は無かったことにする特例が、所得税・法人税にあります。
しかし、ここで特例とされている資産には株式は含まれていません。

株式の交換と税法
譲渡の特例としての交換に該当する交換資産は、土地・建物・機械装置・船舶・鉱業権に限定されているので、株式と株式を交換しても譲渡はなかったことになりません。
株式と株式の交換は、持っている株式を売却し、現金を受け取り、その金銭で別な株式を購入する行為と考えることになっています。
ただし、株式と株式の交換にも、譲渡がなかったことになる特殊な特例があります。
会社法における企業組織再編の一手法としての株式交換・株式移転です。
会社法上の株式交換等は、“会社の意思”により決定されるもので、株主総会の特別決議で承認されてしまえば、個人の意思に関係なく、たとえその個人が株式交換等に反対していたとしても、株式交換等が実行されます。
それゆえ、一定の要件を満たす株式交換等については、株主に譲渡課税を行わないことになっています。

株式と株式の交換
株式と株式の交換は株主の個人的な意思に依存するものですから「株式交換等」とは異質なものです。
たとえば、TOB(敵対的買収)が行われるとき、買収会社が被買収会社の株主に対し、被買収会社の株式に対し、買収会社の株式を与えることがあります。これなどは、組織再編行為によるものではないので、単なる株式と株式の交換の仲間になります。


タックスアンサー

No.3105
◎譲渡所得の対象となる資産と課税方法

第58条(固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例)
 居住者が、各年において、1年以上有していた固定資産で次の各号に掲げるものをそれぞれ他の者が1年以上有していた固定資産で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産(以下この条において「取得資産」という。)をその交換により譲渡した当該各号に掲げる資産(以下この条において「譲渡資産」という。)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供した場合には、第33条(譲渡所得)の規定の適用については、当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかつたものとみなす。
◆1 土地(建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに農地法(昭和27年法律第229号)第2条第1項(定義)に規定する農地の上に存する耕作に関する権利を含む。)
◆2 建物(これに附属する設備及び構築物を含む。)
◆3 機械及び装置
◆4 船舶
◆5 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含む。)

第2条(定義)
◆12の16 適格株式交換 次のいずれかに該当する株式交換で株式交換完全子法人の株主に株式交換完全親法人の株式又は株式交換完全支配親法人株式(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人の株式をいう。)のいずれか一方の株式以外の資産(当該株主に対する剰余金の配当として交付される金銭その他の資産及び株式交換に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。
イ その株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に同一の者によってそれぞれの法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有される関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換
ロ その株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の総数の100分の50を超え、
かつ、100分の100に満たない数の株式を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換のうち、次に掲げる要件のすべてに該当するもの

(1) 当該株式交換完全子法人の当該株式交換の直前の従業者のうち、その総数のおおむね100分の80以上に相当する数の者が当該株式交換完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていること(当該株式交換後に当該株式交換完全子法人を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人(以下この号及び次号において「被合併法人等」当該株式交換後に当該株式交換完全子法人を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人
「被合併法人等
とする適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立
という。)とする適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下この号及び次号において「適格組織再編成」という。)に伴い当該相当する数の者の全部又は一部が当該適格組織再編成に係る合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人(以下この号及び次号において「合併法人等」という。)に引き継がれることが見込まれている場合には、当該相当する数の者のうち当該合併法人等に引き継がれるもの((1)において「合併等引継従業者」という。)が当該株式交換後に当該株式交換完全子法人の業務に従事し、当該適格組織再編成後に当該合併法人等の業務に従事することが見込まれ、かつ、当該相当する数の者のうち当該合併等引継従業者以外のものが当該株式交換完全子法人の業務に引き続き従事することが見込まれていること。)。

(2) 当該株式交換完全子法人の当該株式交換前に営む主要な事業が当該株式交換完全子法人において引き続き営まれることが見込まれていること(当該株式交換後に当該株式交換完全子法人を被合併法人等とする適格組織再編成によりその主要な事業が移転することが見込まれている場合には、当該主要な事業が、当該株式交換後に当該株式交換完全子法人において営まれ、当該適格組織再編成後に当該適格組織再編成に係る合併法人等において引き続き営まれることが見込まれていること。)。
ハ その株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を営むための株式交換として政令で定めるもの




