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役員報酬は 業績連動できない 2010年03月30日

(質問)
当社は販売会社です。
当社の経費の多くは人件費です。
この厳しい経済情勢を踏まえ全社員の報酬を売上によって、変動させたいと思いますが、役員の報酬だけそのままというわけにはいきません。
役員の報酬を動かすとことはできないのでしょうか?

(回答)
兼務役員はOKです。
平成18年の法人税法の改正で、役員の報酬は1年間定期同額が原則となりました。
役員と言っても様々ですが、ご質問の役員は取締役だと思います。
取締役の主要な業務は、取締役会へ出席し、取締役会の一員として業務の意思決定を行うことです。
しかし多くの中小企業の場合取締役と言えども、毎日の多忙な業務に追われているのが実情です。
ですから、取締役としての報酬と、実際に日常業務をこなす管理職としての報酬を区分し管理職としての報酬を上下させる分には特に問題はありません。

代表取締役はカットだけで
但し業務執行権を持つ取締役、すなわち代表取締役や、常務・専務等に関しては、そうは行かないのが現状です。
部下の給与や報酬をカットしておいて自分の報酬だけそのままと言うのは、経営者としてどうかと思われますし、会社の士気にもかかわります。
方法としては社長等の報酬を想定できる範囲の最低の報酬までカットし、事業年度終了まではその報酬を維持することが最善の策だと思われます。
国税当局は、原則カットしても定期同額ではないので、否認するとの見解ですが業績が悪化し、やむを得ない場合は認めるとしています。

事業年度終了までは我慢してください
途中で業績が回復した場合にはカットを元に戻したい気持ちもわかりますが、現在の税法では、戻した報酬は確実に否認されますのでご留意下さい。




資本金の額と法人税制 2010年03月29日

資本金とは何か、そして、その金額はどこにあるのか、との素朴な問いの返答には苦慮します。
難しい資本金概念の通説的な解釈は別として、資本金の額は、一般的には、会社の事業規模、信用度等を現す主要な指標の一つであることには間違いないようです。
このことを考慮してか、法人税制(国税及び地方税を含む)では「資本金の額」によって税率や租税特別措置法等の適用範囲について異なる取扱をしています。
主な項目について、「資本金の額」による税制上の取扱の違いを見てみましょう


法人税法・消費税法における取扱上の違い

1)法人税率
 資本金1億円以下の法人で年間所得金額
800万円以下の部分に対する税率は22%です(現在は時限措置で18%)。
2)交際費の損金算入限度額
 交際費の損金算入限度額は、①期末資本金1億円以下の場合は、年間400万円(現在は時限措置で600万円)但し、10%部分は課税、②期末資本金1億円超の場合は、ゼロです。
3)設備投資減税
 資本金1億円以下の法人で一定の要件を満たすものは、①取得価額30万円未満の少額減価償却資産については年間300万円まで取得時に全額損金(原則、資産計上の上減価償却)、②一定の機械装置及び器具備品、ソフトウエア、大型貨物自動車等の取得には、取得価額の30%の特別償却又は取得価額7%の税額控除が適用できます。
4)貸倒引当金の繰入限度額
 貸倒引当金は、原則、過去3年間に貸倒の実績がなければ繰入れることができませんが、資本金の額が1億円以下の法人の場合、法定繰入率による繰入れが可能です。
5)消費税の納税義務
 資本金の額1,000万円未満の法人は、設立当初の2年間は納税義務が免除されます。


地方税法における取扱上の違い

1)法人事業税の外形標準課税
 資本金1億円以下の法人には、外形標準課税(所得割額+付加価値割額+資本割額)の適用はなく、所得割額のみです。
2)法人県民税(都民税)の税率
 資本金の額1億円以下でかつ法人税額が年1千万円以下の法人は、税率が軽減されています。

 




中小企業子育て支援助成金 2010年03月26日

初めて育児休業を取得させた事業所が対象

最近の厚生労働省の調査によると、事業所において、従業員が出産・育児のため休業した時に育児休業を取得する率は2008年において初めて9割を超えたという結果が出ています。
国や自治体でも育児関連の経済支援を企業又は本人に給付しており、この中で中小企業に向けて、従業員に初めて育児休業を取得させた場合に支給される助成金を紹介します。


助成金の概要は?
中小企業の育児休業、短時間勤務制度の取得促進を図る事を目的として、「期間限定で平成24年3月までに育児休業を取得させた場合」または「短時間勤務制度を利用させた場合」対象となります。
①平成18年4月以降に、1年以上雇用している従業員が子の出生後6カ月以上育児休業(産後休業含む)を取得し、職務復帰後6カ月以上、就業実績があること。
②1年以上雇用している3歳未満の子を持つ従業員が6カ月以上短時間勤務の制度を利用したこと。


