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徴収代行手数料交付制度   

ナチスドイツに範をとる

イギリスが1799年にナポレオン戦争の戦費調達のために貴族階級を課税対象に創設した所得税の徴収とともに源泉徴収制度の起源は始まります。

ただ、広く国民大衆を相手にする源泉徴収制度を制度として機能させたのはナチスドイツで、ナチスドイツは税制に対してはかなり先進的で、扶養控除や住宅促進税制など、第二次世界大戦後多くの先進諸国に影響を与えた制度を考案していました。

風雲急を告げる戦時下で始まる

日本では、昭和15年、勤労所得の基礎控除を1,000円から720円に引き下げ、これにより課税対象者を飛躍的に増やし、同時に国の徴税事務の効率化を目的として勤労所得に対する源泉徴収制度を導人しました。

なお、源泉徴収義務者は国から徴税事務を委託された代行人と位置付けられ、納税者一人当たり当初10銭の徴税代行手数料の交付を受けることができました。

その後20銭になり、最終的には50銭になっています。

交付金を得るには、翌年の1月末日までに所轄税務署長に対し請求書を提出するという手続きを経る必要がありました。現在の基礎控除で換算すると、毎年一人当たり263円の徴税代行手数料となり、従業員100人の場合、年間合計交付金26,300円ということになります。

この交付金制度は昭和22年(1947年)に、申告納税制度と年末調整制度の導入に際して、廃止されました。

消費税も源泉徴収で年末調整

消費税の納税義務者は消費者ではなく事業者ではあるのですが、負担者が消費者で、納税は事業者が行うという点では、源泉徴収制度に似ています。それに、事業者に国の徴税実務と徴税計算を押し付けて、税務署の下請け機関となることを、罰則をもって強制している点も同じです。

免税制度廃止、徴収代行控除の導入を

本来は、消費税の導入に際し、源泉徴収制度導入時のように、押し付けた国の徴税実務と徴税計算に要する費用を補填すべきだったのではないかと思うところです。

むしろ免税制度など廃止して、すべての事業者に申告義務を負わせても、徴税代行税額控除(月5万円、年60万円くらい)があれば、1,000万円以下の売上なら納税額は、多くの場合ゼロになります。