生涯現役・・でも・・ 2008年09月18日

60歳台後半の在職老齢年金
以前、60歳台前半の在職老齢年金についてお話しましたが、60歳台後半の在職老齢年金はどのようになっているのでしょうか。
まず、
①総報酬月額相当額=その月の標準報酬月額+年間賞与額÷12 
②基本月額=老齢厚生年金の年金額÷12
の前提条件があります。
対象は昭和12年4月2日以降生れの方です。

60歳台後半の支給停止の対象となるのは報酬比例部分だけとなりますので、定額部分から算出される老齢基礎年金と経過的加算は全額支給されます。(経過的加算とは64歳までの特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額と65歳から支給される老齢基礎年金の額に差額がある場合はその差額が支給されるものです。)
支給停止額=(総報酬月額相当額+報酬比例部分の年金月額-48万円)×1/2
簡単に言うと、老齢厚生年金月額+月給+年間賞与額の1/12が48万円以下なら支給停止はなしということになります。

70歳以上の方の在職老齢年金
70歳以上の在職者は、保険料は納めませんが、在職老齢年金の支給停止方法は60歳台後半と同様です。65歳から在職老齢年金を、受給している方が70歳になると65歳からかけた年金額が加算されます。

厚生年金基金に加入した期間がある場合
年金額は厚生年金基金に加入していなかっかたものとして計算します。
その年金月額と総報酬月額相当額によって支給調整します。
支給にあたっては基金加入部分が優先され社会保険部分から支給停止されます。

満額支給はいつ?
以上のことから、給料が高いと何歳になっても、在職中は支給停止にかかる可能性があるということが言えます。ですから、在職者が年金を満額受給したい場合は、対策が必要となるでしょう。




銀行を理解しなければ生き残れない 2008年09月17日

好業績で倒産する。
経営者や経理の銀行窓口責任者が、もしも「お宅の銀行が、メインバンクなのに・・・」などの表現を使ったならば、銀行の担当者は『この会社は、危ない!』と、考えるかもしれません。
そんな危険な発想は他にもあります。


危険な発想・企業側の勘違い
①長い付き合いだから
②返済が1回も遅れたことがないから
③支店長とツーカーの仲だから
このような情緒的なことで、金融機関と付き合っていけた時代はありましたが、今はもう無理です。さらに「増収に伴う売掛債権分の資金不足」「設備投資資金」つまり、積極的経営に対する資金需要のケースでは、「きっと金融機関は前向きに対応してくれるはず」と、企業側は勘違いをしてしまいます。金融機関の置かれている環境や視点を理解していない中小企業は、大きなリスクを背負うことになります。


銀行の視点
銀行の視点は、
①キャッシュフロー経営として期待している健全性を持っているか。
②健全性の改善方向に向かっているか。
③企業経営者が収益活動の中にきちんと財務改善を意図しているのか
ということに帰結します。




先日付小切手 2008年09月16日

先日付小切手とは
小切手をきる(発行する)ときに、振出日をその日より先の日付にして振り出した小切手を先日付小切手といいます。
サキヒヅケコギッテあるいはサキビヅケコギッテと読みます。
実際の発行時には銀行の決済口座に残高はないけれど、振出日として記載した日までには資金手当が見込まれるような場合に、受取人が記載した日付以後に取立に回してくれることを想定して発行されます。


危険と隣り合わせ
先日付小切手は、振出日の前に受取人が銀行に持ち込まないという暗黙の合意が大前提です。
手形と違い、小切手は銀行に呈示されると即決済(支払)ということになっているからです。
手形の場合は、満期日前の呈示は効力がありません。
当事者間で振出日についての合意があったとしても、経理担当者がそれに気がつかずに銀行に持ち込んでしまうなどといった場合、決済口座の残高が不足していると不渡りになります。残高不足にはならないときでも相手の資金繰りに支障を及ぼしかねません。
さらに、当事者が信用のおける者同士であればまだしも、今はカネがないといって振り出される小切手の危うさ、その振出日の前に悪意をもって銀行に持ち込まれる恐れ、とにかく危険と隣り合わせであることは知っておく必要があります。


銀行に持ち込むと
実務的には、銀行に振出日前の小切手を持参すると、理由を説明のうえ振出日前日まで銀行で預かり、当日になったら入金処理をするというようなこともなされているようです。
法律とは違った扱いですが、不測の事態を考慮してのことでしょう。