受給額と申請時期

ア.育児休業の場合は一人目が100万円、2~5人目までは各80万円支給されます。
イ.短時間勤務の場合は、一人目は利用期間に応じて各40万円から80万円まで支給されます。
申請時期は、前記①②の要件を満たした翌日から3カ月以内に、財団法人21世紀職業財団を通じて、各都道府県労働局へ提出します。


受給の注意点およびポイント

①従業員100人以下の中小企業が利用できる。
②平成18年4月1日以前に「育児休業取得者」「短時間勤務制度利用者」がいなかったこと。
③助成金を受給するには「一般事業者行動計画」を策定し、都道府県労働局長に届出しておくこと。
④育児休業制度や短時間勤務制度について労働協約や就業規則に規定されていること。
⑤この助成金に限りませんが、労働保険料の滞納がないこと。
⑥同じ労働者が連続して対象となっても2度目は対象とならないこと
などです。




支払督促をご存知ですか? 2010年03月25日

支払督促とは何か?

債権回収における法的手段の一つとして支払督促があります。
支払督促とは、債権者の申立てに基づき、債務者に金銭の支払等をするよう督促する旨の裁判所書記官の処分をいいます。
支払督促は、金銭請求にのみ使えます。


手続の概要

相手方の住所を管轄する簡易裁判所に申立書を提出すると、裁判所は申立書に不備がないか等を審査します。
審査が通れば、裁判所より相手方宛に支払督促が送達され、2週間以内に相手方から異議申立てがなければ、更に仮執行宣言付支払督促の申立を裁判所に行います。
そして、2週間以内に相手方から仮執行宣言付支払督促に対しても、異議申立てがなかった場合には仮執行宣言付支払督促が確定し、強制執行のお墨付き(債務名義といいます)が得られます。
もし、上記で相手方から異議が出た場合には通常訴訟に移行されることになります。


支払督促の特長とは?

このように、支払督促は、通常訴訟のように相手方の反論も受けつつ、主張や証拠を応酬した末に判決を得る必要もなければ、公正証書のように相手方の協力を得て、公証役場で作成する必要もなく、書面審査だけで簡単に債務名義を得られます。
また、裁判所への手数料も通常の裁判の約半分と大変安価です。
支払督促は、いわば安い、早い、実効的な法的手段です。


支払督促も万能ではない

しかし、支払督促が向かない場面はあります。
それは、債務者の方で支払義務自体を争っている場合です。
この場合、相手方は支払督促に異議を出すのは確実であり、通常訴訟に移行するタイムラグが無駄となりますので、むしろ初めから通常の訴訟を提起すべきです。
また、異議により移行される通常訴訟は、相手方の住所を管轄する裁判所で行われます。
お互いが同一ないし近接した地域ならばともかく、相手方が遠隔地にある場合には、相手方の裁判所に出向いて弁論期日を重ねるという大きな負担を被ります。
このように、債権回収の手段に支払督促が有効な場面かどうかをよく検討する必要があります。




提案の効果は上司の器力 2010年03月24日

合意形成のプロセス間違いがコストアップに

社内提案に対する社内協議を進めるときに、提案内容のメリット・重要性・緊急性・拡張性やリスクなどを検証して結論に至りますが、結論はプレゼンをする人の立場の強弱と秀でた説得力の強弱によって大きく左右されてしまいます。
つまり、協議を開始する前から結論が決まっていると言い替えることもでき、立場の強い人がプレゼンすることにより、一方的に提案が確定してしまうケースでも、あたかも社内の合意形成が出来たことになります。
その結果、確定した事柄を現場業務に落とし込もうとした時に、多くの実務的障害が発生し、問題が山積みとなって、コストが余分にかかってしまうことになります。
このように協議の場と言っても、実態は上位下達的となってしまい、折角の意思決定が現場まで串刺しにならないということが、特に、中小企業ではよく見かけられる傾向と言えます。


提案者は別人で現場に近い者から

プレゼンティーションは、強い立場の人ではなく、現場の中間管理者以下の人に行ってもらうことができれば、“現場への意思疎通”と現場の業務となった後の“スムーズな実践化”に大きな役割を担ってくれる人を育むことが出来ますが、現実には、“その会社でリーダー的存在”の人が提案者であることが多く、他の社員は“指示待ち族”となっており、幹部会や営業会議といっても参加するだけの会議になってしまいがちで、協議や提案というクリエイティブな時間を現場化し、収益化させるチャンスを失うことにもなります。


プレゼン移譲は意見拝聴と能力開発を主眼とする

そこで、発案者がリーダー的な人のケースでは、“提案のプレゼンを現場の中間管理者以下の人に移譲”し、若手も数人巻き込むことが現場の意見を引き出す上で、効果的なプロセスとなります。
移譲する提案内容や趣旨などの説明の過程において、部下の意見拝聴を受けることで能力開発も引き出すことになりますので、“移譲した人を中心的”にし、尊重することに徹することが上位者の留意点となります。
        