端株のゆくえ 2008年09月12日

端株とは、1 株に満たない株式(100 分の1の整数倍にあたるもの)で、会社法では廃止されましたが、旧商法下において存在していたものはその存続が許されています。
ところが、2009 年1月の株券電子化で1株に満たない「端株」の存在が認められなくなります。すなわち、1株に満たない株は、システムの対象とはならないことから原則、無効になるということです。

(1)株式の1000 分割
数年前、IT 関連会社が株式の100 分割を繰り返し急成長しました。しかし幾つかの不祥事が発覚し結果100 分割なる極端な株式分割は一種の錬金術のようなものだとして批判の目が向けられたこともありました。
ところが、昨年、三菱UFJ フィナンシャルグループは、株式の1000 分割を実施しました。過去においても、これほどの株式分割はありません。狙いは、
①端株主の救済
②投資単位を現在の1株から100 株にくくり直し、最低売買額を10 分の1引き下げによる個人株主の増加です。
すなわち、1株につき1000 分割するということは、0.1 株の端株主に、100 株の株式が交付されることですから、端株主は株主となり、電子化の伴う無効から救済されることになりました。

(2)株式の無償割当
一方、みずほフィナンシャルグループは、「端株解消」及び「売買金額引き下げ」の手段として、株式の無償割当を実施するとのことです。基本的な効果は、株式分割と同じです。
具体的には、1 株当たり999 株の無償割当を実施することです。したがって、0.1株の端株主にあっては、99.9 株の交付ということになりますので、結果的には、100株取得することになり、端株の解消になります。

(3)株式分割・無償割当と課税関係
株式分割・無償割当は、発行会社の会社財産や資本金に変動ありませんので、課税関係は生じません。
一方、株式の分割・無償割当で株式の交付を受けた株主は、原則として、課税関係は生じませが、株式の取得価額についての調整計算は必要です。
なお、多くの上場会社では、この端株対策として、株式分割、買い取りによる金庫株にと、いろいろ検討中のようです。




少額減価償却資産はややこしい 2008年09月11日

少額減価償却資産とは
会計上では、重要性の原則により本来1年以上にわたって使用する減価償却資産(固定資産)であっても、取得価額が少額のものは、取得した事業年度の費用として処理することが出来ます。
なにをもって少額とするかは、企業規模やその資産の重要度で各企業の判断に委ねております。

法人税は詳細です
一方法人税法では、30万円未満の減価償却資産について細かく定めています。
① 10万円未満の減価償却資産
少額減価償却資産として、取得し事業の用に供した事業年度の損金とすることができます。
② 20万円未満の減価償却資産
一括償却資産として、取得し事業の用に供した事業年度を含む3年間での損金経理を認めています。
③ 30万円未満の減価償却資産
中小企業者(資本金1億円以下の法人)の特例として年間300万円までについては取得し事業の用に供した事業年度の損金とすることができます。

ややこしいのはここからです
ややこしい原因は、上記①~③の要件が全てダブっている点です。
最も有利に摘用する場合は、
イ)まず10万円未満の減価償却資産は
①を摘用し
ロ)20万円以上30万円未満の減価償却
資産には③を摘用し
ハ)上記ロ)が年間300万円に満たない
場合には10万円以上20万円未満の減価償却資産に③を摘用し超える部分に②を摘用することとなります。


消費税はどうなるの
消費税は、消費税を税抜き処理をしている企業は、消費税抜きの価額で判断し、税込み処理をしている企業は、消費税込みの価額で判断します。
ですから税込み処理の場合は消費税分だけ不利となります。

法人税法施行令
(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)
第133条
内国法人がその事業の用に供した減価償却資産(第48条第1項第6号及び第48条の2第1項第6号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるものを除く。)で、前条第1号に規定する使用可能期間が一年未満であるもの又は取得価額(第54条第1項各号(減価償却資産の取得価額)の規定により計算した価額をいう。次条第1項において同じ。)が10万円未満であるものを有する場合において、その内国法人が当該資産の当該取得価額に相当する金額につきその事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

(一括償却資産の損金算入)
第133条の2
内国法人が各事業年度において減価償却資産で取得価額が20万円未満であるもの(第48条第1項第6号及び第48条の2第1項第6号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるもの並びに前条の規定の適用を受けるものを除く。)を事業の用に供した場合において、その内国法人がその全部又は特定の一部を一括したもの(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下この条において「適格組織再編成」という。)により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人(以下この項において「被合併法人等」という。)から引継ぎを受けた当該被合併法人等の各事業年度において生じた当該一括したものを含むものとし、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立により分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人に引き継いだ当該一括したものを除く。以下この条において「一括償却資産」という。)の取得価額(適格組織再編成により被合併法人等から引継ぎを受けた一括償却資産にあっては、当該被合併法人等におけるその取得価額)の合計額(以下この項及び第13項において「一括償却対象額」という。)を当該事業年度以後の各事業年度の費用の額又は損失の額とする方法を選定したときは、当該一括償却資産につき当該事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該一括償却資産の全部又は一部につき損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、当該一括償却資産に係る一括償却対象額を36で除しこれに、当該事業年度の月数を乗じて計算した金額(適格組織再編成により被合併法人等から引継ぎを受けた当該被合併法人等の各事業年度において生じた一括償却資産につき当該適格組織再編成の日の属する事業年度において当該金額を計算する場合にあっては、当該一括償却資産に係る一括償却対象額を36で除し、これにその日から当該事業年度終了の日までの期間の月数を乗じて計算した金額。次項において「損金算入限度額」という。)に達するまでの金額とする。

租税特別措置法
第67条の5
第42条の4第6項に規定する中小企業者又は農業協同組合等で、青色申告書を提出するもの(以下この項において「中小企業者等」という。)が、平成18年4月1日から平成22年3月31日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産で、その取得価額が30万円未満であるもの(その取得価額が10万円未満であるもの及び第53条第1項各号に掲げる規定その他政令で定める規定の適用を受けるものを除く。以下この条において「少額減価償却資産」という。)を有する場合において、当該少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき当該中小企業者等の事業の用に供した日を含む事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。この場合において、当該中小企業者等の当該事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円(当該事業年度が一年に満たない場合には、300万円を12で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額。以下この項において同じ。)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額を限度とする。
2  前項の月数は、暦に従って計算し、一ヶ月に満たない端数を生じたときは、これを一ヶ月とする。
3  第1項の規定は、確定申告書等に同項の規定の適用を受ける少額減価償却資産の取得価額に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
4  第1項の規定の適用を受けた少額減価償却資産について法人税に関する法令の規定を適用する場合には、同項の規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額は、当該少額減価償却資産の取得価額に算入しない。




経過勘定って何?その2 2008年09月10日

貸借対照表の基本
現在の企業会計原則の基となる複式簿記は、現金で車を買った場合に、増えた財産(車)と減った財産(現金)を左右に併記することにより、平衡を保ち財産を管理しようと言うものです。
しかし安く買った商品が高く売れたような場合、減った財産と増えた財産が平衡を破ることになり、考え出されたのが販売益や売上等の名目勘定(損益勘定)です。
この名目勘定に対し、実際に存在する財産を実在勘定(貸借勘定)といいます。
ですから、貸借対照表には本来実在する財産や負債が表示されることが原則です。

名目勘定の台頭
しかし信用経済が高度に発展し、期間損益(原則1年間)の重要性が増してきた為、期間損益(名目勘定)を正しく表示する為に考えられた相手勘定が経過勘定(貸借勘定)です。
経過勘定には「前払費用」・「未収収益」・「前受収益」・「未払費用」の4つがあります。

経過勘定の前提
経過勘定で重要なことは、正しく期間損益を表示する為の相手勘定として、必要であるかどうかだと思われます。

未払費用
例えば3月決算の会社で、給料が20日締めの翌月5日払いの場合、2月21日~3月20日までの給与は、既に支払い義務の発生した確定債務ですから未払金となります。
しかし3月21日~3月31日までの給与は3月31日現在未だ確定した債務となっておりません。
そのため期間損益を正しく捉える為に必要と判断されれば未払費用として計上されます。

前払費用
逆に年間契約の家賃を3月末に翌1年分支払ったような場合、現金は減って費用がたちますが、役務の提供は翌年度になりますので、期間損益を正しく捉える為には、前払費用として認識されます。