家族に支払う経費について 2010年03月23日

所得税法上、個人事業主が支払う給料、家賃、地代などは原則必要経費に算入できますが、その支払いを「生計を一にする」親族に行う場合等には、その支払いを個人事業主側では必要経費に算入できず、同時に親族側でも所得が生じなかったものとみなされます。
これは、身内間での「恣意的な所得移転による租税回避行為」を防止するためです。


具体例

例えば、夫が弁護士、妻が税理士で、お互いが独立した別の事務所を開設しているような状況で、夫が妻に確定申告書の作成を依頼し、税理士報酬100を支払った場合、弁護士である夫が支払った100は夫の必要経費に算入できません。
そして一方税理士である妻側でも売上100は発生しません。
しかし、そもそも夫婦がそれぞれ独立した事業を行っているのに、その支払が経費に認められないというのに違和感があるかもしれません。
 

所得税法第56条

これには所得税法56条という法律が関係しています。
この法律は租税回避防止のため「世帯単位課税」という考え方を基礎としています。
例えば、親の土地のうえに店を建てて商売をしている子どもが儲かってきた場合に、親に通常より多く家賃を払って意図的に租税回避することが想定されます。
そういったことを防止するために、生計を一にする親族間では経費処理を認めないというのが、所得税法56条です。
つまりこのような場合には、子どもが親に支払った家賃は子どもの事業所得の計算上経費にならず、合わせて親のほうも不動産所得の収入としなくていいのです。
一方で、子が個人事業を営んでいて、生計を一にする親から店舗用敷地を無償で借りているような場合に、親がその店舗用敷地に係る固定資産税10を負担しているのであれば、子側で10を事業の必要経費に算入し父親側では10の負担をなかったものとする取扱もあります。
このように同一生計間での取引は経費算入について、解釈が複雑になりますので、事前に必ずご相談下さい。




家事消費の税務 2010年03月19日

「家事消費」とは

商品などをお客さまに売るのではなく、自分や家族のために消費することを「家事消費」と言います。
「魚屋さんが店先にある秋刀魚を夕食の材料にした」とか、「ラーメン屋さんがラーメンを店内で家族に食べさせる」というようなことです。
家事消費は、商品仕入が経費となっているのに対応して自分への売上という扱いになります。
仕入価格又は販売価額の70%とのどちらか多い方の金額を売上金額としなければなりません。


消費税法での違い

消費税法にも所得税法と同じく家事消費の規定がありますが、見比べると3つの違いがあります。
消費税法では、消費だけでなく「使用」をも対象にしています。
したがって対象資産も消費目的の棚卸資産等のみならず、使用目的の事業供用資産をも含みます。
それから、売上金額とすべき金額は仕入価格又は販売価額の50%とのどちらか多い方の金額とされています。


「使用」を対象とするわけ

商品その他の資産の購入だけでは所得や損失は発生しません。
しかし、消費税の課税仕入は購入時に発生してしまいます。
ここが所得税と消費税の異なるところです。
所得税で償却資産を家事使用することにした場合には、減価償却費について家事部分の費用化を遠慮します。
しかし、消費税では購入時に通常、全額課税仕入としてしまっているので、あとで家事使用した場合には過去の課税仕入の変更ではなく、その使用の時にその使用資産を譲渡したものとみなして対応するわけです。


家事使用の程度
通達で、「事業の用に供している自動車を家事のためにも利用する場合のように、家事のためにのみ使用する部分を明確に区分できない資産に係る利用というようなものは『使用』に該当しない」としています。





資本的支出と耐用年数 2010年03月18日

原則的な取扱い
減価償却資産について修繕等をして、資本的支出として損金の額に算入されなかった金額がある場合には、その金額を取得価額として、修繕対象資産と種類及び耐用年数を同じくする資産を新たに別途取得したものと扱われます。


翌年期首の選択事項

その事業年度の前事業年度において、修繕対象資産と資本的支出につき別個に減価償却している場合で、その資産が定率法を採用している平成19年4月以後取得資産のときは、その事業年度の期首の日付にて、修繕対象資産と資本的支出の期首帳簿価額の合計額を新取得価額とする一の中古の減価償却資産を新たに取得したものとすることができます。


一の新取得とされた中古資産の耐用年数

中古資産に新たに付される耐用年数は、
(1) 資本的支出額が対象資産の再取得価額の50%以下のときは、
①使用可能期間としての見積年数
②簡便法で計算した年数
のいずれかの方法により定められます。

(2) 資本的支出額が対象資産の再取得価額の50%超のときは、上の①②の適用がないので、本来の法定耐用がそのまま付されることになります。
再取得価額とは、中古資産と同じものの新品を取得する場合のその取得価額をいいます。
新品価額の50%相当額を超える資本的支出を行った場合には、その資産はもはや中古とは言えず、新品と同様に取り扱うべきとの考えで、先の(1)と(2)の区別がなされているようです。