経過勘定って何? 2008年09月09日

経過勘定には、次の4つがあります。
前払費用(資産勘定)・未収収益(資産勘定)
未払費用(負債勘定)・前受収益(負債勘定)
いずれも、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行っている場合で、時間の経過に伴い費用や収益となる場合に使用する勘定科目です。例としては、利息・家賃・保険料等が代表的です。

前払費用とは
未だ提供されていない役務に対して支払われた対価を言います。
未収収益とは
既に提供された役務に対して、未だその対価の支払を受けていないものを言います。
未払費用とは
既に提供された役務に対して、未だその対価の支払をしていないものを言います。
前受収益とは
未だ提供していない役務に対して支払われた対価を言います。


何処が違うの・・・
似たような勘定科目に前払金・未収金・未払金・前受金がありますが、これらの勘定科目は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行っている場合以外に使用します。
ですから資産の譲渡(物の売買)の場合等はこれらの勘定科目を使い、経過勘定は使いません。


具体的には、微妙です。
会社法の改正を受けて日本公認会計士協会や、日本税理士連合会が経理処理をまとめた「中小企業の会計に対する指針」では未払費用の事例に未払給与が載っていますが、前払費用の事例には載っていません。
顧問契約に基づく顧問料や、雇用契約に基づく給与等も継続した役務の提供に該当しますが、「時間の経過に伴い」の解釈によって、経過勘定として取り扱うか否かの議論が分かれるところとなっております。


中小企業の会計に対する指針
平成20年5月1日最終改訂版
30.経過勘定の定義
前払費用
 前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対して支払われた対価をいい、前払利息、前払保険料、前払家賃、前払保証料等が該当する。
 前払費用は、このような役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。

前受収益
 前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対して支払を受けた対価をいい、前受利息、前受家賃等が該当する。 前受収益は、このような役務提供契約以外の契約等による前受金とは区別しなければならない。

未払費用
 未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、既に提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいい、未払利息、未払家賃、未払給料、未払社会保険料等が該当する。
 未払費用は、このような役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。

未収収益
 未収収益とは、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対しいまだその対価の支払を受けていないものをいい、未収利息、未収家賃等が該当する。
 未収収益は、このような役務提供契約以外の契約等による未収金とは区別しなければならない。
上記の出典は企業会計原則による紙面の都合上前払費用のみの掲載とする


企業会計原則注解5
(1) 前払費用
 前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、前払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。
議論が分かれる原因は、法人税の短期前払費用の損金算入に関わる為、国税当局は顧問料や給与等人的役務の提供を伴うものについては、時間の経過とともに次期以降の費用・収益となるものでは無いので、経過勘定としては認識していない。しかし、今回の会計指針では未払給与を未払費用としている点の曖昧さです。そうなると前払給与も前払費用になるのではないかと言う議論が成り立ちます。

法人税法基本通達(短期の前払費用)
2-2-14 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加、昭61年直法2-12「二」により改正)
(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。




待ったなし株券の電子化株券の電子化と株主の権利 2008年09月08日

株券とは、「株式」すなわち「株主の地位」を表彰する有価証券です。
具体的には、利益配当請求権、議決権等の株主権利を表彰しており、これらの権利の行使及び譲渡には株券が必要でした。
それ故、平成16年旧商法改正前までは、原則すべての会社について株券の発行が強制されていました。
その後旧商法も変遷を重ね、新会社法では、株券不発行が原則となりました。
そして平成21年1月には、株券発行・管理に伴うコスト削減を主な理由として、上場株式は一斉に電子化(ぺーパーレス化)されることなり、現在その準備が進められています。


(1)電子化後の株主の権利行使
電子化になると上場会社の株券(紙)はすべて無効になります。
そして株主の権利(譲渡も含む)は、すべて金融機関の口座を通じて電子的に管理されることになります。
手続的には、証券会社を通じて証券保管振替機構(以下「保振」)に預託することで電子化され、その後も証券会社の口座にて管理されます。
具体的には、
①預託された株券は「保振」で集中保管・管理され、
②株券の譲渡・決済は口座振替で、
③名義書換等の手続は不要、
④株式分割後もすぐに売却ができるなど、電子化後もすぐに取引が可能です。


(2)保振に預託していない株主の権利
電子化移行日までに株券を「保振」に預託していない株主の権利は、発行会社が信託銀行等に開設する「特別口座」によって確保されます。
特別口座では、配当・議決権等の権利行使及び単位未満株式の買取り請求などを行なうことはできますが、株式の売買等はできません。
また、複数銘柄を所有している株主は、発行会社ごとに特別口座が開設されるため、相続・贈与等の手続きの際には、口座管理機関(信託銀行等)ごとの手続きが必要となり面倒です。


(3)本人名義でないタンス株主の権利
電子化後は、他人の名義の特別口座で管理されることになります。具体的には、株主名簿上の株主が真実の株主として権利行使及び配当等を受領します。
したがって真実の所有者は、そのことを証する資料(取引の明細等)を提示しない限り、株主としての権利を失う可能性がありますので、電子化前に必ず名義書換を行なって下さい。

Ⅰ.証券保管振替機構のHP
http://www.jasdec.com/issue/index.html
 機構のHPでは、
①電子化後の株券はどうなるのか、
②株券が見当たらないときはどうするのか、
③非上場会社の株はどうなるのか、
④単元未満株はどうなるのか、
⑤従業員持株会に入っている株券はどうなるのか、
⑥銀行の担保に入っている株券はどうなるのか等、電子化に関するQ&Aが掲載されています。
 また、具体的な手続き及びそのメリットも掲載されています。

Ⅱ.金融庁のHP
http://www.fsa.go.jp/ordinary/kabuken/index.html
 金融庁のHPも、「機構のHP」とほぼ同様な内容です。
Ⅲ.株式の移転(現行制度「電子化前」)
(1)株券不発行会社の場合
イ.原則
 意思表示で株主の権利が移転し、株主名簿の名義書換を第三者対抗要件とします。(会社法130条第1項)
ロ.振替株式
 振替機関・口座管理機関の備える振替口座簿上の振替によって権利が移転します。(社振等振替法140条)

(2)株券発行会社の場合
イ.株券等保管振替制度の預託株券
 振替が株券の交付とみなされます(保振法第27条第2項)。
 預託株券については、株主名簿に保官振替機関の名義が記載され、その分については、会社別途実質株主通知に基づき、実質株主名簿を作成します。
ロ.上記イ以外の株式
 株券の交付により権利が移転します(会社法128条第1項)。株主名簿が対会社対抗要件となります。




減価償却は原則任意 2008年09月05日

固定資産と減価償却資産
固定資産とは長期(1年以上)に渡って利用又は運用する目的で所有されるものをいいます。
有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産に大別されます。
固定資産の中で利用運用することで、価値が逓減する資産を減価償却資産と言います。


減価償却費の計上
減価償却資産は、その減価した価値を計算して毎期減価償却費として、費用化しなければなりません。
企業会計の指針である会社計算規則には、「償却すべき資産については、事業年度の末日において、相当の償却をしなければならない」として具体的な計算方法は、企業の判断に任されております。しかし毎期継続した規則的償却を要求しています。


減価償却費の計算は任意
法人税法では損金算入の償却限度額を定め、それ以下であれば企業の任意としています。
ですから減価償却は基本的に現実の使用頻度や、買い替え時期をにらみ毎期継続した規則的な方法であれば、企業の自主性に任せることを原則としています。
任意償却ですので、決算時に減価償却を償却限度額まで償却しないでことも可能ですが、後日税務調査等で他の課税所得が出た場合に償却限度額まで償却を認めてくれと言っても、それは認められないことになります。


現実は法人税法の償却方法による。
また銀行等も法人税法の償却限度額まで償却しているかどうかは、企業の業績判断として重要視しております。
さらに企業が独自の方法で減価償却したとしても、法人の申告では、償却限度額を超えているか否かを判断する為に、償却限度額計算を行いますので、2度手間となり、多くの企業が、法人税法の規定に従って減価償却費を計上することが常態となっております。

会社計算規則
第2章 資産及び負債
第1節 資産及び負債の評価
第1款 通則
(資産の評価)
第5条  資産については、この省令又は法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、会計帳簿にその取得価額を付さなければならない。

2  償却すべき資産については、事業年度の末日(事業年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この編において同じ。)において、相当の償却をしなければならない。




働きながら年金受給 2008年09月04日

在職老齢年金を受けるには
「高年齢雇用安定法」の改正もあり、60歳定年後に雇用延長、再雇用で働き続ける方も増えています。
一方で、在職すると年金が減額や停止されるということは知られていますが、どのくらい調整されるのでしょうか。