当初からの中古資産への資本的支出
資本的支出をする対象となった資産がもともと中古資産で、見積法あるいは簡便法で耐用年数が決められていた場合、この度の資本的支出の額が新品再取得価額の50%を超えるような時には、一の中古の資産に対し旧来の耐用年数ではなく、本来の法定耐用が付されることになります。
このようなケースでは、冒頭の原則的取扱いのままの場合なら、もともとの対象資産の短い耐用年数が資本的支出にも適用になるので、選択の有利不利はよく検討しなければなりません。





法人の期限切れ欠損金の活用 2010年03月16日

青色申告を適用している法人が赤字決算となった場合、法人は申告期限内に申告書を提出すれば、その損失を7年まで繰り越すことができます。
そして、繰り越している期間で法人に所得が生じた場合には、その所得と繰り越してきた損失を相殺して申告することができます。
ただし、7年たっても使い切れなかった繰越欠損金がある場合には、その金額は期限切れとなり、控除の対象から外されてしまいます。
しかし、法人が解散や会社更生法、民事再生法によって法的整理を行う場合には、期限切れの繰越欠損金についても使用が認められています。


法的整理の際の期限切れ繰越欠損金の利用

法人が会社更生法や民事再生法などの法律に基づいて倒産処理を余儀なくされた場合には、一定の要件の下に限り、債務免除益や資産の評価換えに伴い発生する利益を既に期限の切れた欠損金と相殺することができます。
したがって、日ごろから期限の切れた欠損金がいくらあったのかをきちんと管理しておく必要があるでしょう。


解散の際の期限切れ繰越欠損金の利用

平成22 年の税制改正により、平成22 年10 月からは、上記法的整理によらない自主的な解散の場合にも、法人が解散に伴って利益が生じた場合には期限の切れた繰越欠損金を使用することができるようになりました。
これは同じく平成22 年の税制改正により、法人の清算申告について、「清算所得課税方式」という特別な計算方式から、通常の「損益計算方式」に変更になったことに伴って、計算方式の違いから生じる可能性のある法人税の負担を軽減するために補完された改正です。


繰戻還付制度の利用

もうひとつ、繰越欠損金を利用する制度として、「繰戻還付制度」があります。
これは、青色申告を適用している法人について、前期に法人税を支払っているが、当期は損失になってしまった場合などに、前期の法人税を取り戻す申告をすることで、今年の損失に対応する法人税の還付を受ける制度です。
この申告については通常の申告書とは別に繰戻還付請求書という特別な申告書を申告期限内に提出する必要があります。


次回は、「家族に支払う経費について」をお送りします。




倒産にもいろいろな形がある 2010年03月15日

一口に「倒産」と言いますが・・・

近年、事業会社では我が国最大の負債額による日本航空の会社更生手続申請による倒産が大きなニュースとなりました。
どんな大会社でも倒産し得ることを今更ながら思い知らされます。
もっとも、事業は継続し、飛行機は変わらず運行されております。
これに対し、同じ倒産でも事業を畳んで、財産を換価の上、債権者に分配して終結する形もあります。
このように、一口に倒産手続に入ったと言っても、具体的にどうなるかはケースバイケースです。


大別すれば、「清算型」と「再建型」

倒産処理の形は大別して清算型と再建型があります。
まず、清算型は、倒産状態になった債務者の財産をあまねく換価して現金化し、それを債権者に可能な限り弁済することを目的とします。
この場合、債務者が法人の場合には、存続・再建を予定しておらず、解散へ向かいます。
裁判所関与の下で行われる法的処理手続としては、破産、特別清算がこれにあたります。
これに対し、再建型は、倒産状態になった債務者の財産を直ちに換価・分配することは必ずしも予定せず、債権者らの権利を変更(債権額の全部又は一部のカット、分割弁済・期限の猶予等のリスケジュール)したうえで債務を軽くして、今ある財産を基礎にして収益を上げ、権利変更により軽くなった債務を弁済すること等で、債務者の事業又は経済生活の経済的再生を図ります。
法的処理手続では、会社更生法、民事再生法がこれに該当します。
もちろん、裁判所が関与せず、債権者と債務者等の当事者の協議による私的整理でも清算型・再建型は存在します。


両者の区別は相対的

もっとも、両者の差異は相対的なものであることに注意が必要です。
債務者が個人の場合には、清算型に属する破産手続は、これに付随する免責手続の存在により、再建型として事実上機能していることがほとんどです。
また、再建型に属する民事再生手続又は会社更生手続でも、事業を他社に譲渡し、残った会社を清算を目的とした再生計画案又は更生計画案が作成されることもあります。