まず、前提として在職老齢年金額を決める際に考えることは
①「総報酬月額相当額」=その月の標準報酬月額+年間賞与額÷12
②基本月額=老齢厚生年金(加給年金除)÷12
があります。

60歳台前半の在職老齢年金
前項の①と②の合計額が28万円以下であれば、老齢厚生年金は全額支給されます。
①と②の合計額が28万円を超えた場合は、次の4通りの計算式の支給停止があります。

ア.基本月額が28万円以下で総報酬月額相当額が48万円以下の場合
 (総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×1/2

イ.基本月額が28万円以下で総報酬月額相当額が48万円を超える場合
 (48万円+基本月額-28万円)×1/2+総報酬月額相当額-48万円

ウ.基本月額が28万円を超え総報酬月額相当額が48万円以下の場合
 総報酬月額相当額×1/2

エ.基本月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が48万円を超えた場合
 (48万円×1/2)+(総報酬月額相当額-48万円)

以上のように計算式はやや面倒な方法となっています。
さらに解り難いのは総報酬制が導入されてからは、前年の賞与の額が翌年の年金受給額に影響するからなのです。
しかし、簡単にわかる早見表もありますので、おおよその金額はそれで確認するとよいでしょう。




派遣労働の流れ 2008年09月03日

現在、労働者派遣を行う企業の多くは、主に日雇い派遣を行っているのが実態です。この日雇い派遣が今後、原則禁止になる可能性が高まってきました。その背景には、派遣最大手のグットウィルやフルキャストの二重派遣や派遣禁止業務への派遣の問題等が主となっています。

一般?特定?派遣って何?
労働者派遣には、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業があり、現在、前者が問題とされています。
派遣社員には、登録型と常用型があります。登録型は登録スタッフとも呼ばれ、日雇い派遣など短期間雇用される者をいい、常用型は正社員をいいます。この「登録型」のうち、契約期間が1ヶ月以内の派遣を原則禁止する方針を固めたことが厚生労働省の報告案に記載されました。
この報告案によると「日雇い派遣は禁止することを検討すべき」と明記され、さらに日雇い派遣の定義として1日単位ではなく「30日以内の期間を定めて雇用される者」とするよう提言されています。
また、同じグループ企業内に対して派遣する「グループ内派遣」についても、規制が強化される方向にあり、労働者派遣業自体が大幅に制限される可能性が高まってきました。
労働者派遣は、企業にとっては現在欠かせないものとなっている反面、社会保険の未加入や賃金の低さなど雇用の不安定の温床ともいわれ、社会問題となっているのも現実です。

どうすればいいの?
中小企業にとっては、有料職業紹介を主に行うことや登録スタッフから正社員へ切り替えなど、企業存続に直結する問題です。それゆえ、今回の報告案を経営戦略と合わせて早めに検討されることをお奨めします。


厚生労働省の報告案が、下記のホームページに掲載されております。ご参考にしてください。





棚卸資産は取得価額も要注意 2008年09月02日

棚卸資産は取得価額も注意して
税務調査では、まず棚卸資産の計上漏れがないか、調査されます。それと同時に注意しなければいけないことに棚卸資産の取得価額があります。
棚卸資産といっても製品・仕掛品のように「自社で製造されたもの」と、商品・材料のように「購入したもの」とがあります。

購入した場合には
購入先に支払った代金の他に引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税(附帯税を除く)等の購入のために要した費用を加算したものを取得価額としなければなりません。
また、販売するまでの間にかかる購入事務、検収、整理、選別、手入れ等の費用や、販売所への移動運賃等や、長期に渡って保管する場合には、その保管費用も少額(購入対価の概ね3%以内)のもの以外は取得価額に算入しなければなりません。

輸入の場合は要注意
国内で購入している場合は、こう言った費用はあまり出ませんが、輸入しているような場合は、必ず出ますのでご留意ください。
しかし現実の事務処理として、こう言った全てのものを計算して棚卸資産の単価を計算することは大変です。

「仕入諸掛」勘定を作ろう
引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税(附帯税を除く)等の購入のために要した費用や、購入事務・検収・整理・選別・手入れ等の費用・販売所への移動運賃等や、長期に渡って保管する場合の保管費用などがある場合は、これらの費用を様々な科目に振り分けないで、一括して「仕入諸掛」といった科目で管理し、期末に以下の算式を使い一括で振り替える方法を、お勧めします。