マンション課税の歴史 2010年03月12日

建物の区分所有等に関する法律は昭和38年から施行されていますが、固定資産税の課税はその後20年もの長きにわたり区分所有課税ではなく、共有者課税を続けました。

共有者課税と区分所有課税
共有者課税とは、共有土地に対する固定資産税の課税方式で、共有者のうち任意の者に「甲ほか○○名」宛の納税通知書が交付され、甲が共有土地全体の税額を一括して納税する一括課税方式のことです。
共有者間には連帯納税の義務があります。
区分所有課税とは、各区分所有の戸別の持分に応じて課税する分割課税方式のことで、連帯納税義務が解除されています。

マンションでの共有者課税
共有者課税のままだと、マンション区分所有戸数者170とすると、その中の1人甲に対し「甲ほか169名」宛の納税通知書が交付されることになります。
甲は170戸分の固定資産税と都市計画税をそれぞれに不満の無いように按分し、徴収したうえで期限までに納付しなければなりません。

不合理を裁判に訴えたが
不満がおきるのは当然で、「共有者課税方式は、民法における連帯債務者のように、主観的連帯関係をもった者の間において適用されるべきで、共同住宅所有者のような、相互に面識もない、主観的連帯関係のない者の間においては適用されるべきではない」と主張した出訴がありました。
しかし、判決は、共有土地については、一括課税方式によるべきであり、分割課税方式は、適法であるとはいいがたいとし、当時すでに分割課税方式を採っていた神戸市に対し、違法な課税方式というべきと断罪しました。

あきれた判決でようやく法改正
法の定める税額徴収の要請に応えればよいのではないかとの関係者の観測に反した、裁判所の形式的な法文解釈主義に遭遇して、自治省も重い腰をあげ、昭和 58年の改正により地方税法には第352の2条が追加され、連帯納税義務が解除され、持分ごとに課税されるよう立法的解決が図られました。




定期借家契約の「更新」 2010年03月11日

定期借家契約に「更新」はあり得ない
定期借家契約を結んだが、借り手が賃料の支払もよく、利用態様も問題がないので、ずっと借りて欲しいという場合には、契約を更新することができるのでしょうか。
そもそも、定期借家契約とは、契約の更新がないことを特約した建物の賃貸借契約ですので、定期借家契約を更新することはいわば概念矛盾となります。
したがって、引き続き契約関係を継続しようとすれば、定期借家契約が終了する際に、当事者間の合意により同一内容の定期借家契約を結ぶことはできます。
これは、あくまで更新ではなく、再契約ということになります。
そうである以上、期間満了後に同一内容の定期借家契約を締結するにあたっては、契約の手続を一からやり直すことになります。
つまり、契約の更新がない旨の書面による事前説明を行い、さらに契約期間が1年以上の場合には、期間満了の都度、期間満了による賃貸借契約の終了を通知する必要があります。
これを怠ると、定期借家契約は無効となり、通常の借家契約として再契約したこととされ、正当な理由がなければ期間満了による契約の終了ができず、自ずと立退料の支払いの問題も出てきます。

再契約を予定する契約書における注意点
ところで、実際の契約書には、あからさまに更新をしないことを示すことで生じる空室や賃料下落のリスクを避けるべく、契約書で再契約を予定する条項や再契約事由(あるいは再契約拒否事由)を設けるというパターンが見られます。
しかし、契約の内容や運用の実質が、定期借家契約から離れ、通常の借家契約に近づくと、当初目的としたはずの定期借家契約としての効力が生じない場合があります。
例えば、契約書に記載の再契約拒否事由に該当しない、あるいは、再契約事由に該当するのに更新を拒否する場合には、当然に再契約の効力が生じます。
そして、再契約における契約更新がない旨の事前説明がないので、通常の借家契約となります。
そして、再契約拒否事由が限定的に書かれており、借り手に落ち度さえなければ再契約に応じるような契約書になっている場合には、更新がない旨との事前説明と矛盾するため、実質的には更新がない旨の説明がないのと同様だとして、定期借家契約は無効となり、通常の借家契約が成立すると解されることがあります。




裁判負けて税法改正 2010年03月10日

居住用家屋と敷地への特例
自己の居住用家屋とその敷地に対しては税制上いろいろな優遇特例があります。
居住用土地建物の譲渡所得の特例とか、被相続人の居住の用に供されていた宅地に係る小規模宅地の評価減の特例とかです。

居住用家屋は二つあってはいけないか
家屋を複数所有する人にとっては、居住用家屋が複数になることはありえます。
それで、先に例示した、居住用土地建物の譲渡所得の特例の規定では、法律ではなく政令ではありますが、「その者がその居住の用に供している家屋を二以上有する場合には、これらの家屋のうち、その者が主として居住の用に供していると認められる一の家屋に限るものとする」としています。
それでは居住用土地建物というとき、いつも「主として」を基準に「一つに限る」ということになるのでしょうか。

「一つに限る」の規定がない
先に例示した、相続税に関する居住用小規模宅地の評価減特例の場合をみると、「主として」を基準に「一つに限る」との規定が、法律にも、政令にも、省令にもありません。
そうすると、複数の家屋を自己居住用としていた被相続人の場合には、それら複数の家屋の敷地について、どれにも小規模居住用宅地の評価減特例が使えることになります。

税務当局はそう解釈しない
この小規模居住用宅地特例は以前、通達で規定していましたが、このような特例を通達で定めることに異論があり、昭和58年に法律となったという経緯があります。
そして、以前の通達では「相続開始時において被相続人が主として居住の用に供していた宅地をいうものとする」とされていたので、税務当局としては、現在の法律の解釈を、通達時代と同様「主として」を基準に「一つに限る」としていました。

敗訴して今年の税法改正に期す
この解釈をめぐる争いが起き、地裁と高裁の判決がありました。
いずれの判決も、税務当局の解釈をNOとしました。
今年の税制改正大綱に「特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地等に限られることを明確化します」とあるのは、この判決をうけたものでした。




外貨預金と為替差損益 2010年03月09日

円為替レートの推移
今年に入ってからも円高基調が続いています。
円高への傾向は固定し、強くなっているような気配です。
そうなると、外貨預金による為替差益を狙うことは期待できません。
こういう現状では、むやみに外貨預金の取り引きを行うよりも、税務上の取り扱いを知っておく方が有益かもしれません。

外貨預金の利子
外貨預金の利息は利子所得です。
税額算出方法については、外貨利息そのものに直接税率をかけるのではなく、外貨利息をいったん円換算した上で、源泉分離課税として税率20%(所得税 15%+住民税5%)をかけて源泉徴収することになっています。
つまり、確定申告をする必要はなく、実際に受け取る利息額も税引き後のものです。
円貨の預金利息の扱いと同じです。

為替差益の所得
為替差損益は総合課税の雑所得です。
ただし、外貨建預貯金でその元本と利子を予約レートで換算して支払うこととされているものの差益だけは利子所得と一緒の源泉分離課税です。
サラリーマンで外貨預金をしていた場合は、給与所得以外の所得が20万円以下のときの確定申告不要については、源泉分離課税の預金利息や為替差益はその判定から除外されます。
判定対象は予約レートに係らない為替差益の部分だけです。
とは言え、医療費控除などを受けるために確定申告を行うのであれば、為替差益が20万円以下であっても、その分も含めて確定申告する必要があります。

為替差損の所得
なお、為替差損がでた場合、ほかに雑所得に該当する所得がなければ、為替差損による雑所得は0円となります。
雑所得の赤字は他の所得の黒字との損益通算ができないからです。
従って、年金所得とか原稿料とかFX店頭取引とかの雑所得がほかにある場合は、被った為替差損は、それらの雑所得とは損益通算できます。
例外として、差金決済先物取引や株式売買取引で雑所得となるものがあったとしてもこれらの雑所得は分離課税なので損益通算対象外です。




退職者の健康保険(親族の被扶養者) 2010年03月08日

退職者に伝えたい健保手続き その2
会社を退職した方が、次の健康保険制度に加入する方法としては、一般的には、会社を通じて加入していた健康保険を「任意継続」するか、市区町村が運営する「国民健康保険」に加入するかの二者択一になりますが、場合によっては、「親族が加入している健康保険の被扶養者」になるという方法もあります。

親族の健康保険に加入するには
同居の親族の被扶養者となるには、本人の年収が130万円未満で、扶養する親族の年収が本人の2倍以上であることが要件です。
ただし、本人の年収が親族の半分以上であっても、130万円未満でその親族の年収を上回らない時で、世帯の生計状況から総合的に考えて、その親族が生計維持の中心的役割を果たしていると認められる時は被扶養者になれます。
年収130万円未満というのは、給与収入のみならず、退職した本人が雇用保険の基本手当を受ける場合は、1年に換算して、130万円以上になるか否かで、被扶養者としての判断をします。
雇用保険の失業給付は非課税ですが扶養の認定の時は、その収入は判断材料の一つとされます。
雇用保険の基本手当の日額は、原則として退職前6ヵ月間の給与総額(賞与は含まず)を180で除した額を賃金日額、その5割が基本手当日額となります。
一定額より低い場合は、賃金日額の5割から8割の範囲内で決定されます。(60歳未満の場合)。
職安で示された基本手当日額を1年分に換算してみると判断ができると思います。

国民年金の手続きも併せて行う
配偶者の被扶養者になる場合で本人が60歳未満の時は国民年金の「第3号被保険者」になることもありますので、配偶者の会社を通じて併せて手続きするのがよいでしょう。
また60歳以上の人が退職した場合は健康保険の被扶養者になれる年収は180万円未満となり、年収基準のハードルが低くなります。
収入の中には雇用保険の失業給付と同時には受けられませんが、年金収入も対象となります。




退職者の健康保険(任意継続・国保) 2010年03月05日

退職者に伝えたい健保手続き
会社を退職して、早速必要となるのが、健康保険証でしょう。
傷病は予測がつきませんし、特に扶養家族のいる方は早期に取得が必要とされるでしょう。
退職者の健康保険加入は退職後の就職先が決まっている人(再就職先で健康保険に加入する人)以外は、次のようになります。