仕入諸掛の合計金額×期末棚卸高÷期中仕入総額=期末棚卸に加算すべき仕入諸掛

紙面の都合上今回は購入の場合に限っております。

法人税法施行令
第32条  第28条第1項(棚卸資産の評価の方法)又は第28条の2第1項(棚卸資産の特別な評価の方法)の規定による棚卸資産の評価額の計算の基礎となる棚卸資産の取得価額は、別段の定めがあるものを除き、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一  購入した棚卸資産(法第61条の5第2項 (デリバティブ取引による資産の取得)の規定の適用があるものを除く。) 次に掲げる金額の合計額
イ 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(関税法 (昭和29年法律第61号)第2条第1項第4号の2 (定義)に規定する附帯税を除く。)その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
ロ 当該資産を消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額

法人税法基本通達
(購入した棚卸資産の取得価額)
5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要したすべての費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。(昭55年直法2-15「五」、平19年課法2-17「十」により改正)

(1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
(2) 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
(注)1 (1)から(3)までに掲げる費用の額の合計額が少額かどうかについては、事業年度ごとに、かつ、種類等(種類、品質及び型の別をいう。以下5-2-9までにおいて同じ。)を同じくする棚卸資産(事業所別に異なる評価方法を選定している場合には、事業所ごとの種類等を同じくする棚卸資産とする。)ごとに判定することができる。
2  棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3)に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。
紙面の都合で触れておりませんが、取得価額に算入しないことができる費用は以下となります。

(棚卸資産の取得価額に算入しないことができる費用)
5-1-1の2 次に掲げるような費用の額は、たとえ棚卸資産の取得又は保有に関連して支出するものであっても、その取得価額に算入しないことができる。(昭55年直法2-15「五」、平5年課法2-1「四」、平15年課法2-7により改正)
(1) 不動産取得税の額
(2) 地価税の額
(3) 固定資産税及び都市計画税の額
(4) 特別土地保有税の額
(5) 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用の額
(6) 借入金の利子の額




棚卸資産は調査の要 2008年09月01日

棚卸資産とは
販売することを目的として保有される財貨、用役又は投下される財貨、用役を棚卸資産といいます。
すなわち販売目的かどうかが問題で、同じ不動産でも、販売目的であれば棚卸資産ですし、そうでなければ、固定資産ということになります。

法人税法上の棚卸資産は
法人税法では、上記の棚卸資産から有価証券と短期売買商品は除かれています。
「短期売買商品」とは、短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した資産です。金、銀、白金等の資産をいいます。
法人税法上、有価証券と短期売買商品を棚卸資産から除いているのは、有価証券と短期売買商品は別個に評価方法を規定しているからです。

商売によって棚卸資産はいろいろあります
経理の勘定科目で棚卸資産と言われるもので主なものは、「商品・製品」「半製品・仕掛品」「原材料」「貯蔵品」「未成工事支出金・仕掛工事」等です。

期末棚卸資産は税務調査の基本です
売上原価は次の計算によって算出されますので、期末棚卸資産が増えるとその分売上原価が減り利益が増えます。

期首棚卸資産+当期仕入又は製造費用-期末棚卸資産=売上原価

期末近くに仕入れた商品や材料や外注費が期末棚卸資産に計上されているか?
また、期首に売上となった物の原価が、前期末の棚卸資産に計上されているか?
特に最終期の期末と進行期の期首の、この一連の流れの確認は、税務調査で必ず最初に行われます。


法人税法第2条
二十  棚卸資産 商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産で棚卸しをすべきものとして政令で定めるもの(有価証券及び第61条第1項(短期売買商品の譲渡損益及び時価評価損益の益金又は損金算入)に規定する短期売買商品を除く。)をいう。

「短期売買商品」
短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した資産(有価証券を除く)です。金、銀、白金その他の資産のうち次のものをいいます。
(法人税法第61条第1項、法人税法施行令第118条の4、法人税法施行規則第26条の7)
1) 短期売買目的で行う取引に専ら従事する者が短期売買目的で行ったもの。
2) 短期売買目的で取得したものである旨を勘定科目で区分して帳簿書類に記載したもの。