任意継続と国民健康保険
退職後、被扶養者になれない場合は、「任意継続」するか「国民健康保険」に加入するか二者択一となります。
「任意継続」とは退職前に被保険者期間が2カ月以上ある方が資格喪失後、20日以内に退職前に加入していた健康保険の保険者(健康保険組合や協会けんぽ)に申し出ることで最大2年間まで加入できるものです。
 「国民健康保険」は市区町村で運営されており、会社で加入している健康保険制度の加入者とならない人や住民が加入するものです。
 診療窓口で支払う両者の一般的な負担額はいずれも3割で、給付面でも大きな差はありません。
両者の大きな違いである手当金も、任意継続保険者では傷病手当金、出産手当金とも廃止されています。
ただし、健康保険組合には協会けんぽにはない給付が付いていることが多いので該当する方は確認してみましょう。

両者の保険料の差は?
両者の給付の差は少ないものの保険料の差はどうでしょうか。
国民健康保険の保険料は前年の所得を基準に決定され、計算方法も市区町村によって違っています。
前年の所得が高かった方は退職して失業したとしても、保険料が高額になりますし、被扶養者制度がないので、世帯構成員(他の健保制度加入者は除く)に対し、定額負担が発生します。
任意継続は退職時の標準報酬か保険者の決めている平均標準報酬月額(協会けんぽでは28万円)の低い方を適用し、会社負担分と合わせた額となります。
時には国民健康保険より任意継続の方が得な事もあるので、両者の保険料を調べた上で、選択することが賢明でしょう。




たばこ税増税 2010年03月04日

たばこ税の増税
政府は昨年12月22日に、平成22年度税制改正大綱を閣議決定しました。
この中で、たばこ税は「1本当たり3.5円の増税(価格上昇は1本当たり5円程度)」することが盛り込まれました。
これにより主要銘柄のたばこの価格は1箱400円程度になりそうです。

増税の目的
増税の目的は、あくまで税収の確保です。
喫煙が健康に及ぼす影響や。日本も批准した「たばこ規制枠組み条約」においても「価格・課税措置がたばこの消費減少に効果的」という意見も聞かれましたが、今回の増税の目的ではありません。

たばこ税の歴史
そもそも、たばこ税は、1898年、日清戦争後の財政の立て直しのために、たばこを政府の専売商品として販売、安定的に税を徴収する目的で「葉煙草専売法」が施行されました。
しかし、葉タバコの密耕作などで、目標とした税を徴収できなかったといいます。
その後の日露戦争時には戦費調達を目的に、葉タバコの買い付けから製造、販売までを管理するようになりました。
第2次世界大戦終了後は、専売公社がたばこの製造を独占し、専売公社はたばこを販売した利益を、専売納付金として国に収めていました。
1985年に専売公社は民営化され、日本たばこ産業(JT)となりましたが、国の重要な税収源を廃止することはできず「たばこ消費税」が創出されました。
そして、消費税の導入で、名称が「たばこ税」に変更され、現在に至ります。

たばこ税の根拠
現在、たばこ税は「たばこ事業法」のもとで財務省が所管しています。
「たばこ事業法」は、たばこ産業の健全な発展と財政収入の安定的確保を目的とする法律です。  
国民の健康目的を理由に増税するのであれば、「たばこ事業法」の目的から、改正を前提に検討すべきでしょう。
その場合にはかつての「禁酒法」「禁煙法」が何故廃止されたのかも視野に入れた幅広い議論が必要となると思います。






赤字が出たときの繰越の申告 2010年03月03日

確定申告時期に迷ってしまう損失の繰越について整理をしてみました。
個人と法人では損失の繰り越せる年数や必要な書類の届出の提出期限が異なっているので注意が必要です。

個人の事業所得や不動産所得の赤字の繰越
青色申告の届出を提出している個人の方は、1年間の収入と経費を集計して赤字になってしまった場合には、所定の確定申告書を提出することにより、この損失を繰り越して翌年以降の黒字と相殺することができます。
繰り越せる年数は最大で3年です。ただし損失の生じた年から毎年期限内に申告をしなければ繰越はできません。
また、青色申告の事業者になるためには、開業してから2ヶ月以内か確定申告の提出期限のどちらか早い日までに青色申告の承認申請書を提出しなければなりません。提出が遅れた場合、翌年からの適用になります。

個人の株式等の売買による赤字の繰越
株式等の1年間の売買に関して損失が生じてしまった場合には、所定の申告書を提出することにより、この損失を翌年に繰り越すことができます。
繰り越せる年数は3年間です。
その間はたとえ株の売買取引がなくても確定申告書を提出して、繰越の損失があることを報告しなければなりません。
またこの繰越の申告については、上記の青色申告の事業者が要件となっていませんので、株式の損失を申告するために、その年に初めて確定申告書を提出する場合には、申告期限を過ぎて申告書を提出しても繰越が認められます。

法人事業の赤字の繰越
法人の利益について赤字が出た場合にも、その法人が青色申告を適用していれば、損失の繰越をすることができます。
繰り越せる年数は最大で7年間です。
青色申告の承認申請書の提出期限は設立後3ヶ月の前日か、事業年度終了日の前日のどちらか早い日となっています。

法人の期限切れ損失の活用
平成22年度の税制改正により、法人が債務超過のために解散した場合の申告については、期限切れになってしまった欠損金も利用が認められることになりました。
この詳細については次回にご説明いたします。




倒産防止共済制度の改正 2010年03月02日

独立行政法人中小企業基盤整備機構の所管する中小企業倒産防止共済制度が現在の税制改正の対象になっています。

倒産防止共済制度
中小企業倒産防止共済制度は、いつ起こるかもしれない「取引先の倒産」というような不測の事態に直面した中小企業に迅速に資金を貸し出しする共済制度です。
毎月20万円以内の掛金を総額が800万円になるまで積み立てることができます。
また加入者は、取引先が倒産した場合に、積み立て掛金総額の10倍の範囲内(最高8千万円まで)で回収困難な売掛債権等の額以内の貸し付けを受けることができます。

税制改正
今回の改正項目は、月額掛金と積立限度額が2.5倍に膨らんだことです。
この共済掛金は全額損金(必要経費)になりますので、年間240万円の費用を数年にわたりつくり出せることになりました。
留意すべきは、損金(必要経費)になるこの掛金が掛け捨てでないことです。
本来は積立金であり、掛け捨ての保険ではないにもかかわらず、毎月の掛金は、税法上損金(法人)または必要経費(個人)に算入できるのです。

注意すべきこと
解約は自由です。
ただし無利息です。
40ヶ月以上積み立てれば100%戻ります。
40ヶ月以内の解約は損をします。
倒産防止共済金を掛金の10倍まで利用しても無利息とはなっていますが、共済金の10分の1の掛金が没収となるので、全体で10%の利息となります。
最長期間の5年で返済とすると年利4%に相当します。積立金が無利息であることを考慮すると、高すぎる金利と言えます。
純粋に節税商品として利用するのが最も有利な利用法といえます。

税制上の留意点
毎月掛金の損金(必要経費)算入は租税特別措置法に規定されていますが、「損金算入に関する明細書の添付がない場合には、適用しない」とされています。
法人税の場合は別表十(六)が用意されています。
また、積立期間40ヶ月以上経過後の任意解約による積立金の全額返還は益金(収入金額)となるので、解約のタイミングも留意事項と言えます。




給与における間接強制 2010年03月01日

給与の税金確定の構造
年末調整においては、給与所得者の提出した扶養控除等申告書などに記載された申告内容に基づいて、事務処理がされます。
その際、扶養親族の該当性の適否判定は記載者本人がするのであって、記載された内容の適否についての調査義務・調査権限は給与の支払者にはありません。
ところで、税務署での調査により、記載内容の適正さに疑問が指摘される場合、給与所得者本人にはその通知は送られず、給与支払者に送られてきます。
扶養控除等申告書の記載を修正させて年末調整をやり直すことを要求してくるのです。
それで、本人が修正に応じ、年末調整がやり直しとなり、不足税額を納付すると、その後不納付加算税や延滞税の追徴がなされます。
給与支払者には落ち度がないのに、このペナルティーは理不尽ですが、多くの場合、不正記載者本人に追徴額の転嫁がされているのではないかと思われます。

不正記載を修正できないときは
不正記載があっても、扶養控除等申告書の記載の修正がない限り、年末調整のやり直しはできませんので、すでに退職してしまった人の場合にはどうすればよいのでしょうか。
給与支払者に特に過失がなく、税額を再計算して徴収し直し、納付することもできない場合には、給与支払者をそれ以上追及しない、との通達があります。
そんな場合に、税務署長が退職した給与所得者本人に対して直接に所得税額の決定をして不足税額とペナルティーの追徴処置をしたという事例がありました。
不正申告者を放置しないとの趣旨ですが、この決定処置は国税不服審判所にて取消しの憂き目に会っています。
なぜかというと、この場合のような給与所得者は「年末調整されるだけで、確定申告をする義務がなく、義務がない者への税務署長の直接的納税強制の決定には法律の根拠がない」ということです。

給与の確定申告不要制度の不備
この事例は、別居母親に月額約10万円程度の家賃相当額を援助していたことから扶養親族として届け出ていたというもので、もし「本人が退職しておらず、税務署の指摘にも応ぜず、税務署長が会社宛に追徴処分をし、会社は本人に転嫁する」というような場合には、誰と誰が争うことになるのか、法の不備ということになりそうです。